とっぷ・おぶ・そろ!   作:がんがんがん

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なんかいろんな方に見ていただけてうれしいです

感謝します。


3.孤独と孤高

 フラフラのきくりさんに手を引かれて歩き出す。ライブと言っていたが、彼女は生き様同様にバンドをやっているのだろうか。…いや、ほかの音楽での方向性がわからない。

 

 5分ほど歩くと、彼女のいうライブハウス「FOLT」に到着した。どこから出したのかわからないが、紙パックのお酒にストローが刺さっている。

 

 「酒は飲んでも吞まれるな」という言葉は、彼女以上にふさわしい人はいないだろう。

 

 連れられてライブハウスを進むと、お金を数える姿が様になりすぎる男の人がいた。厳つくてちょっと怖い。

 

 「銀ちゃーん!!きーたーよー!」

 「あぁ?」

 

 凄まれてるのか、視線が怖い。怖さが格上げされた。

 

 「あーら!かわいいファンだこと!私、吉田銀次郎(よしだぎんじろう)でーす!」

 「…あ、玉置玲音です。あと、連れてこられただけで…。」

 「そんなこと言わないでー!」

 「アンタねぇ…」

 

 呆れたようにこちらを見る吉田さん。きくりさんのこの行動は、割と日常なのかもしれない。

 

 「『SICK HACK』のリハ、もう時間終わったよ」

 「だいじょぶだいじょぶ!!志麻が何とかするよ!あ、私のバンドメンバー紹介するね~!」

 

 彼女のホームグラウンドは割と居心地がいいのかもしれない。深く理解しなくとも、どこか理解してくれる相手。それは必ずしも同じ道をたどる必要はないが、目指すものが同じなのはどこか羨ましかった。

 

 控室だろう裏の部屋に彼女のメンバーはいた。

 

 「きくりオソイよ~」

 「お前、そろそろ酒を…ん?」

 「ま、まぁそんなカッカしないで!今日は私の恩人連れてきました!」

 「えと、玉置玲音です。」

 「すみません、廣井が迷惑を。私は岩下志麻(いわしたしま)です。」

 「ワタシはイライザ!ヨロシクね!」

 

 …お母さん。意外と類は友を呼ばないようです。

 

 個性の塊のような彼女の周りには、良心が見えるような優し気な人達がいたのだ。割と、補い合ってうまくやれるのかもしれない。

 

 今日ほど感情が二転三転するのは初めてかもしれない。

 

 「いい席で見てよ!!きっと君を満足させてみせるよ!」

 「有名なバンドだから、私なんかじゃなくて…」

 「君は私なんかよりもずっとすごい。びびっと来たんだ。だから私なんかが君を動かして見せる。」

 

 控室を後にしようとした私にチケットを握らせる力が強くなる。目が合うのに、こちらが見透かされているように視線に吞まれる。

 

 「…来てよかったと、きっと思います。私の勘は鋭いです。」

 「いうねぇ!楽しみにしててよ!」

 

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 様々なバンドを見たが、同じようなバンドはなかった。自分たちの個性や強みを発揮できる実力は、素直に尊敬する。今まで作ってきた音楽とは大きく異なる方向性。上手い下手関係なく刺激的だ。

 創作する上で、きっかけは大事だ。どんなに才能が有っても、曲を作るのに熱意がなければそもそも完成できない。少なくとも私はそういうタイプだ。

 

 「かっこいい」

 

 同世代だからなのか、学生バンドの印象は強く残る。積み重ねていろんな努力がみられる。厳しい目で見れば、まだまだ拙いかもしれないが魂をぶつける気概というか、迫力を感じる。

 

 もしかして、私がやりたいことはこういうものなのかもしれない。

 

 トリになり、雰囲気が変わる。きくりさんたち、『SICK HACK』の出番だ。バンドという方向性に詳しくないが、音楽に集中すると身体の感覚を奪われるような。のちに知ったが、サイケデリックロックというジャンルは、ドラッグなどの幻覚をロックで再現したものだそうだ。入り込んで聞くと私は飲み込まれてしまう気がする。

 

 周囲を巻き込んで、会場をより盛り上げるきくりさん。彼女たちの魅力は確実に実力の影響もあるが、それ以上に依存性のある音楽を生み続ける創作力が大きいだろう。

 

 「私は…」

 

 雰囲気だけでなく、実力を正確に評価できている自負はある。それだけのものを自分が作ってきた。ただ、この一人善がりを孤独だと自分は思うのか。

 

 「思わない」

 

 自分のやるべきこと。証明するべきことを見つけることができた。きくりさんには感謝だ。

 

 「おっぇ…はぎぞう…」

 

 …尊敬は、別の人に向けよう。

 

 




飽きるまではしっかり更新します

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