なんだかんだあって、もう帰る時間になった。
結局博物館以外まともに回れず、その間に倉田は二回ほど攫われかけた。
何が狙いなんだか全くわからんが、これからも用心しなければ。
「カノンー」
「...なんだ」
「バスの座席変わってくれねえ?」
「...断る。外部生同士で組まれるように仕向けたんだから素直に従え」
帰りのバスも、行きと一緒の座席。
席替えがめんどくさかったか、俺と倉田という外部生ペアをそのままにしておきたかったか。
「えー...」
怜人は文句を言いつつも、荷物の準備に取り掛かった。
それに倣って、俺も荷物を詰める。
「...こんなもんか...ん?」
そういえばと入れていたサブ端末の通知が光る。
「...あ」
追加資料とか言われてたのを忘れてた。
確認しなければ。
『追記
楽しむこと。感想を待つ』
「...んなもんPDFで送ってくるなよ」
重要文書ではなくてほっとしたのも事実だが、口で言ってくれた方が遥かに親切である。
落胆半分、安堵半分でサブ機をカバンの中に戻して、一息つく。
「カノン、そろそろ時間だ」
「...了解」
部屋を出て施錠、鍵を受付に返し、バスに荷物を積んで座席順に並ぶ。
「また、隣だね」
「...そうだな」
不器用な笑顔だなと、彼女の笑顔を見て思った。
「全員荷物は積んだな?では乗り込め」
まるで軍隊みたいな指揮でバスに乗り、シートベルトを締める。
2日間、ろくに寝てない上に仕事続きだったので、体が疲れているような気もするし、なんだか思考が回らない。
「...カノン君...?」
「なに...?」
「その、頭、こっちに来ても、大丈夫だから...」
「ん...ありがと...」
普段の俺なら絶対この手のお誘いは断るのだが、激務に流された俺の体は理性を放棄したようで。
程なくして俺は意識を手放した。
「合月、カノン...くん」
隣で座り、私の肩に頭を置いて寝ている彼の寝顔を見る。
同じ班で、同じ外部生で、でも、私よりとっても強くて。
班行動の時は後ろにいたから見えなかったし、その途中で停電になっちゃったし。
まじまじと見る機会がなかっただけに、その分だけ見てしまう。
すごく整ってて、かっこいいなって思う。
「ん...」
あ、起きちゃうかな。
特に何か弄ってたわけじゃないけど、焦っちゃう。
「ぅ...んん...」
「あっ、おはよう、カノンくん」
「...おはよう。まだ着いてないみたいだな」
「うん。でも、もう少しだって言ってたよ」
「そうか」
カノン君はそれだけ言って、カバンから本を取り出して読み始めた。
何か難しい本を読んでるみたいだけど、全くわからない。
でも、読んでる時の横顔も様になってて、ちょっとかっこいいって思っちゃって。
「...倉田?」
「ふぇ!?」
「声が大きい。どうした?顔が赤いけど」
「な、何でもない...」
「なら、良いけど」
なんで、こんなにドキドキしちゃうんだろう。
まだ、顔と名前しか知らないだけなのに。
こういうのは、ちゃんと、段階を踏んで...って、何考えてるんだろう、私。
アニメMyGOがよくてさ(言い訳)
多分7月終わりぐらいにもう1本出ます、俺のやる気と気力次第で