我、英雄ぞ   作:NBAU

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誤解させる書き方したけど普通にキリトはいますし、サイコ野郎とも関わらせるつもりです

サイコ15歳
アスナ15歳
キリト14歳

まぁ流石に一般中学生が戦闘力や精神力でサイコ野郎に勝つ事は有りませんが



第2話

 

 

デスゲーム開始から一ヶ月ほど経過した

 

英雄のデビューはやっぱフロアボスだよなぁと思いつつ、とにかくド派手に行きたかった俺は最初は目立たない様にしてピンチになった瞬間トドメを刺せれば最高だなぁとか、絶望的に低い可能性を割と本気で妄想しながら日課の狩をこなしていた

 

俺の狩は他プレイヤーとは一味違う

 

普通に強くなる為ならば出来るだけ安全マージンを取り行動パターンが分かった同種のモンスターを狩り続けるのが安全かつ効率的

 

しかし英雄になるならばさらに上を行かなければいけない。経験値は格上と戦えば多く入るので後でいくらでも巻き返せる。仮想世界という未知を掌握すべく今はレベルよりPSを向上させる期間

 

だから俺は、とにかくたくさんの種類のモンスターと戦闘経験を積むため色々な場所を周っていた

 

今日は迷宮区のそばにあるダンジョン。ここははじまりの町からは遠いので初心者は立ち寄らない。逆に迷宮区に近いのでフロントランナーもここに来るくらいなら迷宮区に行くだろう

 

そんな事情で人気がないはずだけど……

 

少女がいた。明らかに疲れた様子。仮想世界なのにくまが幻視されるほどだ

 

先程も言ったがここに立ち寄る人は皆無。いや、俺の様な人間である可能性は否定し切れない。それにしては死にそうだが

 

 

 

あ、倒れた。流石に放置したら死んじゃうよね

 

死にそうと言えども単独でここまで来れるならそれなりの覚悟はあるはず

 

英雄は仲間も大切にする。弱いヤツを切り捨てたり、仲間を足手纏いと断じ一人で困難に悩まされる様な精神弱者共とは格が違うのだ

 

でもさ、一層の、しかも迷宮区でもないただのダンジョンでやり切った顔して倒れていく人見たらさ、つい口からこぼれてしまってもしょうがなくないか?

 

 

「Oh, エイトさん、犬死にgirl, watch…」

 

 

あ、キレた。人間は気絶する寸前、朦朧とした意識であってもこれほどの怒気を発する事が出来るのかと目を見開いてしまうくらいには…

 

ブチギレていた

 

うん、やっぱこの子覚悟ガンギマリだわ

 

持ち帰ろ

 

 

 

──────────────────

 

 

 

寝袋に入れて引き摺る

 

最初は普通に抱えて行こうと思ったんだけど、なんか警告が出てさ。ハラスメントコードってヤツ

 

そう言えばそうだった。俺がデスゲーム開始後まずしたのが、システムウィンドウの調査。その時奥の方に倫理コードとやらを発見したがこう言う事だったのか

 

女性プレイヤーだけ誘拐耐性あんの狡くねって思って、この子にも俺の股間を触らせてみたんだけどこっちも警告が出て一安心した

 

 

 

それにしても綺麗な子だ。歳の頃は高校生くらい。いや、顔立ちを見るに俺と同じで少し年上に間違われるタイプの中学生か

 

栗色の長いストレートヘアを両側に垂らした顔はちいさな卵型で、気絶する直前に見た長い睫毛に縁取られた瞳ははしばみ色。小ぶりだがスッと通った鼻筋の下で、桜色の唇が華やかな彩りを添える

 

そして胸が大きい

 

大きい。大事な事なので……いいか

 

さっきまでの詩的な表現はどうしたと言われること請け合いだが、スレンダーな体にこの顔とおっぱい付いてんの普通にチートだろ。しかも中学生─たぶん。そりゃ語彙力も吹っ飛ぶわ

 

いきなり煩悩に支配されてるって?

 

いやいや、逆に英雄の要素として色は外せないでしょ

 

英雄色を好む

 

そうだよ、清廉潔白はヒーローの役目

むしろこっちの方が人間らしさが出て良いと思うけどね

 

 

──────────────────

 

 

 

「んっ……うぅ…」

 

 

目が覚めるとそこは心地良いそよ風が吹く草原だった。ダンジョンで気絶した後死んでしまったのだろうか。こんなに心地良い場所なら天国に違いない。親不孝者にしては優遇されている方か

 

もう本当に家族と逢えないのだと実感した。もっと冷静な判断をするべきだった。仮想世界では餓死することなどはない。はじまりの町で待っていれば今頃全てが元通りになっている可能性だってあったのだ

 

後悔先に立たず

 

 

「ひぐっ……うぅ……ぅあぁん……」

 

 

今更になって涙が溢れてくる。どうしても止まってくれなくて、涙を拭おうと手を……

 

あれ、手が動かない。体全体が何かに包まれている感覚。視線を下に向けると寝袋が映った。不思議に思いながら一旦抜け出そうと体を動かしていると腰にも違和感を感じた

 

その瞬間思い出した

 

 

「…っ‼︎」

 

 

腰の違和感とは剣の硬さ、ならば私はまだ生きていて、私を助けたのは

 

 

「あら?、おはよう」

 

 

背後から声が聞こえる

 

気を失う寸前に見たあの白髪の男で間違いない。もしかして今の全部見られてた⁉︎

倒れそうな人に向かって犬死になんて言う最低な男に涙を見せるなんて屈辱どころの話ではない

 

急いで寝袋を抜け出し、不調法者を睨みつけてやろう。きっと性格が滲み出た様な顔をしているハ…ズ……

 

 

「?、ちょっと落ち着きなよ」

 

「え?…」

 

 

私は初め、ソレが私と同じ人間なのかわからなかった

 

まず目についたのはやはりと言うべきか、雪の様に白い髪、男性にしては長いそれを低い位置で一つ結びにしている。白くきめ細やかな肌に通った鼻は高く、深い緑色の大きな瞳が不思議そうに見開かれている

 

 

「どうしたの?」

 

 

美しかった

 

顔の下に、長身痩躯だが確かに筋肉質な身体がなければ女性と間違えかねない中性的な美貌

 

 

「おーい、聞こえてるー?」

 

 

やっぱりここは天国で、彼は私を迎えに来た天使なのかもしれないなんて戯けたことを本気で考えてしまうくらい、現実感のない完全左右対称の造形

 

そんな彼の顔が……

 

 

 

 

 

 

 

「返事しないとチューしちゃうよ?」

 

 

唇が触れ合いそうなほど近くにあった

 

 

「きゃっ‼︎」

 

 

驚いて尻餅をついてしまった。いつの間にか呆けていた様だった。彼が転んだ私に手を差し伸べて来る

 

 

「ははっ、大丈夫?、ほら」

 

 

なんだか人間が触れて良いモノではない様な気がして躊躇ったが、逡巡の後その手を掴む。大きくて温かい手だった

 

優しく起こされる

 

 

「…あっ」

 

 

酷使してきた体に人肌の温かさが沁み渡り、安心感からか力が抜けてしまう

 

今度は倒れる前に抱き留めてくれた。女一人の重み程度ではびくともしないぞと言わんばかりの力強い抱擁だった

 

 

 

 

 

 

ん?、今度は…?

 

『Oh, エイトさん、犬死にgirl, watch…』

 

 

そうだ、一度目は抱き締めるどころか罵倒してきたのだ

 

…危ない。容姿に騙されかけた、いや認めよう。完全に騙されていたがこの男は最低の人間なのだ

 

あの暴言が私に聞こえていなかったとでも思っているのだろうか。今こうして優しく振る舞っているのも私が起きているからだろう。信じてはいけない

 

結構頭にきているのだ、そう簡単に許してやるつもりはない

 

ポンッ

 

背中を軽く叩かれた瞬間、反射的に手が出ていた

 

人生で人に暴力を振るったことなど一度もない私だが、そのビンタは間違いなく完璧な一撃だった

 

 

ブゥン‼︎

 

「危ないなぁ」

 

 

しかし仰け反る様に躱わされた。この距離で躱わす反射神経の良さすらイライラする

 

 

「俺さ、基本女の子のビンタは大人しく受ける派なんだけど…今回のは受けられないかな」

 

 

何を言っているのか分からない

 

 

「何言ってんだコイツって顔してるね。分かってないみたいだし何度でも言うよ……アレはまごうことなき犬死にだった」

 

「ッ……‼︎」

 

 

こっちの気持ちも知らずに、何をぬけぬけと…

 

 

「あなたに……‼︎」

 

「あなたに何が分かるの?、女の子っていつもソレだよね。まぁ男もか」

 

 

さっきから何なのだろうか。私が考えてること全部当ててきて。正直怖い

 

それにこの男は事もあろうか、私があの暴言を聞いていたと知りながら抱きしめてきたのだ

 

 

「どうせアレでしょ?最初はデスゲームに日和ってだけど、なんか茅場に負けた気がして嫌だからせめて戦って死のうみたいな。色んな人間を見て来たこのエイト君にはお見通しよ。てか死んだ時点で完全敗北だけどね」

 

 

死んだ時点で完全敗北

 

その一言で私の怒りは急激に鎮火した

 

まさにその通りだった。私は確かに死を後悔していた。実際に死んだわけではないが、情けなく涙を流してしまった事実は消えない

 

 

「それじゃあっ…どうすれば良かったのよ…」

 

 

死の恐怖を思い出し震え出す声を必死に押さえつけ問い返す。ほとんどの人は外に出ることが出来ず、先を進む人はとっくに次の町に進んでしまっていた。そんな時に何も知らない私はどうするべきだったのか

 

 

「確かに深刻な問題だよね。こうゆーゲームはリソースの奪い合いだから」

 

「リソース…?」

 

「あー、そっからね…」

 

 

そこはかとなく、いや、明らかにバカにされている。だがしっかりと教えてくれた

 

このソードアート•オンラインはMMORPG─大規模多人数同時参加型オンラインRPG─でありサーバー内の限られた資源をより多く獲得した者が勝者となる仕組みであること。量に制限があり、全員が自分本意になるので奪い合いになると表現したこと

 

 

「だからって…戦えない人を見捨てるの?」

 

「弱者救済は基本的に努力義務だよ。それに全員に平等にリソースを分配したところで戦争が起こるだけ」

 

「戦争…?」

 

「現実世界で犯罪を抑止してるのは誰だって話」

 

 

すんなりと理解する事が出来た。現実で犯罪を抑止しているのは警察などの公権力。その観点から見れば、法のないこの世界でリソースを分配する事は一般市民と警察の力関係をイコールにする暴挙とすら言える訳だ

 

だからと言って納得できるはずがない

 

 

「まさか、人間同士で争うって言うの?、この状況で?」

 

 

そう、この世界で死ねば現実でも死んでしまうのだ。それなのに人間同士で争うなど…

 

 

「この状況ってのが現実の死を指してるなら、まさにそこがポイントなんだよ。その情報源は茅場でしょ?、『そんなもの信じない』の一言でここは法の制限がない楽園に早変わりする訳だ」

 

 

しかし『だから一部のプレイヤーに力を集中させ抑止力としよう』となるのは飛躍し過ぎている。そのプレイヤー達が秩序を守る保証はないのだ

 

 

「だから俺が成ろうかなって思ってんだ」

 

「成る?…何に?」

 

「ほら、今の議論は人間同士の話だったけど俺たちの敵はこの城でしょ?、だからみんながその本来の目的に向かって纏まれば良い訳だ」

 

 

確かにそれが出来ればどれほど良いだろうか。早くこのゲームをクリアすれば犠牲者も減る。しかしリソースを奪い合っている状況でバラバラな人々を纏めるには強いリーダーが必要だ

 

スタートラインが統一されたゲームでは権力などない。そんな中その身一つで道を切り開き、人々に夢を魅せ、誰よりも鮮烈に生きる

 

そんなのまるで……

 

 

「そう‼︎、人はそれを英雄って呼ぶんだぜっ‼︎」

 

 

ゴールの見えない世界で数千人の命を背負うなんて宣言をした人間とは思えないほどの楽しそうな笑み

 

この一ヶ月間、ただ自分の生に無理矢理意味をこじつけようと躍起になっていただけの私には眩し過ぎた。この短期間で先の展開を予測する先見の明からしてそう言う星の元に生まれたひとなのだろう

 

この人なら本当に物語の英雄の様に世界を変えてしまいそうな気がした

 

 

 

──────────────────

 

 

 

英雄にはヒロインが必要だよね

 

でも個人的にお姫様を救い出すみたいなのは好みじゃないんだ

 

一緒に戦ってくれる女性がいいの

 

別に自分と同じくらいの強さを欲してる訳じゃなくて、でも隣で闘う意志を魅せてくれたらこれほど嬉しい事はないでしょ?

 

 

「フレンド登録しよ」

 

「えっと…この承認ボタンを押すだけでいいの?」

 

「うん、…これからよろしくね、アスナ」

 

「よろしく、エイト君」

 

 

マジで、うん。これから色々お世話になるだろうから、大変だろうけどよろしくね。とりあえずフロアボスに突っ込む覚悟と人殺す覚悟は決めといて

 

 

 






お話回でした

サイコが英雄云々を直接話すのはアスナだけにするつもり

英雄とは周囲の人間によって認められるモノだからね

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どしどしオナシャス
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