数日前のフレイヤ・ファミリアでの戦いでステイタスが上昇しているかを確認する為に、神ミアハにステイタスの更新をしてもらうことにした。
Lv5
力:B755→SS1092
耐久:B734→SS1076
器用:S971→SSS1357
敏捷:B742→SS1089
魔力:SS1083→SSS1340
流石に新たなスキルは発現していなかったが、神ミアハの神血で書き換えられて更新されたステイタスはだいぶ上昇していたようであり、平均がSSでSSSに到達しているものもある。
ダンジョンで速攻縮小魔法のリトルフィートをよく使う影響か、魔力も伸びが良い。
それ以外のステイタスも伸びていて、ランクアップする為に必要な偉業を達成することが出来れば、直ぐにでもランクアップが可能なステイタスだった。
女神フレイヤに料理を振る舞ってから、頻繁にフレイヤ・ファミリアの本拠地に呼び出されることが増えていて、様々な料理を作ることになったが、報酬はしっかりと支払われているのでタダ働きではない。
1回料理をする度に1000万ヴァリスが支払われており、週3で呼び出されていることから、毎週毎週3000万ヴァリスを稼げてしまっていた。
そんな生活をしばらく続けていると貯金していたヴァリスが容易く億を越えてしまうが、億を越えるヴァリスを支払っていたとしてもフレイヤ・ファミリアは何も問題が無いようだ。
資金力も並みのファミリアとは違うフレイヤ・ファミリアなら、毎週3000万ヴァリスの出費が有っても、それ以上に稼ぐことが出来ているのかもしれない。
女神フレイヤの為になるならフレイヤ・ファミリアの団員達は、女神フレイヤを害すること以外は何でもするだろう。
ギルドの担当アドバイザーの人から聞いた話によると、最近フレイヤ・ファミリアの団員がダンジョンによく潜るようになっていて、ひたすら魔石を換金してから再びダンジョンに潜るということを繰り返しているそうだ。
稼いだヴァリスの運搬係りまでいるようで、荒稼ぎしているフレイヤ・ファミリアの目的が何なのかわからないので、ギルドは警戒しているらしい。
フレイヤ・ファミリアの面々が女神フレイヤの為に、ひたすらヴァリスを稼いでいるだけだと理解している俺は、とりあえず誤解を解いておくことにした。
「フレイヤ・ファミリアの団員がダンジョンで荒稼ぎしているのは女神フレイヤの為ですよ」
「凄い額のヴァリスを稼いでいるのが、フレイヤ様の為なのはわかったけど、何であんなに稼いでいるのかな」
不思議そうな顔をしているギルドの担当アドバイザーの人に、隠すようなことでもないので真実を教えておく。
「俺が週に3回ほど女神フレイヤに料理を作って、その報酬に1000万ヴァリスを毎回貰っているからじゃないですかね」
「ああ、だからフレイヤ・ファミリアがヴァリスを稼いでいるのはフレイヤ様の為なんだね。そういうことだったんだ」
俺からそう聞いて納得したようで頷いていたギルドの担当アドバイザーの人。
「ギルドの上の人にも、警戒しなくて大丈夫だと伝えておいてください」
「うん、そうするけど、フレイヤ様から1000万ヴァリスを支払われる料理を作れるって凄いことのような気がするよ」
「最初は1億ヴァリスって言われたのを1000万ヴァリスにしてもらったんですけどね」
「きみは相変わらず凄いことをしているね。まあ、きみだから仕方ないか」
遠い目をしていたギルドの担当アドバイザーの人は、まるで悟りを開いたかのように穏やかな顔をしていた。
こうしてギルドの誤解は完全に解けたが、女神フレイヤが1000万ヴァリスを出す料理を作れる男だとギルド内で俺が有名になっていたみたいだ。
しかもある日、ギルドの職員が口を滑らせて神々にまで知られてしまったらしく、それを知った神々が俺の元に次々と現れる。
自分のファミリアに俺を勧誘してくる神から、タダで料理を作ってくれと頼んでくる神等も居て、相手をするのがかなり面倒だった。
フレイヤ・ファミリアの本拠地に向かった際に女神フレイヤへ、最近面倒な神々に付きまとわれていることを言ってみると、翌日から面倒な神々が寄ってこなくなったので、女神フレイヤが手を回してくれたのかもしれない。
女神フレイヤに感謝をしておき、週3でフレイヤ・ファミリアの本拠地に料理を作りに行く日々を過ごす。
そんな生活をしばらく続けていると、料理の腕が更に上がったような気がした。
オッタルさんや女神フレイヤも俺の料理の腕が上がったことを喜んでいて、俺が作った料理を美味しそうに食べてくれる。
特にオッタルさんの食べっぷりが凄まじいが、俺の料理をそこまで美味しいと思ってもらえたなら悪い気はしない。
女神フレイヤは料理している最中の俺を見たいと思ったようで、フレイヤ・ファミリアの本拠地に特設されたキッチンを使い、女神フレイヤの目の前で料理をすることになった。
まるでライブキッチンだなと思いながら、見ていて楽しいと思えるような様々な料理を女神フレイヤの前で作っていく。
様々な料理を作る最中の姿も、作った料理の味にも満足してもらえたようで、とても嬉しそうだった女神フレイヤ。
全ての料理を作り終えて報酬も受け取り、フレイヤ・ファミリアの本拠地からミアハ・ファミリアのホームに帰る途中で出会った神ガネーシャが話しかけてきた。
「俺がガネーシャだ!」
「それは知ってますよ」
「うむ、そうか。なら良し」
「ご用件は何ですか、神ガネーシャ」
「近々開かれる神の宴の料理を作ってもらえないだろうか」
「1000万ヴァリスを支払ってもらえるなら引き受けますよ。タダで引き受けると面倒な神々が寄ってきそうですから」
「1000万ヴァリスを用意するのは不可能ではないが、それだけの腕があると証明してもらいたいとガネーシャは思う」
「ああ、それなら、これからミアハ・ファミリアで夕食を作るんで、神ガネーシャも一緒に食べてみますか」
「そうしてみよう」
という訳で神ガネーシャを連れてミアハ・ファミリアのホームに戻り、夕食を作った俺は席に座る神ガネーシャの前に皿を置く。
今日のミアハ・ファミリアの夕食を一口食べた神ガネーシャは「美味い!これは美味いぞ!」と大きな声を上げながら豪快に食事を続けていった。
あっという間に夕食を食べ終えた神ガネーシャは仮面で隠れていない口を緩めて笑みを浮かべながらかなり大きな声で言う。
「確かに1000万ヴァリスを支払う価値がある料理だった!是非とも神の宴で料理を作ってもらいたい!」
「声が大きいんで、小さくしてくださいね。普通に近所迷惑です」
「うむ、近所迷惑だったか、ガネーシャ反省」
近所迷惑だと言われてちょっとしょんぼりとしていたが神ガネーシャは悪い神ではない。
神の宴で出す料理を作る依頼を引き受けても問題は無さそうだ。
「貴方が主催する神の宴での料理を作ることは引き受けますよ」
まだしょんぼりとしている神ガネーシャに依頼を引き受けることを伝えると、物凄く喜んでいた神ガネーシャ。
「この素晴らしい料理を神の宴でみなが食べられるならば、1000万ヴァリスを支払っても惜しくはない」
そう言い切った神ガネーシャは、神の宴に来る他の神々のことを考えていたようだ。
数日後、開かれた神の宴で、俺が作った大量の料理が神々に振る舞われたが、かなり評判が良かったらしい。
盛り上がった神の宴が終わった後に、神ガネーシャから「ガネーシャ超感謝!」と独特な感謝の言葉を言われた。
神ガネーシャは変わっている神だが、群衆の主を名乗るだけあって市民を庇護すべき対象だと思っている良い神だ。
そんな神ガネーシャのことは、嫌いではない。
「何を隠そう、俺がガネーシャだ!」
「それは知ってますよ」
「今回の神の宴は大いに盛り上がった。まあ「この美味しい料理を作った料理人は誰だ!」と言い出した神もいたが、ガネーシャは黙っていたぞ!ガネーシャ沈黙!」
「黙っていてもらえたのはありがたいですね。とりあえず神の宴が盛り上がったみたいで良かったですよ」
「うむ、お前のおかげだな!これが報酬の1000万ヴァリスだ!受けとるがいい!」
「ありがたくいただきます」
「お前には再び感謝の言葉を贈ろう!ガネーシャ超感謝!」
神ガネーシャから再びの感謝の言葉と、今回作った料理の報酬の1000万ヴァリスを受け取った俺は、ガネーシャ・ファミリアの本拠からミアハ・ファミリアのホームへと戻る。
戻ってきたミアハ・ファミリアでも夕食を作り、神ミアハとナァーザの分も忘れずに用意して全員で食卓を囲んだ。
俺の料理の腕が上がったせいか、神ミアハとナァーザに「舌が肥えてしまった」と文句を言われるようになっていて、ミアハ・ファミリアでは俺が料理当番になることが増えていた。
料理を作ることは楽しいと思えるので苦ではないが、俺が居ない時の食事をどうしているのかを神ミアハとナァーザに聞いてみると、どうやら豊穣の女主人という店で食事をしているらしい。
冒険者達が頻繁に食事をしている店であるようだが、豊穣の女主人は美味しい料理を出す店でもあるみたいだ。
まだオラリオに来て1年も経過していないので、俺があまり知らないだけで様々な店がオラリオには存在しているのだろう。
豊穣の女主人という店が、ちょっと気になった俺は、神ミアハとナァーザに豊穣の女主人がある場所を聞いてみた。
興味があるなら実際に行ってみようということになり、明日は豊穣の女主人で夕食を食べることになったが、外食をするのは初めてかもしれない。
俺が稼ぎまくったヴァリスでミアハ・ファミリアには随分と余裕があり、普通に外食をしても問題は無いが、ミアハ・ファミリアに居るときは毎回自炊していた俺には外食という発想自体が無かった。
それでもこの世界に生まれ変わって初めての外食に、ちょっとワクワクしていたことは確かだ。
翌日、普段通りの忙しい日常を過ごしてから、夕食を食べに豊穣の女主人へとミアハ・ファミリアの全員で向かう。
到着した豊穣の女主人。
店に入ると空いているカウンター席へと案内してくれた店員の女性はシル・フローヴァという名前であるらしい。
此方の注文を聞いた女将のミア・グランドが用意してくれた料理を食べてみると、中々美味しい料理であり、初めての外食が此処で良かったと思えた。
様々な料理を俺が注文して食べていると空いていた隣の席にシルが座ってきて、何故か俺に積極的に話しかけてくる。
「どうですかミアお母さんの料理は」
「とても美味しい料理だと思うけど」
「そうですか、それならもっと笑顔を見せてほしいところですね」
「自分ならどう作るかをちょっと考えてたから、しかめっ面になってたかもしれないね」
「貴方も料理をするんですね、どんな料理を作るんですか」
「まあ、色々だけど、内緒にしておくよ」
「教えてもらえると嬉しいんですけど」
「内緒だから言わないよ。俺が次に何を作るか楽しみにしている女神様に伝わってしまったら、楽しみが半減してしまうからね」
「そうですか、残念ですけどそれなら諦めておきますね」
残念と言っておきながら、とても嬉しそうなシルは、満面の笑みを浮かべていた。
何でそんなに嬉しそうなんだろうかと不思議に思ったが、特に追求したりはしない。
食事を終えてヴァリスを支払い、豊穣の女主人から出ようとした時に、シルが言う。
「また、来てくれますか?」
「外食したくなったらまた来ると思うよ」
「それじゃあ、待っていますね」
とても華やかな顔で笑ったシルは、やっぱり嬉しそうだった。