もうストックが無いのでこれ以降は本気のガチのマジの不定期更新です。
予約投稿バンザイ!
「行ってきます」
自分以外誰もいない家に向かって告げる。
『先に学校へ行きます』
菜々にスクールアイドルを辞めると告げられて、あれから2日。
昨日と今日、彼女から送られてきたメッセージはこれだけだ。
虹ヶ咲学園への通学路を一人で歩く。別に一人で過ごすというのが苦手というわけでもなく、寧ろ好きな部類ではある。
それなのに。
通学路とはこんなにも長かったのだろうか。15分ほどの時間ですら、隣に菜々がいないだけで長く感じてしまう。
「クソっ…」
そんな孤独感を抱えながら、無限にも思える通学路を歩いていった。
▽
授業など全く身に入らぬまま時は過ぎさり放課後。
俺は机に突っ伏していた。
「どうしたもんかねぇ…」
エマとせつ菜以外の同好会メンバーに話を聞こうにも連絡先など知らないし、そもそも面識などない。要するに手詰まりだった。
こうなれば菜々に直接…とも考えたが、菜々が俺を避けている今、それは現実的な方法とは言えない。
ぴろん
スマホがメッセージの受信音を鳴らす。
送り主は朝香果林。
『話があるから潮風公園に来て』との事だった。
朝香さんはエマの親友。きっと彼女もエマのために色々と動いてるのかもしれない。
これで状況が好転してくれるといいけど。そう思い、潮風公園へと急いだ。
▽
歩くこと30分弱、潮風公園へと到着した俺は朝香さんを探す。
程なくして彼女は見つかった。しかし、そこにいたのは一人ではなく、エマを含む数人の少女達だった。
「いきなりここに呼んでどうしたんだ?それと彼女たちは一体…?」
「ごめんなさいね。この子たちはスクールアイドル同好会のメンバー。話っていうのは優木せつ菜さんの事よ」
俺の問いに朝香さんは淡々と答えた。
さらに彼女は続ける。
「単刀直入に言うわ、リオ。優木せつ菜さんの正体は生徒会長の中川菜々さんだったの」
「…それで?」
「あら、驚かないのね。やっぱり知っていたのかしら?」
「そりゃあね」
「ちょ、ちょっと待ってください!あの意地悪生徒会長がせつ菜先輩ってどういうことですかぁ!?それにその人は誰なんですか!?」
粛々と会話を進める俺達二人の間に、灰がかった栗色の髪の少女が割って入る。
「あら、学校中探してもいなかったあなたに、しずくちゃんが何回もメッセージを送ってたのよ?生徒会長本人に確かめに行くって。それと彼は観月リオ、生徒会長の幼なじみよ」
「うぇぇ?…あ、ホントだ。全然気づかなかった…って幼なじみぃ!?なんでそんな人がここに…」
淡々と語る朝香さんと、そんな彼女と正反対にコロコロと表情を変える栗色の髪の少女。菜々やエマの話からすると、彼女がきっと中須かすみなのであろう。
「リオも優木さんのことで悩んでいるようだったから呼んだのよ」
呼んだ理由はそういう事だったか。やはり朝香さんもエマのために菜々…いや、せつ菜の正体を探っていたということらしい。
「せつ菜ちゃん…本当にスクールアイドルを辞めるみたい…」
「ちゃんと話そうとしたんだけど、取り付く島も無かったんだよぉ…」
「そうなんですか…」
だんだんと俯いていく目の前の彼女たち。ただの幼なじみである俺には何も言えず、ただ歯がゆい。
「なにか問題があるの?」
そんな中、朝香さんはケロッとした表情で言う。
「あなた達の一番の目的はもう果たしてるように見えるけど…。部員は五人以上いるみたいだし、生徒会も認めるって言ってるなら同好会は今日にでも始められるでしょう?」
そう言われ、彼女たちはハッと気付かされたようだ。そう、せつ菜が居なくなって同好会が解散したのは何も気まずくなっただけという訳ではない。純粋にメンバーが足りなくなったという側面もあるのだ。
朝香さんは続ける。
「本人が辞めると言っているんだし、無理に引き止める必要無いんじゃない?」
「…本当に辞めたいのかな…?」
ツインテールの少女が言う。
「なんでそう思うの?」
「皆さんはどう思いますか?せつ菜ちゃん、辞めても良いんですか?」
「「「「それは嫌だよ!!!!」」」」
ツインテ少女の質問に、同好会のメンバーは食い気味に答える。
「あー、ちょっと待ってもらえるか?話の腰を折るようで悪いんだけど…君たちは?」
少し眠たげな目をした明るい茶髪が近江彼方さん、黒髪に大きな赤いリボンがトレードマークの子が桜坂しずくさん、という事は菜々からも聞いている。だが、他の二人はどちら様なのか。申し訳ないが質問させてもらう。
「えっと、私が高咲侑で、隣が上原歩夢です。私たち…というか私がなんですけど、この前せつ菜ちゃんのライブを観てからファンになったんです。それで歩夢を誘って一緒に同好会に入った…って感じです」
「え…あ…どうも…?上原歩夢です…」
なるほど。ツインテ少女が高咲侑さんで、シニヨンで髪の毛を纏めているのが上原歩夢さんか。覚えた。それにしてもせつ菜のファン、というのはだいぶ分かってるじゃあないか。彼女には何かあとで渡さなければ。ファンは囲うものなのだ。
おっと、閑話休題。
「せつ菜ちゃん、すっごく素敵なスクールアイドルだし…。活動休止になったのは私たちの力不足もあるから…」
エマが弱々しく言う。
「彼方ちゃん達、お姉さんなのに皆を引っ張ってあげられなかった…」
「お披露目ライブは流れてしまいましたけれど…みんなでステージに立ちたいって思って練習してきたんです。せつ菜さん抜きなんて有り得ません!」
「かすみんもそう思います!せつ菜先輩は…絶対必要です!確かに…厳しすぎたところもありましたけど….。今はちょっとだけ気持ちが分かる気がするんですよ…。前の繰り返しになるのほ嫌ですけど…。きっと、そうじゃないやり方もあるはずで…。だから、かすみんと全然違う考えのせつ菜先輩がいてくれないと、ダメなんだと思うんです!」
「大きくなったね~かすみちゃ~ん」
近江さんが中須さんに抱きつく。
「せつ菜ちゃんは私たちに夢をくれた人だもんね。私も一緒にやりたい!」
「うん!」
旧同好会のメンバー、それに高咲さんに上原さんも。みんなが優木せつ菜を必要としている。
「でも…」
説得ルート真っ只中だった一行に、朝香さんが待ったをかける。
「結局はあの子の気持ち次第よね」
「む…また水を差すようなことを…」
中須さんはあまり気に食わないようで。
でも、朝香さんの言っている事は正しい。いくらこちらが言ったところで、せつ菜がYESと言わなければ復帰はなし得ないのだ。
でも。
「菜々は…せつ菜はスクールアイドルが大好きなんだ。口では何とでも言えるように、あいつは絶対に嘘をついている。優しすぎるから遠慮してるだけなんだ」
そう。菜々は絶対にスクールアイドルを辞めたいなんて微塵も思ってない。寧ろやりたくてやりたくてウズウズしてるはずなんだ。家でそういった類を禁止されてきた菜々がようやく掴んだ夢。それをあの真っ直ぐな性格の菜々が自分で諦めるはずがない。
「はい!私が話してみてもいいですか?」
高咲さんが挙手する。
「あら、あなたが?それなら幼なじみのリオが話した方がいいんじゃないかしら?」
朝香さんが告げる。
「それは…「いいえ。それは違うと思います」え…?」
それは違う、そう言って否定しようとした俺を遮って高咲さんが答える。
「違うというか…、私はただ、せつ菜ちゃんにはせつ菜ちゃんを待ってるファンがいるっていうことを伝えたいんです。せつ菜ちゃんに夢を貰った人がいるって事を」
「そう…あなた達はそれでいいのかしら?」
うん。みんなは力強く頷く。
「リオも?」
「それでいいよ」
そう。幼なじみとしてのフィルターがかかっている俺じゃあダメなんだ。それじゃあ本人の心までは響かない。たとえ活動再開したとしても、迷いながら活動を続けていくことになるだろうから。
「さぁ、そうと決まれば善は急げ!ですよ!行きましょう!任せましたよ!侑先輩!」
中須さんが号令をかける。それについて行くメンバー達。その背中を見ながらここに立つのは俺と朝香さんだけ。
「君、随分損な役回りじゃあないか?」
「あら、気づいてたの?」
ずっと抱えていた違和感を朝香さんに尋ねる。
「あぁ。わざわざ皆を集めて煽っただろう?それで本心を引き出した」
「さぁ、どうかしらね?」
「食えない奴だな」
「あら、それも私の魅力じゃないかしら?」
なんていつもの軽口をたたかれる。
「果林ちゃーん?リオくーん?」
少し離れたエマの呼ぶ声。
「ほら、私達も行きましょう?」
「ああ、そうだね」
小走りで彼女らの輪に加わる。
時計の針は加速していく。
菜々の笑顔まで、あと少し。
観月リオ
・ぶっきらぼうのような優しいような口調迷子系男子。
・菜々のためなら女子の群れにも飛び込む系男子。
・実はモデルをやるくらいには顔とスタイルがいい羨ま系男子。
朝香果林
・リオとは一年次からの友人。
・実はリオに下の名前で呼んで欲しい。
投稿時間は何時がいいのでしょうか。皆さんの考えに1番近いものをお選びください。
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0時頃
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6時頃
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12時頃
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18時頃
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22時頃