番外編です
「■■■■、何をボーッとしているの?今日はあなたが主役なんだから…!」
「あっ。もしかしたらあまりのプレゼントの量に驚いてるのではなくって?」
「ふふ、当たり前よ。今年からトレセン学園のお友達からも届いているものね。……最初は馴染めるか不安だったけど、安心したわ」
アイオライト姉さま。
サフィラ姉さま。
「パパがいいレストランを見つけてくれたの。姉さまたちも今夜はチートデイですってよ」
キュアノス姉さま。
「おねえさま、きょうはかあさまもいっしょにいられるの…?」
ルナーリア。
「ママはパパがおむかえにいってるんだよ。」
トルマリン。
笑い合う仲良い姉妹の光景。
それは宝石のようにキラキラしていて……自分には到底手が伸ばせないような、そんな。
……あれっ?
わたし、なんでそう思ったの?
「ほら早く行きましょう!お母さまもお父さまも先についてるんですって!」
サフィラ姉さまに手を引かれ、黒塗りの大きな車に乗る。
アイオライト姉さまとサフィラ姉さまは、トレセン学園の感謝祭について話している。
キュアノス姉さまは普段のトレーニングについて。
ルナーリアとトルマリンは興味深そうに、わくわくした面持ちで聞いている。
車内にいる時間はあっという間に感じられ、わたしはこの時間が名残惜しかった。
だって絶対手に入らないものだから。
……………なんで?
都内の一等地にあるセンスのいい建物の中に入ると、ご飯のいい匂いがした。
姉妹全員がかなりの健啖家であるため、目を輝かせる。
恭しく出迎えたシェフの挨拶もほどほどに、庭の風景が美しい個室に通された。
「あっ」
初めて、声を出した。
先に待っていたであろうその人たちは、仲睦まじく話している。
こちらに目を向けると、優しく微笑んだ。
ズキン
ズキン
ズキン
胸が痛い。
なんで、どうして、そんな
「プライベートでこうやって会うのは久しぶりだな。背も伸びたか?子どもの成長はやっぱり速いな……」
嬉しそうな顔でお父さまは言う。
ズキン
ズキン
お父さまにエスコートされるようにして歩いている、その人と目を合わせる。
……あぁ、こんなのって
その人は少し細いが、美貌に翳りがなく若々しく見える。
まさしく"優美"という言葉が似合う女性は、サファイアの瞳を優しく蕩けさせた。
「■■■■──────」
「誕生日、おめでとう」
「……ハッ!!」
思わず飛び起きた。
両目からはぽろぽろと涙が溢れる。
右手は胸をぎゅっと掴み、わたしは苦しそうに息を吐いた。
「そりゃ、そうだよね……夢だよね……」
家族にあたたかく誕生日を祝われる夢。
もう一生来ないであろう風景。
絶対手に入らないまぼろし。
泡沫の夢。
娘じゃなくても、お母さん……ベルトレーナーは夢の中のように優しく微笑んで担当ウマ娘の誕生日を祝ってくれるのだろう。
それにしても、ものすごく……
「最高で、最悪の夢だった」