我、英雄ぞ 作:NBAU
書きたいところがあるけどそれはまだまだ遠くてあまりモチベーションが高くない状態ですね
先人達もこんな感じだったのか…
うちのサイコ強くしすぎて戦闘に緊迫感が出せない
(文章力の問題からは目を逸らします)
翌朝、トールバーナの噴水広場に集まったプレイヤーは45人だった
レイドパーティーの上限を満たしていないが広場は活気に溢れている。士気は高い
武器やアイテムのチェックをして時間を潰していると、ディアベルが現れ、声を上げる
「みんな!!いきなりだけどありがとう!!誰一人欠けることなく45人が集まった。本当にありがとう!!」
広場にいるプレイヤー全員に、ディアベルはそう言った
「俺から言うことは一つだけだ。皆……勝とうぜ!!」
このディアベルと言うプレイヤーは現実ではどんな人間だったのだろうか
いやだってさ、一般人の癖にデスゲームで一番最初にリーダーやろうとしてんだぜ。凄い胆力だよね
英雄の立場が危ういんじゃないのかって?そんな事はないんじゃないかな。ディアベルは頭が良い人間だからどんな振る舞いをすれば人が集まるか理性的に考えてる節がある。逆に言えば自然体でいる間はそこまでのパワーがない
団結させる事は出来るけど、その結果大きくなった集団を無理矢理にでも引っ張って行く様な爆発的なエネルギーは生み出せない
あくまで言葉や振る舞いで集団を統率するから決定を下す時も皆が納得する論理的な説得をする必要があるんだよ
突発的な事態が起きた時『結果は出す。だから俺に従え』の一言で瞬時に集団の向きを決められなきゃまだまだだね
でも一応他の人の評価も聞いておこうか
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俺たち余りもの部隊は集団の最後尾で迷宮区を歩いていた。フルレイドではないが40人を超える集団。情報を伝達しやすくする為全体的に私語は控えめで、靴音だけが響く迷宮には緊張感が漂っている
「みんな張り切ってんねー」
「そうね」
「お前ら緊張とかしないのか?」
昨日の会議でもそうだったがこの二人には緊張感というものが欠けている。いや、アスナは多少の緊張が感じられるがエイトに至ってはクリームパンを食べ歩きする始末
最後尾なので誰にも気付かれなていない。逆に気付かれていたらボス戦には参加できないだろう
「キリト君、私をこの人と一緒にしないで」
「お、おう……」
初対面でツレの後ろに隠れてたヤツとは思えない気迫。まぁこの変人と同一視されるのは誰でもご遠慮願いたいか
ここで変人ことエイトが唐突に質問を投げかけてくる
「突然だけど、ディアベルのことどう思う?」
「えっと…どうして?」
「よくデスゲームで、しかも勝手がわからない一層からリーダーなんてやろうと思ったよねって話」
確かに、一度死ねば終わりなこのSAOでは戦いに出るのすら重圧が掛かるのに、ましてや人を率いるなど俺ならとても考えられない
ゲーマーとして?違う、ゲーマーなら強さには興味があるがそれはリーダーでなくとも構わないはずだ
「デスゲームだからこそじゃないかしら?」
「と言うと?」
「基本指揮官は前に出ないでしょ?」
普通の戦争なら後方の指揮官は前線の兵士よりよっぽど安全だがコレはゲーム
「元は皆んな一般人なんだから後ろでふんぞり返ってるヤツの言うことなんて聞かないでしょ」
「それもそうね……じゃあ逆に前に出ることにメリットがあるのかしら?」
そこでピンと来た。コレはあまりゲームに詳しくないらしい二人が気付けなかったのも仕方がない
念の為他の人に聞かれない様少し下がる。二人も察してついて来てくれたので口に出した
「LAだ」
「なーにそれ?」
「ラストアタック。ボス戦で最後の一撃を入れたプレイヤーには特別なアイテムが与えられるんだよ」
LAならば強くなりたいと言うゲーマーの思考にも反しない。なるほど、これでスッキリした……
「腑に落ちないわね」
「え?」
「そうだね。最初に他の誰かがリーダーの地位を確立させちゃったら後から割り込むのは難しいから、勝手が分からない一層からリーダーを志願した理由はそれで間違いないだろうけど……ねぇアスナ?」
まだ何か気にかかることがあるのだろうか。正直俺はこれで満足してしまっている。コイツらもしかして頭いいタイプか?
「ええ、盾役の人達と取り巻きの相手をする人達を抜いたとしても、ボスには20人以上の攻撃が集中する訳でしょ?、いくらリーダーが前に出易いと言っても手段としては弱いわ」
理由は分かったが肝心の方法が確実性に欠けると。言われてみればそうだ。全て分かった気になって思考を止めていた
「まさか『LA欲しいからミリ残しして!』なんて言う訳にもいかないだろうし。例えば……俺なら他の有力候補はまず潰すかな」
「私はそんなことしないわよ」
候補を潰す?心あたりがある
またもやピンと来たこの情報も俺しか知らないはずだが、コイツらの頭の中がどうなっているのか知りたい
『例のキー坊の剣を買いたいって話、今日中なら3万9800コルで買い取るってサ』
昨日の夜アルゴに言われた言葉だ。以前にも何度も取引を持ちかけられていて、断る度に値段が釣り上がっていったのだ
今のエイトの話で全て繋がった。昨日の時点での『今日中』、つまりボス戦の前日だ
アレはベータ時代の俺を知っている誰かによる妨害工作でその下手人が…
確かエイトはベータテスターを見分けたと言っていた
「なぁエイト。もしかしてディアベルは…」
「ベータテスターだよ」
やっぱりか。もう考えが読まれている事には何も言うまい。ディアベルがLA狙いでリーダーをしていると言う可能性。どうするべきか
「何か心当たりあるの?」
俺では判断がつかないので取引について正直に話した
エイトの判断は…
「放って置こう。今更どうこう出来るモノじゃないし、下心を悟らせずにみんなを集めるくらいの器量はあるんだからリーダーとしては悪くないよ」
それが妥当か。リーダーが危険を負うことに変わりはないのだし、どんな思惑があろうとやってくれるなら甘えておこう
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迷宮区最上階。眼前には獣頭人身の型が彫られた扉
ディアベルが自分の剣を抜き、空いてる左手を扉に添えた
「さぁ、行こう……!」
短く叫び扉を押した
最初にヒーターシールドを持った戦槌使いの人が率いるA隊が突入し、次にエギル率いるB隊が左斜め後方から突入
右からディアベルが率いるC隊と両手剣使いがリーダーのD隊
その後ろにキバオウの遊撃用E隊と長柄武器装備のF隊、G隊が3パーティーで並走する
最後にエイト達が突入
20mほど進むと巨大なシルエットが空中で一回転しながら地響きとともに着地した
青灰色の毛皮に、3mは超える体躯、赤金色に輝く眼
右手に骨斧、左手に革盾、腰に湾刀
獣人の王《イルファング・ザ・コボルドロード》が雄たけびを上げ、45人の挑戦者を出迎えた
雄たけびに呼応し《ルインコボルド・センチネル》も3体召喚される
コイツら本当はベータテスターなんじゃ
戦闘開始から数分経ち俺が思ったことだ
まず二人ともステータスが高い。STR重視のエイトとAGI重視のアスナ。レベル的にはソロの俺と同等なのではないか
そしてプレイヤースキル。アスナはまだ経験が浅いようだがエイトは普通にヤバい。高いAGIのアスナが動きを阻害されない位置取りをしつつSTR寄りの俺が攻撃し易いようヘイト管理も熟す
何より1ダメージも受けていないのだ。武器で防御しても完全に0ダメージにはならないこのSAOで、コレは全ての攻撃を躱していることを意味する
極め付けは二人の連携。完璧なタイミングでスイッチし、単発ソードスキルを交互に発動することでセンチネルを完全に封殺していた。昨日レクチャーしてやるなんて言い出さなくて良かった
え⁉︎ SAOって壁ハメ出来んの⁉︎
キバオウが物凄い表情でこっち見てたぞ…
これがボス戦なのだろうか、こんなものが?
あくまでもセンチネルは取り巻きだと言うのは分かっている
それにしたって弱い。一月前こんなモノを恐れていた自分が恥ずかしくなる程
いいや油断してはいけない。まだ一層なのだ
『アスナが強くなってるんだよ』
エイト君はそう言ってくれたが、ゲームという物を少しだけ分かって来た私はこれがレベルの恩恵であることを認識している
それでも自暴自棄になっていた頃よりは格段に『強く』なっていると自信を持って言えた
コボルドロードが一際けたたましい雄たけびを上げた
そして、持っていた骨斧とバックラーを投げ捨て、腰の武器に手を伸ばす
「湾刀に変わるぞ!スキル変化は憶えているな!基本は変わらない!」
ディアベルが指示を出し武器を構える
「次で決めるぞ!C隊、前へ!」
C隊がラストアタックを仕掛ける
その瞬間、コボルドロードは手にした武器を抜いた
だが、コボルドロードが抜いた武器は、刃が曲がってはいなかった
緩く反った刃、鍛えられ、砥ぎ上げられた鋼鉄の色合い
ベータ時代、多くのプレイヤーを苦しめたその武器の名は刀
「ダメだ!」
そのことに気づいたキリトは声を上げ、コボルドロードに向かっていくC隊を追いかける
だがもう遅かった
既にC隊はコボルドロードの攻撃範囲に入っていた
刀専用ソードスキル 重範囲技《旋車》を食らったC隊のHPは一撃で半分まで落ち込む
加えてバットステータス《スタン》
コボルドロードは刀スキル《浮舟》の構え
狙いは一番近いディアベル
スタンで立ち上がれないディアベルは苦し紛れに盾を構えるが彼の持つ盾はヒビが入り耐久値が残りわずかしかない
そんな盾で攻撃を受け止めれば、ダメージを受け止めきれず半分しかないHPは消し飛ぶ
ついに刀が振り抜かれ……
ギィィン‼︎
擦れるような金属音。盾で受け止めた音ではない
「ベータテスターならもっと早く気付いて欲しいね」
エイトが片腕でディアベルを持ちながら刀の振り上げをいなしていた。ローブは着ておらず白髪が刀の風圧でたなびいている
「君は……」
「取り敢えず、回復して来た、らっ!」
「おわっ!」
青髪の騎士を後方に投げ飛ばしたエイトは続けて全体に指示を出す
「C隊回収して」
叫んだ訳ではないがエイトの言葉を聴き逃した者はいなかった
リーダーではない、更に言えばレイドにいた事すら知らなかった青年の指示であったが皆が迅速に動いた
人命が最優先であったと言うのはもちろんだが、その声に抗い難い力を感じたからだ
「俺が切ってやる」
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よっわ‼︎ 何コイツら
ボス、クソ雑魚極まれり
最初は気持ち良かったんだよ。予想通りキリトがいい動きしてくれたから。やっぱりアスナより強かったよ
でも一分経った頃にはセンチネル弱っ!ってなってさ。フィールドのモンスターと戦ってた時からなんとなく分かってたんだよ?
まぁセンチネルはただの取り巻きだし、コボルドロードはどうかなって思って見てみたらコレまたトロいのなんのって
え?そんな攻撃で当たると思ってんの?
レイドだからタンクがわざと受けてるけど普通だったら躱されてるよ?
まぁコボルドロードは人型に近いから読み易いだけであってこれから先のボスは全部躱わすとかはできないだろうけど…
俺は一層で華々しくデビューしたい訳よ
逆に英雄にはなれないのでは?
そんな思いが頭の中を渦巻いている
だって理不尽を吹き飛ばすのが英雄なのにそもそも理不尽がなきゃ話にならんでしょうが‼︎
まぁ冷静に考えれば英雄が生まれない現代の人間がクリア出来るならその程度の難易度だって事だもんね……
ロード君さぁ、もっと絶望感出せよ‼︎
あれ?、なんか人間吹っ飛んで来たんだけど。スタンしてんじゃん、ウケる
キリトがなんか言ってる。湾刀じゃなくて刀だった?、前線がやられた?
……そうじゃん!
自分で言ってたろ俺。英雄は周囲の認識で造られるんだよ。つまり俺にとっては大した事なくてもアイツらが理不尽感じてんなら問題ないじゃん
むしろギリギリまで追い詰めた方がいいんじゃね。……流石にやりすぎて死人が出ちゃうとまずいから辞めとくか
あービビらせやがって、ムカついたからストレス発散に付き合え
俺が切ってやる
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さっきまでここに居たはずだ。それは間違いない
Qじゃああそこに居るのは?
Aエイト
あの白髪が証明している。でもおかしくないか?
俺がコボルドロードが抜いた武器が刀だと気付いたのはベータ版の経験があったからだ。湾刀と刀じゃ形状が違うだろと言われれば反論はできないが
でも戦闘中に経験者の俺より早く気付いたとは考えにくい。ならばアイツが間に合った理由は一つしか考えられない
AGIだ
思えば今日アイツはサポートに徹していて、本気で走ったところは見ていない
だがあのダメージ量はSTRに相当振ってないと出せない……違う、単純なことだ
ただレベルが高い、それだけで全て説明できるのがレベルというものだ。俺のSTRとアスナのAGIを両立するステータス
アイツは今何レベルなのか……そしてどんなレベリングをすれば一月でそこまで辿り着くのか
背筋に冷たいものが走るのを感じた
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C隊の回復は済んでいたし、センチネルのリポップまでの時間も余裕がある。だが誰一人として動かなかった
皆の視線の先では白髪の剣士がフロアボスをたった一人で翻弄していた
ブゥゥン‼︎
普通なら自身の命を刈り取らんとする刃を前に視線を外すなどできないはずだがこの男には関係ない。背中に目がついているかの様に宙返りすら駆使して全て回避する
刀身の側面を踏み台にし、時には毛皮を掴んで急旋回する事で敵の死角に回り込む
40人以上での戦闘が想定されているはずのフロアボスがたった一人のプレイヤーによりその命を擦り減らしていく
巨大獣ががむしゃらに刀を振り回す姿は、ただのAIであるはずのボスが恐怖を感じているかの様だった
順調かに思われた
しかしその内の一撃が偶然にもエイトを打ち上げる
敵の残りHPは僅か。あと一発のソードスキルで削り切れる残量。しかし、極小とはいえまだ残存している事自体が致命的だった。獰猛な口元に必殺を確信した笑みが浮かぶ
だが
「アハハハッ‼︎」
それは間違いだった。エイトはただ高く跳躍する為に刀の振り上げを利用しただけ
出来るだけ派手にトドメを刺すと言うくだらない目的の為に叶わぬ希望を見せられた巨大獣
その目には
怪しく光る深緑の瞳に彩られた、恐ろしく美しい笑顔が逆さまに映っていた
「じゃあね」
ズバァン‼︎
軽い一言と共に放たれたのは上下反転の空中ソードスキルと言う絶技
ペールブルーの閃光が巨大獣の脳天を貫く
アインクラッド第一層フロアボス《イルファング・ザ・コボルドロード》はその体躯を幾千幾万の硝子片へと四散させた
結果的にエイトがダメージを受けたのは、ディアベルを守った時と最後の振り上げを受けた時の二回
HP残量は九割超
あまりにも呆気ない幕引きだった
コメント欄に制限がなければコメントで道を示して欲しいくらいには展開が思いつかない……