転生したらゲド・ライッシュだった   作:色々残念

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思いついたので更新します


第36話、特殊火遁術

久しぶりにステイタスを更新してもらう為に神ミアハの自室まで向かった俺は、上半身の服を脱いで神ミアハに背中を見せる。

 

針を指に刺し、自身の指から少量の神血を出した神ミアハが、神血を俺の背中に垂らした。

 

神ミアハは神血を媒介に俺の背中に刻まれた神聖文字を塗り替えて付け足していき、成し遂げたことの質と量の値である経験値をステイタスに反映させていく。

 

ステイタスの更新が終わり、俺の背中の神聖文字を確認していた神ミアハ。

 

俺のステイタスの確認が終わったところで、神ミアハが魔道具のペンと白紙の紙を取り出して俺のステイタスを紙に書き写す。

 

滑らかに紙の上で動いていたペンは俺が以前作った魔道具であり、ボールペンのようにスラスラと書ける扱いやすいペンだ。

 

自分用とナァーザ用に神ミアハ用の3本しかない魔道具のペンは、特に量産は考えていない。

 

更新されたステイタスを紙に書き写して渡してくれた神ミアハに感謝して、俺は紙に書かれたステイタスを見た。

 

Lv6

 力:I0→E428

耐久:I0→F346

器用:I0→C652

敏捷:I0→D514

魔力:I0→C697

 

 幸運:A

耐異常:B

 神秘:A

 精癒:D→C

 格闘:I→G

 

《魔法》

 

【リトルフィート】速攻縮小魔法

 

【スティール】速攻窃盗魔法

 

【ムードメーカー】詠唱変化魔法

 

詠唱前半

 

「心理之王、御調子者、調子者」

 

詠唱後半

 

「箒星よ、歩みを速めよ」思考加速

 

「道化の星よ、運命を変える奇跡をここに」運命改変

 

「恒温の星よ、その熱を燃やせ」不測操作

 

「流れる星よ、空を開け」空間操作

 

「眩い星よ、重なりあえ」多重結界

 

《スキル》

 

【龍の手】

・あらゆるものを倍加する

 

【創薬師】

・薬品作成時、発展アビリティ創薬と薬師の一時発現

・作成した薬品の品質向上

 

【竜鱗鎧化】

・体表に魔素を吸収して自己修復する装甲を形成する

・耐久に応じて強度上昇

 

【断ち切る力】

・周囲の空間を断ち切る

・攻撃には使用できない

 

【竜撃会心】

・弱点となる部位に攻撃が当たった時、特大ダメージを与える

 

【射手の嗜み】

・遠距離武器装備時、発展アビリティ狙撃と千里眼の一時発現

・遠距離武器の攻撃力増大

 

【戦場の支配者】

・反応速度上昇

 

【特殊火遁術】

・触れた対象を内側から熱する

・発動中と発動後、一定時間熱無効

 

どうやら俺には新しいスキルが発現していたようだ。

 

「特殊火遁術」と書いて「カトン・ジツ」と読むスキルであるようで、ジュツじゃなくてジツなのはニンジャスレイヤーみたいだなと思わなくもない。

 

触れた対象を内側から熱する「特殊火遁術」だが、熱する温度は自在に選べるので、金属製のヤカンに水を入れてから触れて「特殊火遁術」を使えば、直ぐに水をお湯に変えることができた。

 

火を使わなくても直ぐにお湯を沸かせるのは、とても便利だ。

 

生活に役立つだけではなく攻撃にも使用可能な「特殊火遁術」は、触れた対象を内側から凄まじい高温で熱する攻撃用スキルとしても使えるだろう。

 

「特殊火遁術」のスキルを用いれば通常の鉄ならいとも容易く、そしてダンジョン産の金属であろうと内側から熱して溶かすことも不可能ではない。

 

そこまでの高温で熱することが可能でありながら、スキル発動中と発動後まで一定時間の間は熱を無効にすることもできるので、充分気をつければ熱で火傷をすることはないだろう。

 

とりあえず「特殊火遁術」を使いこなす為にダンジョンに潜った俺は、ダンジョンのモンスターを相手に「特殊火遁術」を発動した。

 

まるで体内からマグマが湧き出たかのように、内側からの熱で発火したモンスター達は直ぐに動かなくなる。

 

凄まじい熱で魔石やドロップアイテムも駄目にしてしまうので、モンスターを倒すことだけしかできないが、この「特殊火遁術」は武器が無くても使えるスキルであることは確かだ。

 

しかし「特殊火遁術」を発動する為には相手に触れる必要があるので、攻撃を避けながら相手に接近して手で触れる為の立ち回りを新たに学ばなければいけない。

 

上層、中層、下層のモンスターが相手なら簡単に触れることができるが、深層の強化種や黒い異常個体が相手なら、そう簡単には触れられないかもしれないからだ。

 

それでも深層で幾度も幾度も戦いを繰り返していくと、深層の様々なモンスターであろうと触れて熱することが可能になる。

 

「特殊火遁術」を使い慣れてきたところで、深層のコロシアムに向かうと様々な強化種が襲いかかってきたが、問題なく熱して倒す。

 

数十体以上のモンスターを倒したところで、デュアルポーションとエナジーポーションを飲んでいると、黒いルー・ガルーが現れた。

 

漆黒のルー・ガルーが持っている石刃も、まるで黒曜石のように黒く鋭い。

 

黒い石刃を構えた漆黒のルー・ガルーが姿勢を低くした状態で、疾走。

 

人型で狼頭の黒い獣が、獣の動きで急速に接近してこようと、俺は微動だにすることなく待つ。

 

逆手で下方からそれなりの速度で斬り上げられた黒い石刃を避けて、逆に此方から間合いを詰めると黒いルー・ガルーの腹部に触れた。

 

「特殊火遁術」をいつでも使うことはできるが、通常の個体よりも強力な黒いモンスターが相手であるなら、素手で行う戦いの良い鍛練になりそうなので、これから合計で後9回触れるまでは「特殊火遁術」を使うつもりはない。

 

一旦此方から離れた漆黒のルー・ガルーは、雄叫びを上げながら再び襲いかかってくる。

 

黒い石刃を真正面から振り下ろすルー・ガルーの攻撃を半身になって回避して、力強く踏み込むと今度は漆黒のルー・ガルーの胸部に触れた。

 

これで後は、8回。

 

横薙ぎに黒い石刃を振り払う漆黒のルー・ガルーの連撃を、後方に跳躍して避けていく。

 

黒い石刃で突きを放ってきた漆黒のルー・ガルーの一撃を、高く跳躍してルー・ガルー自体を飛び越えて回避すると同時に身体を反転させて、ルー・ガルーの頭部に触れておいた。

 

後は、7回。

 

漆黒のルー・ガルーが此方の首を斬り落とそうと横に振るった黒い石刃を瞬時にしゃがんで避けると、俺の頭上を通過していった石刃。

 

そのまましゃがんだ状態から飛び上がるように跳躍して、漆黒のルー・ガルーに接近すると再び腹部に触れる。

 

これで次は、6回。

 

両手で握った黒い石刃を十字を描くように振るう漆黒のルー・ガルーの斬撃。

 

黒い石刃が縦に振るわれた時は横に移動して回避して、石刃が横に振るわれた時は下から潜り抜けて避けて近付いていく。

 

描かれた斬撃の十字に触れることなく漆黒のルー・ガルーに近付いた俺は、今度はルー・ガルーの脇腹に触れてみた。

 

今回で合計5回は触れたので後は同じく、5回。

 

前方を連続で斬り裂くように素早く回転しながら黒い石刃を繰り返し振るう漆黒のルー・ガルーだったが、後方に跳んで回避した此方に当たることはなく、空だけを斬る石刃。

 

俺が跳んで避けたことで距離が離れたことを確認した漆黒のルー・ガルーは、此方に飛びかかりながら大胆に黒い石刃を振り下ろしてきた。

 

漆黒のルー・ガルーが振り下ろした黒い石刃は囮であり、本命は空いている片手による爪撃であることは間違いない。

 

此方が黒い石刃を回避したところで爪撃を繰り出す漆黒のルー・ガルーの腕。

 

近付いてくる漆黒のルー・ガルーの腕を素早く蹴り上げて、爪撃を防いだ後、ルー・ガルーと距離を詰めると手早く胸部に触れた。

 

これで後少しになって残りは、4回。

 

漆黒のルー・ガルーが黒い石刃で繰り出した袈裟斬りを、素早くルー・ガルーの後方に回り込むことで回避した俺は、ルー・ガルーの背中に触れる。

 

残りは僅かで、3回。

 

手数が足りないと判断したのか、地面に落ちていたスパルトイの骨剣を手にした漆黒のルー・ガルーは、2刀流で襲いかかってきた。

 

縦横無尽に振るわれ続ける骨剣と黒い石刃は、まるで斬撃の嵐のようだ。

 

巧みな2刀流で斬撃を繰り出す漆黒のルー・ガルーは、攻め手を止めることはない。

 

繰り出されていく斬撃の数々は、徐々に鋭さを増していく。

 

振るわれる骨剣と黒い石刃を全て視認して避け続けていると、漆黒のルー・ガルーは蹴りまで繰り出してきた。

 

放たれた素早い蹴りに同じく蹴りを合わせておき、打つかりあった互いの蹴り足。

 

蹴り足が大きく弾かれたのは漆黒のルー・ガルーの方で、明らかに体勢が崩れており、大きな隙ができている。

 

この間に漆黒のルー・ガルーに接近して、此方が腹部に触れようとしたところで放たれそうになった骨剣による斬撃。

 

その斬撃が形になる前に腕を掴んで止めた俺は、空いている片手で漆黒のルー・ガルーの腹部に、今度こそ触れた。

 

後は残り少ない、2回。

 

俺に片腕を掴まれた漆黒のルー・ガルーが、もう片方の腕に握っている黒い石刃を此方に向かって振り下ろしてくる。

 

腕を離して、此方が距離を取ると接近してきた漆黒のルー・ガルーは、1歩も退くことはない。

 

此方が下がれば、それだけ前に出て距離を詰めてくる漆黒のルー・ガルーは、至近距離で骨剣と黒い石刃を振るおうとした。

 

俺は突き出すような中段蹴りを放ち、漆黒のルー・ガルーを吹き飛ばして強制的に距離を取らせる。

 

それでも前に出て近付いてきた漆黒のルー・ガルーの腕を掴むと、背負い投げて頭からダンジョンの地面に叩きつけた。

 

勢いよく頭から地面に叩きつけられたことで、地面に頭が突き刺さっていた漆黒のルー・ガルーの背中に触れておく。

 

これで残るは最後の1回。

 

ダンジョンの地面から頭を引き抜いた漆黒のルー・ガルーは、頭を左右に振るうと、此方を睨み付けてきた。

 

そして一際大きな雄叫びを上げると此方に突撃してきて、骨剣と黒い石刃を同時に振るい、斜め十字を描くように刃を動かす。

 

刃で描かれた斜め十字を瞬時に後方に下がることで回避していると、漆黒のルー・ガルーは次の斬撃を放とうとしていた。

 

斬撃に勢いが乗る前に此方から接近して、漆黒のルー・ガルーの両腕を掴んで止めると、下から掬い上げるような蹴りを繰り出し、ルー・ガルーの下顎を蹴り上げて強引に上を向かせてやる。

 

上を向いた漆黒のルー・ガルーが此方を見るよりも速く動いた俺の手が、ルー・ガルーの胸部に触れていた。

 

これで最後の1回も終わったので、漆黒のルー・ガルーには、もう用はない。

 

胸部に触れた状態で発動した「特殊火遁術」は漆黒のルー・ガルーを内部から熱し、瞬時に高温にまで到達した熱は、ルー・ガルーを内部から焼き尽くす。

 

熱で完全に胸部にある魔石も破壊された漆黒のルー・ガルーが消滅し、残したものは黒い黒曜石のような石刃だけだった。

 

黒い石刃は天然武器であるようだったが、強度は並みの武器よりも高そうだ。

 

この黒い石刃は持ち帰って椿に見てもらうとしよう。

 

という訳で、リトルフィートで小さくした黒い石刃を鞄に入れてダンジョンから持ち帰り、椿の工房まで向かうことにした。

 

到着した椿の工房では、ちょうど椿が鍛冶仕事をしている真っ最中であり、どうやら武器の試作をしているらしい。

 

そんな椿に話しかけてみると、此方に気付いた椿が笑う。

 

「おおっ、ゲドではないか、元気にしておったか」

 

「椿は、今日も元気そうだな」

 

「うむ、手前は今日も元気だぞ」

 

「実は椿に見てもらいたい物があってな」

 

「ほほう、手前に見てもらいたい物とな」

 

「これなんだが」

 

鞄から取り出して元の大きさに戻した黒い石刃を椿に見せてみると物凄い勢いで近付いてきた椿。

 

「これは、天然武器のようだが、強度は並みの武器以上であるな」

 

黒い石刃に軽く触れただけで強度まで理解していた椿は、流石はヘファイストス・ファミリアの団長だと言えるだろう。

 

「いつも椿には世話になってるから、この黒い石刃は椿へのプレゼントってことにしとくよ。好きに使ってくれ」

 

「良いのか、それはとても嬉しいぞ。これはもう感謝の抱擁をするしかないのう」

 

「喜んでくれて此方も嬉しいが、抱擁は照れるから止めてくれないか。椿は美人だから、しばらくドキドキが止まらなくなりそうだ」

 

「ほほう、それはそれは良いこと聞いた。これはなんとしてもお主に抱擁をしなければならぬな」

 

両腕を広げて、じりじりと此方へにじりよってくる椿は、楽しげに笑っている。

 

「どうしてそうなった!」

 

「そう照れるな、天井のシミを数えている間に終わるから安心するがよい」

 

にっこりと笑いながらそう言ってきた椿は、どうやら強引にでも俺を抱擁するつもりみたいだ。

 

「欠片も安心出来ないが!」

 

その後、飛びかかってきた椿から何とか逃げ切った俺は、しばらく椿の工房に向かうのは止めておこうと判断して、工房に近付くことを止めておいた。

 

次に椿に会ったら、出会い頭に抱き締められそうな予感がしたからだな。

 

きっとこの予感は、間違ってはいないだろう。




特殊カトン・ジツ
出典、ニンジャスレイヤーフロムアニメイシヨン、敵のニンジャのプロミネンス
触れたものを内部から強烈に熱して致命傷を与える特殊なカトン・ジツ
その使い手であるプロミネンスは発熱機構を指先にサイバネ移植したソウカイ・ニンジャ
敵の身体を内側から熱で破壊する残虐なジツの持ち主
ニンジャスレイヤーでは、ジュツではなくジツと表記されている
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