不老になった徐福と、最期まで騙された男の話。   作:鴉の子

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更新が遅れに遅れていました……!!!!!
最近絵描いてばっかだったからね……ちなみに水着徐福は宝具10にしてるので安心。
バレンタインはひっくり返ったね…………一緒に謝りにいくから怒られような……


5節:ヒッチコック

 

「あら、あら」

 

 殺生院キアラ、遠い世界で魔女に成り果てたモノが笑う。最初の死の蒐集を察知して、この土地の炉が回っていくのを眺めている。

 

 何処にも行けない怪物の先達として、女は笑っていた。自分と違って、随分と付き合いのいい男がついてきているのを知っているから。

 

 いまだに新作を描き終わらない絵本作家の顔を思い浮かべながら、人魚姫は笑みを深める。

 

「ふ、ふふふ」

 

 笑う、微笑う。珍しく、そこに嘲りは含まれていない。女が魔女となったのはあらゆる人の欲からだったが、アレの故は違うだろう。

 

 呪いがなければ魔女にはなれない、呪いの種類は問わない。男の情念、女の情念、そういったものですら時に呪いと化してしまう。

 

 そして、そういった女の情念そのものと化したのが、殺生院キアラという女だった。

 

 唯一人愛を知る者、無論、それは自己愛ではあるが、魔性菩薩へと成り果てるにはそれが必要だった。世界で唯一人の人間、そうであるとも、人は自分の世界以外を人間だと思わない。

 

「ああ、そういうことなら、あの人は甘いのね」

 

 土地に残る思いすらを読み取ることができる、それは如何なる権能か、特異点を作り出した女を慕った人間の声。

 

「ああ、優しい方、それで足元を掬われそう」

 

 嘲笑い、微笑む。協力はするが、そういうところは性根の悪さが出てしまうのが殺生院キアラという女だった。

 

「……ああ、でも」

 

 最後に、泡になった人魚姫。泡になって、消えてしまった恋。

 

「そんな、絵本のような恋をしたのですね」

 

 それは少しだけ、羨ましい。

 

 ……ついでに脳裏に浮かんだ、青い髪と憎たらしい笑みをかき消して。

 

「せいぜい、頑張ることですね。素直じゃない男って、面倒よ?」

 

 

 

 

 

 

「のわ────────ーっ!?!?!?」

 

「パイセ────ーン!?」

 

 ものすごい勢いで燃え上がる虞美人を横目にカルデアのマスター、藤丸立香は叫んだ。ぶっちゃけ死んだとは微塵も思っていないが知り合いが突然炎上してびっくりしない人間はいない。

 

「もしかして[特異点の][ギミックで][パイセンが集中的に狙われている]のかも?」

 

「先輩! きっとそうです!」

 

「都市伝説の前に私がバラバラになるわよ! なったわ!」

 

「いや、パイセンいつも爆発してるし今更かなって……」

 

「アンタねぇ!!」

 

 

 

 徐福は燃え上がりバラバラになった虞美人を使い魔経由で眺める。

 

「よーっしこれで二つ目」

 

 サクサク進む蒐集であった。この後のギミックで爆死と溺死、感電死はクリア確定である。

 

 具体的には某丸坊主の暗殺者のゲームの如き連続人殺スイッチが彼らの行く道には用意されていた。

 

 手筈としては霧とともに悪夢的世界に引き摺り込み、その場所でシャ○ニングもかくやのホラーシチュエーションに放り込み、全員が混乱の最中に陥った際に仕込んでいたギミックが作動する。

 

『面白いように引っかかるな……』

 後ろで眺めているのは、最早彼女に取り憑いた悪霊のようになった男。

 

 無論、英霊も付いている以上ある程度ギミックを無視して突破されることもあるが、問題はない。

 

 “死なない吸血鬼”がなぜか重点的に狙われて、死ぬけど復活する。そういう風に認識した時点で多かれ少なかれ油断する。実際、他の英霊やマスター、マシュにはダメージがほとんど行っていない。

 

 こうなってくると多かれ少なかれ若干気が抜けてしまうのは否めない。無論、それでも歴戦の英雄たちである、全く持ってふざけた方法で突破されることもあるが……

 

「うわ────っ!? 感電トラップをゴリ押しで突破した!?」

 

『嘘でしょ』

 

 雷獣の骨と毛で編んだ魔術礼装によって発生させた呪い混じりの落雷が魔剣グラムで切り裂かれる。北欧最強とも言われる英霊の拳と刃は雷を裂くのであった。

 

「ど、どうしよ……! ストックはあるけど……」

 

『ふーむ』

 

 後ろで思案する赤黒い骸骨は、彼女には声が響かない上に見えていない。アドバイスもできないと考えるとどうしようもない。

 

 仕方がないので遠隔操作用の仮想コンソール(魔力で編まれた糸のようなモノ)を骨だけになった指でぽちぽちといじる。

 

「あっぐっ様がプールに落ちた」

 

 ワンボタンでプールサイドに油を撒き、落下した虞美人の元へコードの繋がったドライヤーが落下する。脅かし用のポルターガイストギミック……もとい怨霊を利用した簡単トラップを応用する。

 

 

 

 

「アバ──────ーッ!?」

 

「またパイセンが死んだ!?」

 

「この人でなし!」

 

 たまたま横にいたイリヤスフィールのツッコミが光る。

 

 

 

「あっ死んだ……これって溺死と感電死両方でいいのかな……」

 

 手元の炉に二つ灯が灯る。

 

「あっいいんだ……実績みたいだな……」

 

『自分で組んだ術式に自分でツッコむんじゃないよ』

 

「うるさいです〜〜〜〜動かしてみるまでわかんないんですこういうのは〜〜〜〜」

 

 聞こえていないのにこういうのには反論だけしてくる、小憎たらしい女である。変わっていないことに、少しだけ安堵して笑ってしまう。骸になった顔では見れる笑みも浮かべられないが。

 

『さて』

 

 6つ集まれば、我々の目論見は完成する。当然、それを許すような者たちではないだろう。だってこれまで何個も特異点を修復して、異聞帯とやらを切除したらしいし。

 

 それぞれがどんなものなのかはざっくりと聞いた内容と、サーヴァントとしての知識でしかないが、油断できないということだけはわかる。

 

 ましてや、世界各国の英傑が揃っているとなるとどうしようもない。絵物語だったら間違いなくこっちが悪役だ、そういうのは負けると相場が決まっている。

 

『さて、さて。無理を押しているのはこっちだな』

 

 地図の上の陰陽図が回転する。夢と現が切り替わる。つつがなくキャンプは進行してもらわないといけない、どうやら彼らは夏季休暇のようだし、それはあんまり邪魔したくない。

 

 こちらの目的は彼らにとっては敵となるようなものだろうが、こちらとしてはそこまででもない。出来ればいい感じにエンジョイしてお帰りいただくのが一番なのだが。

 

 

 第二、第三:溺死、感電死

 完了。

 

 

 

 

「地味ね」

 

「無茶言うなよぉ」

 

「もっとこう……レーザーとかでバラバラにならないの?」

 

「そんな対B.O.Wみたいな設備はうちにはありません!」

 

 黒い装束の少女、アビゲイルが徐福の頭を巨大な鍵で小突いてる。協力してもらうにあたって、かなりの部分を手伝ってもらったせいか、あんまり強く出れない。何より子供だし。

 

「ふん、でも、もう三つね? いいペースだわ」

 

「あれで2個集まると思わなかったな……」

 

「いいじゃない、楽なんだし」

 

「いいのかなぁ……」

 

「……変なところで真面目ね、貴女。そういうところ嫌いじゃないわ」

 

 そう言って笑んだ直後に、アビゲイルの蒼い瞳には、巨大な骨の掌が徐福を包む。カタカタと赤黒い髑髏が彼女を覗きこんだ。

 

「取らないわ、私の王子様(マスター)は別にいるのよ?」

 

 その言葉に、髑髏は距離を取る。幼子に諭されたことを恥ずかしがるように頬を掻いて徐福の影へと消えた。

 

「あーあ、羨ましいわ」

 

「何が?」

 

「私の王子様はみんなの王子様なの。そうやって、人形みたいに縛り付けておけたらって思うのだけれど……悪い子ね?」

 

「……当たり前じゃない?」

 

「え?」

 

「好きなら、手元に置いときたくなるんだよ。良くないことだけど、普通のことだよ」

 

 悲しそうに微笑む。それは、誰に向かって言っているのか、自分か、自分が殺そうとしている者か、あるいは。

 

「だから食べたの?」

 

 自分が殺した者になのか。

 

「んー……」

 

「どうだろうね?」

 

 その顔を引き裂くように、三日月が浮かび上がったような凄絶な笑みだけが答えだった。




まぁ長々集めててもね。
魔女ってどういう意味というのはまぁ、大体ウテナを見て貰ったら……
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