ーー仕事に私情を持ち込むな。
それが、俺のモットーであり、上から与えられたただ一つの共通事項だった。
私情はすべてを狂わせ、やらなければいけないときでも判断を誤り、命を落とす。
そんな事例が多々起こると、厳しく言われてきた。
しかし今、俺はそれを破ろうとしている。
正確には、破っている最中だ。
そうじゃなければ、こんなこと、絶対にするわけがない。
護衛対象と、同じ寝床に入るなど。
「ご、ごめんね。巻き込んじゃって...」
「気にするな。俺もお前も被害者だ」
「...んなわけあるかっ!!!」
叫びながら目覚めたのは人生初だ。
「何なんだ一体、なんだ今の夢...」
あまりにも解像度が高過ぎた同衾の夢だった。
隣に人の気配はしないので、夢と認識したのは今さっき。
何だったんだ本当に。
「疲れてんのかな...顔でも洗おう」
正直まだ寝ていたかったが、これ以上寝ても逆に体に悪そうなので起きることにする。
夢見が悪いのは寝てても不健康だ。
今日明日が休みでよかった。
守らねばならない対象を直視できないのは仕事ができないのと同義だから。
「代償...なわけないな。予知、ってわけでもないだろ...逆夢か?」
夢で見たことの逆のことが降りかかる夢。
同衾の逆...。
「...死ぬのは俺だけでいいんだ」
誰も犠牲にならなくていい。
「...というか、この仕事」
入学前にもらったこの資料。
十分すぎるぐらいに護衛対象の情報が記載されてる。
普通に調べただけだろうが、何か引っかかる。
何だ、この違和感は。
「...ダメだ。考えなくていい。そんな事」
今の俺は、仕事を忠実にこなせばいい。
それだけできれば、別に何も。
『...だいぶ乱れてるね。どうするの?』
「いや、むしろ年頃って感じでいいじゃないか」
薄暗い部屋、不規則に触れるグラフを見て嗤う人影が一つ。
『ふーん。そういうもんかな』
「そういうものだよ。そうでなければ意味がないのだから」
興味があるのかないのかわからない音声が一つ。
「彼の成長は目覚ましい。むしろ今まで人間と関わらせていなかったからね、この反応が正常ということも言えるかもしれないが」
『...どうでもいいなー』
「まぁ、そう言うな。お前の成長の糧にもなるんだから」
『いらないよ。女と関わった奴のデータなんて』
「人生においては命の次に大事な価値観だ、覚えていて損はないよ。さて...」
人影はゆらりと立ち上がる。
『あれ、出掛けるの?』
「あぁ」
人影は、口元を歪めて。
「少しだけ、乱暴しに行くのさ」
始めと終わりだけ浮かんでて、中盤とか思いつかないの、作家様ほとんどが首が捥げるぐらい賛同してくれると思うんですけど、どうです?(後書きに書くことがなかった)