ゲヘナ学園では―――いや、キヴォトスでは銃器や銃弾の流通が盛んで入手が大変お手軽なのである。
コンビニやホームセンターには各種口径の銃弾やマガジンがファンシーなパッケージに入って棚に並んでいるし、店頭に並んでいる種類こそ少ないものの雨傘くらいの気軽さでハンドガンやアサルトライフルだって販売している。
「つまりジャンク品やスクラップパーツから銃器を作れる自分(ハクア)が、銃器を販売して生計を立てるには大変不便な世の中なのである……!」
……不良品の粗製銃器(サタデーナイトスペシャル)が大量流通していたロスサントスでは、信頼性の高い銃器を求めるお得意様が多かったので寂しい限りである。
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リサイクル研究会の直営ショップ。自分の住居や工房のある建物の一角。
駅にあるキヨスクサイズの出店で自作の銃器や銃弾を展示販売しているものの、一般客は笑えるくらい来ないのだ。
「わかってはいるのだ、実用的ではあるがデザインが『かわいくない』というのは」
自分が作れる武器は複数系統あるのだが。
ウェイストランド(核戦争で文明が崩壊したFallout世界)系の武器は性能も良いし、弾薬は「ライフルでも拳銃でも、とりあえず口径が合っていれば撃てる」という利便性の高さもある。
その上に泥水を被ろうが水没しようが、数回空撃ちして機関部の水や泥を払えば暴発の危険も無く動作する、抜群の信頼性なのである。
反面、どれもデザインが大変古くさい。戦前米軍制式型のアサルトライフルなんて、丸みを帯びた太い筒みたいな代物である。
ストレートに言うと信頼性と反比例して”クソダサイ“のである。
ロスサントス(治安と倫理観がロアナプラ以下)やタルコフ市(生存者が物資を求めて奪い合う修羅の巷)系の武器は、ウェイストランド系に比べればスタイリッシュなデザインをしている。
そして何よりもオプションパーツの充実っぷりが1番の売りなのである。
拳銃に拡張バレルをつけて、ドットサイトとドラムマガジンにフォアグリップと折りたたみ式の拡張ストックをつけて元の拳銃の3倍くらいのサイズにできる魔改造だってできる。
しかしだ、銃器につけるオプションパーツが増えるほどゴテゴテとした見た目になっていく。
男の子なら心がくすぐられるかもしれないが、キヴォトスの学生は女子ばかりだからか、銃器を実用品として性能を求める一部の層(ゲヘナの風紀委員)くらいしか需要が無い。
我が輩はガンスミスとして一流を自負しているが、色つき強化ポリマー製のビーズとか使って「イイ感じにイケている風にデコってよ」とか、ゆるふわな注文されても、困るのである!
なので、直営ショップはカウンターにベルを置いて『お会計の際はベルを鳴らして下さい』と看板をおいて放置しているのである。
「今日も商品を買う客が1人もいなかったである。無駄な重量になるの承知で、原色や蛍光色の合成樹脂カバーでもつけて売るであるか……レイダーのクソダサスカル装飾や、金メッキ・銀メッキ系だと思えば。うぐぐぐ!」
リサイクル研究会・直営ショップ『実用一本』、閑古鳥の団体様に長逗留されつつも好評営業中なのである!
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さて、今世の世界には「神秘」という不思議(ファンタジー)な要素がある。
意識の覚醒と同時に頭上へ展開されるヘイローと、ヘイローがある限り異常な運動性や耐久性を見せる女生徒の時点で不思議ではあるが。
自分(ハクア)は自宅・店・研究会の敷地内(ワークショップ範囲)なら、物質を素材への分解・工具などを使用して素材から完成品への組み立てが出来る。
そこで、フリーマーケットやブラックマーケットで買い集めた「神秘」を含む物質(初級・中級品質オーパーツ)を解体してみたのだ。
「……できてしまったであるな」
工房のテーブルの上にあるのは『ジャンク品:神秘/数量243』という、ガラス瓶に入った、青白い光を放つ液体金属。そのガラス瓶がどさぁ……と山になっている。
「不思議な物品(オーパーツ)から抽出できてしまったが、これ簡単に抽出できたらまずい代物なのではなかろうか?」
(※露見したらゲマトリア、特に黒服とベアおばがダッシュして確保しにきます)
「……厄いっぽいので、実験で消費してしまうである」
工房の一角にあるケミカルステーション(科学薬品加工台)、ベタな科学実験か錬金術士のラボっぽい器具が並んだ加工台へと移動する。
「コンビニで買ってきたミネラルウォーターを500ミリ、そこに神秘を50単位、核物質を200単位、砂糖を10ケース、酸を20単位、これで煮詰めると」
大きなフラスコに素材を入れて火をつけつつ攪拌(かき混ぜ)。
実験と言っているが、フィーリングでやっているのである。
ちょっと食用に耐えられ成そうな代物でも、核物質か酸と混ぜれば何とかなるのである(ウェイストランダーの経験談)、実際に酸性洗剤と砂糖を混ぜたらレモネードが作れたのだ(※ゲーム内で実際にあるレシピです)。
神秘とやらも核物質と酸と混ぜればイケルイケル。
「ううむ、ビーカーの中にある液体が神々しい感じの光を放っているであるな……」
煮詰めたら太陽光のような光を放ち始めたのである。
ユリのような香りとリンゴーンリンゴーンと鐘のような音まで、ビーカーの中から聞こえている。
実にファンタジーである。
「そこで砂糖を10ケース追加して、飲みかけのコーラを混ぜるである」
神々しい何かを穢すがごとく、ビーカーへ砂糖をドバドバと追加し、近所にあるエンジェル24で買ってきた飲みかけのコーラをドボドボと入れる。
「安定してきたのを瓶に詰めれば完成である!」
クラフト結果→『ヌカ・コーラ・エルダーミスティック』×1
「さて、効能は……と。色合いは今更であるな」
ステンドグラスのように何色もの細やかな色彩へ変化する、神秘的なゲーミングコーラが詰まった瓶を左腕についた古めかしい機械でスキャンする。
『ヌカ・コーラ・エルダーミスティック HP70%回復・RAD+350・コスト回復15・神秘+50・重度被爆により内臓損傷の可能性大』
「神秘が50増える。どんな単位でどう増えるか謎であるな……そしてVaultボーイ的には放射線物質が含まれたコーラはヌカ・コーラに判定するのであるか」
「せっかくだから飲んでみるである」
キュポン!と音を立てて瓶を密封していた王冠を外し、ゴクゴクゴクと一気に中身を飲み干す。
「……普通に美味すぎるだけのコーラであるな」
RAD+350(HPの上限が35%削れる)は体にだるさを感じるので、放射性物質を抜く薬品を静脈に2本まとめて撃っておく。
「ううむ。身体能力に若干バフが入っているような……?」
『ハクア ☆1 神名解放 0/30→ ☆2 20/80』
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以下2話おまけ
銀魚(しらうお)ハクア
学園:ゲヘナ学園2年生 所属:リサイクル研究会
年齢:16歳 誕生日:2/16
身長:130cm 趣味:ジャンク品収集・ミネラルウォーター飲み比べ
容姿:整った人形のような幼女 雰囲気:ゆるふわ
髪色・髪型:銀髪のストレートロング 目:ぱっちりと大きい明るい翠色の瞳
好きなもの(表):イオリ(親友的な意味で)・真面目な生徒・そのお手伝い
好きなもの(裏):イオリ(性欲的な意味で)・女の子全般・酒池肉林・真面目な子を堕落させる事
大きな古めかしいロボットのような乗り物で、リサイクル回収業をしている外見幼女
いくつもの世界を体験してきた転生者でもあり、大本の性別は男であるが、TS慣れしすぎて女性との振るまいも(性欲の対象が女性のままである事を除けば)ほぼ完璧である
キヴォトスの各地に出没し、仕事が少ない時は所有者が消えた廃ビルを解体して更地にしていく事もある、ギリギリ不良やテロリスト扱いではない問題児
「~である」「我が輩」など特徴的な口調だが、本気で口説く時と本気の戦闘をキメる時は、もっと若々しい口調になる。
『ヌカ・コーラ・エルダーミスティック』
ハクアが作製するコーラの一種。
戦闘時:飲むとHPが最大値の70%回復するが、同時にHPの上限が35%低下(この効果は累積する)し、即時にコストが15回復する。
非戦闘時:使用したキャラクターの神名文字が50増加する。
なおRAD(放射線)耐性がないキャラクターはこの飲み物を飲んだ後、適切な治療が必須。
また飲んだ後にお花摘みに行くと、聖水(意味深)が万華鏡みたいな色に変化する。