令嬢、女王に即位す   作:白雪(pixivでもやってる)

11 / 30
キンカメ「……ハッ!ベルが男に絡まれてる予感がする!」


竜騰虎闘

2006年になり、私はムードちゃん、メジャーくんがいるなか安田記念を勝利。連覇を達成した。

 

今年からはヴィクトリアマイルが創設されたが、私の耐久力だと絶対故障するので走らない。

 

 

では、どこを走るのかというと……

 

 

 

 

「おにぎり……」

 

「そうだ、おにぎりらしい」

 

 

 

イギリスのアスコット競馬場だ。

 

ハーツが言うにはおにぎりコースらしい。おにぎり……?

 

ジャック・ル・マロワ賞のときは直線コースですごく走りやすかったけど。

 

変な形のコース……。

 

 

「ハーツ、皆から心配されてたよ。かなりげっそりしてるし大丈夫?」

 

 

「まあな……なかなかに堪えてる。お前は慣れてるのか?」

 

 

「去年経験したけど暑さには耐えられないかな」

 

 

走り終わったあとは必ずシャワー浴びることになるな。

 

熱中症になっちゃう。

 

 

「ドバイのときはユートピアがいたから安心して過ごせたんだがな……」

 

 

はあ、と疲れたようにため息をつくハーツ。

帯同馬がいないというのは不安だよね。

 

 

「ユートピアさんの代わり……と言えるか不安だけど、私にじゃんじゃん頼っていいからね?これでも去年欧州遠征経験してるし!」

 

 

頼りになるかわからないけど。

 

 

「そうか……なら一ついいか?」

 

 

「うん?」

 

 

「ちょっと顔をこっち向けてくれ」

 

 

そう言われたので、顔を伸ばして隣のハーツの馬房のほうに寄せると

 

 

「!?!?」

 

 

あっちも顔を伸ばして、私の鼻から口元あたりをくっけた。

 

いわゆる、キス、だ。

 

 

「あああああなた!!!なにやって!!!」

 

 

「なんだ、これがどういう意味か知っているのか?」

 

 

「当たり前でしょう!?子供ができるのよね!?」

 

 

「……は?」

 

 

なんであんたが呆然としてるのよハーツ。

 

現役の私たちにそういうのはまだ早いってお母さんが言ってた。

 

 

「んもう、次からは気を付けてよね」

 

 

「…………情操教育はちゃんとしてくれ、キンカメ……!」

 

 

 

うん?なにか言った?

 

 

____________________________________

 

キングジョーⅥ世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークス

 

2006年 7月29日

 

アスコット 芝12ハロン

 

 

 

「馬場は……まあ重馬場よりましね」

 

 

「なんとか体調も持ち直したが……強い馬ばかりだな」

 

 

「そうね。私たちよりこの芝に慣れた馬たち……手強いわよ」

 

 

あれは、ハリケーンラン。

 

 

確か去年私とカルティエ賞の年度代表馬争いしたという……まあ私は逃して最優秀古馬とったが。

 

えぇ……?一応日本馬だよ私。

 

というか去年の日本の年度代表馬及び最優秀四歳以上牝馬は私だった。

 

 

ディープに先着したことと国内G13勝、海外G12勝の実績があったからだろう。

 

 

「あの凱旋門賞に勝ったらしいよ」

 

 

「あー、今年はディープが挑むやつか」

 

 

残念ながら私は帰国して天皇賞秋に行くが、彼には日本の代表馬として頑張って欲しい。

 

 

 

「えーっと、あの馬はエレクトロキューショニスト。すごい物騒な二つ名持ってるって。」

 

 

G1を3勝、なおかつ三着以内。

安定感も凄まじい。

 

 

「よく知ってるな。どこで聞いたんだ?」

 

「スタッフさんがペラペラ独りごと言ってくれるよ」

 

 

私が賢いみたいな話が出回ってるからかも。

 

会話してる気分になれるらしい。

 

 

「そろそろね。……じゃあ健闘を祈るわ」

 

 

「あぁ、負けないぞ。俺は。」

 

 

私は二番人気。さすがに、一番人気はハリケーンラン。

 

 

ピリピリした空気が肌に突き刺さる。

 

警戒されてるね……。

 

 

 

「ふう……」

 

 

こんなにレベルが高い海外のレースに出させていただけるなんて、光栄だ。

 

 

だからこそ……

 

 

「容赦なく勝ちに行くわよ!」

 

 

 

__________________________________

 

 

『日本からハーツクライとベルサフィールが出走するキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークス。今まで日本馬は勝ったことがありません。複雑かつ厳しい坂があるコースは現地の馬でさえも唸らせる鬼門。』

 

 

『最終的にはハーツクライは三番人気、ベルサフィールは二番人気になりました。さあ日本の最強馬たちよ、世界に勇姿を見せてくれ』

 

 

『全馬7頭ゲートイン……スタートしました!おや一頭出遅れたか!?ハナを進むのはやはりベルサフィール。去年の圧勝劇を今年も再現するのか?』

 

 

やっぱり……コースが日本とは全然違う。

 

坂も急で、芝が深くてスピードが出しづらい。

 

これは厳しい戦いになりそうだ。

 

 

取り敢えず自分のペースで……。

 

 

『ぐんぐん進んでいきますベルサフィール。二番手チェリーミックス、ハーツクライは三番手あたりを追走。』

 

 

パワーがいるコースと馬場だからかいつもよりは離せてないよね。

 

でも、脚はあるから最後の直線……いや、その前の坂で決める!

 

 

長めのカーブを抜けて、つかの間の平坦……かと思いきや長い坂!しかも急勾配!

 

二段階に分けられるこの坂は、現地の馬たちでも攻略が難しい。

 

ああ……ほんとうまくいかないな。

 

 

『二段階の坂が終わったら残り600メートル!緩やかな坂がゴールまで続きます!ここで加速した日本のベルサフィール!』

 

 

 

よし、ここだな!!!

 

 

 

 

ぐっ、と力を込めて末脚を解放する。

 

加速して加速して……あぁ、日本とは違った風の匂いだ。

 

 

 

『いやハーツクライ!ハーツクライとハリケーンランも来ている!間からエレクトロキューショニスト!!三頭並んで追走!!』

 

 

後ろからすごい圧。

 

絶対に差してやるという気持ちが強く伝わってくる。

 

でも……私はどこまでだって、逃げてやる!!!

 

 

「はああああ!!!」

 

 

 

『だがベルサフィール!ベルサフィールだ!二馬身のリード!最強馬たちを引き連れて、今ゴールイン!やはり中距離でも強かった最強牝馬、牡馬を一蹴!世界が震えています!』

 

 

 

『二着三着四着は混戦。どうなるのか……。あっ、今掲示板が出ました!』

 

 

 

タイム 2分27秒60

 

 

一着 ベルサフィール

 

二着 ハーツクライ(二馬身)

 

三着 ハリケーンラン(ハナ差)

 

三着 エレクトロキューショニスト(同着)

 

 

 

「あら……同着なのね三着は。」

 

 

「そうみたいだな。……一応日本馬の意地は見せたが」

 

「私の逃げで展開変わるもの……やっぱりそこらへん慣れてるハーツは有利だったわね」

 

「……ともかく、おめでとうベル。」

 

「ありがとう。リベンジはしたわよ。次走るなら……」

 

「ジャパンカップ、だな。俺は天皇賞秋には出ないから。」

 

「そうね……楽しみにしてるわ。今日はおつかれさま、戦友」

 

 

 

____________________________________

 

後日

 

「えっ、私が世界一!?レーティング135!?ハリケーンランが130だから!?っていうか去年132だから単独トップだったの私!?さらに上がってるじゃん!?牝馬だとこの数値、歴代トップだったり……?」

 

 

 

 

 

 

ファン「エルコンの134抜いてるじゃん」

 

ファン「牝馬は4ポンドマイナスだから実質139だぞ。」

 

ファン「ダンシングブレーヴが140だっけ。強くねベルたん。」

 

ファン「マイル部門だとぶっちぎり一位、ロング部門でもディープ抜いて一位だ。やべえ。なんだこいつ。」

 

ファン「キングジョージで二馬身逃げ切り勝ちは強いんよ」

 

ファン「モンジューやシガーと同評価。これはやばい」

 

ファン「そもそもベルたんは去年132で世界一だったぜ」

 

ファン「ハリケーンランが130か。牝馬という点を考慮してもまあ上方修正されるわな」

 

ファン「欧州マイルであのパフォーマンスしたからそらそう」

 

 

 

 




メジャー「……よし、今度こそだ。待ってろよ、ベル。」

メジャー「絶対にお前に勝ってやるからな」

メジャー「(そしてあわよくばメジャーくんカッコいいと言って貰うんだ……!)」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。