Black Externa ─黒の極致─   作:サム・ソー川

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クリニ=エル事件以降の平日、ある休み時間のお話です。
(一部)男性たちの尊厳を賭けた会話。


番外編「身長」

 

 

「にしてもアオイさん、かっこよかったな……」

「キザっぽくしてるんだけど許される空気あるの卑怯だろ」

「師匠とは方向性が違えど、あの人もまた紳士……女性なんだけども」

 

 ある日のツキ高、教室内で会話する宗也、ディル、泰輝の三人。

 先日の騒動から数日が経ち、グループワークの発表のためにメモをまとめあっている最中での話だった。

 

「そりゃメイクとか色々やってるもんな……ファッションガチ勢には勝てねーよ」

「というかほんとに俺らと同じ人間か? なんかスタイル全然違ってたし」

「背も高いしね。まぁ、僕もいずれあれぐらい伸びるけどね!」

 

「「……え?」」

 

 泰輝の発言に揃って首を傾げる二人。二人の頭上に疑問符が浮かぶのも無理はない。

 第二次成長期も終わっている高校三年生。微妙な成長はあるかもしれないが、それも良くてセンチ単位あればいい方だろう。

 泰輝の身長は一六七センチ。男子高校生の平均値から見れば、高いとは言えない数値だ。それに対して、ディルは一七〇センチ、三人の中で一番背が高い宗也は一七三センチ。彼らがアオイに感じた背の高さはそれ以上だったため、泰輝がそれぐらい伸びると言っても戯言のようにしか聞こえなかった。

 

「酷くないかい?! 人間の成長はまだまだ未知の部分があるんだよ! 諦めたら成長はそこで終了だってどこかで書いてたし!」

「っても中学のときみたいに十センチ単位で伸びるのは無理だろ」

 

 無慈悲な現実を突きつける宗也。しかし諦めの悪い泰輝にディルがさらに突っかかる。

 

「つーか、泰輝が伸びるならオレだってもっと伸びるはずだし」

「いやお前ももう伸びねーだろ」

「てめぇ──っ! 言いやがったな! オレらの中で一番背が高いからって!」

「そうだそうだ! 僕は知ってるぞ! 今年の身体測定のとき、去年より伸び幅大きくてガッツポーズしてた君を!」

 

 

 

「……まーた男子(アホ)どもが騒いどるわ」

 

 ぎゃいぎゃいと騒ぐ男子たちを尻目に、しっかりとメモをまとめていく爽帆、アユミ、恵那の女子三人。

 

「男性の人って背の高さでよく争ってますよね……」

「ふーん……そんなに気にすることなのかしら?」

「そりゃ見栄えに関わるんやから気にするんちゃうん? ウチかて(同性の)モデル体型の子見たら『ええな〜』って思うし」

 

 何かしらの話題が挙がったことで、女性陣の作業を進める手が緩む。

 

「そう、それこそ恵那(えなたん)やで! ウチより背高いし!」

「あまり変わらないと思うけど……」

「はは〜ん? その謙虚な姿勢は何や〜? 『こっち』は主張強いくせに〜!」

 

 そう言うと爽帆は手の甲で恵那の胸をとんとんと叩く。夏服のシャツを盛り上げる二つの実が揺れる。

 

「!!」

 

 さすがの恵那もデリケートな部分に触れられたからか、赤面を交えた修羅の形相となって爽帆の腕をこずいた。

 

「あだだ、でもウチとしては実際そこまでナンパされるほどモテてみたいって思うわけで」

「そうは言ってもよ爽帆! ……コホン」

 

 紅潮した頬を冷やそうと、恵那は一呼吸して息を整えた。

 

「私からすれば、知らない男性に好意を向けられても意味は無いの。意中の(ひと)が振り向いてくれないと……」

 

「おるんやな?」

 

「……」

 

「意中の人が、おるんやな?」

 

「……そろそろ休み時間が終わるわね」

 

 話の盛り上がりでうっかり何かを言いかけた恵那は、詰問から逃れようと筆記具を片付け始める。

 

(というかバレバレですよね……)

 

 アユミは敢えて口を開かずにいた。

 

 

 そして、教室一の美少女に好きな人がいるかもしれないという可能性に、教室にいる男子生徒たちは一瞬ガタつく。

 

 しかし、最も近くにいた男子生徒(ディル)はいがみ合いに夢中で何も聞こえていない。

 

 

「あっ」

 

 休み時間の終了を告げるチャイムが鳴った。

 

 




アオイさんの身長は一七三センチ。実は宗也と大差ありません。
つまり、彼女がモデル体型なのでより高く見えただけです。

以下、身長比較(分かりやすくするために数字形式を変えてます)

宗也 :173cm
ディル:170cm
泰輝 :167cm
恵那 :164cm
爽帆 :160cm
アユミ:152cm

気が向いたらいずれ画像で出します。
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