転生したらゲド・ライッシュだった   作:色々残念

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まだちょっと頭が痛いですが話を思いついたので更新します
かなり短いですが、それでも良ければどうぞ


第54話、小人族の勇者

勇者の二つ名を持つ小人族の冒険者、フィン・ディムナは、現在のオラリオでは2大巨頭と言えるロキ・ファミリアで団長を務めている。

 

今のオラリオでも数少ないLv6の冒険者のフィン・ディムナには、小人族の再興という野望があり、その為に努力を積み重ねてきた。

 

探索系ファミリアでは最大手なロキ・ファミリアの団長の仕事は多く、第1級冒険者であるフィンでも疲れが溜まる程度には激務と言えるだろう。

 

それに加えて日夜フィンに熱烈なアタックを仕掛けてくるアマゾネスと、酒に酔って問題を起こす狼人などがロキ・ファミリアの一員である為、団長のフィンに更にストレスが蓄積されるのは確実だ。

 

そんなフィンにとって癒しとも言えるのは、ミアハ・ファミリアのゲドから提供された入浴剤を使って入浴する時間。

 

「ふう、いい湯だね」

 

大浴場に設置された携帯用風呂に入浴剤を入れて浸かりながら、リラックスするフィン。

 

ゆっくりと入浴剤入りの湯船でフィンが身体を休めていると、日々の疲れやストレスが消えていく。

 

これで明日も頑張れそうだと考えたロキ・ファミリア団長。

 

翌日、フィンはロキ・ファミリア団長としてではなく、冒険者フィン・ディムナとして、ゲド・ライッシュと共にダンジョンへと向かった。

 

Lv9のゲドとLv6のフィンの相手になるモンスターは上層にも中層にも下層にもおらず、2人が到着したのはダンジョンの深層。

 

通常では複数人でパーティを組んで向かう場所である深層でも問題なく戦えているゲドとフィンの2人。

 

ゲドとフィンが2人だけの遠征を行った理由は「Lv7になっておきたい」というフィンの頼みをゲドが了承したからだ。

 

深層まで行けば何かしら強力なモンスターと遭遇するのではないかと考えたゲドの予想は正しく、現れた黒いリザードマンエリート。

 

漆黒の鱗と外皮に包まれた身体を持つリザードマンエリートが、手に持つ骨斧を振り下ろすだけで容易く粉砕されたダンジョンの地面。

 

Lvで言うなら最低でも7はある黒いリザードマンエリートは、通常のリザードマンエリートよりも確実に強い。

 

「フィンさん、お目当ての相手が来たようです」

 

「そうみたいだね。じゃあ僕が戦うから手は出さないでくれるかな」

 

「勿論、手は出しませんよ」

 

会話をしながらゲドが後ろに下がり、フィンが前に出ると、接近した黒いリザードマンエリートが骨斧を横薙ぎに振るった。

 

空気を薙ぎ払いながら迫る骨斧の肉厚な刃を潜り抜けたフィンは、槍による刺突を繰り出す。

 

漆黒の怪物の足を狙った槍は、強靭な黒い鱗と外皮に阻まれて突き刺さることはない。

 

つまり今のフィンの槍では、漆黒のリザードマンエリートに攻撃が通らないということになる。

 

槍で確かめた感触からして、切り札とも言える魔法を使用しても黒い鱗と外皮を貫けないと理解したフィン。

 

「これを使ってください」

 

どうすれば攻撃の通じない相手を倒せるかを考えながら、漆黒の怪物の攻撃を避け続けていたフィンに投げ渡されたゲドの槍。

 

愛用の槍を地に突き刺し、受け取った銀色の短槍を構えたフィンは、短槍で突きを放つ。

 

全てが銀一色の短い槍は、カドモスの亜種が生やしていた角を素材に作られており、オリハルコンすらも貫く強度を持っていた角の鋭さを活かした槍となっていた。

 

先程とは違い、漆黒の怪物の鱗や外皮を貫く銀の短槍。

 

「槍の名は「銀竜」と言います。そのモンスターを倒すまではお貸ししますよ」

 

「手は出さないんじゃなかったかな」

 

「手は出ていません。ちょっと槍が出ただけですよ」

 

おどけたように言ったゲドに、思わず笑ったフィンは、短槍を構えて前を見据える。

 

互いが互いを殺傷可能な武器を持った怪物と冒険者が視線を交わし、行う戦い。

 

生まれたてで本能で骨斧を振るっていた黒い怪物は、与えられた痛みによって、考えながら得物を振るうことを覚えていった。

 

1振りごとに鋭さを増す骨斧の連撃が、フィンの身体をかすり始め、空いている片手を使った拳打まで使い始めるようになった怪物。

 

時間をかけるほどに強くなっていく漆黒の怪物は、今まさに成長の最中。

 

上昇する技量、鋭さを増す攻撃、洗練されていく身体の動き、高い学習能力。

 

骨斧による斬撃を囮にした拳が腹部へと叩き込まれ、吹き飛んだフィン。

 

それからも、避けようとするフィンの動きを予測して打ち込まれていく怪物の打撃。

 

一撃一撃が意識を飛ばしかける程の強力な打撃が直撃しようと立ち上がるフィン。

 

「まいったね。出し惜しみをしてる暇は無さそうだ」

 

「魔槍よ、血を捧げし我が額を穿て」

 

行われる超短文詠唱で、フィンの左手に集う鮮血のような赤の魔力光。

 

紅の指先を己の額に押し当てたフィンが唱える魔法名。

 

「ヘル・フィネガス」

 

フィンの碧眼が紅色に染まり、諸能力が大幅に引き上げられると同時に、まともな判断力が失われる魔法が発動。

 

血に飢えた戦士と化した状態で短槍を振るうフィンと、黒い怪物の骨斧が打ち合わされていく。

 

黒い怪物の拳を頭突きで迎撃する荒々しいフィンは、負傷を気にすることなく槍を操り、怪物に傷を刻んでいった。

 

互いに身体から血を流しながら、1歩も退かずに戦い続ける怪物と冒険者。

 

雄叫びを上げながら攻撃を繰り出す怪物と冒険者の勝負。

 

互いに距離を取り、得物を構えた怪物と冒険者は、渾身の一撃を繰り出す為に前に出る。

 

上段に構えた骨斧を振り下ろしていく黒い怪物。

 

疾走状態から短槍による槍撃を放つと見せかけて、勢いを乗せて槍を投擲したフィン。

 

放たれた勇者の槍が一条の閃光となって、黒い怪物の胸部に命中し、弱点である魔石を砕いた。

 

灰と化す漆黒の鱗に包まれた怪物の身体。

 

魔法を解除した瞬間に膝をついたフィンの身体は怪我だらけで、体力的にも限界が近い。

 

全身全霊で怪物を打ち倒したフィン・ディムナ。

 

冒険者として冒険をしたフィンは同行者であるゲドから治療を受け、階層を上がっていきダンジョンを出た。

 

それから数日後、新たなLv7となった冒険者が1名。

 

それは小人族で、ロキ・ファミリアの団長である冒険者。

 

フィン・ディムナ、その二つ名は、勇者である。

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