よかったら評価・感想お願いします。
強めの視線を感じたので、違和感を感じさせないように下を向く。
やばい、やっぱヤンキーに興味を持たせないように無難な趣味にしとくべきだったか。後悔してもどうしようもないので、自己紹介に耳を傾けたが、それからも彼女からの視線は途切れなかった。
最後の一人が自己紹介を終え、解散になったので急ぎ帰り支度を済ませ、教室を去ろうとするとはつらつとした声に引き留められた。
「待って!玉置さん!」
視線を送っていたヤンキーさんだ。まずい、名前を憶えられてしまった。3年間に不安を覚えながら振り向く。
「どうかしましたか?」
「どうしたの虹夏?」
けだるげなユニセックスの美人があくびしながらヤンキーに話しかけている。彼女もまた、ヤンキーの取り巻きなのか。
「リョウは話聞いてなかったの?あ、いきなり呼び止めてごめんね?」
「いえ…どうかされましたか?」
割と常識的かつ申し訳なさを含んだ声に評価を改める。お母さん、人は見かけによりません。
「いやー、趣味が合いそうでお話ししたいなって!どんな音楽聞くんですか?」
「うーん。ロックとかですかね?」
「ロック!!もしかして楽器弾けたりするんですか?」
結構距離感近いな。でも、不思議とイヤな感じはしない。これがコミュ強か。
「いや全然ですよ。聞く専門です。」
彼女に嘘をつくのは何となく気が引けたが、今の私の正体は音楽というコンテンツで超が付く有名人だ。初対面の人に話すのはどうかと感じてしまう。
「へー、そうなんですね!あ、私には硬くならなくていいですよ!」
「ありがとうございます。でもこれが素なんですよ。」
歩み寄ってくれる彼女の横には、けだるそうな美人。イケメンという言葉が似あう彼女は眠そうに肩に寄り添っていた。
「虹夏、この子は?」
「聞いてなかったの?玉置さんだよ!」
「虹夏が話しかけるってことは、趣味バンドってとこ?」
「音楽が趣味って聞いたから気が合うなってとこ」
私とは違う少し棘のあるやり取りを伊地知さんがやっている。おそらく長い仲なのだろう。少しだけ羨ましい。
「バンドやってるんですか?」
「あはは~私はまだメンバーいないんですけどね」
「私は組んでるバンドがある。」
「へー、すごいですね。じゃあ将来はアーティストですか」
「そうですね!目指せ!有名フェス出場!!って感じです!」
メンバーがいないという彼女はそれは問題ではないかのように明るく話す。
「でも、一人で全部やれば何とかできるのでは?」
「え~それは無理だよ!私ドラムだけどほかの楽器でおんなじくらいになれる気しないもん。」
私はそこで無茶な事という衝撃というか価値観の違いを感じた。当たり前だが、集団の演奏はそれぞれの個性や強さの掛け算や足し算だ。それがかみ合って初めて楽曲になる。しかし私はそこに他人を必要としていなかった。「他人と補いあう」という思考を生まれ持った才能がかき消してしまったのだ。
「そうですよね、無茶を言いました」
「おもしろいねぇ、玉置さん!」
「玲音でいいですよ」
「じゃあ玲音ちゃん!うちは下北のライブハウスだから興味あれば来てよ!リョウのバンドも今度ライブするからさ!」
「はっ!ノルマになるからチケット買って」
「やめなさい!興味あれば連絡してよ!あ、連絡先教えて!!」
その日はそれで解散になった。なんとなくさみしさを感じてしまった。本来、私のようなやり方をする人はあまりいないのかもしれない。様々な意見をぶつけ合ってその果てに生まれる曲。私は最初の道しるべだけあれば後は、思うがままに創作してきた。帰り道、ギターを背負う集団が話し合っているのが目に入った。意見のぶつかり合いだろうか、少し熱のあるやり取りが聞こえる。
私のやり方は正しいのか。
その日、某有名動画サイトに投稿された曲はチャンネルの平均数ほどの再生数を出していた。当たり前のように急上昇の中でも段違いの再生数を誇っている。
動画の投稿者が書くことのできる概要欄に一言問いかけを投げた。
『今のやり方は正しいのでしょうか?』
後に知ったことだが、反響は大きく、某掲示板でも白熱した議論を交わしていたそうだ。動画の感想欄も概要欄の意見を多くいただいた。
「全体的に肯定されてる」
普段は自分の曲の評価など気にしない癖に、今日はコメントに張り付く。否定されるのが怖かった。しかし、蓋を開けるとそこはやさしさにあふれていた。
そうか。やり方など様々。自分は今までこのやり方でやってきた。それで応援してくれた人もいる。音楽でできないことがない自分だからこその強さだ。
何故、不安を感じただろう。孤独を感じただろう。
『私はお母さん以外にも、私の音楽を届けたい人がいる。』
今更ながら、そんなことに気づいた。
気分がいいから、夜も更けている中外に出る。お姉さんにあまり遅い外出は控えるように言われているが、今日は気分がいい。
猫毛気味の毛先を櫛で梳かして、帽子をかぶり玄関を施錠。春先だからか、まだまだ肌寒い。パーカーを羽織り、オートロックから出ると、入り口付近に景観に合わない格好をした女性が横になっていた。
「…え?」
さすがに女性一人というのは危ないと思い、近付く。
「だ、大丈夫ですか?」
「うぅ…お水ぅ…あとしじみの味噌汁と…」
ずいぶん図々しいことを言い出したお姉さん。割と近くにコンビニがあるので、そこに駆け出す。今の時代電子マネーでの買い物ができることに感謝する。家に財布を置いてきてしまったことに気づいたのは会計直前だった。
軽快な会計音が聞こえ、袋詰めを待つ。
「お湯いただいてもいいですか?」
「はい、どうぞ。」
イートインコーナーに向かい「かやく」とお湯を注ぐ。親切な店員さんが袋を持ってきてくれたので、笑顔で受け取る。顔を赤くして戻っていく大学生ほどの女性だったが、仕事熱心なことだ。
彼女に渡すまでに、温まるだろうとコンビニを後に、彼女のもとに向かう。
唸りながら座る彼女に買ってきた物を渡す。
「ごめんね~こんなにありがと~」
しじみの味噌汁で楽になったのか、お礼を言う彼女。
「大丈夫ですよ。お姉さん、家まで帰れますか?」
「いや~この後ライブなのよ~」
…大丈夫か、この人。
「え、大丈夫なんですか?」
「はっはっは!!だいじょーぶ!『FOLT』ってライブハウスでやるんだけどこの辺りだから!よかったら君も来る?お姉さんがおごるよ~?」
「いいんですか?」
「もちろ~ん!あ、私は
…この人、ロック過ぎないか?(混乱)
とりあえず書きたいことは今日かけました!
更新は、評価次第ってことでお願いします
あ、オリ主ちゃんはちゃんとあの世界観で可愛い娘です