Black Externa ─黒の極致─   作:サム・ソー川

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9話「コール・ネーム(3)」

 

 

 ────草原の中、ぽつんと生えた草。

 

 その周りだけ他の草木は無く、ただただ風に煽られているように。

 

 

 それが、教室で初めて見た彼の印象だった。

 

 見えない壁を立てているように誰とも接しない黄昏の存在。

 

 放っておけなかった。

 

 

 

 

 ────彼は、私が思っているよりもしっかりしていた。

 

 特に最近の行動を見ているとそうだ。

 

 知らないところでクラスメイトと打ち解け、友人になり、教室内で談笑している。

 

 

 ……

 

 問題ないの。それが本来の望みだったのだから。

 

 でも、彼が友人たちと仲良くしているのを見ると、時々思ってしまう。

 

 

 私なんていらなかったんじゃないかって──────……

 

 

 


 

 

 

 池袋が謎の空間に飲まれる数分前────。

 

「あーもう、新屋敷も黒装もすぐ熱中してさー」

「ま、まぁまぁ爽帆さん……おかげでアタイ達も服を見れてますし……」

「しゃーなしやな。元々自由行動する予定って言うてたし問題ないやろ」

 

 アニメのDVDを買うかどうかで悩む男子二人(ディルと泰輝)をよそに、女子たちは衣服の店へと向かっていた。残った一人(宗也)に行き先を告げたため、連絡は大丈夫だろう。

 

 しかし、恵那は一人浮かない顔をしていた。

 

「……ぇなたーん、どしたん、昼からなんか変やで?」

「え? えぇ……少し歩きすぎちゃったのかしら?」

「す、少し休んだ方がいいですよ。あそこに椅子もありますし」

「そうね。少し休ませてもらうわ……」

「じゃあウチらその間ここで服見とくから!」

 

 恵那を通路の椅子に休ませた爽帆とアユミはファッションショップに入る。そして恵那に聞こえない死角に入ったところで、声を潜めて会話を始めた。

 

「マジでえなたんどしたん? 体は調子悪くないはずなんに心が上の空やで?!」

「なんとなくですけど……黒装さん絡みじゃないです……? お昼前、お二人が会話した後からああなので……」

「会話聞こえた?」

「そこまでは……」

 

 しばし考え込む爽帆。よし、と何かを決意するとアユミに再び声をかける。

 

「こんなとこで服見とる場合ちゃうな! 先にえなたんの相談乗ったらんと! 『男子はアホなんやから』って」

 

 そう言って爽帆が店を出ようとしたときである。

 

 建物どころか、その空間そのものを揺らすような衝撃が一帯を襲う。

 

「な、なんやなんや!?」

「じ、地震ですかうえぇぇぇぇ」

 

 通路を挟んで座っている恵那に目を向けるも、間の空間が瞬時に断絶される。揺れる店内。止まらない絶叫は振動の中に飲まれていった。

 

 

 


 

 

 

 『オーバーライド』、という現象を説明する前に我々は『ドミニオン』、そして『ドミネーター』という存在について知らなくてはいけない。

 

 魔物は絶大なエゴによりその超常の力を発揮することができる。しかし、エゴに流され続ければ、他者との繋がりを失い魂が壊れる。そうなれば見境なくエゴのままに動く、魔物ですらない『異形』になってしまう。

 

 だが……中には異形になることなくエゴを飲み込み、魔物を超えた存在へ至る者もいる。

 それが『ドミネーター』。その力は自らの世界……『ドミニオン』を創り出せるほどだ。ドミニオンは支配者(ドミネーター)の望んだ世界律(ルール)が発揮されている。例えば、妖精の世界であるドミニオン『妖精界』では、「望めば空を飛べる」という世界律が存在する。

 この地球もドミニオンとされている。そのドミネーターは何者なのか、数多の勢力が調べ、そして未だに判明していない。

 

 では、『オーバーライド』とは何か。簡単だ。ドミニオンが他のドミニオンに乗っ取られることだ。

 水というドミニオンとオレンジジュースというドミニオンがあったとする。混ぜたらどうなるか。多少色や味は落ちるかもしれないが、それは量の多いオレンジジュースになるだろう。

 

 

 

 そして話は現在に移る。

 街全体に起こった異常事態。上書きできないアレナ。

 

 それは、何者か(ドミネーター)により池袋の街がオーバーライドされたことを表していた。

 

()()メフィストフェレスがいるこの街でこんなことが……!?)

 

 メフィストは池袋に開放型のアレナをいくつも置いている。そしてそれらの集合体ともいえるドミニオン『池袋の夜』のドミネーターでもあるのだ。

 絶大な力をもつ彼の監視下で、ここまで大それたことは並大抵のドミネーターでもできない。

 つまりこの異常を引き起こした主が、メフィスト以上の力の持ち主である可能性がある。もっとも、メフィストが面白半分にドミニオンを喰わせているだけの可能性もあるが。

 

(いやあの悪魔ならこれに乗じて手練れに『ドミネーターとのタイトルマッチは如何かな?』とか吹っかけてるぞこれ!!)

 

 ディルが思ったのは後者だった。メフィストのエゴは「最強の魔物を見ること」だ。そのためなら多少の余興も受け入れる。

 

 時間が経てば他の半魔が解決するかもしれない。「それよりも」とディルは横にいるクラスメイトをチラリと見る。

 ノウンマンである宗也はともかく、泰輝はアンノウンマンである。別世界化したこの街を見てパニックにならないとは言い切れない。

 

「にしてもこの状況……もしや僕らはピカソの芸術空間にでも入り込んだのかい?!」

「「いや違う」」

 

 泰輝にこれといった変調はみられない。元々周囲にいた一般の人間も同様に、事態に困惑はすれど、発狂はしていなかった。ドミニオンに飲まれただけでは、これといった異常は(きた)さないのかもしれない。少なくとも二人はそう考えた。

 

(これなら急いで動く必要も……)

 

 ディルがそう思ったときである。

 

 

 通路の向かい、非常口の扉がガタガタと揺れた。

 

 その揺れ方が特徴的だったからか、一帯にいた人々は扉に目が釘付けになった。無論、ディルたち三人もだった。

 そして、どうしようもない悪寒が背筋を伝うのもまた同じタイミングだった。

 

 扉が上下に揺れる。まだ開かない。

 

 扉を強く叩く音。ひりつくように扉がが細かく揺らされる。

 

 それを見る人々。誰も近づこうとしない。『なんとなく』分かるのだ。あれに近づいてはいけないと。

 

 音が止む。暫しの静寂。

 

「……どこかに行ったのか?」

「大丈夫か?」

 

 少し安堵したかのように人々が声を漏らし始める。

 しかし半魔であるディルの聴力は微かな音を逃していなかった。

 

(いや違う。微妙に距離があるから誰も聞こえてないだけだ。ドアの向こうのやつは扉の硬さを()()()()……)

 

 扉の表面に硬いものを擦るように当てる音。それは扉の上から下へ伝っていく。

 

「逃げろ!! 非常口が破られる!」

 

 異音を聞いてからカンマ一秒も無い警戒の叫び。

 

 それと同時に扉が縦に割れ、飛ばされる。

 

「……ッ!!」

 

 かすかに見えた非常口の向こう、そこは荒れた大地と乳白色の歪んだ空。溢れてくる赤褐色の空気は『地球ではない』場所であることを示していた。

 

 そして扉を蹴飛ばした『何か』がそこに仁王立ちしていた。

 立ち姿だけなら霊長と変わらないのかもしれない。異なる点は全身が緑色、腹側だけ銀色に染まり、指からは鋭利な爪が伸びているということ。まるで爬虫人類だ。

 しかして「そんなものよりも」と思わせる最大の特徴が頭部に存在した。

 

 口の上から長い頭頂部の先までが銀色の刃、すなわち包丁が頭に融合していたのだ。

 

 

 ディルは一瞬で判別した。こいつは魔物のように他者と絆を結び、最低限は心を持つような存在ではない。当然、それでいて人間社会にいようとする半魔でないのはさらさら。

 つまり、魔獣でありながら魔物でもそれを超えるドミネーターでもない存在……心が奈落に堕ちエゴのままに振る舞うしかない化け物、『異形』*1だと。

 

 

「う、うわぁ! 化け物だ!!」

「逃げましょう皆さん!!」

 

 あまりに常識からかけ離れた怪物を見た群衆は、後方へ一斉に走り出す。

 

(他の人間がどっか行った! 変身しても大丈夫か……?)

 

 泰輝一人だけなら宗也に目を防がせるなりなんなりで誤魔化せるかもしれない。出現した異形は一匹であり、それなら自分だけで撃退できるだろう。

 そう考えたディルだったが、すぐにその考えを改めた。

 

「ゴシュルルルルァァァァアアアア!!」

 

 先ほどOVAを買ったばかりの雑貨屋からサメとタコ、両種の特徴を混ぜ合わせた新たな異形が、棚を突き破り現れたのだ。

 

「は?!」

 

 驚愕で口が開いたまま、手足が本能のように動きだす。宗也と泰輝を脇に抱えてだ。

 

(こんな訳の分かんねーの二匹同時に相手できるかっ!!)

 

 魔の姿にならずとも並の人間よりも圧倒的に速い半魔が、通路を駆けていく。

 線で区切られたように通路が屋上庭園に、その先は地下駐車場へ。疾走しながら異様な光景を目に焼き付ける。その中には、先ほど目撃した包丁怪人と鮫蛸以外にもわずかながら魔獣の姿が確認できた。

 

「ディル! あの本屋だ! 入り口が狭いからバリケード作れる!」

「わかった!」

 

 宗也のアドバイスで見えた本屋に飛び込み、ディルは扉を勢いよく閉じる。すぐさま横のベンチを持ち上げストッパーにする。

 追いかけてくる地響きは感じられない。

 

「効果あるか分かんねぇけど走り続けるよりマシだろ」

「はぁーっ、はぁーっ、助かったぜ宗也ぁ……」

 

 息を枯らしながら感謝の言葉を述べるディル。そして恐る恐る泰輝の方を見る。

 初めて魔獣を目撃したのだ。その心理状態がどうなるか分かるものではない。願わくば恵那の時のように、取り乱したりしなければ……とディルは思った。……が。

 

「助かったよディル君! とにかく厄介事に巻き込まれてしまった以上、打開策を考えようじゃないか!」

 

 いつものように変わらない態度の泰輝がそこにいた。

 だが、おかしくないはずの彼にディルは違和感を感じる。宗也と目を合わせ、「お前のときはこうだったのか?」「いんや、違うな」と無言のやり取り。

 

「あ、二人とも! 隠れている人がいる。彼らにも話を聞こうじゃないか」

 

 本棚の奥に隠れた人々を見つけた泰輝が駆け寄っていく。ディルたちも警戒しながら歩み寄る。

 

「あ、あんたら大丈夫か? 他の区画はどうなってんだ?」

「僕らは大丈夫ですよ。他の場所にはモンスターがいました。隠れるためにここに。もしや皆様も?」

「そうだ。こっちも化け物に見つからないようにここに隠れた直後だったんだ」

 

 泰輝と話す別の店からと思しき店員。その取り乱していない様子にディルはまた違和感を覚える。

 

(そういえば……)

 

 最初に異形が出現した通路のことを思い出す。群衆は一斉に逃げ出したものの、発狂したり動けなくなる人間はいなかったのだ。普通の街中ではこうはならない。

 

(もしかしてこのドミニオン内だと、アンノウンマンは魔獣を見ても大丈夫になってるのかもしれねーな。……っても記録に残らない保証もねーし)

 

 確証がないため推測しかできないディルだったが、いずれにせよ人々が取り乱していないことは幸先がよかった。

 

「とにかく当面の安全を確保した方がいいんじゃないかな」

「入り口以外に他の空間に繋がりかねないところあるか探そうぜ。バケモンが出てきたら大変だからな」

「とりあえずオレが入り口見張っとく。何かあったら言うから」

 

 本屋を簡易基地にするための探索が始まった。

 

 

 


 

 

 

 五分後。

 

「問題なし」

 

 塞いだ入り口の隙間、ガラス扉の一部から外の様子を見たディルが独り言を呟く。

 

 彼らが籠城した本屋の区画に異形はあまりいないようであった。強いて言うなら、通路の遠方で骸骨が歩いていたぐらいだろう。

 

 さらに運がいいことに、唯一通路へ繋がるのは入り口のみ。そこにこぞって集まらない限り、店の中に異形が入ってくることは無いだろう。

 

「あとはこの空間(ドミニオン)からどう出るかだなー……」

 

 

 ドミニオンから脱出する方法としては二つ。

 

 一つは、外につながる『出口』を見つけること。

 ドミニオンが閉じられている場合、そもそも出口が無いのがほとんどだが、今回は出現した異形が別の場所へつながっていることを示していた。かといって日本どころか地球に繋がっているかすら怪しいのだが。

 

 そしてもう一つは、ドミニオンの主であるドミネーターを倒し、ドミニオンを消失させること。

 元凶がどのような思惑でこの事件を引き起こしたのかは不明だが、そもそも池袋の街をこのままにしておく訳にはいかないのだ。ドミネーターの捜索は急務だろう。

 とはいえ、ドミネーターは魔物を超える(エゴ)の持ち主。生半可な力では勝てない。さすがにディルも自らの力量は把握していた。単身では挑めない、と。

 

(この騒動に巻き込まれた半魔がいればそいつらがどうにかしてくれるかもだけど……)

 

 もしこれがディルだけならば、彼はすでに外へ動いていただろう。他の半魔を探して合流し、ドミネーターに殴り込みに行く方が事態の解決は早いからだ。

 しかしこの区画には宗也と泰輝がいる。彼らを放っていけるほど、ディルはこの場所の安全を信頼できなかった。

 

 そして、はぐれた女子たちが同じような場所にありつけている保証もなかったのだ。もし、異形に襲われていたら……。

 

 探しに行くべきか。

 

 ここの守りに徹するか。

 

 悩みの気配がしたところで、ディルは文明の利器がポケットにあることに気付いた。

 

(そうだ。スマホだったら連絡取れるじゃん! ついでにラン先生や日下さんに連絡がつけば……!)

 

 スマホを取り出し電話をかける。

 

『おかけになった電話番号は電源が入っていないか電波がとどかないところにあるためかかりません』

 

「……」

 

 ディルの頼みの綱は途切れた。

 

(電波通ってねぇ────……)

 

 白目を剥いて砂のようにさらさらと崩れるディルだったが、直後に友の声がかかり、正気を取り戻す。

 

「おいディル! 太田たちから電話きたぞ!」

「ほふぁっ?! えっ? ここ電波入んのか?!」

「泰輝のいる場所でつながったんだよ!」

 

 バリケードの補強をし終えた宗也に連れられ、泰輝が通話している場所に移る。二人に気づいた彼はスマホをスピーカーモードに切り替え、全員に聞こえるようにした。

 

『もしもーし? 新屋敷以外の二人も無事?』

無問題(もーまんたい)。泰輝が言ってるかもしれねぇが俺らは本屋を隠れ家にしてる。そっちは?」

『ウチらはサンシャインシティちゃうとこに入ってもーた! たぶん駅んとこのコンビニや』

「どうやらだいぶ混ぜこぜになってるみたいだね。マップも役に立たないかな」

『それより大問題や! ()()()()()()()()()()()

 

 

 瞬間、ディルの髪が揺れ、瞳孔が大きく開く。

 

 

 床を掌で大きく叩き、ディルが声を荒げる。

 

「場所は!? 連絡はついたのか!? 一緒じゃなかったのか!? なんで距離を離した!!」

 

「お、落ち着けディル!」

 

 突然怒声を発したディルに慌てつつも、宗也は腕を抑えて静止させる。

 

『あの子、昼から考え込んでるみたいやったからベンチでちょっと休ませてたんよ……。それが揺れのときに完全に離されてもーたんや……』

 

 怒声に怯んだのか、爽帆はしゅんとした声で理由を説明した。

 それを聞いたディルは記憶の片隅で思い当たるものを振り返る。

 

()()()……? まさか……)

 

 あのとき、一瞬だけ見えた悲しげな表情。

 

 あれが見間違いでなかったと(わか)ってしまったディルは、顔がみるみる蒼白になっていく。

 

 

 オレの────せいだ。

 

 軽はずみな言動だったのだろうか。もっと言葉を選ぶべきだった?

 

 いや、狙ってくる魔物がいなくなったって言っただけだぞ。オレなんかがわざわざ側にいる必要なくなったんだ。なんで悲しくなるんだ。

 

 分からない。

 

 だけど──────

 

 

 正しかったか間違っていたか、相手の気持ちを尊重するしない、の問題ではなく、そのきっかけになったのが間違いなく自分の発言であること。

 そして現在、魔獣が存在するこのドミニオン内で恵那は一人だということ。

 

 恵那(かのじょ)を危険な状況に置いているという()()が、ディルに大きな自責の念を与えていた。

 

 探しに行けと体が言っている。しかしそれは、友を安全とは言い切れないこの場所に置いていくこと。その心配が彼をここに留まらせていた。

 

(どうする……)

 

 歯をぎり、と鳴らすほどに焦りを見せた少年の肩に、その友の手が置かれた。

 

「らしくないじゃないかディル君」

「泰輝……」

「いきなり女性に怒鳴るなんて、普段の君からは考えづらいさ。いつもなら面倒そうにしていても、まだ紳士的に対応しているからね」

 

 泰輝がディルを諌める。女性に怒鳴ったのは『紳士』を目指す彼として見過ごせないから当然だ。そして、友が心中で悩んでいることも見逃していなかった。

 

「流蘭院さんのことがよほど心配なんだろう? 違うかい?」

「は、はぁっ?! 心配とかンなわけ…………そうだよッ……!

「素直でよろしい。ならばッ! すでに君がすべき行動は決まっているじゃないか。流蘭院さんを助けに行くんだ! ほら行った行った!」

 

 発破をかけるように言うと、泰輝はディルの背中をぐいぐいと押す。パワーが違うため彼は全くビクともしないのだが。

 

「でもお前らが……」

 

 まだ踏ん切りがつかないディルを宗也がさらに後押しする。

 

「俺らがいるからこの場所離れられないとか言うなよ。今一番危ないのは流蘭院さんなんだから」

 

 その言葉を聞いたディルは、足がとん、と前に進みだす。

 実際に背中を押していた泰輝がバランスを崩して転倒しかけるが、それにはさっと手を貸す。

 

「……分かった。行ってくる!」

 

 そう言って立てたばかりの本屋のバリケードをそっとどかす。人間一人が出入りできそうな隙間を抜けると、ディルは通路を一直線に走り出した。その動きに迷いは無い。

 

 

「……やれやれ、僕らなんかよりも優先すべきだというのに、彼は何を悩んでいたんだか」

 

 隙間を再び閉じながら泰輝がボヤく。

 

「まぁ、あいつにとって俺らは初めてできた友人みたいだからな」

「えぇっ?! 彼にとって流蘭院さんは友人じゃなかったのかい?」

「違うんだろうな。つまり()()()()()()だ」

「だろうね」

「「へへへ」」

 

 友人二人はディルの分かりやすい態度を思い返しては、にんまりと談笑し合っていた。

 

 

 

*1
伝承などのむやみやたらに人を襲う怪物のほとんどはこの異形だと言われている。




遭遇した包丁頭の異形は某大悪獣をイメージしてもらえればいいです
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