優木せつ菜ガチ勢   作:桜井ナナヲ

4 / 7
今回はせつ菜ちゃんが沢山出ます。

時系列がぶっ壊れていた事に気づきました。ここに謝罪します。


#4 おかえりなさい

『普通科2年中川菜々さん、優木せつ菜さん。至急、西棟屋上まで来てください』

 

生徒会の定例会を終え、どうしようかと思いを馳せようとしていたその時、放送から私を呼ぶ声がした。

 

「会長、呼ばれてますよ」

 

「ちょっと行ってきますね」

 

そう言って私は席を立ち、呼び出し先へと向かう。

 

「わざわざせつ菜と一緒に呼び出すなんて。まさかエマさん?いや、朝香さんと考えた方が…」

 

屋上へ向かいながら、誰にも聞こえない小さな声で呟く。

しかし、放送で喋っていた人物はそのどちらでも無かったはず。

それでも呼び出すという割と強行的な手段を取るとするとなれば、きっと朝香さんが手動なのだろう。なんて考えている間に屋上へと到達した。

 

扉を開ける。

 

屋上で座っていたのは意外な人物だった。

 

「高咲…侑さん…?」

 

それともう一人。

 

「よ、菜々。少し話そう。ファンも一人連れてきたんだ」

 

「リオさん…」

 

私が最もよく知る人物で、幼なじみ。

観月リオがいた。

 

 

 

 

 

 

「こうやって面と向かって話すのも3日ぶりくらいだな」

 

「そう…ですね…」

 

「スクールアイドル、本当に辞めるのか?」

 

「はい。もう決めたことですから」

 

「そっか…菜々が決めたならそれでいい。けど、それは本心か?」

 

ぴくり、菜々の肩が震える。

 

「何が…言いたいんですか。そんなの…」

 

「おっと、それを言う相手は俺じゃあない。言ったろ?ファンを一人連れてきたって」

 

俺はそう言って隣に立つ高咲さんに誘導する。

 

「こんにちは、せつ菜ちゃん」

 

高咲さんは笑いかける。

 

「高咲さん、あとは任せるよ。あぁ、これだけは言っとくよ、優木せつ菜。ファンの声、1回くらいは聞くといい。」

 

そう言って俺は入口とは反対に歩き出し、曲がり角に隠れて見守っていた同好会のメンバーと合流する。すると、エマが声をかけてくる。

 

「本当によかったの?もっと話したいことだってあったんじゃ…」

 

なんて俺の心配までしてくれる。俺なんかより、せつ菜がスクールアイドルに復帰するかの方が大事なはずなのに。やっぱりこの子は優しいのだ。

 

「大丈夫。元々メインは俺じゃあない、高咲さんだから。さ、ほら。どうなるか見届けようぜ」

 

話を終わらせ、高咲さんと菜々を見守る。

 

どうやら、淡々としていた二人の話し合いも徐々に熱が入ってきたらしい。ギリギリ聞こえる程度だった声が、今ははっきりと聞こえる。

 

「私が同好会にいたら!みんなの為にならないんです!」

 

菜々、いや、優木せつ菜が叫ぶ。

 

「私がいたら…!ラブライブに出られないんです!!」

 

これが優木せつ菜の本音。

ずっと遠ざけて、逃げて、隠してきた思い。

あまりにも優しすぎた故に出てこなかった思い。

 

「だったら…!!」

 

せつ菜の勢いに怯むことなく、高咲さんは言う。

 

「だったらラブライブなんて出なくていい!」

 

それを聞いてハッとするせつ菜。

大好きを届けるために始めたスクールアイドル。

スクールアイドル達が目指すラブライブ。

のめり込みすぎたが故に、『大好きを届ける』という目的が『ラブライブに出る』という過程と混同してしまっていたのだろう。

 

「あ、いや、ラブライブがどうとかじゃなくって…」

 

あわあわと訂正する高咲さん。きっと思いがそのまま口に出てしまったのだろう。

でも、時として練り上げられた長い言葉よりも思いをそのまま伝えた方がいい場面がある。

今がその時だ。

 

「私はせつ菜ちゃんの歌が聞ければ十分なんだ。スクールアイドルがいて、ファンがいる。それでいいんじゃない?」

 

高咲さんがニッコリと笑う。

 

「どうして…そこまで…」

 

「言ったでしょ?大好きだって」

 

彼女はそのまま続ける。

 

「こんなに好きにさせたのは、せつ菜ちゃんだよ!」

 

面と向かって大好きをぶつけられたせつ菜は、照れを隠すかのように俯く。

 

「あ…あなたみたいな人…初めてです…。期待されるのは…嫌いじゃありません。でも…本当にいいんですか…?」

 

恐る恐る、というように尋ねるせつ菜。

 

「もちろん!」

 

それに笑顔で答える高咲さん。

 

「大好きを貫いても…いいんですか…!?」

 

「もちろん!!」

 

二度の問いに、安心した表情を浮かべるせつ菜。彼女は、メガネを外しながら歩き出す。

 

「分かっているんですか?今、あなたは自分が思っている以上に凄い事を言ったんですからね…!」

 

髪飾りをつけ、その表情をだんだんと変化させる。

それはいつも見てきた、自信に満ち溢れた優木せつ菜本来の姿。

あぁ、その表情が出来るなら心配はない。

この表情を取り戻してくれた高咲さんにはちょっと嫉妬してしまうけれど。

 

「どうなっても知りませんよ!」

 

せつ菜は高らかに宣言する。

 

「これは、始まりの歌です!!!」

 

気持ちを押し殺してきた彼女は。

 

もう一度飛び立つ。

 

 

おかえり、優木せつ菜。

 




観月リオ
・幼なじみが大好き
・実はピアノとバイオリンがとっても上手い。練習した理由はもちろん弾く度に菜々が喜んでくれるから。
・優木せつ菜が誕生するにあたって、曲を作った人。菜々に頼まれれば何曲でも作るヤベー奴。

投稿時間は何時がいいのでしょうか。皆さんの考えに1番近いものをお選びください。

  • 0時頃
  • 6時頃
  • 12時頃
  • 18時頃
  • 22時頃
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。