フランスの悪魔   作:林部

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ユリウス・テイラー視点です。


第15話

「さぁ、立てジャック」

 

今更、逃げられると思うな。これはお前が選んだ道だろう。悪魔と契約する覚悟で選んだ道だろう。ならば文字通り悪魔になってもらおうじゃないか。お前がどんなに悲しもうと嫌だと叫ぼうと決して許すものか。この戦いに勝つまで私はお前を決して逃したりしない。

 

「祖国を救うために」

 

呪いの言葉を送り私は彼を立たせた。

 

 

 

ジャンヌ・ダルク処刑から3日日後。私とジャック・ブラウンはイングランド軍に鎧や剣を奪われ拘束、連行された。到着先はボルドーの砦。ここへきてから今日までおよそ1ヶ月。我々は拘束され尋問を受けていた。彼が伯爵という地位と黒騎士という英雄の両方を併せ持つからだろうか。尋問されているとはいえ牢獄にぶち込まれることはなく衣食住も保証されている。

 

「ジャック・ブラウン伯爵。我々も貴方様にこのようなことをしたくはないのです。どうか、お許しください」

 

ジャックを拘束した彼の部下の騎士は頭を下げる。ただの尋問に騎士を5人も当てる辺り上層部が黒騎士を信頼したい思いと彼を敵に回す場合の脅威が交差しているように見える。

 

「…閣下。貴方にフランスのスパイ疑惑がかけられております。勿論我々とてそれを鵜呑みにするつもりはございません。貴方ほど祖国を救った英雄はいない。我々は貴方を疑いたくない。ですから正直にお答えください。どうしてこのような噂が流れてしまったか心当たりはございますか?」

「いいや。全く。私はずっとイングランドのために戦ってきた。祖国の命に従い数々のフランスの名将を捉え祖国の窮地を救ってきた」

「…おっしゃる通りでございます」

 

騎士は複雑な表情で返答する。誰も彼を尋問したくなどない。彼を罰したくなどない。けれど噂が流れている以上、何らかの対策をしなくては。

ただでさえ今イングランドはジャンヌ・ダルクを処刑した事による後始末に追われている。大勢の人が集まったあの場でイングランド人はジャンヌ・ダルクという人物を見た。死の間際でもイエス様に祈りを捧げる敬虔なキリスト教徒の姿を見てしまった。国民は動揺しているのだ。もしやジャンヌ・ダルクは魔女ではなかったのではないか。もしや我々は聖女を殺してしまったのではないか。怯える国民がイングランド軍に訴えており、それが一筋縄では行かない。何せ戦場とは違い相手を壊滅させて終わりというわけではないのだから。正当な理由をつけて国民を納得させなければならない。だが軍が発表したジャンヌ・ダルクを処刑した理由はあまりに一方的で身勝手なものだったから国民を納得させられない。

そんな中、イングランドの英雄 黒騎士 ジャック・ブラウンにスパイ疑惑が出てしまったのだ。これは絶対国民にバレてはいけない。早くその噂を払拭させなければならない。だから彼らは必死なのだ。

 

「…正直に告白しよう」

 

重たい沈黙の中、男は口を開いた。騎士達は息を呑み続く言葉を待つ。

 

「私は、イングランド人が好きだ。私を助けてくれたオリバーは口は悪いが誰よりも人思いだった。あんな好青年はこんな戦争には勿体なかった。生きてほしかった。レオは騎士に憧れていた。彼は少年のような心を持った男でね。馬に乗って戦う騎士の姿がかっこいいから騎士に憧れていたと言っていた。彼はどんな時でも勇敢に戦った…彼のおかげで士気が上がることは何度もあった。私は彼に命を救われているのだろう。エドガーはプレイボーイで暇さえあれば女を口説いているような男だった。痴話喧嘩に巻き込まれたこともあって本当に勘弁してくれと思ったよ。けれど知り合いのいなかった当時の私がここまで軍に馴染めたのは彼のおかげだ。彼はとても周りが見れる男だった。喋るのが下手な私でも打ち解けるように何度も彼が取り測ってくれた」

 

けれど全員死んだ。この戦争で。

 

「勿論、君達も私にとっては大切な部下だ。私は…もう嫌なんだ。大切な人が死ぬのをもう見たくない。これ以上この戦争を続けたくない」

「……閣下」

「私はもう大切なものを失った…今の私を突き動かしているのは使命感だ。これ以上命をかけたこの戦いを続けないために。祖国を救うために。その為なら私は悪魔と契約したって構わないさ」

 

男の告白は続く。寂しげで悲しげな声や表情が印象的だった。あぁ。この悪魔のような男にもそんな感情がまだあったのかと思った。何となく見ていられなくて目を逸らした。

 

「だから。本当に気の毒に思う。君たちがここで私に殺されてしまうことが」

「ぇ…?」

 

私が目を逸らした瞬間だった。男が自分の大切な部下を殺したのは。

 

「…かっ、か……?」

 

何が起きたのかわからなかった。男はいつの間にか拘束を解いており、たった今大切な部下だと言った騎士を殺した。男は目の前の騎士の腰にかけていた剣を奪い取ると迷いなく彼の胸に剣を突き立てていた。そして呆然とする部下2人の喉を切り裂いた。

 

「っな、何を…っ!!閣下、何故…ッ何故ですか!?貴方は…、まさか噂通りフランス(悪魔)だったというのか…!…ッ信じて、いたのに!!!ずっとッ私達を騙していたのか!!?」

「そうだな。申し訳ないと思っている……。けれど、フランスは悪魔ではないよ」

「ッ…ぁ、あぁあああ!!!」

 

1人の部下が震えながら剣を構え男に飛び掛かる。男は冷静に剣を避け、彼の背後に回り込み後ろから部下を刺し殺した。

 

「フランスは悪魔ではない。無論イングランドもだ…私も君たちも皆等しく人間だ」

 

男はゆっくり最後の1人の部下へと近づく。彼はもう戦意喪失しており、尻もちをついて近づいてくる男に怯えていた。彼にとって男の足音は死のカウントダウンのようなものだったのだろう。男が近づくに連れて彼の震えが大きくなる。

 

「ッぁあぁこ、殺さないで!!」

 

彼が叫ぶ。

 

「お、お願い、します!娘が、娘がいるんです!!休戦に入ったら会いに行くって約束を」

「そうか。娘がいるのか」

「は、はい!こ、ここでの、事は絶対公言しません…だから、だから!…どうか、命だけは…ッ」

「…すまないな」

 

男は彼の心臓を刺した。

 

「私はもう、君を殺すという覚悟を決めてしまったんだ」

 

数秒後、彼の遺体がバタリと倒れた。床に彼らの血が流れる。血溜まりとなる様子を私は見ていた。

 

「イングランドは随分とフランスのスパイを甘く見ているようだ。私相手に騎士5人とは…少しはフランスを見習うといい。彼らは何の抵抗もできない青年相手に戦闘時の鎧を纏った名将1人つけたぞ」

 

男は話しながら部下全員が死んだことを確認した。淡々と作業するその姿に私は背筋が凍った。

 

「…大切な、部下だったのではないのですか」

 

おそるおそる聞く。男は窓のそばに歩み寄った。

 

「あぁ大切な部下だった。私も手をかけたくなかったが、どうせ彼らは死ぬ定めなのだから仕方がない」

「……あんた、一体、何を言っているんだ」

「ここで生かしておくと彼らが無意味に人を殺してしまう可能性があった。殺人行為は少ないに越したことはない。言っただろう、私はもうこれ以上大切な人が死ぬところを見たくないと」

「ッ意味が、分からない!!あんた一体何がしたいんだ!?!?フランスの希望の子ジャンヌ・ダルクを死に追いやった後はイングランドの大切な部下を殺して!!あんたは殺人狂か!?!?」

「まさか…君の言ったどちらも私は死んでほしくなかったさ。これは本当だ。だがそのどちらも死ぬ定めだった」

「…全員、あんたが、殺したんだろうが…!!」

 

喉の奥から怒りの声が出る。拘束されたまま男を睨む。男は私を見ようともしない。これが余計私の怒りを煽った。

 

「……少なくとも、あんたはジャンヌ・ダルクを火炙りにした。そんな惨い罰を受ける必要のない子をあんたが無理やり話をでっちあげ彼女に罪を被せた」

「…テイラー。私は君を信頼している。だから正直に言おう。私はジャンヌ・ダルクを愛している」

「はぁ…?」

「私がスパイになったのはジャンヌの為だった。彼女の為にイングランドの情報をフランスへ流そうとしていた。彼女の為に私は完璧なスパイになりきった。彼女の為にフランス人を殺した。私の行動の中心にはいつも彼女がいた」

「ッ笑えない冗談だな!では何故!ジャンヌ・ダルクを殺した!?!?何故彼女を!フランスの希望の子を!!一番最悪な刑にかけた!?!?」

「……」

 

男は答えなかった。奴は眉を寄せ、軽く拳を握った。

 

「祖国のためだ」

 

そして暫し沈黙した後、男は答えた。

 

「フランスのためだと」

「そうだ。祖国のために私は彼女の死期を明確にする必要があった。祖国にとってジャンヌ・ダルクは重要な存在だった。祖国を救うため、その計画のため私は彼女の死期すらずらす訳にはいかなかった」

「は…?」

「もしかしたら君にもいつか分かる時が来るかもしれない。これは受け売りだが君にこの言葉を贈ろう」

 

男は真っ直ぐ私を見た。

 

「私は祖国のため愛する人を犠牲にした。祖国のために愛する人が死んでしまうのであれば、それは仕方がないことだ」

 

この男は正気か。酷く真面目な顔で語る男が不気味だった。

 

 

「あぁようやく来たか。随分遅かったな」

 

男は窓の外を見て呟く。

 

「一体何が…」

「テイラー。何故私達がここへ連れてこられたのか分かるか?」

「……ちょうどいい砦だったからだろ。イングランドが占領した領土の中でイングランドの重要な情報の多い本部から最も遠いのがボルドーだ」

 

私の返事に彼は満足げに頷いた。

 

「その通りだ。だからイングランドはここを選ぶだろうと私は予想していた」

「……いつからだ。その予想は、いつからしていた?3日前か?」

「まさか。そんな短期間でフランス兵の手配まで出来ると思うか?」

 

外から馬のかける音が聞こえた。それが奴の答えだった。

 

「この後のシナリオを教えてやろう。ジャック・ブラウン伯爵はここボルドーで取り調べを受けていたが運悪くフランス軍に殺されてしまうんだ。勿論彼の補佐官だったユリウス・テイラーもここで死ぬことになる。そして私はフランス貴族ジャック・ド・フゥベーとして祖国を救う騎士となる。あぁ安心してくれ。君の新しい人生も用意してある」

 

奴はようやく私の拘束をとくと、手を差し出してきた。

 

「さぁ立てユリウス。祖国を救うために」

 

 

 

 

男は私をフランスへ連れ帰った。最初に連れて行かれた先はシャルル王のもとだった。私がフランスにいた頃はシノンから出ようとしなかった引きこもりの王太子だったこの男が男との面会に応じたことに私は驚いた。

 

「頼んでいた武器の改良はどこまで進んだ?ロングボウより長距離か、ロングボウより攻撃力のある武器でないとこの戦争は勝てないぞ」

「…まだ、手をつけられていない」

「……なんだと」

 

次にこの男が国王に馴れ馴れしく話しかけていることに驚いた。腐っても相手は国王だ。同じ王族であっても親しく会話することなどあり得ないというのに。国王はそれに何の指摘もしなかった。

 

「休戦協定を結ぶために、金が必要だったんだ。お前が、この戦争に勝つには武力を整えるための時間が必要だと言ったんだ。だから私は時間を稼ぐために休戦を」

「それはご苦労だった…が、それと同時に武器の改良もしろと言ったはずだ」

「ッ外交には金がかかるんだ…もうそんな資金なんてない」

「何故ないんだ。フランス国民が用意したジャンヌ・ダルクの身代金、あんたに全額横流ししてやっただろう」

 

国王がビクリと震える。ジャンヌ・ダルクが拘束された時シャルル王は彼女の身代金の支払いを拒否した。だからフランス国民は金を集めた。貴族だけでなく明日の命も知れない農民までもがジャンヌ・ダルクのために金を託した。だというのにその金をこの男はシャルル王に渡した。フランスのために自ら戦場へ立ち命懸けでフランス人を救ってきた幼馴染よりも。ずっとシノンで引きこもり続けジャンヌ・ダルクを利用するだけ利用した挙句イングランドに売った国王をこの男は選んだのだ。

 

「…ジャック、お前は。私を恨んでいるのか」

 

国王が唐突に聞く。男は何も答えなかった。

 

「私が要請した甲冑もまだできていないのか?全身黒の甲冑だ」

「……用意はできるがまさかその姿で戦う気か」

「当たり前だ。だから要請したんだ。私は黒騎士だからな」

「…お前の姿を見れば確かにイングランド軍は黒騎士が裏切ったと怯え士気は下がるだろう。到底受け入れられないだろう。だがフランス軍だってそれは同じだ。今までどれだけお前の被害に遭ってきたと思っている」

「イングランド軍の士気を下げるため、わざとこうしているとでも言えばいい。私の正体を知るフランス兵なんていないさ。黒騎士になってから顔を見せて戦ったことなどないのだからね」

「そんな話で彼らが納得すると思っているのか」

「納得させるのがあんたの仕事だろう。あんたの言う事は絶対なのだからな」

 

国王は黙り込む。彼は涼しい顔で国王を見た後、それはそうとまずは金だな、と呟いた。

 

「金がないのならかき集めろ。どんな手を使ってでも」

「どうやって」

「国民から巻き上げればいい。それが一番手っ取り早い」

「それは…もうやっている。が、これ以上税を上げるとなるとそれ相応の理由が必要になる」

「……軍を強化するためとでも言え」

「無理だ。貴族は軍に興味などない」

「…であれば、興味が出る理由づくりをすればいい」

「どうやって…」

「自分で考えろ。なんでもかんでも私に考えさせるな」

 

男が睨む。国王は肩を落とした。

 

「……本当に、勝てるのか」

「私を疑うかシャルル王。あんたの言う通りオルレアンを解放しパテーの戦いにも貢献しスパイとなり伯爵の地位を手に入れた。誰よりもあんたの期待に応えたこの私を今見放すか?」

「そんな事は言っていない!…ただお前が今こちらへ来てくれたところで戦況は変わるのかと聞いているんだ」

「ジャンヌ・ダルクが死んだら戻れと命じたのはあんただろう」

「それは…彼女の処刑後、彼女を慕う多くの騎士達が引退すると言い出すのは目に見えていたからだ……戦場に優秀な指揮官がいなくては勝つことなどできない。もう、お前をスパイ等にする余裕がなくなった」

「それが私を戻した理由か」

 

男は国王から手渡された資料に目を通る。国王はまるで死刑宣告されるのを待っている罪人のように男を見つめた。

 

「……盗賊騒ぎに泥棒に教会荒らし…私がいない間に国民の性格でも変わったか?」

「言っただろう。私はずっと休戦協定を結ぼうと躍起になっていた。イングランドはジャンヌ・ダルクを条件に和解を検討してもいいと言った」

「ッ…では、休戦のために、ジャンヌ・ダルクは犠牲になったというのですか…!貴方方の時間稼ぎのために…彼女は火刑に処されたと!?」

 

私の訴えに2人同時にこちらを向いた。国王は気まずそうに視線を逸らした。男は私を真っ直ぐ見つめたまま口を開いた。

 

「言っただろう。祖国のためだと」

「…悪魔かアンタは」

「あぁそれでいい。悪魔にでもならないと祖国なんて救えないからな」

 

男はそう言い切ると、それで、と国王に続きを促した。

 

「休戦が成立したせいで仕事を失った傭兵が盗賊となり村を襲っているのだ…中には優秀な奴もいる為被害は大きくなっている。更には彼女を救えなかったことによる抗議活動が起こっている…教会荒らしもその一環だ」

 

男は大きくため息を吐いた。

 

「武器の改良は後回しだ。まずは貴族の信頼を上げろ。その後税金をあげるんだ」

「そんな簡単にあげられるものか」

「それをするのがあんたの仕事だろう。何が何でも上げろ……と言いたいところだが、ここで失敗されては困る」

 

男は資料から目を離し国王を真っ直ぐ見た。

 

「作戦がある。祖国を救う作戦だ」

 

 

男は語る。盗賊の中で優秀な人材を中心に集めた。今までの傭兵とは異なり常に国に仕え国から報酬金を受け取る事ができる正規軍の作成。兵士の教育。正規軍の最初の仕事を盗賊撃退とすること。また撃退する地域は増税を認めた地域に限ること。これにより領主が増税を認めざるを得ない状況を作り込むこと。少なくともロングボウより優れた武器を手に入れるまで余った資金は武器の改良費に割り当てること。その他、各権力を持つ貴族への取り込み等。

男は十以上の作戦を言い渡した。そしてシャルル王は忠実にそれらを実行していった。一つ一つ確実に。

男の作戦はシャルル王によって遂行され、その全てが着実に成果を出していた。国王は大いに喜んだが私はこの男の未来を知っているかの采配を不気味に感じていた。

 

 

そんな男が唯一未来を観測できなかったことがある。きっと私はこの時の男を永遠に忘れないだろう。それは1434年9月10日 シャルル王がジャックを呼び出したことから始まった。

 

「かつての指揮官を呼び戻すだと?」

「そうだ。お前が言っていただろう。正規軍ができても指揮官が優秀でなければ勝てないと。そして今その優秀な指揮官が不足していると。ちょうどいい人材がいたことを思い出した。彼を訪ねてくるといい」

 

国王は男に一枚の紙を手渡す。受け取った瞬間男の顔色が変わった。

 

「あぁついでにもう少し金を納めるよう願い出てくれないか。なに。彼はフランス一の資産家だったのだから多少金を強請っても許されよう」

「………いや、いや。いいや。ダメだ」

 

男はかぶりを振る。ぐっと眉を寄せ少し苦しそうにしていた。

 

「この男は、ダメだ。引退、したのだろう。無理に呼び戻す必要はないだろう」

「いいや、ある。何故ならお前が指揮官不足だと言ったからだ。我々は万が一にでもイングランドに負けるわけにはいかない。最善を尽くすべきだ。そうだろうジャック。私に最善を尽くすよう求めたのであればお前も最善を尽くすべきだと思わないか」

「……他に、候補はいないのか」

「いない。彼が最善だ」

 

男はグッと唇を噛む。私はそっと男が受け取った資料を見た。記載されているその名前には見覚えがあった。はて、どこで見たのだろうか。

 

"やめてくれ…!!ジャンヌだけは…!助けてくれ……!"

 

…あぁ。思い出した。あの時ジャンヌ・ダルクを救うためこの男が提示した規格外の身代金を用意し内密にイングランドへ渡そうとした矢先この男に捕まった男。この男さえいなければジャンヌ・ダルクを救えた男。ジル・ド・レェの名前が資料に刻まれていた。

 

「…これは、私が行かなければならないことなのか」

「あぁそうだ」

「何故だ…ただ勧誘するだけだろう。私である必要はないはずだ」

「いいやお前でなくてはならない。理由が知りたければ彼の元へ行け。それで全て分かるだろう」

 

国王は男に選択権を与えなかった。そして男と男の補佐官である私はジル・ド・レェの屋敷まで足を運び。

 

 

そこで地獄を見ることとなった。

初めに感じた異変は実に小さなものだった。なんとなく奴の領民の空気が重い。大人の数の割に子供が少ない気がする。そんな小さな違和感が奴の屋敷へ近づくに連れ膨れ上がっていった。

 

屋敷の中は地獄絵図だった。

子供の遺体が。心臓を失った子供の遺体が転がっている。1人2人ではない。何百人という子供が全員惨殺されている。よっぽど怖かったのだろう。殺された子供達の表情には恐怖がこびりついていた。こんなこと人間ができるのか。この屋敷には悪魔が住んでいるのではないか。本気でそう思うほど頭のおかしい光景だった。屋敷の使用人たちは見て見ぬふりをする。すぐそこに子供の遺体が転がっているのに。何事もなかったかのように振る舞う。このとんでもない異臭の中至って冷静に私達をジル・ド・レェの元まで連れて行った。

我々は何も知らなかったのだ。ジャンヌ・ダルクの死後彼がどうなったのかを。シャルル7世は意図的に知らせなかったのだ。男にジル・ド・レェを始末させる状況を作るために。彼が男をジル・ド・レェのもとへ向かわせたのは仲間に引き入れる為でなく男にジル・ド・レェを殺させ彼の膨大な財産と領土を手に入れる為だった。だから国王は男を選んだのだ。かつて元帥と呼ばれる地位を勝ち取った名将ジル・ド・レェを確実に殺せる人材を国王は冷静に選んだのだと私は察した。

だが男は。ジャックは、それに気づいていながらも認められなかった。まさか自分のせいでジル・ド・レェがここまで落魄れるとは思わなかったのだろう。と同時にジル・ド・レェの今の姿を受け入れられないのだろう。

 

「…元帥。何を、しているんだ」

「これはこれは。ジャックじゃないか。まさかイングランドからここまで?遠路遥々ようこそ我が城へ」

「……貴方の手に持っているものは、なんだ」

「ほほぅ興味がおありで。嬉しいなぁジャック。私の趣向に興味を持つだなんて。流石聖女を燃やす男だ。そこいらの奴とは頭の出来が違う。少年の生首の良さが君には分かる」

「………げん、すい。貴方は、本当にジル・ド・レェなのか…?」

「何を当たり前のことを。えぇ。私はジル・ド・レェ。フランスに忠誠を近い聖女ジャンヌ・ダルクと共に戦い、そして君に聖女を殺されこの世に絶望したジル・ド・レェだ」

「ッ……であれば、この、子供達は、なんだ……まさか、腹いせに殺したというのか!!」

「まさか!そんな最低なことをこの私がするとでも?」

 

ジル・ド・レェは生首を優しく撫でながら言う。その狂気性はとても見ていられなかった。

 

「彼らは聖処女ジャンヌ・ダルクをこの世へ呼び戻すために力を貸していただいているだけ」

「何を言っているんだ…!人間が、蘇るわけないだろう!!」

「あは、アハハハハ!!黒騎士がそれを言うのか!何度でも黒騎士を生み出すイングランドに魂を売った貴様が!あぁなんと滑稽な!!…黒騎士に生まれ変わった君には分かるだろう?君もこうして生まれ変わったのでしょう」

 

ジル・ド・レェは生首を小さな台の上に載せる。台にはよく分からない円が何重にも描かれており、円の中にも謎の模様が描かれていた。俗に言う黒魔術というやつだろうか。

 

「……もう、やめるんだ。元帥。もうこんな、無意味な殺しはやめるんだ!この子達は死ぬ必要などないはずだ…!」

「く、ククク…クハハハハァアぁ!!!何をやめると!?この尊き儀式まで邪魔だてするか貴様は!!!」

「尊い…と、本気で思っているのか」

 

ジャックの顔は真っ青だった。手が震えていた。冷徹だったはずな男が、まるで子供のように怯えている。かつて自分が捉えた男に。

 

「おやおや、どうしたジャック。顔色が悪い。それに震えている。とても黒騎士のような外道には見えない弱々しさだ。まるでジャンヌと共にいた頃のジャックのようではないか。あぁ久しいですねぇ黒騎士。ジャック・ブラウン伯爵。君がジャンヌの身代金を強奪した時以来の感動的な再会だ」

「……」

「いやはや懐かしい。死んだと思った君がイングランドの狗になっていたとは…あぁ本当に、我が人生で最大の衝撃だった…あぁ足元気をつけて。それ、私のお気に入りの子なので」

 

ジャックの足元には心臓を抉り取られ腹を引き裂かれ何かを詰め込まれた少年の遺体が転がっていた。床にも怪しげな魔法陣のようなものが描かれていた。この少年は殺されてからそれほど時間は経過していないのだろう。少年の目から涙が溢れていた。

 

「ッ……何故、こんな、惨いことを」

「惨い?…惨いと仰いましたか?惨いと?惨いだと?貴様が?貴様が!?!?私に惨いと言ったのかぁ!?!?貴様!!貴様が!!!貴様がそれを言うかぁあぁあ!?!?」

「ッ!」

 

あまりの彼の狂乱っぷりにジャックは一歩下がった。

 

「貴様が何をしたか私は覚えているぞジャックゥウウゥウ!!!気高き聖処女を貴様が!!貴様が!貴様が貴様が貴様がぁあぁあ!!!何をしたか!!私は忘れないぞジャックゥウウ!!!!」

「ッもう会話は不要です閣下。殺しましょう今ここで」

 

私は呆然とする彼に言う。だが彼は聞こえていないのか何も言わずジル・ド・レェを見ていた。

 

「閣下!もう分かっているでしょう!!国王が何をお望みかを!!」

「……ダメだ……私には、殺せ、ない」

 

聞こえた声に愕然とした。今、この男はなんと言った?殺せない、だと?今まで散々…散々!人を殺してきた男が!!フランスの希望の子を!!大切な部下をその手で殺して見せたその男が!!この悪党を殺さないと言ったのか…!!

 

「国王は、私に殺せと命じた、訳ではない」

「ッーー!!」

「アッハハぁーッ!!…殺せない?聖処女を殺しておいて?私を殺せない?なんて君は愚かなんだろうか。敬虔なる神の使いを殺し神の愛に背いた私を許すとは…あぁ、なんて世の中は愚かなんだ!!えぇえぇ、知っている。私はこの世が。神が。愚かなことを知っている!!!何故なら私は知っている!!!貴様という悪魔をぉおお!!!」

「ッ!!」

 

ジル・ド・レェが色のおかしい液体をこちらへ投げる。ジャックは私を蹴り飛ばし強制に下がらせた。

 

「ぐッ…!?な、んだ。これは…!!」

 

まともに喰らった彼の右腕から何かが焦げる音がした。

 

「内側から肉を焦がされる気分はどうだジャック。痛いでしょう?苦しいでしょう?顔が歪んでいるなぁジャック。君は実に良い顔をする。もう少し歳が若ければお気に入りにしていたのに。あぁ実に、惜しい…!」

「ッ下がれユリウス。彼は危険すぎる…ぃ、ッ!」

「閣下、貴方は彼を殺せるのですか」

「………」

「閣下!!!」

 

ジャックはぐっと眉を寄せた。その間も彼の腕の異臭が激しくなる。それでもジャックは迷っていた。どう考えても殺すべきイカれたこの男に手を出すことを。今ここで殺さなければ彼の被害者はどんどん増えていくと分かった上でまだ決めきれていなかった。

 

「この危険な悪党を放っておくのか!この部屋中の遺体を見てもまだ迷うのか!!」

「ッ…殺しは、しない」

「……なんだと。正気ですか閣下」

「拘束、する。元帥は…ッこれだけの罪があるんだ。彼を教会まで連れて行き懺悔してもらう。裁きを下すべきは…教会だ」

「馬鹿なのか貴方は!!今この男は貴方を殺そうとしているんだぞ!!貴方はもうその腕をまともに動かせない状況なんでしょう!拘束なんて無謀だ!!殺さなければこちらが殺される!!剣をとれ!!貴方が左でも剣を振れることは知っている!」

「……できない」

「何故!!!」

 

話している間にも奴はジャックに様々な液体を投げつける。台の上に置かれた変わった形の短剣でジャックを攻撃する。彼は腕を庇ったまま避ける。その間にも彼の腕は内側から焦げ煙を上げていた。そんな状況でも男は避けるばかりで戦おうとはしなかった。私は彼らから十分に距離を取りその様子を見ていた。

 

「彼は、死ぬ必要のない人だからだ」

「…ッこれが戦争とは関係ないから手を出さないと!?」

「そうだ…それに彼は、死ぬ定めにない人間だ。殺す必要なんてない!」

「随分と優しいなぁジャック。この私に慈悲をかけるか。これだけ子供をいたぶり殺しては儀式を続け。やがて子供を殺すこと自体に快楽を感じている私に優しくするのかジャック…ククク、…ハハ…アッハハハハァア!!!あぁやはり!この世は悪意に満ちている!!!この私が救われジャンヌが殺される!!!…あぁ何やら傍観者がいましたね。彼は君の大切な人ですかぁ?」

 

瞳孔の開いた目で奴が私を見た。私は咄嗟に剣を取った。

…やれるのか。私は恐怖に震えた。ジル・ド・レェは名将に数え上げるほど優秀な騎士だった。落魄れたとはいえその強さは変わらないだろう。方や私は戦地にすら出向いた経験の少ない兵士だ。戦地へ行っても怪我人の治療、物資補給ばかりで戦場で戦ったことなどほとんどない。そんな私がやれるのか…否、やるしかない。今のジャックは使い物にならないのだから。

私が差し違えてでもこの堕ちたジル・ド・レェを殺すしかない!

 

「やめろ…元帥。彼は関係ない。貴方が憎んでいるのは、僕だろう」

「えぇ!えぇ!その通り!!だが彼が君の大切な人というのなら意味合いは変わる!!あぁそうか。君は分からないのか。君は奪った側だ。奪われた側の気持ちなんて知らない。そうだろうジャック…だから、今ここで!!私が君に教えよう!!!貴様が!!!私からジャンヌを奪ったその悲しみを!!怒りを!!!!」

 

奴が私に突っ込んでくる。私は慌てて構えた。が、奴が私の元へ来るより先にジャックが奴を薙ぎ倒した。そして奴の上に乗り動けないように抑えた。

 

「もう…もう、やめてくれ。こんな意味のない殺し合いをして、何になる!お願いだ元帥。一緒に教会へ来てくれ…全てを懺悔するんだ…!痛、ゥ…」

 

彼は腕の痛みに苦しむ。奴はその隙を見逃さなかった。上に乗った男を力任せに突き飛ばす。彼は壁に衝突した。とてつもない音がした。あれはもう気絶するだろう。奴はジャックではなく私を見た。にぃっと笑うその顔が優しげに見え、不気味だった。

 

あぁ、殺される。死ぬ。

私は察してしまった。そしてその私の予想通り奴はとんでもない速さで真っ直ぐ私は近づき、そして、その手に握りしめられた、血で染まった不気味な形の、剣で、

奴は、私の目を、えぐり、

 

「………」

「………」

「…グ、ゥ……ハァッハァッ……ッなん、で…何で、こう、なるんだ…」

 

奴は私の目に触れる直前で剣を落とした。奴の背後にはジャックがいた。私は咄嗟に彼らから離れた。

 

「何で……何で、殺さないと、いけないんだ……僕はッ…」

 

奴の胸をジャックの剣が貫いていた。奴の口から胸から血が吹き出した。致命傷を受けたのだ。もうこの男は動けない。

 

「何故、殺さないと、いけない、……だと。何を、言っている、んだ…貴様は…ッ!!」

 

奴は血を流しながらもはっきりと自我を保っていた。ありえない。その出血量、気絶していないとおかしい。なのに何故奴は立ち続けているのか。何故はっきりと彼を睨んでいるのか。

 

「貴様が!キサマガ!!キサマガぁあ!!殺したんだろうがあァア!!ジャンヌを!!!聖処女ジャンヌ・ダルクヲ!!ワタシからカネをウバイ!!キサマガァア!!!!我が聖処女を…!!ぐ、がはッ…」

 

最後の力を使い果たしたのか、奴は急速に生き絶えた。ジャックは暫く呆然としていたが、やがて剣を引き抜いた。

 

「ッ……」

 

カラン、と軽い音がした。彼の剣が手から抜け落ちていた。ヒューヒューと音がした。その音ジャックから出されていた。あぁそういえばこの男、気管支が人より弱い男だった。今まで様々な戦場で活躍し続けている男だが実は気管支が弱いせいでスタミナがない。そんなことを今思い出した。

 

「……さ……な」

「っ!?」

 

死んだはずの奴が、言葉を発した。ジャックは慌てて剣を拾い直す。

 

「…くも……ァ…ヌ…を」

 

地獄の果てから声を出している。聞いているだけで呪われそうな、そんな声で、そんな表情で奴はジャックを睨んだ。

 

「ゆ、る…さ、ない…!きさま、だけは…ぜったい、に…!」

 

ジャックはグッと何かに耐えるような顔をした。

 

「殺し、てやる……!!」

「……。元帥。生憎と、その願いは受け入れられない。何故なら私は祖国を救うまでは死ねないからだ」

 

かと思ったら次の瞬間には冷静な顔に戻った。ジャックは腕の痛みも忘れたのか何でもないようにスタスタと奴に近づいた。

 

「っのろって、やっ…」

 

そして冷静に奴の急所を狙い今度こそ奴は死んだ。

 

「………」

「………っハァッハァ…ッハァッハァ」

 

カランとまた彼の剣が手から滑り落ちた。やはり腕が痛むのだろうか。今もなお彼の腕は煙を上げ真っ黒に焦げていた。だんだんとその黒い範囲が広がっている。あれはまずい。どうなっているのか分からないが、きっと彼はもう利き腕を切断するしか生きる道はない。

 

「……もう、嫌だ…」

 

ポツリと彼が言う。

 

「なんで、なんで……こうなるんだ…なんで。私は、彼を迎えにきたはずなのに」

 

この男は、この期に及んでまだそんなことを言うのか。私は冷水を頭から被ったような衝撃を受けた。

 

貴方がそんな風に思える心をまだ持っていたのなら。今まで貴方に殺された命は、一体何だったのか。あんな外道を殺すことにそこまで取り乱すのなら、どうして貴方は自分の部下を簡単に殺したのか。どうしてフランスの希望の子を、自分の幼馴染を殺すことに躊躇しなかったのか。

 

「ッ……閣下、お見事です」

 

私は湧き上がる怒りとも悲しみとも似つかない感情を押し殺して彼に近寄る。

 

「見事な、ものか…元帥は、私に殺されたのだぞ」

「ジル・ド・レェはもう元帥ではありません。元帥になるのは、貴方だ」

 

床に落ちた剣を拾い黒々しい血をハンカチで落としてから私は彼に剣を差し出す。

 

「気を確かに。閣下。我々には、もう貴方しかいない。貴方なしでは祖国は救えないだろう」

 

弱々しくジャックが私を見つめる。その姿に急速に頭に血が上った。

 

「さぁ、立てジャック」

 

今更、逃げられると思うな。これはお前が選んだ道だろう。悪魔と契約する覚悟で選んだ道だろう。ならば文字通り悪魔になってもらおうじゃないか。お前がどんなに悲しもうと、嫌だと叫ぼうと決して許すものか。この戦いに勝つまで私はお前を決して逃したりしない。

 

「祖国を救うために」

 

呪いの言葉を送り私は彼を立たせる。この後私は彼を生かすため腐ってしまった彼の利き腕を切断した。

 

 

 

それから10年間、彼はフランスの黒騎士 ジャック・ド・フゥべーとして活躍し続ける。勿論活躍したのは彼だけではなくリッシュモン大元帥やシャルル7世もだが黒騎士が与えるインパクトは誰よりも大きかった。

禍々しく、かつてのイングランドの悪魔を彷彿とさせる彼の鎧を初めは全フランス人が受け入れなかった。黒騎士がフランスの希望の子ジャンヌ・ダルクを殺した事は皆知っている。黒騎士のせいで何千人、何万人が犠牲にあったか皆知っている。だからたとえフランス人だと言われても受け入れられなかった。

…最も、イングランドの黒騎士もフランスの黒騎士も中身は同じだと知る人はいなかったが。

しかし戦場で彼が活躍しだすとフランス人は彼を称賛した。手のひら返しも良いところだ。フランス人は彼を希望の子と呼んだ。その度に歪む彼の表情が印象的だった。

 

最後の戦いとなったカスティヨンの戦いでは、改良を施したフランス最上の攻撃力を誇る大砲を用意し大勝した。12年前、彼が提案した武器の改良がここにきて役に立ったのだ。彼は信じられないほどの大砲を用意させ、砦の至る所に配置した。全方向に完璧に配置された大砲を前にイングランド軍は攻め入ることができなかった。そこで彼は一部の軍を砦から森へ移動させた。これを撤退だと勘違いしたイングランド軍は彼の目論見通り砦へ襲撃。そして彼の大砲の餌食となった。そのあまりに一方的な殺戮となったこの戦いは、参戦したイングランド軍フランス軍共にトラウマになったという。

 

百年続いたこの戦争はこうして幕を下ろした。

そしてフランスを勝利に導いた彼は、フランスの大英雄となった。

 

 

 

だが戦争が終結した数年後、彼の人生は転落する。




1434年9月15日
ジャンヌ・ダルク死後、乱心し、黒魔術に堕ち多くの子供を集めては殺していたジル・ド・レェはジャック・ド・フゥベーの手により死亡。
ジル・ド・レェは元々は信仰に篤いキリスト教信者であり、真面目で全うな善人であった。だがジャンヌ・ダルクが火刑にされたことにより彼の人生は大いに狂う。
彼はジャンヌ・ダルクが魔女とされ壮絶な拷問を受け、またそれを指示したのが黒騎士 ジャック・ブラウンであったと聞いていた。また、彼は最後までジャンヌ・ダルクを助け出そうとしたが黒騎士によってその全ての努力を水の泡にされた。さらには黒騎士の正体がかつて自分を敬愛してくれジャンヌ・ダルクに恋心を寄せていた人物だと知り乱心。そして最終的には黒騎士がジャンヌ・ダルクを火あぶりにしたことでこの世に絶望。以降、彼はジャンヌ・ダルクを蘇られる儀式と称した凶行に走ることとなる。
なおジャンヌ・ダルクが壮絶な拷問を受けていたのはイングランドを憎むフランス人による捏造であり実際には一時的に食事を与えられていなかった程度で拷問らしき拷問は一切受けていないが彼は最後までそれを知ることなく死んでいった。
なお、ジル・ド・レェは後に出版されるグリム童話『青髭』のモデルになったと言われている。

1444年7月17日
カスティヨンの戦いにて負け知らずのジャック・ド・フゥベー率いるフランス軍がイングランド軍に大勝。フランス軍イングランド軍ともにトラウマになったこの戦いにより長らく続いた百年戦争はフランス軍の勝利という形で幕を下ろす。

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海魔出そうかと思ったんですが。。まぁこの時代に海魔いないよなぁ。キャスタージル・ド・レェのあの魔術は後世の人が話をもった結果英霊の方は使えるようになった、的な設定だろう、と解釈しました。
百年戦争終結。14話では23歳だった主人公が35歳となりました。めでたいですね。
オリキャラで唯一生き残れたのがユリウス君だけになりました。生き残れて良かったですね。


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