今回も短めです
階層ごとに詳細なマッピングを行いながら深層を降りていき、到着した58階層。
そこには同胞である筈のモンスター達を喰らっている巨大な青い竜達の姿があった。
飛竜のように前肢が巨大な翼となっている筈のヴァルガング・ドラゴンに太く強靭な四肢があり、翼を持たない竜となっている明らかな亜種で、同胞すらも喰らう強化種。
大きさとしては15メートルを越える巨大な青い竜、そんな強化亜種のヴァルガング・ドラゴン達が3体も存在している。
3体は連携して深層のモンスターを喰らっていき、血肉ごと魔石を貪っていた。
これ以上魔石を喰らって強化される前に倒しておいた方がいいと判断して、白大剣を構えた俺は「潜伏者」を発動したまま、青い砲竜に斬撃を繰り出す。
白いウダイオスのドロップアイテムから作られた白大剣は尋常ではない斬れ味を持つが、青い砲竜の鱗の強度は並みではなく、斬り裂くことなく青い鱗に弾かれた白大剣。
「潜伏者」を用いた不意打ちは失敗し、青い砲竜に此方の存在が気付かれて放たれた砲撃。
瞬時に「断ち切る力」を用いて空間を断ち切り、青い砲竜達の砲撃を防いだが、連続で絶え間無く放たれ続ける砲撃が止まる気配がない。
生身で受ければ確実にタダでは済まない砲撃の威力は、通常の砲竜とは比べ物にならないほど高く、連続で行われる砲撃の速度も早いようだ。
「心理之王、御調子者、調子者」
砲撃を防御する「断ち切る力」を用いたまま行う魔法の詠唱。
「流れる星よ、空を開け」
後半の詠唱によって効果が変わる詠唱変化魔法で、今回使う効果は空間操作。
「ムードメーカー」
空間操作による空間転移で転移するのは、砲撃が放たれ続ける現在地から少し離れた反対の場所。
青い砲竜達の真後ろに転移した状態で「断ち切る力」を解除した俺は「竜鱗鎧化」を発動して全身を竜鱗のような装甲で覆い隠す。
スケイルメイルを着用したかのような外見となった俺は白大剣を背負い、銀色の短槍を片手に駆けた。
身体能力と脚力に速度を「龍の手」で倍加し、止まることなく疾走しながら「戦場の支配者」を発動して反応速度を向上させて、青い砲竜達から放たれる砲撃を避けて進む。
凄まじい速度で放たれ続ける砲撃を避けきれずに直撃し、全身を覆い隠す「竜鱗鎧化」の装甲が砕けようが、爆炎で身体を焼かれようが前に進むことを止めることはない。
身体能力だけではなく腕力と投擲力も「龍の手」で倍加して投擲する銀の短槍。
凄まじい速度で飛んだ短槍が1体の青い砲竜の眼球に突き刺さった瞬間、更に身体を加速させて全速力を出した俺は跳躍する。
そして全ての勢いと身体能力に脚力と蹴りの威力を「龍の手」で倍加した状態で、渾身の飛び蹴りを短槍の石突に叩き込んだ。
オリハルコンすらも貫く強度を持っていた亜種のカドモスの角から作られた短槍は、とてつもなく鋭く凄まじい貫通力を持つ。
蹴りによって押し込まれた銀の短槍の穂先は、青い砲竜の眼球を貫いただけで止まらず眼底を貫通し、頭蓋骨を砕いて脳にまで到達していたようだ。
青い砲竜1体を完全に絶命させたところで、背から砲撃を放って加速した他の青い砲竜が此方に前肢を振るう。
避ける間もなく叩き込まれた青い砲竜の太い腕による攻撃で、勢いよく殴り飛ばされた俺は再生していた「竜鱗鎧化」の装甲も砕かれてしまった。
青い砲竜に殴り飛ばされて血を吐きながらも、立ち上がった俺は腰の鞘に納まった脇差の柄を握り、居合の構えを取る。
黒い刀身の脇差は、漆黒のスパルトイが持っていた黒い骨剣を素材に作成されたもので、白大剣と打ち合っても折れることがなかった骨剣は強度が高く、黒い脇差の強度も相応に高い。
放たれる砲撃を避けながらも意識を脇差に集中し、居合の構えのまま、青い砲竜へと接近し跳躍。
鍛えられたオリハルコンすらも両断することが可能な黒い脇差を空中で抜刀し、繰り出した居合は、スキル「龍の手」で威力と斬れ味を倍加されて、青い砲竜の胸部を斬り裂く。
それでも青い砲竜の魔石までは到達していない黒い刀身を翻し、納刀することなく砲竜の胸部へと突き刺した。
両手で握った柄に渾身の力を込めて、居合で斬り裂かれた青い砲竜の胸部に突き刺した黒い脇差の刀身。
骨肉を貫いて魔石まで到達した脇差の切っ先が、魔石を貫いて破壊する。
そうして2体目の青い砲竜を倒したところで、背から砲撃を連続で放って凄まじい速度で加速してきた3体目の青い砲竜が体当たりを仕掛けてきたらしい。
再び避ける間もなく直撃した3体目の体当たりで、撥ね飛ばされて宙を舞った俺の身体。
とてつもない威力の攻撃が直撃した全身が凄まじく痛いが、持ってきていたポーションは全て割れてしまっているようだった。
空中で体勢を立て直しながらスキル「秘伝の治癒」を自分に用いて、自動回復の効果を発動させておき、回復力と自動回復の時間を「龍の手」で倍加しておく。
無事に帰れたなら、割れないポーションの瓶を開発するのも、悪くはないかもしれない。
俺がそんなことを考えて着地した瞬間に青い砲竜が砲撃を連続で放つ。
放たれた大火球の砲撃を回避していると、青い砲竜は最初に俺に倒された同種の死体へと近付いて、何の躊躇いもなく喰らいつく。
強化種でもある青い砲竜の魔石を血肉ごと喰らった同種は、更に強化された状態となり、より強力な存在となったのは間違いなかった。
深く息を吐き、武器を構えた俺に、咆哮を上げた青い砲竜が放つ砲撃。
強化された青い砲竜から連続で放たれた砲撃は、明らかに威力と速度が増しているようだ。
「断ち切る力」で空間を断ち切り、砲撃は完全に防いだが、発動中は精神力を消費する「断ち切る力」は、いつまでも使えるスキルではない。
「心理之王、御調子者、調子者」
「流れる星よ、空を開け」
「ムードメーカー」
後半の詠唱によって効果が変化する魔法を再び唱えて、空間転移を発動しながら「潜伏者」も同時に発動した。
頭上の空間に転移した俺に「潜伏者」の効果で気付いていない青い砲竜。
空中から落下しながら脇差と短剣の黒い刀身を振り下ろし、青い砲竜の両目を潰す。
目で見えない位置から相手を捕捉することが可能な砲竜は、両目を潰されようと此方の位置を正確に把握しているようだが、此方が何をやっているのかが見えなくなったのは確かだ。
放たれる砲撃を避けながら回収したのは、青い砲竜のドロップアイテムである牙。
スキル「竜鱗鎧化」で装甲に包まれた手に、短剣ほどの大きさがある牙を握り、駆けた俺は前に進む。
避けきれなかった砲撃が直撃しようと止まらずに、青い砲竜の胸部に牙を突き立て、スキル「竜鱗鎧化」で装甲に覆われた拳を牙に叩き込んで、更に深々と押し込んだ。
牙によって魔石を破壊された青い砲竜が倒れ、砲竜の身体が灰となる。
これで戦いが終わりかと思えば、怪物達の宴が発生し、大量に生まれた58階層のモンスター達。
それから襲い来る全てのモンスターを倒し、ようやく終わった58階層での戦い。
武器と魔石にドロップアイテムを回収してから空間転移でダンジョンを出て、自室に戻った俺は、とりあえず身体をポーションで治療しておくことにした。
ハイポーションと塗り薬のようになっているポーションで治療してから、疲れた身体をしっかりと休めておく。
次の日、神ミアハにステイタスの更新を頼んでみると、ステイタスがかなり上昇していただけではなく、ランクアップも可能になっていたらしい。
Lv7
力:S986→SSS1452
耐久:S975→SSS1578
器用:SS1034→SSS1569
敏捷:SS1017→SSS1642
魔力:SSS1373→SSS1846
幸運:A
耐異常:A
神秘:A
精癒:A
格闘:B→A
敵感知:F→E
ランクアップする時に選べる発展アビリティは、堅守、魔防、剛身の3つのようだが、今回は堅守を選んでおくことにした。