生まれてきた意味が知りたくて。   作:天宮 おとは。

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一章 黒の時代
Prologue


 

 

私の人生は、ヨコハマの路地裏から始まった。

初めに見たものは、母親の顔でもなく、産婆の顔でもない。

1丁の銃だ。誰かが私の頭に突きつけていたのだ。

目線を少し上げると17歳くらいの片目に包帯をまいている少年がいた。

 

「何もできないまま死んでいくんだ」そう思った。

誰がなんの為に私を産んだのだろう。

こんなにすぐ死んでしまうのなら産んだ意味なんてない。

 

だが、少年は銃を私に突きつけたまま何もしない。

どうせ殺すなら早く殺してくれ、そう思った。

 

「……君、私と一緒に来るかい?」

 

「………え?」

 

少年がくれた言葉は予想外だった為、驚いてしまった。

 

「私はポートマフィアという組織の幹部だ。今日の任務は“白紙の文学書”から生まれてきた君を殺すことだった。でも、君を見ていて気が変わった。私についてくるか此処で死ぬか。どっちがいいかい?」

 

「……其処に行けば生まれてきた意味がわかる?」

 

「ああ、きっと判るよ。」

 

「……それなら行く、貴方に着いていく。」

 

私がそう答えると彼は満足そうに微笑んだ。

 

「それじゃあ行こうか。」

 

少年が手を差し伸べた。それを私は握り返す。

 

「……貴方の名前は?」

 

「ああ、そういえば名乗ってなかったね。私は太宰 太宰治だ。」

 

「太宰さん……」

 

「治でいい。」

 

「治……よろしくね。」

 

「うん、よろしく、君の名前は?」

 

「名前なんてない、さっき生まれてきたばかりだから……」

 

そう言うと彼は「忘れてた」と呟いた。

初めは、冷酷な人かと思ったけど案外そうでもないのかもしれない。

 

「じゃあ、私が名付けてあげよう。うーん……」

 

「“栞”!栞なんてどうだろう?」

 

「しおり……なんで?」

 

「“栞”は、迷子にならないよう、木の枝を折って道しるべをつくる“枝折る”という言葉から生まれたんだ。 やがて”しおり“はここまでたどり着いたという到着点を意味する言葉になった。 本やノートにしおりを挟むということは、道しるべをつけるということ。 しおりが挟まったページを開くと、進むべき道へ導いてくれるかもしれない、そう思ったからだよ。後、単純に本から生まれてきたから。」

 

何故かすんなりときた。

ものの数十秒でこんなにいい意味を持った名前をつけてくれて嬉しかった。

 

「いいね、栞……有難う、治……」

 

「気に入ってもらえたみたいで良かった。それじゃあ、ポートマフィアの本部へ行こうか。」

 

「うん。」

 

そうして私達は歩き始めた。

 

 

 

 

この物語は、最年少幹部の気まぐれで拾われた生きる希望を探す少女の物語である。

 

 

 

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