アースメイカーで生成できる魔法の土を使うことで、ポーションの原料となる薬草を急速に成長させることが可能になった。
プランターに埋めた種から数日で立派に生い茂る薬草になる姿を見ていたナァーザは驚きながらも喜んでいたな。
「もっと薬草育てるプランターを増やしてくれないかな」
そうナァーザに頼まれたので薬草を育てるプランターを増やしてみると、ミアハ・ファミリアのホームの店舗で売り出すポーションを作る為に大量に薬草を使用しても、それなりに薬草が余る。
余った薬草をどうしようかと考えて、思いついたのはポーションの研究に使ってみることだった。
液体であることが当然のポーションを固体に変えてみても回復効果は残るかを実際に確かめてみる為に、まずはポーションを凍らせててみる。
ポーションを凍らせる為に使ったのは、液体を凍結させることが可能な魔道具であるが、新しく作ったこの魔道具は他にも使い道がありそうだ。
液体を凍らせる魔道具の使い道を考えるのは今度にして、今はポーションの研究を優先するとしよう。
凍結されて氷になっているポーションに回復効果があるか確認する為に、氷になっているポーションを食べてみる。
凍っているポーションを噛み砕いて飲み込んでみると、液体のポーションよりも回復効果が発揮されるまで少し時間が必要になったが回復効果自体は、凍結されたポーションにもしっかりと残っていたらしい。
凍っていてもポーションには回復効果が残ると確かめることができた。
次はポーションを氷とは別の固体に変えてみるとするか。
液体を凍結させる魔道具とは別の魔道具を使い、ポーションを固めて固体にしていく。
まるで寒天で固められたかのように、固体へと姿を変えたポーション。
以前この魔道具で水を固めて食べてみたが、身体に害は無かったので食べても問題はない。
液体を寒天で固めたような固体に変える魔道具を使えば、寒天が無くても羊羮を作れるかもしれないが、それはまた別の機会に試すとしよう。
固体となったポーションを食べてみると、舌触りは羊羮のようだったが味はポーションのままであり、とても不思議な感じがした。
羊羮のような固体になっていたポーションは、胃で消化されるまで回復効果が発揮されることはなく、直ぐに回復効果が必要な時には適していないようだ。
それでも回復効果自体は失われていないので、ポーションとして全く使えない訳ではない。
次はポーションで飴を作ってみることにして、作成した飴。
ポーションを使った飴を実際に口の中に入れて舐めてみると、微量の回復効果が発揮される。
飴になったポーションは、舐める度に少しずつ回復していくというものになっていたが、舐めるだけでは回復効果が微量過ぎて使い物にならなかった。
ポーション飴を噛み砕いて飲み込むと、少しはましな回復効果が発揮されたが、それでも少量の回復効果だったのは間違いない。
飴にしたポーションは、あまり使い物にならないと思っておいた方がいいだろう。
ポーションを完全な固体にする研究は、この程度にしておいて、次はポーションをまた別の形状に変えてみる。
身体にかけても効果があるポーションなら、塗っても効果があるのではないかと思い、ジェル状の塗り薬にしたポーションを作成してみた。
効果があるか確かめる為の実験台になるのは俺自身であり、消毒した短剣である「黒頭」で腕に軽く傷をつけてから、ジェル状の塗り薬のポーションを傷口に塗り込んでいくと、痛みが和らぎ腕の傷は跡形も無く消えていく。
ジェル状にした塗り薬のポーションにも回復効果は確かに残っているようで、傷を癒すことは充分に可能であるらしい。
それからはポーションを様々な形に変えて、回復効果が残るか確かめる実験を繰り返す。
2日間で、ポーションの形を変える実験は、大体終わったので、次はポーションを濃縮して更に回復効果を高めることができるかを確かめる研究を始めてみた。
ポーションの濃縮は順調に進んだが、問題となるのはポーションの味になる。
濃縮し過ぎると濃すぎて飲めないということになるようで、まともな味覚を持つものには飲めない味となっている濃縮し過ぎたポーション。
身体にかける用にすれば問題はないのかもしれないが、ポーションは飲んだ方が効果があるのは確かだ。
飲める程度に濃縮を調整していけば、濃縮したポーションも飲むことができるだろう。
試行錯誤を繰り返し、なんとか完成した濃縮ポーションは、並みのハイポーションを越える回復効果を持つ。
通常のポーションに使うよりも材料を多く使うが、ポーション用の材料だけを使ってハイポーションよりも上の回復効果がある濃縮ポーション。
その濃縮ポーションの味は、濃いめのスポーツドリンクといったところだ。
なんとか飲める味にはなったので、これで問題なく濃縮ポーションを飲んで使うことができる。
ポーションの研究に合計で1週間使ってしまったが、研究の合間にもミアハ・ファミリアのホームの店舗で接客をしたり、フレイヤ・ファミリアのホームで料理を作ったりもしていたので、とても忙しかった。
それでも実用的な濃縮ポーションが完成したので、無駄な時間では無かった筈だ。
飲めそうにない濃縮し過ぎたポーションでも霧吹きに入れて、傷口に霧状にしたポーションを吹き付けるように使えば、問題なく役立つだろう。
大きめの霧吹きに濃縮し過ぎたポーションを大量に入れて、他の各種ポーションと一緒にリトルフィートで小さくすると鞄にしまっておく。
「ペルーダコート」を着用し、首に「ペルーダマフラー」を巻き付けて、腰にベルトを装着すると最初に「黒頭」をベルトに装備。
次に「骨喰」の鞘をベルトに固定して、瞬時に「骨喰」を鞘から引き抜きやすいかを確認し、最後に持っていく武器を選ぶ。
少し考えた後、今回は大剣の「白断」を3つ目の武器として持っていくことに決めた。
「白断」にした理由は、最近「白断」を振るっていないと思ったからだ。
身体が鈍らないように定期的にダンジョンには行っているが、最近は他の武器を使ったり、素手で戦っていることが多かったので、大剣である「白断」を使う機会が少なかったのは間違いない。
今日は久し振りにダンジョンで「白断」を存分に振るうとしよう。
大きめな鞄と「白断」を背負ってダンジョンに向かうと、立ち止まることなく「白断」を振るって魔石ごとモンスターを両断して進んでいった。
上層、中層、下層を一気に駆け抜けていき、到着した深層。
深層のモンスター達を「白断」の1振りで斬り裂いて倒し、魔石を「黒頭」で抜き取って更に階層を下へと降りていく。
エナジーポーションで疲労を回復しながら移動し、休憩を挟むことなく進んで辿り着いた49階層。
現れた大量のフォモールを全て残さず斬り伏せた俺が、フォモール達の魔石を回収しているとダンジョンから生まれた階層主。
49階層の階層主であるバロールは単眼の巨人であり、伝え聞いた話によると、その1つしかない目から光線を発射することが可能であるらしい。
どうやらそれは事実だったようで、バロールは単眼から此方に光線を放ってきた。
その速度はかなりのものだが、Lv6の今の俺なら回避することは不可能ではない。
放たれた光線を避けながらバロールへと接近していくと、バロールは素早く俺に腕を振り下ろす。
巨体の割りには素早いバロールが振り下ろす腕に、俺は拳を叩き込んで弾き返した。
まるで硬質な金属のような感触だったバロールの腕。
試しにバロールの腕に拳で触れてみてわかったことは、身体の強度が並みのモンスターとは比べ物にならないほど高いということだ。
流石は深層の階層主だが、俺の「白断」で斬れないほどの強度じゃない。
連続で放たれたバロールの光線を回避して近付き、一文字を描くように横に振るった「白断」でバロールの右足を足首から斬り落としていく。
次は瞬時に逆一文字を描くように「白断」を振るい、今度はバロールの左足首を斬り落とした。
すると両足首を斬り落とされたことで体勢を崩したバロールがダンジョンの地面に倒れ込んだ。
倒れて直ぐに立ち上がることはできないバロールの首が、ちょうど斬りやすい位置にある。
容赦なく振り下ろした「白断」でバロールの首を斬り落として倒すと、手早くバロールから魔石を抉りだして、リトルフィートで小さくしてから鞄にしまっておいた。
ドロップアイテムとして残っていたのは、光線を発射していたバロールの大きな単眼であり、これもリトルフィートで小さくして鞄にしまう。
ダンジョンの深層である49階層での戦いを終えても身体は然程疲れていない。
そのまま安全階層の50階層を越えて、51階層でカドモスの泉水を採取してから、空間転移が可能なムードメーカーの魔法を使い、ミアハ・ファミリアのホームにある自室へと帰還する。
元の大きさに戻した魔石をギルドで換金してもらってから次に向かう先は、女神ヘファイストスの元だ。
珍しいドロップアイテムがあったら見せると女神ヘファイストスと約束していたので、今回手に入れたドロップアイテムのバロールの単眼を約束通りに見せる為に、俺は女神ヘファイストスの元へと向かう。
「約束通りに珍しいドロップアイテムを持ってきましたよ。バロールのドロップアイテムです」
女神ヘファイストスにバロールの単眼を見せてみると、興味津々といった様子で見ていた女神ヘファイストス。
「確かに珍しいドロップアイテムね。これはバロールの単眼かしら」
俺が持つバロールの単眼を女神ヘファイストスは様々な角度から見ていた。
「そうですよ。光線を発射する部位ですね」
「どうやらかなりの強度があるようだけど、加工できない訳じゃないわね」
見ただけでバロールの単眼の強度が高いことを把握していたのは、流石は鍛冶神ということだろう。
「武器は沢山あるんで、これは防具に加工してもらおうかと思っています」
「バロールのドロップアイテムなんて渡されたら、椿がまた喜びそうだわ」
「このドロップアイテムを椿に渡しにいくのはもう少し先になると思いますよ」
「貴方は何か他に予定でもあるのかしら?」
「まあ、個人的な理由ですね。それでは約束通り、珍しいドロップアイテムは見せたので俺はこれで失礼します」
「また珍しいドロップアイテムがあったら見せてくれると嬉しいわ」
微笑んだ女神ヘファイストスに頭を下げて、その場を後にした俺はミアハ・ファミリアのホームへと戻っていった。
ミアハ・ファミリアのホームで神ミアハの自室に向かうと、俺は神ミアハにステイタスの更新を頼んだ。
Lv6
力:E428→B743
耐久:F346→B711
器用:C652→S922
敏捷:D514→A897
魔力:C697→S965
幸運:A
耐異常:B
神秘:A
精癒:C→B
格闘:G→D
更新されたステイタスは伸びていて、発展アビリティの精癒と格闘も伸びていた。
特に格闘が伸びていた理由は、深層で素手の戦いをしたからかもしれない。
素手の戦いは「特殊火遁術」を使いこなす鍛練のつもりだったが、おかげで格闘がDまで伸びていたのは普通に嬉しいことだな。
これからも伸ばせるものは伸ばしていくとしよう。