仕事人、護り人になる   作:ユイトアクエリア

2 / 15
接近

さて、最初の難関だ。

どうやらオリエンテーションと林間学校を兼ねて、一泊二日で学園が所持している博物館見学と、その他様々な場所を見て回るらしい。

 

ここで一番の鬼門なのは、いかに守護対象に近づけるか。

班分けで同じになれればよし、そうでなければアウト......ではないにしろ、かなりまずい。

 

宿泊先の部屋割りに関しては、男女という性別の壁がある以上仕方ないし、割り切る。

外部生だからと言って、部屋の中でいじめるような気品のない奴らではないだろう。

 

まぁ、俺も外部生として入学してきているし、いじめられる確率としては俺の方が高いのだが。

そんなことにはならないし、一応元黒服だし。

いや、俺の話はどうでもいいな。

 

「では、今から班分けを行う。班の中には少なくとも一人以上外部生を入れること」

 

クラス担任が気を利かせたのか、それとも嫌味で言ったのかは知らないが、1-Aにはそこまで外部生が多いわけじゃない。

というか、この学園に外部生で入れること自体、結構すごいことなんだと事前情報で聞いている。

俺も試験問題を解いたが、今までのどの高校よりも格段に難しかった。

 

そういう点で行くと今回の護衛対象、結構頭は良いと言えるだろう。

 

おっと、危ない。

ハブられる前に俺も班に入れてもらわなければ。

 

「お、ちょうどいいや、そこの二人!」

 

声がかかる。

俺の右肩付近を指さし、その先を追うと、守護対象の顔が。

 

「お、俺たち?」

「そう!人数もそれで埋まるし、声かかってないなら、こっち来てくれよ!」

 

気さくな男がこちらに手招きをする。

ちょうどいい、彼女も一緒なら、ここに混ぜてもらおう。

 

......しかし、お金持ち、という言い方には語弊があるが、階級が上の方の人間が指を指すのはいかがなものだろうか?

 

「ありがとう。ちょうどハブられるんじゃないかと怖かったんだよ」

「ははは!そうなったら教師と一緒に回るんだよ!」

 

なし崩し的ではあるが、班に入れてはもらった。

彼女も一緒、これは護りやすくて好都合だ。

 

「全員、行動班は決まったな?では、先日もしただろうが、軽い自己紹介で、お互いを知っておいてくれ。班員の顔と名前ぐらいは一致させておくように」

 

確かに、一理ある。

 

「じゃ、俺からだな!蒼藍 怜人(そうらん れいと)だ!よろしく!」

 

怜人......一文字少ないが、将来大学教授になりそうな名前だ。

きっと親は考古学者なのだろう。

ついでに5年ぐらいコールドスリープしてそうだ。

 

「俺、か。合月カノン。よろしく」

「カノンか!よろしくな!名前かっけえな!」

「あ、あぁ。ありがとう、でいいのか?」

 

やりづらい。

が、このくらい陽気なやつがいてくれた方が良い。

 

「じゃあ、私だね。二葉(ふたば) つくしです!知ってると思うけど、学級委員長だからね!」

 

責任感が強すぎて逆に空回りしそうだ、見かけたらフォローする準備ぐらいはしておくか。

 

「......え、えっと、倉田、ましろです。その、よろしくお願いします」

 

とりあえずこれで班員の把握はできた。

クラスメイトにも一応の危険はないようだし、この林間学校中は警戒は緩くてもよさそうだ。

けれど、決してゼロにはしない。

それは、仕事人のプライドでもあるから。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。