ランクアップが可能になったことで、表示された3つの発展アビリティは、耐異常、剣士、頑強の3つであり、俺は耐異常を選んだ。
神ミアハにステイタスの更新をしてもらい、Lv2からLv3にランクアップした俺には新たなスキルが発現していたらしい。
それは「竜鱗鎧化」と書いて「ドラゴンスキン」と読むスキルであり、まるで竜の鱗のような装甲を身体の上に形成して防御力を凄まじく高めるスキルだった。
「竜鱗鎧化」のスキルを用いると身体を装甲が覆い、まるで全身にスケイルメイルを装備しているかのような姿形になるようだ。
しかもこの装甲は周囲の魔素を吸収して自己修復するようで、破壊されたとしても魔素があれば直ぐに修復されていく。
もしかすると放たれた魔法すらも吸収することが可能なのかもしれない。
という訳で実際に魔法を吸収できるか検証する為に、以前ミアハ・ファミリアのホームである店舗に侵入してきた不審人物からスティールで奪い取った短剣型の魔剣を使ってみることにした。
ダンジョンで「竜鱗鎧化」のスキルを使い、形成された竜鱗のような装甲に覆われた腕に、短剣型の魔剣から炎を放つ。
放たれた炎を確かに吸収していく竜鱗のような装甲は、魔法を吸収することも可能なようだ。
そして竜鱗の装甲が形成された腕は、魔剣の炎によってダメージを受けることなく守られている。
「竜鱗鎧化」のスキルのおかげで魔法に対しての防御力も格段に上がったことは間違いない。
自身のスキルがどんなものであるのか実際に検証してみることは、スキルについての理解を深める為に必要なことだろう。
とりあえずダンジョンで「竜鱗鎧化」に可能なことを少し確かめることは出来た。
しかし「竜鱗鎧化」の物理的な防御力を確認する為には、上層のモンスターでは力不足だ。
ギルドの担当アドバイザーの人に、俺がLv3にランクアップしたことを教えてみて、中層にソロで下りてもいいか聞いてみるとしよう。
俺がLv3にランクアップしたことをギルドの担当アドバイザーの人に話してみると「この前Lv2になったばかりなのに、何で1ヶ月でLv3になってるの」と物凄く驚いていたな。
「きみがそういう不思議なヒューマンだとは理解していたけど、続けてのランクアップは流石に驚くよ本当に」
そう言いながら相変わらず遠い目をしていたギルドの担当アドバイザーの人。
「ちなみにランクアップした理由は何かな?」
恐る恐る聞いてきたギルドの担当アドバイザーの人は、何故か身構えていた。
「Lv5が明らかに警戒する程度には強い、黒い体色をしていた異常な個体のグリーンドラゴンを1人で倒しました」
嘘をつくことなく俺が正直に答えると、それを聞いたギルドの担当アドバイザーの人は「何でそんなのとまた戦ってるの」と言葉を漏らす。
「確実に通常のグリーンドラゴンとは違うグリーンドラゴンと、何で遭遇しちゃうんだろうね」
訳がわからないよ、と言いたげな顔をしていたギルドの担当アドバイザーの人は明らかに疲れているようだった。
「これをどうぞ」
そっとエナジーポーションを手渡した俺に感謝をして受け取ったギルドの担当アドバイザーの人は、エナジーポーションを一気に飲み干していく。
「エナジーポーションは美味しいし疲れもとれるし最高だね。今ではギルドの残業に欠かせないポーションになってるよ」
にっこりと笑いながら言ったギルドの担当アドバイザーの人は、エナジーポーションの常飲者でもあったらしい。
「ミアハ・ファミリアのエナジーポーションをこれからもよろしくお願いします」
とりあえずエナジーポーションを売り出しているミアハ・ファミリアの一員としての言葉を言っておくことにした。
「これからもエナジーポーションには、お世話になると思うよ」
頷きながら言うギルドの担当アドバイザーの人は、いつも頑張っているのだろう。
「応援してますから頑張ってくださいとしか言えませんね」
ギルドの仕事を冒険者が手伝う訳にはいかないので、声援だけおくっておくことにする。
「応援ありがとう、それで、きみは私に何か確認したいことがあるんじゃないかな」
そう聞いてきたギルドの担当アドバイザーの人は、遠い目をしたりしていても此方のことをしっかりと見てくれていたようだ。
「Lv3になったのでソロで中層に下りても良いのかを確認したいんですが」
ここでソロが駄目だと言われたなら諦めようと思いながら俺は、ギルドの担当アドバイザーの人に確認してみた。
「うん、確かにきみならもう、ソロでも中層になら下りても大丈夫だね」
ギルドの担当アドバイザーの人はLv3になっている俺なら、ソロで中層に向かっても構わないと許可を出してくれる。
「1つ約束してほしいことはあるけどね」
付け加えるように言ったギルドの担当アドバイザーの人は真剣な顔をしていた。
「1つ約束してほしいことは何ですか」
俺はギルドの担当アドバイザーの人に続きを促す。
「きみが、無事に帰ってくることだよ」
そう言ってくれたギルドの担当アドバイザーの人は、ダンジョンから無事に帰ってくることを俺に約束してほしいみたいだ。
「約束します。俺は無事にダンジョンから帰ってきますよ」
俺が約束を破るつもりがないことがギルドの担当アドバイザーの人に伝わるように、力強く言葉を発しておく。
「うん、ちゃんと帰ってきてね」
嬉しそうに微笑みながら言ったギルドの担当アドバイザーの人が、とても良い人であることがよくわかった。
担当になっただけの冒険者である俺の無事を願ってくれていた担当アドバイザーの人は、悪い人ではない。
そんなギルドの担当アドバイザーの人とした約束は、決して破らないようにしよう。
黒いグリーンドラゴンのドロップアイテムである黒い甲殻を使って防具を作っている椿が、防具を完成させるまで、俺はソロということになる。
ギルドの担当アドバイザーの人から許可も出ているので、中層に向かった俺は「竜鱗鎧化」のスキルの性能を確かめることにした。
竜鱗のような装甲が形成された状態でミノタウロスの攻撃を真正面から受けてみたが、全く揺らぐことのない鉄壁の守りを突破できない攻撃。
連続でミノタウロスの攻撃を受けてみても、何も問題はなく、攻撃で身体が動かされることもない。
普通のミノタウロス程度の攻撃では「竜鱗鎧化」を突破することは不可能なようだ。
その後も中層で検証を続けたが、通常のグリーンドラゴンの攻撃も通用しない「竜鱗鎧化」で形成された装甲。
黒いグリーンドラゴンの攻撃なら通用したかもしれないが、今回は遭遇することはなかった。
異常個体のモンスターと毎回簡単に遭遇する訳ではないらしい。
24階層から下に向かうことはなく、上の階層に戻った俺は17階層で、階層主であるゴライアスに襲われて逃げ惑っている冒険者達を発見。
ゴライアスに太刀打ちできるLvではなかった冒険者達は、このままなら逃げ切れずに死んでしまうかもしれない。
俺は瞬時に「龍の手」と「竜鱗鎧化」のスキルを発動して、ゴライアスと冒険者達の間に割り込み、身体ごと盾となってゴライアスからの攻撃を受け止めた。
「今の内に逃げろ」
ゴライアスが振るう拳を装甲で受け止めながら言った俺に対して、冒険者達は「足がもう限界で動けないんだ」と泣きながら言う。
背負っていた長剣である「一角」の柄を掴み、鞘から引き抜きながら俺は言った。
「しょうがねえなあ」
背後に居る冒険者達にゴライアスの攻撃が当たらないように、避けることなく「竜鱗鎧化」のスキルで形成された装甲でゴライアスの攻撃を受け止め続けていく。
ゴライアスの攻撃だろうと揺るぎもしない装甲が、凄まじい強度を持っていることは確かだ。
しかしいつまで「竜鱗鎧化」のスキルを使い続けられるかが問題となるだろう。
検証する為に何回か使っているので「竜鱗鎧化」のスキルを使うことには慣れてきていたが、長時間使ったことはまだ無い。
ゴライアスとの戦いは早めに終わらせておきたいところだ。
攻撃を受け止め続けながら長剣の「一角」を振るい、ゴライアスの身体に傷をつけていき、徐々に動きを鈍らせていく。
拳を横に大きく振るう大振りのゴライアスの攻撃に、合わせる形で振り下ろした「一角」がゴライアスの手首から先を斬り落とした。
17階層の地を転がっていくゴライアスの拳。
咆哮を上げたゴライアスが此方を踏みつけようとする。
頭上から振り下ろされたゴライアスの足を片腕で受け止め、もう片方の腕に握っている「一角」をゴライアスの足の裏から深々と突き刺しておいた。
そのまま「一角」を動かしてゴライアスの足の甲を半ばから先端まで斬り裂いていくと、足の痛みに耐えかねたのか地に倒れたゴライアス。
この機を逃さずゴライアスに接近していき、倒れたまま残ったもう片方の拳を振るってきたゴライアスの腕を縦に両断。
それから更に踏み込んで距離を詰めると、ゴライアスの首を「一角」で斬り落とした。
魔石とドロップアイテムであるゴライアスの硬皮を回収した俺は、動けない状態になっていた冒険者達にポーションを提供しておく。
「もう動けるよな」
冒険者達の疲労や怪我は、俺が提供したポーションとエナジーポーションで回復されていることは確認できた。
「いや、あの、今度は腰が抜けて動けません」
しかし冒険者達は、今度は腰が抜けてしまっていて動けなかったらしい。
深々とため息を吐いた俺は、再び言った。
「しょうがねえなあ」
冒険者達が動けるようになるまで警護しておき、動けるようになったら一緒にダンジョンから出ることにした俺は、ゴライアスを俺が倒したことは口止めしておく。
口止めされた冒険者達は不思議に思っていたようだが、口を滑らせないように俺が厳しく言っておくと激しく頷いていた。
これで情報が漏れるようなら原因は、こいつらということになるだろう。
もし俺がゴライアスを倒したという情報が漏れたりした場合は、とりあえず、あの冒険者達を、ぶん殴っておくことにするか。
さて、このゴライアスの硬皮を椿に渡して、防具を作ってもらうのも悪くはない。
そう決めた俺は、椿の工房に向かうことにした。
竜鱗鎧化、ドラゴンスキン
出典、転生したらスライムだった件、ガビル
転生したらスライムだった件の主人公であるリムルの配下となり、蜥蜴族のリザードマンから竜人族のドラゴニュートに進化したガビルが更に進化して手にしたスキルが竜鱗鎧化
周囲の魔素を吸収して自己修復する装甲を形成するスキルであり、凄まじい防御力がある