優木せつ菜ガチ勢   作:桜井ナナヲ

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相変わらずタイトル詐欺です。
時系列が色々おかしいですが、あとで帳尻合わせます。
せつ菜は次話に沢山出演してもらいます。


#7 勧誘

ありがとうございましたー。

 

左腕の腕時計を見る。

撮影も終わり、時刻はお昼を回った頃。案外早く終わったな、なんて考えているとお腹が小気味よい音をたてる。

 

「お昼、食べていかないかしら?話したいこともあるし」

 

それを知ってか知らずしてか、ナイスタイミングな果林からのお誘い。

特に断る理由も無いため、頷く。

 

「確か駅前にカフェがあったはず。そこでいいか?」

 

「あら、気が利くのね。リード出来る男性はモテるわよ?」

 

「はいはい…」

 

いつものように軽口を流しながら二人で歩きだす。

本日も朝香節は絶好調なようである。

 

ふと、ポケットに入れていたスマホが震え、メッセージアプリの受信を知らせる。

誰からだろう、そう思いスマホを確認する。

 

『今日、両親が仕事で遅くなるようなので夕食ご一緒していいですか?』

 

菜々からだった。

個人のトークなのにこんなに固い文面にしなくていいのに、なんて考えながらメッセージを返す。

 

『了解、なに食べたい?』

 

スマホをポケットに仕舞おう、と思った矢先に返信が来る。早いな。

 

『リオさんの食べたいものが食べたいです』

 

まあ、知ってた。

いつも聞く度に帰ってくるのは、優しい菜々らしい返信ばかり。自分で言うのも変だが、菜々を溺愛している俺にとってはもっと我儘になって欲しいくらいだ。

実際に一度、もっと我儘になって欲しいと言ったことがある。その時も、「いえ、これ以上ご迷惑をおかけする訳には…」なんて言われたくらいには彼女は優しく、律儀なのだ。律儀というか真面目かもしれないが。

 

『了解。楽しみにしててくれ』

 

今日は菜々の好きな唐揚げかな、なんて考えながら返信する。

普段は真面目で大人っぽい雰囲気の菜々だが、アニメやゲームが好きだったり、好きな食べ物が唐揚げだったり、私服がちょっと女児趣味じみていたりと、意外と子供っぽいというギャップもまた愛らしい。

それだけで何でもしてあげたくなるし、喜ばせよう、楽しませよう、なんて思いが湧いてくるのだ。

 

そんな事ばかり考えていると、どうやら目的地に着いていたようだった。

 

「あら、意外と空いてるのね」

 

「ほんとだ」

 

お昼を少し過ぎた頃ではあるが、まだまだ昼時と言っていい時刻。それにしては客足も疎らで、こちらとしてはありがたかった。

 

「さ、行きましょう」

 

果林に促されて店に入る。

店内は空調が効いており、夏の訪れを感じさせる外とは打って変わって快適だった。

店員に案内され、四人がけのボックス席に腰を据える。

 

「何になさいますか?」

 

店員からの決まり文句。

 

「私は紅茶とクロックムッシュで」

 

果林は既に決めていたようで、スパスパと注文する。かくいう俺も、特に悩むことは無い。

 

「BLTサンドとアイスコーヒーで」

 

かしこまりました、ごゆっくり。

なんて言い、店員は奥へと下がっていく。

残ったのは当然俺と果林の二人きり。

 

「こんなところでも食事制限?」

 

「えぇ。このカラダを維持するっていうのも結構大変なのよ。それ相応の努力が必要なの」

 

「随分と美意識が高いことで」

 

「えぇ、スクールアイドルも始めたことだし当然よ」

 

当たり障りのない会話もそこそこに、本題に移る。

 

「で、話ってのは?」

 

「あら、忘れてたわ」

 

忘れてたのかよ。そんなに大事なことでもないのか。

 

「いえ、大事なことよ」

 

ナチュラルに人の心を読むなよ。

 

「あなた、同好会に入らないかしら?」

 

「同好会?」

 

「そ、スクールアイドル同好会」

 

なるほど、話というのはそういう事か。

 

「急にまたどうして?」

 

疑問を投げかける。

 

「あら、予想はついてるんじゃないかしら」

 

妖艶な笑みを浮かべる果林。俺には菜々がいるから落ちないが、この表情だけで世の中の男の大半は落ちるのではないだろうか。

そんな事はどうでもいいが。

 

「スクールアイドルとしての曲、だろう?」

 

「話が早くて助かるわ」

 

「どうして俺が曲を作れると?音楽科でもないのに」

 

十中八九せつ菜に聞いたのだろうが。

 

「せつ菜が言ってたのよ。彼女、嬉しそうに言ってたわよ?『私の曲はリオさんが作ってくれたんですよ!!』って」

 

予想は的中。にしてもそんなに喜んでくれていたとは。めちゃくちゃ嬉しい。あとで何かケーキでも買っていってあげよう。

 

「ふむ、それで?」

 

「あら、まだ理由が必要かしら?」

 

「なんで俺なんだ?」

 

そう、それこそ虹ヶ咲学園には沢山の音楽系の部活、または同好会がある。勧誘するのは俺でなくても良いはずなのだ。つまり俺を勧誘するだけの理由がある。

 

「そうねえ…。私が。貴方の曲で歌いたい、踊りたいと思ったからよ」

 

ゆっくりと果林は口を開く。

 

「この前初めてせつ菜のライブを見て驚いたわ。あの小さな身体で大きな存在感、かっこよさ、可愛らしさに惹き込まれた。それは優木せつ菜本人の魅力かもしれない。けれど思ったのよ。それと同時にパフォーマンスを支える曲にも惹かれたんだって」

 

一拍置いて、果林はこちらの目を真っ直ぐと見る。

 

「……それが私が貴方を勧誘する理由よ」

 

「……なるほど…」

 

ここまで熱弁されると思っていなかったため、俺は押し黙ってしまう。

確か、同好会は9人。せつ菜を除いたとしても8人。8人分の曲を作るとなると、かなりの労力と時間がかかる。ましてやCHASE!レベルのクオリティ。答えはすぐには出せない。

 

空気を読んだのか、会話がひと段落ついたころに注文の品が運ばれてくる。

 

「今ここで決断しろって訳じゃないわ」

 

紅茶を一口啜った果林が、こちらを見透かしたように言う。

 

「でも、出来るだけ早い方が私達としてはありがたいわ。いい返事、期待してるわよ」

 

さ、食べましょう?私、お腹空いてたのよ、なんて果林が言う。

考えすぎても仕方ないと一旦諦め、俺は空腹を満たすためにサンドウィッチを咀嚼する。

ま、帰ったら菜々にでも相談してみよう。




観月リオ
・いつも頭の中で菜々ちゃんの事を考えてる。

朝香果林
・もはや準主人公。

投稿時間は何時がいいのでしょうか。皆さんの考えに1番近いものをお選びください。

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