転生してもメガネで冴えない小デブなのでヤケクソ 作:リデルJr.
我、前世から興味のあったラノベ執筆に励んでみむとてするなり。ただなろうとかに投稿するとバチボコに叩かれるのが目に見えているので、誰か読んでくれる人柱を探すか、ひたすら書き溜めておくか。……書き溜めかな。
ネットでポチポチ書くのもいいが、古の文豪のように原稿用紙に書き殴るのもロマンがある。どちらにするか、それを決めるにはとある儀式が必要になる。
そう、俺がガンダムだ! 作戦である。この世に古今東西老若男女を魅了するような神作家が居ないのならば、この小デブこそがその神作家になりきるのだ。もしもその神作家なら……。
……書き殴るよな、うん!
筆が進むに任せて想像力をフル活用し、原稿用紙30枚近く文字を書いた。鉛筆を握っていた手が心地よい痺れを感じさせる。小指の横側が真っ黒だ。
今回主人公のモチーフにしたのは自分自身で、その古風な名前からラスト・サムライという設定を付けた。このサムライが異世界召喚され……、という展開だ。
3人の美男美女との奇跡的な会合を果たした入学式の日から早3ヶ月。周りを取り巻く状況は依然変わらず、痩せもせず、かといって高校デビューをする旨の所信表明すら実行できずにいた。相変わらず教室の隅で読書をするだけの生活に、もしや転生した意味がないのではと自問自答しそうになるが、それと同時にそもそも何事にも意味を求める方がナンセンスなのだと自身を納得させる。それに今世では前世ではノータッチだった分野の本も読んでいるから意味が無いわけではない。
体育の時間ではペアを組む相手が居ないため、教師か別クラスの余った人と合同で授業をこなし、昼食は黙々と自分の席で食べる。放課後は特に寄り道をすることなく自宅に直帰し、何もしていないのに気が付けば朝を迎える生活。張り合いがないが故に、程々の充実感を与えてくれる日常。別にコレでも充分満足だ。
キラハピ☆成分は幼女向けのアニメで補給できるし、なんなら最近の深夜アニメも日常ものが流行りだしたので、補給先が増えたぐらいだ。はぴはぴ。
そう考えると、激しい喜びはないが深い絶望もない、平穏で波の無い「植物の心のような生活」こそ我が人生においても望ましいものなのかもしれない。勿論小デブだけあって食べることは大好きだが、殺人衝動がないだけ幾分マシというものだろう。
書き殴った物語をクリアファイルに閉じ、学習机の最下段の棚に仕舞う。さて、とりあえず明日からも頑張って行こうか。