転生してもメガネで冴えない小デブなのでヤケクソ 作:リデルJr.
天高く馬肥ゆる秋、読書の秋、一葉落ちて天下の秋を知る。デブにとっては秋だけに留まらずオールシーズンなこのことわざ。天気が良かろうが悪かろうがデブの食欲は常に旺盛であり、陽キャから会話に誘われることがない為日がな読書で時間を潰す、そして常に人間観察を怠らない陰キャの瞳はそれなりの精度で生徒たちのグループが迎える未来を予測できる。おいおい、デブ大活躍ではないか。とはいえこの有能さを誰かに見せびらかす様なこともないので、一人静かに微笑むのみ。ぐふふ……。
さて、季節は未だ初夏を迎えたばかりであり、冒頭の秋の諺とは一切関係がない。ならばなぜ出したのかと言われれば、現在書いているラノベの作中時間が秋を迎えたからである。それにしても季節の催し物と縁のない生活を送ってきたために作中時間の経過が早い早い。春には花見、夏には花火、秋には月見、冬には好きを伝えるイベント等々。経験したことのないことでも、無駄に前世今世と主観で見れば長い時間生きているので想像はできる。なので作者視点でも読者視点でも薄っすいイベントを消化することで文章量を微増させ、原稿枚数を盛るのだ。
さて我が友人とそのハーレムについてだが、なんとまあ先日旧校舎に置き忘れていた自作ラノベを読んでくれたらしく、その感想が友人からメールで送られてきた。時刻は夕方、デブうきうきである。3通も届いているので、先に送られてきたものからゆっくり読んでいこうと思う。
1通目:あまりにも長文な為、箇条書きで記す。
・当て字にもなっていない振り仮名を付けるのは見苦しい。
・「てにをは」の接続詞が滅茶苦茶。
・起承転結は最低限用意した方が良い。
・主人公は自身を剣豪「将軍」と称するならば、まずは指揮官としての能力を発揮させるべきであり、毎回戦闘時に先陣を切るのは常識としてあり得ない。
・貴族や軍隊などの階級について、もっと理解を深めておくべき。
・
・
・
・正直、読んでいて苦痛ですらあった。
2通目:1行しかなかった為原文まま
・おはなしはよく分かんなかったけど、むつかしい漢字いっぱい知ってるんだね!
3通目:心が折れたので最後の一文のみ抜粋
・で、これなんのパクリ?
こ、殺される……。送り主は3通とも友人な為、実際は誰が発言しているのかは全くの不透明であるはずなのに、誰がどれか分かってしまう……。初対面の時の対応がまずかったのは自覚しているが、普通こんなにも嫌われるものだろうか。やはりデブだからか!?
泣きそうになりながらも5回スクワットをしたら、膝が痛くなって辞めた。そんな自分が情けなくて普通に涙が出てきた。天低くデブが泣いた夏、読者の心は冬、原稿落ちて文才の飽きを知る。