転生したらゲド・ライッシュだった   作:色々残念

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話が思いついたので更新しておきます


第3話、椿・コルブランド

自分に何ができるのか、確認することは悪いことではない。

 

新しく発現したスキルである「龍の手」こと「トゥワイス・クリティカル」の能力を確認する為にダンジョンに潜ってみた。

 

一定時間自身の能力を倍にすることもできた「トゥワイス・クリティカル」の力は、上層のモンスターが相手では過剰なようだ。

 

「リトルフィート」でモンスターや物を小さくする速度も倍にすることすらもできた「トゥワイス・クリティカル」というスキルの力を上手に使いこなすことができれば、更に俺は強くなることができるだろう。

 

しかししっかりと実戦的な検証をするには中層に行かなければいけないのかもしれない。

 

中層に向かう為の準備を始めることにして、ギルドの担当アドバイザーの人にも中層について詳しい話を聞いておく。

 

サラマンダー・ウールというアイテムがあった方が良いとアドバイスをもらったので、ヴァリスを貯める為に上層でモンスターを狩りまくり、魔石とドロップアイテムをギルドで換金していった。

 

稼いだヴァリスの半分をナァーザに渡しておき、もう半分は貯金しておくという生活をしばらく続けると、サラマンダー・ウールを購入できる金額まで、あっという間に到達する貯金。

 

中層に行くならパーティを組んだ方が良いとも担当アドバイザーの人に言われていたが、それについてはどうしようかと悩んでいた。

 

悩みながらも予備の武器を用意する為にヘファイストス・ファミリアのテナントに向かい、末端の職人達が作った剣に掘り出し物がないかと探していると、テナントに入ってきた職人らしき女性。

 

そのヘファイストス・ファミリアの職人らしき女性が何故か此方に近付いてくる。

 

眼帯をしており、和装の服を着た褐色肌で黒髪の女性が此方に近付いてくるなり「お主が背負ったその得物、手前に見せてくれんか」と俺に言ってきた。

 

どうやら職人らしき女性の目当ては、俺が背負っている長剣であるらしい。

 

粗雑な扱いは全くしていないので見せることに抵抗はないが、何故俺が背負った長剣に興味を持ったのかは知りたいところだ。

 

鞘から引き抜いた長剣を職人らしき女性に手渡してみると「剣の手入れはしっかりとされておるようで、丁寧に使われておるが、この長剣はそれなりに古い物のようであるな」と言い当てた職人らしき女性。

 

「それでも長く長く使えるように丈夫に作られておるようだ。腕の良い職人が作った長剣だと言えるのは間違いない。うむ、これは良い剣だ。職人として良き物を見せてもらった」

 

満足気な職人らしき女性が長剣を返してきたので、背負っている鞘に長剣を戻して納めておく。

 

「それで、お主は何か悩んでおるようだが、手前に手伝えることはないか?」

 

長剣を見終わっても帰ることがなかった職人らしき女性が、そんなことを聞いてきた。

 

「中層に行きたいんだが、パーティを組むにも、組めるような知り合いがいなくてな」

 

誰かに話してみるのも悪くはないと思って俺が悩んでいたことを話してみると、ニヤリと笑った職人らしき女性。

 

「では、良い剣を見せてもらった礼として、手前がお主とパーティを組むのはどうだ」

 

そう言い放った職人らしき女性が冗談ではなく本気で言っていることは間違いないようだ。

 

「出会ったばかりで名前も知らない相手とパーティを組むのは、どうなんだろうな」

 

「ヘファイストス・ファミリアに所属している手前の名は、椿・コルブランドだ。これで名前の知らない相手ではあるまい」

 

椿・コルブランドという名前には聞き覚えがあるが、確かヘファイストス・ファミリアの団長の名前だった筈だ。

 

職人らしき女性の正体は、ヘファイストス・ファミリアの団長だったらしい。

 

「名乗られたからには、此方も名前を言った方が良いか。俺は、ゲド・ライッシュ、ミアハ・ファミリアの冒険者だ」

 

「ふむ、ということはお主がLv2へのランクアップの最速記録を叩き出したカオスエッジか。Lv2でも歯が立たん強化種のインファントドラゴン3頭を女冒険者を守りながら倒したとも噂されておったな」

 

「ちなみにその情報は何処から流れたんだ?」

 

「お主に助けられたらしい女冒険者が言っておったそうだぞ」

 

「そういえば口止めするのを忘れてたな」

 

まあ、黙っているように言い忘れていた俺が悪いと思っておくことにしよう。

 

「それで、お主は手前とパーティを組む気になったか」

 

「此方としては助かるが、良いのか?ヘファイストス・ファミリアの団長が、Lv2の冒険者とパーティを組んで」

 

「構わん構わん、大手のファミリアの遠征に付き合うことも、客からの注文も無いのでな。手前は暇しておるのだ。パーティを組んでも問題はない」

 

快活に笑いながら言った椿・コルブランドは、俺とパーティを組むことに乗り気だった。

 

中層に向かうとしても戦力的には過剰な程に強力なパーティメンバーが見つかってしまったが、これも発展アビリティの幸運に後押しされた俺の運ということになるのかもしれない。

 

悪い相手ではないような気はするので、椿・コルブランドとパーティを組むことにしようか。

 

「よろしく頼む、椿」

 

握手をする為に椿・コルブランドに俺が手を差し出すと、笑顔で手を握った椿・コルブランド。

 

「うむ、よろしく頼むぞ、ゲド」

 

握手をした椿・コルブランドの手は、まさに職人の手をしていたので、そのことを褒め称えておくと喜んでいる様子だったな。

 

これから必要になるであろうサラマンダー・ウールを2人分購入して、ギルドの担当アドバイザーの人にパーティメンバーが見つかったことを伝えておく。

 

そのパーティメンバーが、ヘファイストス・ファミリアの団長である椿・コルブランドであると知ったギルドの担当アドバイザーの人は、何故か遠い目をしていたような気がした。

 

「やっぱりきみはそういう感じなんだね」と言っていた担当アドバイザーの人は、達観したかのような顔で「もう中層に行っても問題ないよ」と俺に言う。

 

中層に向かう準備は万端で、パーティメンバーも遥かに格上のLv5であり、今すぐ中層に行っても何も問題は無さそうだ。

 

という訳で翌日、待ち合わせをしていた場所で椿と合流し、一緒にダンジョンへと向かうと余裕で上層を越えて、中層の入り口にまで進む。

 

「リトルフィート」で小さくしておいたサラマンダー・ウールを元の大きさに戻して椿にも渡しておき、互いにサラマンダー・ウールを羽織った状態で中層の入り口から、中層へと向かっていった。

 

ダンジョンの13階層から出現するヘルハウンドの火炎攻撃は、並みの防具なら溶かしてしまう程に強力であるらしい。

 

だからこそサラマンダー・ウールが必要になるが、火炎攻撃を行わせる前に倒してしまうことができるなら、そちらの方が良いことは確かだ。

 

さっそく現れたヘルハウンドの群れに、力強く地を蹴って素早く突っ込んでいき、ヘルハウンド達に何もさせないように手早く長剣で首を斬り落としていった。

 

もう1つ現れたヘルハウンドの群れは椿が対処してくれたようで、瞬く間にヘルハウンドが切り裂かれて倒されていくのは、流石はLv5だと言える動きなのは間違いない。

 

ヘルハウンドから魔石とドロップアイテムを回収し、鞄にしまって更に先へと進んでいく。

 

現れたアルミラージが投げつけてきた天然武器の斧を避けながら、接近し、無駄に長剣を消耗させることなく、横に振るった長剣でアルミラージの首を斬り落とした。

 

此方の動きを見ていた椿は感心した様子であり、何故か満足気に頷いている。

 

「何で頷いてるんだ?」

 

とりあえず頷いていた理由が気になったので、俺は椿に聞いてみることにした。

 

「力任せに振るうのではなく、技と力を組み合わせて見事に長剣を扱っていたゲドの技量を見ていると、鍜冶師として嬉しくなってしまってな。手前が作った訳ではないが、それでも剣を大切に扱っている剣士を見ると、思わず頷いてしまっていた」

 

そう答えて笑った椿は、鍜冶師としての目で、俺の動きを見ていたようだ。

 

ヘファイストス・ファミリアの団長に、そこまで評価してもらえたのなら、俺の剣の扱いは悪くはないのだろう。

 

それはとても嬉しいことだったが、ダンジョンでは喜んでいる暇はない。

 

現れたモンスターを相手に長剣を振るっていき、倒しながら魔石とドロップアイテムを回収すると、先へと進んだ。

 

ミノタウロスの群れが現れたところで、Lv2になった俺にはたいした相手ではなく問題なく倒すことができた。

 

倒したミノタウロスから魔石を回収して、ドロップアイテムであるミノタウロスの角達も鞄に入れておく。

 

「それだけの角があるなら充分であるな。ダンジョンを出たら、手前がミノタウロスの角で剣を1本打ってやろう。パーティを組んだよしみで格安にしておくぞ」

 

「払える金額にしておいてくれ」

 

「うむ、任せておけ」

 

楽しげに笑っていた椿は、背中を安心して任せられる良いパーティメンバーだった。

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