…本当にすみませんでした。3ヶ月ぐらい開くとは思っていませんでした
とりあえず小説を楽しんでいただけると幸いです
「一体何がどうなってんだ…」アランはまるでため息のように言葉を発した、しかしこの部屋にはアラン一人しかいない、ここは個人専用の独房なのだ。
死の数秒間をくぐり抜けなんとか救助されたのはいいものの、その後何故か土星系の軍用艦に捕まったと思ったらその後独房行きになってしまったのだ、その上救助に来てもらった艦の乗組員のその後もわかってない。
「…俺たちはただ死の数秒間をくぐり抜けただけだろうに」アランがいくら抗議しようがここは独房、誰にも声は届かない。
アランはしばらく誰も聞くことのない抗議をし続けたが、諦めの感情が勝ってきたうえそろそろ睡眠時間に達したのか眠気もたまり始めたのでふてくされながらも眠ることにした。
「はあ、いつになったら開放されることやら」そう呟いて。
いつの間にか視界には電子機器が敷き詰められていた(ここはどこだ)アランは状況が飲み込めなかったがアランの体は勝手に動く、その時には思考さえも視界に映る世界に馴染んでいた。
ここは自分の有する採掘船の船内だ。
光景の中のアランは船内のチェックを始めた、まずは機関一式のチェックだ…といっても確かにこの船はオンボロだが、船内の様子はデバイスですぐ見られる、無論機関以外もだ。だからこそチェックはすぐに終わってしまった。
この手の採掘船は一人で運用されることが多い、ライフサポートシステムの設備を減らせるからだ、お陰で暇をどう過ごすかが船員の悩みなのだ。
アラン自身は大量の本を持ってくることで解決している、ただし本人は媒体が紙であることを望んでいたが居住区の広さがどうしても足りなくなるので電子書籍で我慢している。
この船は父親から譲り受けた船だ、お陰でどこもかしこも古くなってしまっているが、アンティーク系を好むアランにとっては修理代以外気にすることはなかった。
「さて、採掘の続きだ」アランは船の採掘装備一式を稼働させる、「近くに良さそうなのは…」と言ってレーダーも稼働させる。
15キロ先にちょうどいい大きさの岩石を発見したアランは船の熱核ロケットを稼働させる、船体が振動し始めるがアランにとっては不愉快なものではなかった、むしろゆりかごに揺られているような心地よい印象を持っていた。岩石との距離が4キロほどになったので逆噴射を始める。
岩石との相対速度が0になったのを確認したら、アランはロボットアームを稼働させ岩石を改めてレーダーでロックした。
これによってロボットアームが稼働しAIによって自動的に岩石を掴む、そしたら採掘を始める手順だ。
ロボットアームがモニター越しで動いているのがわかる、しかしその速度は絶望的だ。
経年劣化もあるが、姿勢制御のことも踏まえるとロボットアームの稼働速度は落とせざるを得ないのだ、だからこそアランは一人考えるのだ、今後どのルートで採掘すべきか、船の改修はいつにすべきか、いつ実家に帰るか、彼女とはいつ結婚しようか…そう考えてるうちに岩石を捉えられるのだ。
(よしこのまま船首の採掘ドリルをくっつけよう)アランはコンソールをいじくり回す、その時視界が暗転する。
アランはゆっくりと目を開ける「…夢か、この夢何度見ればいいんだ、こんなの俺には似合わねえよ」
そう呟いたあとゆっくりと起き上がる、その時だった。
「…アラン中尉」「!、艦長」独房のドアが開いたのだ、「艦長、どうなっているのか説明してください」「わかってる、だがまずは皆と合流してからだ」アラン中尉は独房から出て艦長についていった。
艦長についていくとそこはアランにとって、いや一般兵にとっては驚くべき光景が広がっていた。
大量の人員に高性能な機器、それはわかるしかし細かいところが違った、どの人員も階級は上、機械類も土星警備軍としては最高級のもので埋め尽くされていた。「艦長、ここは」「エンケラドゥスの司令室の一つだ、それも最高クラスの」ただただアランは驚くしかなかった。
「ノアス大尉とアラン中尉…だったね?」アランが後ろを振り向くとそこには40代後半に見える男が立っていた。アランは尋ねる「あなたは、」艦長が説明する「彼がこの基地の司令、西井暁少将だ」、西井少将はノアス大尉に目で感謝の気持ちを伝えたあと一息置いてから喋り始めた「エンケラドゥス司令部へようこそ、先も説明してくれたが私が西井暁少将だ、詳細は他のメンバーと会ってから話そう」
アラン中尉とノアス大尉は西井少将についていくと、司令室の奥の方で他のメンバーが席についているのが見えた。「さあ、席にかけたまえ」西井少将の発言の後二人も席についた。
皆が席についたとき、クロム伍長が西井少将に発言した「質問です、自分たちを救助した船の船員はどうなったのでしょうか?」「安心したまえ…とは言いにくいかな、なにせ箝口令が敷かれてるようでな」「箝口令…」そこにレミントン少尉も交じる。「自分からもいいでしょうか」「何かね」「私達たちの扱いはどうなっているのでしょうか?」西井少将は多少口ごもりしたが現在の取り扱いを明かしてくれた、しかし5人に取っては空いた口が塞がらないものだった
「実は…死亡扱いになっている、表向きには」ミデラス少尉は感情を抑えつつ質問する「…そうですか、しかし今後自分達はどう扱われるんでしょうか」「それも含めて今から説明する」
西井少将はコンソールを操作し5人のコンソールに情報を送った。一同は驚愕した「これは!?」少将が一番最初に送ったのは現在司令部に繋留中の新鋭艦の画像と基本情報だった。5人はしばらくの間沈黙に包まれていたがノアス大尉が沈黙を打ち破った「…いつこのような艦艇を建造されたのでしょうか」「実を言うと少将である私にも伝えられていないのだ」「それと、このステルス機能とやらは何かの冗談では?」
「司令部が冗談をいう訳がない、クロム伍長」「…はい」「パンドラに搭乗中、レーダーに違和感を覚えたことはないか?」クロム伍長は思い出した。6月10日の演習のときやけにレーダー反射率が低い艦艇が突如として現れたことをしかも現れる前に前兆らしきものがなかったことを、そもそも宇宙でステルス艦らしき反応があったことを。
クロム伍長は伝える「確かにありました」「それが今送った艦艇なのだ」。「で、これをどうなされるんです?」アラン中尉は驚愕を通り越して呆れた感情で質問した。西井少将ははっきりと発言した「君たちにこれの同型艦を譲ろう、艦名は”ガリレオ・ガリレイ”だ」「これを…譲ってもらえると?」レミントン伍長が疑いながら発言する。「もちろんだ、だが条件もある、まず君たちは土星自治宙域の監視下に置かれる、そして慣熟航行のついでに月まで送ってもらいたいものがある」「送ってもらいたいもの?」一同は質問する「君たちに運んでもらいたいのは軌道海兵隊のとあるチームだ、それと工作員、ついでに君たちもしばらく月で滞在してもらうことになる」クロム伍長が質問する「なぜ月に滞在する必要があるのでしょうか」「実を言うと月共和国がこちら側に付きそうなのだ、そこで政府は有事の連携力強化のため君たちの他艦艇にして9隻ほどを送ることにしたのだ」。
5人はただただ驚くことしかできなかった、もうそこまで物事は進んでいたことに。
それでも西井少将は話し続ける。「もし月共和国での仕事が終わったら、そちらから運んでほしいものがある」ノアス大尉は覚悟を決めた様子で答える「…わかりました、運んでほしいものとは何でしょうか」
西井少将は一息置いた後答えた。それは5人の運命のみならず太陽系さえも揺るがすものだった
「…月共和国より地球火星連合に関わる重要機密と月製の第3世代核兵器を持って帰ってほしい」