今回は短めです
ダンジョンでオッタルさんや漆黒のバロールと戦ったことで、ステイタスが上がっているか確認してみる為に俺は神ミアハにステイタスの更新を頼んだ。
上半身の服を脱ぎ、恩恵が刻まれた背中を露にすると、俺の背に触れた神ミアハの手でステイタスの更新が行われていく。
背の神聖文字が神血によって書き換えられていき、淀みなく動く神ミアハの指が、俺の経験値を形にしていった。
「終わったぞ、ゲド。これが更新されたゲドのステイタスだ」
Lv8
力:I0→E476
耐久:I0→F324
器用:I0→E493
敏捷:I0→E461
魔力:I0→F358
幸運:A
耐異常:A
神秘:A
精癒:A
格闘:A
敵感知:E→D
堅守:I→H
差し出された紙に書かれていた更新された俺のステイタスで、変化があるのはこれくらいだったが、特に新しいスキルが発現していたりはしないようだ。
それでもそれなりにステイタスは上がっていたので、ステイタスの更新を頼んでおいて良かったかもしれない。
ステイタスを更新してくれた神ミアハに感謝した俺は、ダンジョンで手に入れたドロップアイテムを持ってミアハ・ファミリアのホームを出ると、ヘファイストス・ファミリアのホームに向かう。
到着したヘファイストス・ファミリアのホームで、ダンジョンで手に入れた珍しいドロップアイテムである黒いバロールの外殻を女神ヘファイストスに見せてみた。
「これはバロールの外殻のようだけど、色が黒いわね」
黒いバロールの外殻は女神ヘファイストスも初めて見るものであるようで、外殻の表面に指で触れながら珍しいものを見るような目で黒い外殻を見ていた女神ヘファイストス。
「これは漆黒のバロールのドロップアイテムですよ」
「やっぱり貴方は珍しいドロップアイテムを手に入れることが多いみたいね」
楽しげな笑みを浮かべた女神ヘファイストスは珍しいドロップアイテムを見れて満足してくれたようだ。
「満足してくれたみたいですし、そろそろ失礼します」
「また珍しいドロップアイテムが手に入ったら、見せに来てくれると嬉しいわ」
「勿論見せに来ますよ」
黒い外殻を「リトルフィート」で小さくしてからバックパックにしまうと、ヘファイストス・ファミリアのホームを出て、椿の工房にまで移動する。
到着した椿の工房に入ってみると、鍛冶場で倒れていた椿を発見。
大丈夫だろうかと心配になって倒れている椿に近付いてみると、どうやら椿は力尽きて寝ているようだった。
とりあえず倒れている椿を御姫様抱っこして、寝具のある場所まで運んで寝かせておく。
以前俺が手に入れた青い砲竜のドロップアイテムで短剣と脚甲の作成を椿には頼んでいたが、まだそれは完成していないみたいだ。
短剣と脚甲の作成を頼んだ時に急いで作らなくていいと椿に言ったので、他の仕事を優先していたのだろうな。
黒いバロールの外殻を椿にプレゼントとして渡しておこうかと思ったんだが、椿は力尽きて寝ているようだから、黒い外殻を渡すのは今度にしておくとしよう。
椿の工房から立ち去り、移動してみた先で、アマゾネスの女性に追われながら腹部を痛そうに押さえているフィンさんを見かけた。
間違いなく胃痛に襲われていて、アマゾネスの女性に別の意味でも襲われそうになっているフィンさんは必死に逃げている。
それでも胃痛のダメージのせいで明らかに弱っていたフィンさん。
このままではアマゾネスに捕食されてしまいそうなフィンさんと目が合った時、フィンさんは助けを求める目をしていた。
以前パーティを組んだこともある仲間が、そんな目をしていたなら、助けなければいけないな。
Lv8の身体能力と脚力に足の速さを「龍の手」で倍にして全速力で疾走し、弱っているフィンさんを抱えて走り去って、追いかけてきていたアマゾネスを置き去りにする。
アマゾネスを完全に振り切ることができたところで、フィンさんを抱えたままミアハ・ファミリアのホームにまで移動し、俺の自室でフィンさんをしばらく匿うことにした。
激しい胃痛に襲われているフィンさんには、スキル「創薬師」を用いて俺が作成した特製の胃薬を飲ませてから、ゆっくりと休んでもらう。
今のフィンさんの胃痛を和らげる胃薬により、少しは顔色が良くなったフィンさん。
「創薬師」で薬を作成する時に一時的に発現する創薬の発展アビリティにより、俺ならどんな薬も作ることが可能だ。
そして発展アビリティ創薬で薬の作り方や効能が理解できるということは、相手に適した薬を作成する際に、薬が必要な相手がどんな状態であるかを理解することもできる。
「まだ完全に治った訳ではないので、無理はしないでくださいねフィンさん。少しずつ治していきましょう」
「やっぱり僕の胃は、そんなに酷かったのかい?」
「凄いことになってましたよ。次はこの薬も飲んでおいてほしいんですが、空きっ腹に薬だけを入れるのは、あまりよくないんで胃に優しくて消化の良いものを少し食べましょう」
「薬師としてアミッドよりも優れているきみが言うなら、そうした方が良いんだろうね」
それから俺が作成したお粥をフィンさんには少し食べてもらって、追加の胃薬と胃を治す薬も飲んでもらった。
「創薬師」を用いて作成した胃薬と胃を治す薬の効果は高く、かなりとんでもない状態になっていたフィンさんの胃を治すことができたらしい。
「凄いねこの薬、しばらく続いていた胃の痛みが完全に無くなったよ」
「胃薬と一緒に飲んでもらった胃を治す薬が効いたみたいですね。これで胃は大丈夫ですよ」
「きみのおかげで助かったよ。本当にありがとう」
薬を用意した俺に心からの感謝をしてきたフィンさんは、激しい胃痛から解放されたことで、とても穏やかな顔をしていたな。
ストレスが原因で胃がボロボロになっていたフィンさんは、きっとロキ・ファミリアの団長として苦労しているんだろう。
少しでも助けになれたのなら良かったと思えるが、ストレスをまた溜め込んでしまえば胃痛が再発する可能性は非常に高い。
ストレスの原因について詳しい話を聞いてみると、オッタルさんや俺がLv8に到達したことで、フィンさんが焦りを感じてしまっていたことも原因の1つのようだ。
それ以外のストレスの原因は、ほぼロキ・ファミリアだったので、基本的にはロキ・ファミリアがストレスの原因だろうな。
まだフィンさんはロキ・ファミリアの団長を辞めるつもりはないらしいので、今回のようにストレスを溜めてしまう前に、ストレスが発散できる何かを見つける必要がある。
という訳で、ミアハ・ファミリアのホームでフィンさんと一緒に様々な方法を試してみることにした。
ストレス発散方法を幾つか試してみた結果として、胃にも身体にも優しい薬用酒を飲みながら愚痴を言ったり、特製の入浴剤を入れた湯船に浸かったりすると、結構ストレスを発散することができたみたいだ。
「創薬師」のスキルを用いて作成した入浴剤にはストレスを和らげる効果や、身体に優しい効果が沢山入っていた為、身体がとても癒されたらしい。
特に入浴剤を気に入っていたフィンさんだったが、ロキ・ファミリアには大浴場があっても個人向けの湯船は無いので、どうしようかと悩んでいたな。
そんなフィンさんの為に、大きめの樽のような形をした携帯用風呂の魔道具を作成し、プレゼントしてみると物凄く喜んでくれた。
魔道具を使用すると浸かれる程度に適温の湯が出て、携帯用風呂を満たすようになっており、1人で風呂に入るには充分なものとなっている。
大浴場の男湯に携帯用風呂を設置したフィンさんは、俺が渡した入浴剤を使って、ほぼ毎日風呂に入っているそうだ。
良いストレス発散方法が見付かったフィンさんは、これでもう大丈夫だろう。