感想、評価のほどよろしくお願いします。モチベになります。
「私、スクールアイドルを辞めようと思ってます」
時は放課後、場は自宅。二人の間で恒例となっている勉強会のハズだった。
しかし、目の前の幼なじみ、中川菜々の突然の告白。彼女はそのまま悠然と続ける。
「…私が悪いんです。私の我儘で、みなさんの大好きを否定したんです」
申し訳なさそうに、それでいて悲しそうに彼女は笑う。その悲痛な表情に、言葉が出なかった。
「何も聞かないんですね」
「…っ、菜々が決めたことだから」
知っている。菜々がスクールアイドルを嫌いになったから辞めるなんて言い出した訳では無いことを。スクールアイドルを辞めたい訳ではない事を、俺は知っている。だからこそ、慰めの言葉なんて出てくる訳がなかった。
「せっかく曲も作っていただいたのに申し訳ありません。今日は帰ります。また、明日」
「あ…」
菜々は扉を後にする。
「菜々…」
ぽつりと零した言葉が、自分以外誰もいない部屋にこだまする。その日は、菜々の悲痛な表情が脳裏に焼き付いて離れなかった。
▽
虹ヶ咲学園。生徒数は優に3000を超える、東京のお台場に位置する中高一貫の私立高校。そんな規模なのだから、当然敷地は広大。そんななかで有り体にいえば、俺はひとり黄昏ていた。
「はぁ…」
時は昼休み。ため息が漏れる。俺を悩ませるのは件の幼なじみ、共に虹ヶ咲学園に通う2年生の中川菜々だった。自他ともに認める、というか他人に認められているかは知らないが、幼なじみガチ勢である俺が彼女の心配をするのは当然な訳で。
屋上の隅、人のあまり訪れないスペース。大人数が得意では無い俺にとってのお気に入りの場所。そこで幼なじみについて頭を悩ますひとり天を仰ぐ男子生徒が1人。それが俺だった。
「あ~…」
菜々はこう言っていた。『私の我儘でみんなの大好きを否定した』と。
菜々は普段は落ち着いているように見せてはいるが、根は好きな事には真っ直ぐな子だ。スクールアイドルを始めてからはのめり込むように毎日練習をしていたことだって知っている。
「それなのになぁ…」
「あら、どうしたの?」
凛とした落ち着いた声が聞こえてくる。声のした方を振り向くと、そこには友人が立っていた。
「朝香さん、どうしてここに?」
「どうしてはこっちのセリフよ。貴方こそため息なんてついてどうしたの?幸せが逃げてくわよ」
こうやって軽口をたたいてくるのは、朝香果林。
虹ヶ咲学園、ライフデザイン学科の三年生。
女性にしては少し高めの身長、すらっと伸びた手足と高校生離れしたスタイル、纏う独特の雰囲気から、現在若者の間で話題沸騰中のモデル。
「まぁ、友人とちょっとな…」
「へぇ、友人ね…?どうせまた幼なじみが~とか言い出すと思ってたのだけれど」
「なんでバレたんだ…」
どうやら察していたらしい。彼女の推察力には驚かされた。
「あなた、普段は何考えてるんだから分からない表情してるのに、その子の事になると表情がコロコロ変わるじゃない。自分で気づいてないのかしら?」
まさか。表情になんか出てるわけないだろう。君の推察力が素晴らしいだけだろ、なんて言葉は飲み込む。
「で、そんなに落ち込むなんてよっぽどの事だと見受けるけれども喧嘩でもしたの?」
「いや…うん…まぁ、そんなとこ」
「うそ、幼なじみって彼女でしょう?生徒会長の中川菜々さん」
朝香さんの口から菜々の名前が出る。
よっぽどの事、確かにそうだ。あの子があんな表情をするところなんて見た事がない。申し訳なさそうに、それでいて悲しそうに笑っていた。もう十数年ほどの付き合いになるのに、俺の前ではそんな表情ひとつなかった。あぁ、クソ。菜々のために頑張って磨きあげてきた頭脳の癖に役に立たないのかよ、なんて心の中で悪態をつく。
「そんなに考えるのもいいけれど、昼休み、もう終わるわよ?」
「っ、あ、あぁ」
ぐるぐると巡る思考の海に溺れる俺は、朝香さんの声によって引き上げられた。
「あんまり授業、サボらないでよね?エマったら、あなたが授業に出てないと『リオくんってば今日授業いなかったんだよねぇ…』って悲しそうに言うのよ」
「ははっ…、それは嬉しい限りだな。ま、授業は出るよ。なんか悪かったね」
「別にいいわよ。声をかけたのはこっちなのだから。じゃ、私はお先に」
そう言って彼女は屋上から去っていく。
「はぁ…」
心のモヤモヤは晴れない。それどころか、どうやら強まってしまったらしい。
サボって菜々の事に思考を巡らせたいところだが、釘を刺されてしまったため、俺は重い足を動かしながら教室へと向かった。
早く、菜々の笑った顔が見たい。
・オリ主
観月リオ
虹ヶ咲学園 国際交流学科3年生。
中川菜々の幼なじみ。
幼なじみの事が好きすぎて悩んでる子。
投稿時間は何時がいいのでしょうか。皆さんの考えに1番近いものをお選びください。
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0時頃
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6時頃
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12時頃
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18時頃
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22時頃