転生したらゲド・ライッシュだった   作:色々残念

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思いついたので更新します


第32話、新しい武器

椿に武器の作成を頼んでから数日後、ミアハ・ファミリアのホームにまでやって来た椿は、布で包んだ武器を幾つか抱えていた。

 

「完成したぞ!」

 

輝くような笑顔で布で包まれた武器を此方に差し出してきた椿。

 

とりあえず椿に「ありがとう」と感謝をして武器を受け取り、布を外していくと武器の数々が露になる。

 

まず最初に俺が手に取ってみたのは鞘に納まった短剣。

 

鞘から短剣を引き抜いて刃を見てみると刃の色が黒1色であったので、この短剣の素材にウダイオスの黒剣が使われているのは間違いない。

 

今回椿が作成した武器には、素材となったモンスターのドロップアイテムの色が、そのまま残っているみたいだ。

 

試しに短剣を軽く振るって使い心地を確かめていた俺に、椿が短剣の名前を教えてくれた。

 

「その短剣には「黒頭」という名を付けてある」

 

「黒頭」という短剣の名前を確りと覚えておき、鞘に「黒頭」を納めておく。

 

「お主の手に合わせて作った「黒頭」を振るってみて、どう思ったかを聞かせてほしい」

 

「この「黒頭」が大剣を振るいにくい狭い場所での戦いに役立つのは間違いないと思った」

 

「確かに短剣である「黒頭」なら狭い場所でも問題なく振るえるのは確実であるな」

 

「それに「黒頭」なら深層で魔石をモンスターから抜き取る時にも使えそうだ」

 

「ウダイオスの白剣程ではないが、質の良い素材であるウダイオスの黒剣を素材に使って手前が作った「黒頭」ならば、深層のモンスターの外皮を貫くことは可能であるぞ」

 

「充分に戦闘に使えて、持ち運びやすい「黒頭」を常に持ち歩いておくのも悪くはないかもしれないな」

 

一旦会話を終わらせて次に俺が手に取ってみるのは、大振りな刃がついている片刃の斧。

 

片刃の刃だけが黒い色をしていたが、刃はウダイオスの黒剣を素材に作られていて、斧の柄はオリハルコンで作られているようだ。

 

黒い刃と金属の柄が見事に組み合わされていた片刃の斧は、実際に振るってみると、かなり扱いやすい斧であった。

 

この斧が俺の身体に合わせて作られていることは確かだ。

 

「その斧には「黒金」と名付けてある」

 

斧を振るう俺に椿が、斧の名前を教えてくれる。

 

この斧の名前は「黒金」というらしい。

 

「オリハルコンとウダイオスの黒剣という2つの素材を組み合わせるのに手前でも少々手間取ったが、中々の品に仕上がったぞ」

 

誇らしげに胸を張りながらそう言った椿にとって「黒金」は自信作なのだろう。

 

「確かにこの「黒金」は良い斧だ。こんなに良い斧を作ってくれた椿の鍛冶師としての腕は、とても素晴らしいものだと俺は思う」

 

嘘偽りを言うことなく正直な感想を言っておくと、椿は物凄く嬉しそうにしている。

 

「うむ、手前の作った「黒金」を見事に扱うお主がそう言ってくれるなら手前も嬉しく思うぞ」

 

笑顔になっていた椿は、自らが作った作品を褒められて喜んでいたようだ。

 

「そろそろこの「黒金」以外の武器を見てみても構わないか」

 

手に持っていた「黒金」を軽く掲げて聞いてみると頷いた椿。

 

「ああ、構わんぞ。持ってきた武器は全部、お主の物なのでな」

 

作成者の椿が見守る中で、鞘に納まった「黒頭」の隣に「黒金」を置いておき、気になっていた脇差を手に取ってみた。

 

脇差の柄を握ると、手に吸い付くような握り心地がして、凄まじい一体感がある。

 

鞘から脇差の刃を引き抜いてみると、刃の色は黒い色をしていたが「黒頭」や「黒金」とはまた違う黒だった。

 

ウダイオスの黒剣よりも質が良い素材を使われているこの脇差には、漆黒のスパルトイが持っていた黒い骨剣が使われているのは間違いないだろう。

 

「白断」と打ち合って刃こぼれすることもなかった黒い骨剣は、かなりの強度があった。

 

その黒い骨剣を素材として作られた脇差に凄まじい強度があることは確実だ。

 

椿によって新たな武器として生まれ変わったことで、強度だけではなく、鋭い刃を持つ黒い脇差。

 

以前握った鉄製の脇差とは比べ物にならない程に手になじんでいた黒い脇差を振るってみると、まるで最初から身体の一部であったかのように、黒い脇差を自在に操ることが可能だった。

 

「その脇差の名は「骨喰」と決めてあるぞ」

 

椿が言うには、この黒い脇差は「骨喰」というようである。

 

「骨喰」という名は前世の日本に存在していた刀の名前でもあったが、そんな偶然もあるということなのかもしれない。

 

「それにしても、脇差を握ったのが2度目だとは思えんような動きをしておるな」

 

「骨喰」を振るっている俺を観察しながら言った椿は、とんでもないものを見るかのような目で俺を見ていた。

 

脇差である「骨喰」を握った俺の動きは、完全に初心者の動きではなく、使い慣れた熟練者すらも上回るものだったらしい。

 

まるで「骨喰」と一体化しているかのように自然に「骨喰」を振るう俺の動きには一切の無駄がなく、最適な動作で刃を動かしているように見えたようだ。

 

しばらく俺が「骨喰」を振るっていると椿が用意していたのは、試し斬り用らしき金属の棒。

 

金属の棒は表面を黒い塗料で塗られていて、どんな金属であるかはわからなくなっているようだ。

 

「それを試しに斬ってみてくれんか」

 

椿にそう言われて、俺は試し斬り用の金属製の棒の前に立つ。

 

「骨喰」を構えた状態で行うのは自然と身体が覚えていた重心移動であり、平行四辺形をつぶすような動きで繰り出すのは、相手に自らの体重を乗せて引き斬る斬撃。

 

腕の力だけではなく体重すらも利用した技術を使った一撃は、金属製の棒を容易く断ち斬っていく。

 

袈裟斬りに斬り裂かれて、斜めに断ち斬られた黒塗りの金属製の棒が床に転がった。

 

断たれた断面から見える金属の内側を見ると、見覚えがある金属であることは確かだ。

 

「斬れるとは思っていたが、手前が鍛えたオリハルコン製の棒を、いとも容易く斬るとは驚いたぞ」

 

斬られている金属製の棒の断面を見ながら言った椿は、金属の正体を明かす。

 

金属の正体がオリハルコンであったのなら、見覚えがある金属だと思ったのは間違いではなかった。

 

「やっぱりオリハルコンだったのかあの棒。試し斬りに用意するには、オリハルコンは強度と値段が高いと思うんだが」

 

「ちょうど仕入れたオリハルコンがそれなりに余っていたのでな。お主の試し斬り用に使っても問題はないだろう」

 

ヘファイストス・ファミリアの団長である椿にとっては、余っていたオリハルコンを有効活用しただけなのかもしれない。

 

椿が鍛えたオリハルコンを断ち斬れるなら、深層のモンスターを相手にしても「骨喰」の刃が通らないということはない筈だ。

 

「この「骨喰」の強度と鋭さを確かめることが出来たのは、悪いことじゃないか」

 

「オリハルコンを容易く断ち斬れたのは、お主の剣の腕もあってのことだと思うがな。見事な剣術であったぞ」

 

椿から見ても、オリハルコンを容易く断ち斬った俺の動きは見事であったらしい。

 

脇差を握ると、自然と自らの身体の一部だと思えるようになって、自在に扱うことが出来る。

 

新しい武器の中で、最も適性が高いのは脇差であるようだ。

 

椿が持ってきた新しい武器は「黒頭」と「黒金」に「骨喰」で終わりで、合計で3つの武器となる。

 

専属鍛冶師の椿が作った武器であろうとも料金は、しっかりと支払わなければいけない。

 

3つの武器の合計で1億ヴァリスを支払うことになったが、それだけの価値がある武器なのは確かだろう。

 

ダンジョンやフレイヤ・ファミリアで稼いでいるので1億ヴァリスを支払っても問題はない。

 

1億ヴァリスを椿に支払っておくと、大量のヴァリスを運ぶのが大変そうだった椿。

 

ヴァリスを運ぶのを手伝っておき椿と一緒に運んでおくと、女神ヘファイストスと初めて会うことになった。

 

流石に1億ヴァリスという高額な報酬を支払われた時は、椿もヘファイストス・ファミリアの団長として主神に話を通しにいくらしい。

 

「これからは、珍しいドロップアイテムを見つけたら椿だけじゃなくて私にも見せてくれると嬉しいわ」

 

そう言っていた女神ヘファイストスは素材を求める鍛冶師の眼をしていた。

 

俺が珍しいドロップアイテムを入手することが多いと椿から話を聞いて、女神ヘファイストスは興味を持ったのだろう。

 

「構いませんよ女神ヘファイストス、珍しいドロップアイテムを見つけたら貴女の前に持ってくることを約束しましょう」

 

見せるだけなら問題はないと判断した俺は、珍しいドロップアイテムを発見したら女神ヘファイストスに見せることを約束する。

 

専属鍛冶師となっている椿だけではなく自分も珍しいドロップアイテムを見ることができると女神ヘファイストスは物凄く喜んでいたみたいだ。

 

それからはミアハ・ファミリアでポーションを作っては接客して、フレイヤ・ファミリアで女神フレイヤに料理を作りに行く日々を過ごしていくことになる。

 

いつも通りの日常を過ごしながらも俺は空いている時間を使い、新しい武器の数々を装備してダンジョンへと向かった。

 

背負った「黒金」と腰に装備した「骨喰」に「黒頭」の鞘。

 

新しい武器でも問題なく戦えるかどうかを確かめる為に深層へと向かう。

 

深層へと向かう道中で出会うモンスターでは相手にならず、短剣である「黒頭」だけで容易く倒すことが可能だった。

 

強化種を生み出すことがないようにモンスターの魔石を砕いて倒しながら先へと進み、ようやく到着した深層。

 

目的地であるコロシアムへと歩みを進めると、襲いかかってくる深層のモンスター達。

 

俺が素早く振るった「黒金」で頭部を断ち斬られたモンスター達は、もう動くことはない。

 

深層のモンスター達の魔石を「黒頭」を使って抜き取ってから袋に詰めて、リトルフィートで小さくして鞄にしまうと、コロシアムへと足を踏み入れていく。

 

強化種が無限に生成されていく危険な場所であるコロシアムは、侵入者が居ない限りは常にモンスター達が絶えず争っている場所でもあるようだ。

 

そして侵入者が現れた瞬間、争っていたモンスター達は、狙う標的を侵入者へと変える。

 

強化種と化したモンスター達が襲いかかってきた瞬間、腰の鞘から脇差である「骨喰」を居合抜きのように瞬時に抜刀してモンスター達を斬り裂いた。

 

そのまま納刀することなく「骨喰」でモンスター達を斬り裂きながら進んでいると毛皮が赤く染まっているルー・ガルーが石刃を片手に此方に近付く。

 

此方の振るう「骨喰」を石刃で受け止めようとしたルー・ガルーの強化種。

 

しかし石刃で止められる「骨喰」ではなく、半ばから斬り裂かれた石刃ごとルー・ガルーの首が飛ぶ。

 

俺は軽く「骨喰」を振るい付着していた血を落とすと、現れる新たなモンスターを相手に「骨喰」を構えた。

 

今度は強化種のペルーダが襲いかかってくるが、射出された毒針を「骨喰」で斬り払いながら接近すると、口から火炎を放射してくるペルーダ。

 

素早く横に跳躍して、放射された火炎を避けて再び間合いを詰めると、ペルーダの頭部を「骨喰」で両断。

 

何も出来なくなったペルーダの死体の影から飛び出してきた強化種のバーバリアンには、眉間に突きを叩き込んで始末。

 

続けて現れる強化種のスパルトイの骨槍の穂先を「骨喰」で逸らして、返す刃でスパルトイの骨の首を斬り落とす。

 

「骨喰」を鞘に納めて、倒したモンスター達から魔石を抜き取っていると、再び現れたモンスター達。

 

今度は背負っていた「黒金」を構えて、モンスター達の相手をしていくことにした。

 

俺が完全に新しい武器達に慣れるまで、コロシアムのモンスター達には付き合ってもらうとしよう。

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