放課後、それは一日学業と向かいあっていた学生たちにとっての待ち遠しいひととき。
俺は隣の席の友人に話しかけた。
「なぁエマ」
「リオくん。どうしたの?」
エマ・ヴェルデ。
虹ヶ咲学園、国際交流学科の3年生。スイスからの留学生だが、そうは思えないほどに流暢か日本語を操る。
可愛らしさの中に大人っぽさのある顔立ちに、包み込んでくれそうな優しい雰囲気と声音が特徴のクラスメイト。
そして中川菜々、もとい優木せつ菜と同様のスクールアイドル同好会所属。
「いや、なんだか元気がなさそうに見えたから。違ったら悪いけど…」
「っ」
これは口実、という訳ではないけれど、本心は別のところにある。同好会で、優木せつ菜に何があったのか。結局のところ、あんなにスクールアイドルが大好きな彼女が辞めるなどと言い出すには、相当な事があったに違いない。凡庸な結論ではあるが、見当違いということはないだろう。
「えっと、やっぱりそう見える…?」
エマは語り出す。
「この前ね、せつ菜ちゃんとかすみちゃん…えっと、部員の2人の意見が衝突しちゃったの…」
「意見が衝突…?」
「うん、せつ菜ちゃんは本気でスクールアイドルをやってて…あ、別に私たちが遊びでやってた訳じゃないよ!?…えっと…」
思い出すのも辛いのだろう。話すエマの表情もだんだんと曇ってくる。それにつられてか、彼女にしては上手く言葉も紡げていない。
「ゆっくりでいいよ」
「ん…ごめんね?えっと、本気でラブライブを追い求めたせつ菜ちゃんと、可愛いを追い求めていたかすみちゃんの二人の意見が爆発して、ぶつかっちゃったの。それからせつ菜ちゃんは来なくなっちゃって…」
どうやらそういう事らしい。
中須かすみ、1年生。明るく元気で可愛いものが大好き、だとか菜々が言っていた。
「ねぇ、わたしはどうしたらいいのかな…?」
今にも泣き出しそうな表情のエマが尋ねてくる。
「時が解決してくれる、なんて無責任にも程があるかもしれないけれど。今はゆっくりでいいんじゃないか?ゆっくり、少しずつ解決していけばね」
「リオくん…、うん、そうだね。ありがとう。なんかごめんね?こんなに暗い話なんてしちゃって」
言いながら無責任にも程があると思っていたが、どうやら怒られなかった。それどころか感謝すらしてくれるらしい。こういう所なのだろう、彼女が好かれる所以は。
「あっ、わたし行かなきゃ!ごめんね?果林ちゃんが待ってるから」
「あぁ、行ってらっしゃい。朝香さんにもよろしく言っておいてくれ」
「うん!arrivederci~!」
さっきまでの悲しそうな表情は陰もなく、笑顔で去っていくエマ。辛いはずなのに、それを隠して笑顔を貼り付ける。優しくて強い、そんな俺の友人。
笑顔が似合う、なんてキザなセリフは死んでも吐かないけれど。それでもやっぱり数少ない友人には笑っていて欲しい。
「とりあえず帰るか…」
あぁ、早く菜々の笑顔が見たい。
観月リオ
・実は数人しか友達がいない
エマ・ヴェルデ
・リオくんの隣の席の子。
・リオくんの数少ない友達。
投稿時間は何時がいいのでしょうか。皆さんの考えに1番近いものをお選びください。
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