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窓から差し込む日の光に、ふと目を覚ます。いつの間に寝てしまったのかわからないくらい寝つきがよかったのも、日が昇るまでぐっすりと眠っていたのも久々だ。よほど疲れていたのだろうかとあくびと共に身を起こそうとして、できなかった。
ぐいと腹の辺りに圧迫感。予想していなかった抵抗に思わずぼすりとベッドに逆戻り。一体なんなんだと視線を落とせば、腹にまわされた腕が見えた。背後からはすやすやと健やかな寝息。そういえば昨日こいつのベッドで寝たんだった、いやしかし背中にこつんと額があたったところまでは覚えているが、なんだこれは。
なんとか抜け出そうとしてもがくも、ビクともしない。ぜぇぜぇと息がきれたところで、朝っぱらから無駄にエネルギーを使ってしまったことに舌打ちをする。自分の机の上にある置時計を見やれば、お互いにまだ一時間程度の猶予があった。
はぁ、とため息をついてなすがままになっていると、ハイビスの規則正しい寝息がまた聞こえた。
「……アタシは抱き枕じゃないんだけど」
ぼやいたところで起きる様子を見せないハイビスに、再度ため息をついた。
そのときの表情が少しだけ緩んでいたのは、恐らくラヴァ本人も、ましてや未だ夢の中のハイビスカスすら気づかない。
「高くつけとくからな……夢の中くらい、いいもん見ろよ」
寝転がったまま窓を見上げれば、雲の隙間から光が差していた。
あくびをひとつして、二度寝でもするか、と思い立つ。こんなにぐっすり眠っている姉ちゃんも珍しい。根を詰めていただろうこいつをもう少し寝かすためにもう一度寝たところで、バチはあたりはしないだろう。そう言い訳をしながら、再度布団を被り直すのであった。
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「麻雀やろうぜ!」
「だ・か・ら! なんでアタシの部屋なんだよ! ほら、ヤトウさん嫌がってるだろ!」
「わかってくれるか……」
いつものようにこちらの都合も考えず、げっそりとしているヤトウさんを小脇に抱えながらニェンがアタシの部屋へと突撃してきた。鍵をいくら変え、複雑なものにしたところで破られるので、プライバシーという言葉をこいつに教えるのも鍵を変えるのもやめた。
ヤトウさんをニェンから引きはがし労わっていると、ふとニェンが共用スペースのテーブルに広がる論文を手に取った。
「なんだこれ、炎国語じゃねぇか」
「ああ、今翻訳してるんだ。あっちの研究者の意見も聞きたいからな」
「ほぉ」
国としての歴史が長い炎国は、気象に関するデータも豊富に持ち合わせている。一応ヴィクトリア語は公用語ではあるが、こうした方が話も早い。
「……鶴は
「? なんか言ったか」
「いんや」
勝手にいじられてはたまらないとせっせとテーブルの上を片づけていると、雀卓を広げ、腕をぐるぐると回してニェンが張り切っていた。それはおそらく、いつもは引きこもっている妹のシーを引っ張り出せたからかもしれない。
「さぁて、今日もコテンパンにのしてやるよ」
「ふん。粋がっているのも今のうちよ」
「麻雀しながら姉妹喧嘩するんじゃない。部屋燃やすなよ」
「帰りたい……」
「あの、帰って大丈夫ですよヤトウさん。代わりに私が参加しますから」
「「「やめろ(て)」」」
「え?」
「お前の豪運はゲームバランスを崩すんだよ」
「クソゲーよ」
「シーちゃん!? どこで覚えたのそんな言葉!?」
部屋にいたハイビスがシーをたしなめる様をぼんやりと見つめながら、始められるまでまだ時間がかかりそうだな、とため息をつく。窓の外では、いつしか晴れ間が覗いていた。
やまない雨はない。晴れない空も、ない。それと同じで、きっと人生というものもつらいことばかりではないと信じている。だからこの空のもと、騒がしいこいつらと共に、心も、体も動かなくなるまで歩んでゆくのだろう。
雀卓をひっくり返したシーに頭を抱えたハイビスと、それを見てゲラゲラ笑っているニェンを傍目に。久々のまばゆいばかりの空に、人知れず目を細めるのであった。
Under the Same Sky -fin-