転生したらゲド・ライッシュだった   作:色々残念

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思いついたので更新します


第40話、深層探索

ミアハ・ファミリアのホームである青の薬舗で接客をしていると今日も神ディアンケヒトが現れた。

 

「今日もエナジーポーションの配達をお主の眷族に頼みにきてやったぞ、ミィーアァーハァ」

 

毎回毎回神ミアハにウザ絡みする神ディアンケヒトを嫌そうな顔で見ているナァーザは、嫌悪感を隠せていない。

 

「それでエナジーポーションは幾つ必要なんですか?」

 

「今日はエナジーポーションを50本だ。手早い配達を頼むぞ」

 

とりあえず神ディアンケヒトが配達してほしい数のエナジーポーションを聞き出した俺は、手早く50本のエナジーポーションを箱に詰めてリトルフィートで小さくする。

 

「これを何処に持っていけばいいですか?」

 

「ワシの自室まで頼むぞ」

 

「わかりました」

 

リトルフィートで小さくした箱を持って運び、神ディアンケヒトと一緒に歩いて、ディアンケヒト・ファミリアのホームにまで移動していく最中、神ディアンケヒトが話しかけてきた。

 

「最近アミッドが、やたらとビスケットを作っておってな。ビスケット自体の味は悪くないんだが、流石に食べ飽きたところだ」

 

「そうなんですか」

 

「うむ、ビスケットだけだとしても、菓子が自作できるようになってアミッドが喜んでおるのがわかるから、作るのを止めろとは言えんしな。どうすればいいんじゃろうな」

 

「それとなく別のものを作ってくれるように、頼んでみるのはどうですかね」

 

「それで、作った別のものが不味かったら最悪じゃろうが」

 

「今度アミッドに、ビスケット以外のお菓子の作り方を教える約束はしていますが、教えるのを早めた方が良いんでしょうか」

 

「早めに頼むぞ、ワシはもうビスケットは喰いたくない」

 

げんなりとした顔をしていた神ディアンケヒトは、アミッドのビスケットを嫌になるほど食べていたようだ。

 

神ディアンケヒトに頼まれたエナジーポーションの配達を終わらせて戻ってきた俺は、青の薬舗で接客を行っていく。

 

接客中に、アミッドに教えるお菓子を何にするか頭の中で考えたりもしながら、他のことも考えていた。

 

それは専属鍛冶師の椿と今後どう接していくかであったり、女神フレイヤに作る料理を何にするかであったり、最近アスフィさんと会わないが元気にしているだろうかということであったり、様々だ。

 

そんな様々な考え事の中の1つが、ステイタスを伸ばす為には、どうすればいいかということであったが、Lv6に至っている今の俺は、ダンジョンの浅い階層でモンスターと戦っても、ステイタスが上昇することはない。

 

今よりも更に上を目指すなら、向かうべきはダンジョンの深層だ。

 

今現在、俺が到達している最高階層は51階層。

 

ここから更に到達階層を伸ばすのも悪くはないが、単独行動であるなら、準備は万全にしておかなければいけない。

 

必要な物資を充分に用意して、向かうとしよう。

 

間違いなく必要になるポーション各種を「創薬師」のスキルを用いて大量に作成しておき、速攻縮小魔法のリトルフィートで小さくして鞄に入れておいた。

 

「心理之王、御調子者、調子者」

 

忙しい日常の中で準備を整えた俺は、ダンジョンの深層へ一気に移動する為に魔法の詠唱を開始する。

 

「流れる星よ、空を開け」

 

唱えるのは、後半の詠唱を変えることで魔法の効果までもが変化する特殊な詠唱変化魔法であり、今回使う効果は空間操作による空間転移。

 

「ムードメーカー」

 

ミアハ・ファミリアの自室から、ダンジョン深層にある安全階層の50階層にまで一瞬で、ムードメーカーの空間転移で移動。

 

そこからは上の階層である49階層へ、魔法を使わずに普通に走って移動した。

 

到着した49階層で、準備運動として相手をするのは荒れ果てた大地に50体以上が存在しているフォモールの群れ達。

 

山羊のようにねじれ曲がった2本の大角を持ち、化石のような棍棒を持ったフォモール達が此方に一気に押し寄せて来る。

 

俺は腰の鞘に納まった「骨喰」の柄を握り、漆黒の刀身を抜き放つと、近付いてきたフォモール達の首を斬り落としながら前へ前へと進んでいった。

 

一撃一殺、振るう脇差の黒刃がフォモールを斬り裂く度に、フォモールの首が飛ぶ。

 

絶え間なく振るわれていった「骨喰」の黒い刃は、鋭さを失うことない。

 

ある程度フォモールの数が減ったところで、黒刃を振るって付着していた血液を落とすと「骨喰」を鞘に納める。

 

攻撃を止めた此方に襲いかかるフォモールの1体が棍棒を力任せに真正面から振り下ろしてきた。

 

避けることが容易い速度でフォモールが振り下ろしてくる鈍器を、回避することなく前腕に装備した「バロールガントレット」で受けた理由は、ステイタスの耐久上昇と「バロールガントレット」の防御力を実戦で確認する為。

 

結果としては、フォモールが持っていた天然武器である化石のような棍棒が「バロールガントレット」に叩き込まれた瞬間、へし折れることになった。

 

宙を舞う棍棒の片割れが地に落ちるよりも速く動いた俺の腕は、鞘に納まっている「骨喰」の柄を握ると、居合抜きのように鞘から黒い刀身を抜き放つ。

 

瞬くよりも速く、フォモールの胴体を水平に斬り裂いた「骨喰」の黒刃。

 

真っ二つに斬られたフォモールの胴体が上下に分割されると、盛大に噴き出す血液。

 

返り血を浴びることなく身を翻して、残った僅かなフォモールに接近していくと左右から挟み込むように棍棒を振るってきたフォモールが2体。

 

両腕に装備している「バロールガントレット」で左右から振るわれた棍棒を受けると、やはり棍棒の方が容易くへし折れていく。

 

武器を失ったとしても戦闘意欲は失われていないフォモールが素手で力任せに攻撃してきたが、全てを「バロールガントレット」で受けきるとフォモールの腕だけが痛んでいた。

 

凄まじい強度を持つ「バロールガントレット」を素手で力任せに攻撃すれば、ダメージを受けるのは攻撃した側になるだろう。

 

「バロールガントレット」を破壊できる威力の攻撃ができるなら話は別だが、フォモールの攻撃には流石にそこまでの威力はない。

 

腕が痛んで動きが鈍くなった2体のフォモールの眉間に、黒い刀身の切っ先を素早く突き入れて捻り、2体のフォモールの脳を破壊して倒す。

 

これで現在残っているフォモールは、片手で数えられる程度の数であるようだ。

 

迫り来るフォモール達を相手に「骨喰」を握った腕を上段に構え、短く息を吐くと同時に振り下ろした黒刃で1番近くに居た1体のフォモールを頭頂部から両断。

 

綺麗に脳天から身体を半分に斬り裂かれたフォモールを押し退けて前に出てきたフォモールが2体。

 

残像すらも置き去りにする速度で半円を描くように振るった漆黒の刀身が、2体のフォモールの頭部を半ばから斬り飛ばした。

 

逃げるように此方から距離を取った残り2体のフォモールへと瞬時に接近した俺は、1体のフォモールを袈裟斬りにして、もう1体のフォモールを逆袈裟斬りにする。

 

全てのフォモールを倒し、フォモールの魔石やドロップアイテムを回収していると、ダンジョンから新たなフォモールが生まれた。

 

鮮血のように身体が赤く大きいフォモールは、通常の個体とは違う強化亜種であるのは間違いない。

 

轟くような大音量の咆哮を発した赤いフォモールが、此方に向かって突撃してくる。

 

その動きは通常のフォモールよりも数段は速い。

 

突撃の勢いをそのままに、握った拳を振るってきた赤いフォモールの打撃を、避けることなく「バロールガントレット」で受けた。

 

通常のフォモールとは比べ物にならない力も持っていた赤いフォモールだが、それでも「バロールガントレット」を破壊することはできていない。

 

赤いフォモールは、苛立っているかのように拳による打撃を連続で放つ。

 

放たれた全ての打撃を「バロールガントレット」で受けていると、赤いフォモールの拳の皮がめくれて血が滲んでいた。

 

素手では此方の「バロールガントレット」による防御を抜けないと判断したのか、後方に下がって距離を取った赤いフォモールは、落ちていた天然武器の棍棒を拾うと両手に1本ずつ持つ。

 

そして姿勢を低くして下半身に力を込めた赤いフォモールは、疾走して再び此方に突撃してくる。

 

そのまま棍棒を振るうように見せかけて1本の棍棒を投擲してきた赤いフォモールは、知能も高いらしい。

 

飛来する棍棒を「バロールガントレット」で受けて砕いた俺に、両手で握った棍棒を振り下ろしてきた赤いフォモールに対し、此方は黒い刃で迎え撃つ。

 

下から斬り上げた1振りで天然武器の棍棒を半ばから斬り飛ばし、斬り上げの体勢から淀みなく流れるように身体を動かして黒刃を水平に振るい、赤いフォモールの首を斬り落とした。

 

首を無くした赤いフォモールの身体から勢いよく噴き出る鮮血。

 

素早く距離を取って、噴き出していた血が止まるのを待つと、赤いフォモールの魔石を短剣の「黒頭」で抜き取っていく。

 

魔石とドロップアイテムを入れていた大袋に、赤いフォモールの魔石を追加で入れて、リトルフィートで小さくして鞄にしまった。

 

49階層での準備運動が終わったので、階層を降りて51階層まで移動すると、カドモスが守るカドモスの泉水を集めに向かう。

 

強竜とも呼ばれるカドモスは、力だけならウダイオスよりも強いという強力なモンスターであり、51階層では最強のモンスターだ。

 

階層主を上回る力を持つカドモスを相手にしても、俺のやることは変わらない。

 

カドモスを相手に「骨喰」を振るい、戦って倒す、ただそれだけだ。

 

振るう「骨喰」の黒い刃でカドモスを斬り裂いていき、頭部を両断して倒したところで、魔石を抜き取ってカドモスの死骸を灰に変える。

 

それでカドモスの全てが灰に変わったかと思えば、どうやらドロップアイテムであるカドモスの皮膜が残っていたようで、金色の輝きを放っていた。

 

希少なドロップアイテムのカドモスの皮膜を換金すれば莫大な資金が手に入ることは間違いない。

 

カドモスの皮膜1つで最低でも数百万ヴァリスの価値はあり、状態と質が良ければ1000万ヴァリスでも換金してもらえるだろう。

 

希少なドロップアイテムのカドモスの皮膜は、優秀な防具の素材になる一方で、回復系アイテムの原料として重宝されている。

 

商業系ファミリアにとって、希少なカドモスの皮膜は、何がなんでも手に入れたいドロップアイテムであることは確かだ。

 

カドモスの皮膜は、ギルドで換金するよりも大手の商業系ファミリアに売りにいく方が、高く買い取ってもらえるかもしれない。

 

そんなことを考えながらカドモスが守っていたカドモスの泉水を汲む為に瓶を用意していく。

 

壁にできた割れ目にある小さな岩窟から僅かな量の水が不定期に湧き出ていて、蒼いきらめきを宿す神秘的な泉水が窪みに徐々に溜まっていた。

 

瓶を使って汲んだカドモスの泉水で瓶を満たし、蓋をするとリトルフィートで小さくして鞄にしまって移動を開始。

 

50階層に戻る途中で現れた深層のモンスターを相手に「骨喰」の刃を振るって斬り裂いていくと、斬殺されたモンスターの死骸が大量に残ってしまった。

 

「黒頭」で深層のモンスター達の死骸から魔石を抉り出すと、モンスターの死骸は直ぐに灰と化す。

 

モンスターの身体の一部であるドロップアイテムも、沢山残っていたので、それらと魔石を大きな袋に詰めて再び唱えるのは速攻縮小魔法。

 

「リトルフィート」

 

魔法を唱えた瞬間に縮小していく中身がみっちり詰まった大袋。

 

ランクアップを重ねたことで強力になった速攻縮小魔法は瞬く間に大袋を、手で握れば隠せてしまう小袋へと変えた。

 

小袋を鞄にしまい、素早く移動していくと到着した50階層。

 

精神力の消費量が高い空間転移を使用して一気に50階層まで来て、ドロップアイテムや魔石を小さくする為に多用したリトルフィート。

 

それで精神力を更に消費したので少し休憩することにして、鞄から小さい瓶を1つ取り出すと、それを本来の大きさに戻す為に言葉を発する。

 

「大きさよ戻れ」

 

魔法の効果を打ち消す言葉により、リトルフィートによって縮小されていた1つの瓶が、瞬時に大きさを元に戻した。

 

まるで試験管のような1つの瓶に入っている液体は、精神力を回復するマジックポーション。

 

発展アビリティで精神力を自動回復する精癒を発現しているが、精癒では少々時間をかけなければ精神力は完全に回復しない。

 

そこまで休憩に時間を使うつもりはないので、マジックポーションを飲んだ方が早いのは確かだ。

 

他にも潤沢に用意してある各種ポーションは、まだまだ尽きることはない。

 

それでも全てのポーションを使いきる前に、ダンジョンを出るとしよう。

 

手早く蓋を開けてマジックポーションを飲むと、消費した精神力が確かに回復されていった。

 

俺が持つ「創薬師」のスキルを用いて作成したポーションは、総じて効果が高くなる。

 

通常のマジックポーション以上の精神力回復効果によって、精神力は全快。

 

これでマインドダウンで倒れるようなことはない筈だ。

 

さて、今の状態なら51階層から更に下に降りてみるのも悪くはないかもしれないな。

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