Black Externa ─黒の極致─   作:サム・ソー川

62 / 62
57話「追憶(3)」

 

 

“金銭が欲しい? ならば与えましょう。代わりにあなたは何を魅せてくれるのかしら?”

 

 男は財を築き上げ、そして豪遊をやめられず破滅した。

 

 

“全智が欲しい? ならば与えましょう。代わりにあなたは何を魅せてくれるのかしら?”

 

 学生は試験に全問正解し、浮かれて足を滑らせ階段から転落した。

 

 

“最高の美が欲しい? ならば与えましょう。代わりにあなたは何を魅せてくれるのかしら?”

 

 女はこの世の者とは思えぬ美貌を手に入れた。そして人間と認識されず消滅した。

 

 

 

 ──── 与えても意味などなく、それは重荷となりて破滅の鍵となる。

 

 

 契約をもたらすものとして仕事を始めて、おおよそ二年。私の「ギヴィング・デス」としての名は、魔物の間でちらほらと話題になる程度になっていた。

 『鍵』の力を少し借り、依頼者の別の可能性を引っ張ってくる簡単な作業。最上ではないが、契約を持ちかけてくる依頼者たちは皆なにかしらに困窮した者だ。現状が変わるだけでも彼らにとっては砂漠のオアシス。

 そして、限りのあるオアシスで後先を考えずに動けばどうなるか。結末は火を見るよりも明らかだった。

 

 

『お前があんな力を渡すから!!』

 

『こんなの望んでいなかったのに!!』

 

『お前のせいだ!!』

 

 

 別に悪意を持って契約を持ちかけていたわけではない。けれど、契約者が勝手に力に溺れ、恨み辛みを叫ばれる日々が続いたからか、心は他者に期待をしなくなっていた。

 いやそもそも、期待しない方がいい。感情を抑えた方が『鍵』が暴走しなくて済むのだから。

 

 

「恵那、感情を隠すのと感情を抑えるのは違うことだよ」

 

 時たま刹那兄さんも声をかけにきてくれた。十四歳の小娘が一人で仕事するのだ、さすがに心配はしていたのだろう。もっとも、あの人も魔物だ。あくまで『鍵』の暴走を恐れていただけかもしれないが。

 

 

 

 そしてある日。

 

 

「ア、アンタに頼めバどんな奴デモ追い払えルのカ?」

 

 そいつは電子レンジと呼ばれる機械に昆虫のような脚部品が生えていた。珍しい。機械(フルメタル)の依頼者だ。こんな魔物にまで私の名は知られるようになったか。

 

「俺ェ、実験体っテ奴でェ……。スクラップにされそウだっタんだけどコノ自慢の脚デ逃げてきたんダ。デモ、こんなナリだかラ色んナ奴らに狙われるカモしれなくテ怖い」

 

 つまり何が望みなのかしら?

 

「強イ体が欲しイ! 追いつかれテモ追い払えル強くテデカい体!」

 

 安寧よりも強さ。

 ……まぁいいでしょう。魂があるなら契約は交わせる。これまで通り、私は仕事を為すだけ。

 それが『鍵』の安定につながるのだから。

 

 

 

 

 力を与えた数日後。

 経過を観察しに、そのフルメタルを見に行ったときだった。

 

 そいつは魔物に追われていた。

 そのときまで私が知る由もなかった恐ろしいやつに。

 

「ハァ……ハァ……クソッ……お前ラがどんナ魔物も狩ル暗殺部隊ってヤツカ……!」

 

 どこかの町の郊外。フルメタルは幾人かに囲まれ、損傷だらけのスクラップ寸前だった。自慢の虫脚も残り三本だ。

 どの組織の者かは分からない。かの有名なMMM(スリーエム)でもJABFでもなく、知っているどんな組織のものでもない隊服。一つ分かるのは全身を染めるくろがね色。

 

 物陰から姿隠しの魔法(インビジブル)で様子を伺うことにした。

 

「でモこんナ広い空き地ニ出たのガ運の尽きダ! 奥義ヲ使うゼ!」

 

 おそらく私が与えた並行世界の力、それから編み出した技だろう。

 

 フルメタルが脚を引っ込めたかと思うと、電子レンジの体が幾多にも巨大な、かつ多重構造に変形していく。

 

「ハッハァ! MMMやアウクシリアすら跳ね除けた究極(ファイナル)巨兵(ギガント)形態(フォーム)ダ! 踏み潰してやる!」

 

 ビルの柱かと言わんばかりの巨大な腕が一帯を()いだ。

 風圧。衝撃。おそらく数人は消し飛んだに違いない。

 

 

 ────だが。

 

 

 瞬間、増殖していた機械巨兵の腕がズシリと落ちる。

 

「ナ……?」

 

 狼狽えるフルメタル。その眼前にいる暗殺部隊とやらの一人が刃を下ろしていた。あの薙ぎを掻い潜り一瞬で?

 

 その人間を注視する。他の隊員がつけている頭装備は無い。ちょうど素顔が見えた。()()()()()()()

 

 知らない男だ。

 

 

 けれど、

 

 その目の白刃色の眼光は、

 

 あの光は、

 

 

 生まれ故郷を滅ぼした滅神の、『虚無』のオーラだ。

 

 

 それを認識した瞬間、足から頭にかけて()()()()()()()()()が駆け抜けた。

 

 

 

「小賢しイィィィィィィィ──────?!」

 

 切断された箇所から新たなパーツを構成しようとしていたフルメタルだが、その体は突如として痙攣じみた振動を起こす。

 

 巨大化のイメージが足りてなかった?

 

 斬られたダメージが大きかった?

 

 

 いずれでもない。

 

 

「アッアッア……何……こ……レ」

 

 自身でも何が起こっているか分からない様子の巨人型電子レンジ。

 

 

 次の瞬間。

 

 

 

 ゴ

 

 オ

 

  ッ

 

 

 

 フルメタルを中心に、光が柱のように広がる。

 

 何の光かまでは判別できない。光学兵器? それともあの男の虚無の力?

 

 

 違う。私を介している。

 私の胸の『並行世界の鍵(ストレンジスタ・ヴィアビリティ)』も強く輝いている!

 

 

 駄目。

 

 止まらない。

 

 魔力も、エゴも、『鍵』の莫大なエネルギーに引っ張られる。

 

 

 

 

 光の柱が消え、眩しい光景から元の郊外空き地が視界に戻ってくる。

 

「ゲァ……ギギ……」

 

 中心にいたフルメタルは巨大ロボの姿から一変、あまりにも不恰好で歪な機械の寄せ集めとなっていた。まるで何も考えずに部品をつけただけのように。当然、その動きは鈍い。ギチギチと僅かな動作をするだけ。

 

 くっ、視えづらい。ノイズがかかったかのようにあのフルメタルだけぼんやりする。

 

 特殊部隊にやられたわけではない。あの光が原因だと思うけど、じゃあその出所は? すぐ理解する。

 

 

 『鍵』の暴走だ。

 

 さっきのあの一瞬の恐怖で体が引き攣ったから? 分からない。とにかく今は────

 

 

 次の行動に移ろうとした時。

 

 

 フルメタルが完全に停止した。

 

 白眼光の男が手のブレードを振るい、トドメを刺したからだ。そのままフルメタルは崩れていく。

 

 

 逃げなきゃ。

 

 私がいることを知られる前に。

 

 

「意外な力を持っていると思ったが……出処は……」

 

 

 ──────!!

 

 

 ゆっくりと、その男の目がこちらを向いた気がした。

 

 

 勘づかれてる。

 

 雑木林の中で姿も消しているのに、明確な恐怖で身体が引き攣っていた。

 それだけじゃない。身体の違和感があちこちにある。でも原因──おそらく『鍵』だろう──を探ってる隙など無い。動け、指。

 

 幸いにも、地獄の道化師の基礎教養たる転移術は使用できた。パチンと指を鳴らした瞬間、私の視界から郊外空き地がフェードアウトしていく。

 

 

 

 そして、視界は移り終える。どこかの住宅街。おそらくあの現場から数キロ程度しかない。

 

 『鍵』の力はどうなってるの?

 

 兄さんたちを呼ばないと。

 

 あいつは何者なの?

 

 いろいろな考えが頭を駆け抜けるも、どれも留まれない。

 今はただ、あの部隊に追いつかれる前にただ走って────

 

 

 


 

 

 

「……解析は?」

「完了しました。地球ドミニオン外ですが、外宇宙(エトランゼ)由来ではありません」

「並行世界か」

 

 魔物だった電子レンジを解体する一団。その兵装はくろがね色に包まれている。

 彼らは開けた平地からすでに撤収し、山の廃屋へ移動していた。

 

「先ほどの大規模エネルギー波のパターンが判明しました。藤原議員の()()にあった『並行世界の鍵(ストレンジスタ・ヴィアビリティ)』です」

「無理難題を吹っ掛けられていると思っていたが……実在しているとはな。レーダーへの登録は?」

「完了しました。対象は県内にいることを確認済みです」

「どうやら別ドミニオンへ逃げる手段は無いようだな。何をもってしても押さえろ」

「了解」

 

 

 


 

 

 

 数週間が経過した。

 

 拠点にいる兄さんたちからの反応は無い。

 

 どうやら、『鍵』の暴走で私は兄さんたちにコンタクトできなくなったようだ。逆も然り。おそらく、ストレンジャーに近い『鍵』の力が、私という小規模ドミニオンを外部からシャットアウトしたのだ。

 いや、正確には『鍵』の力を行使した対象と、だ。あのフルメタルも認識できなくなっていたのだから。兄さんたちに修行の付き添いをしてもらったことが裏目に出た。

 

 それだけだったらまだいい。

 

 

 もっと大きな問題は私が遭遇したあの暗殺部隊だ。

 連中はどこまでも追跡してきた。あの電子レンジの魔物(フルメタル)に力を与えたのが私だと、あの場にいた白眼光の男は間違いなく気づいている。

 一度目は目撃者を消すためだけかと推測したけど、二、三回と続くにつれ嫌な予感がしてきた。そして、対抗策として飛ばした使い魔が最悪の情報を持って帰ってきた。

 

「こちらくろがね第二部隊、目標は停滞中」

「『鍵』の波形は依然変わらんか。……そこだ」

 

 気づかれた四回目以降、使い魔の効果は得られなかった。もう同じ手は通用しない。

 

 判明した部隊名、そして彼らが『鍵』を明確に狙っていること、『鍵』の波動が出続けていること。どれも嬉しくない情報だ。地獄の道化師(兄さん)のドッキリだったらどれだけよかったか。

 とにかく、転移術で居場所を眩ましても的確に追ってくるこの状況をどうにかしなくてはいけない。こんな時のために『鍵』を封印する術は編み出しているけれど、発動に一日はかかる。その間に連中は追いつくだろう。なにせ、一日で銃の射程内にまで距離を詰めてくるのだから。

 

 考え得る限り最悪の事態だった。

 

 孤立無援。敵はおそらく上位対魔組織級。

 どこかしらで『鍵』の波動を止めて、『くろがね』の目を眩ませないと。

 

 どうやって?

 

 

 ……頭が上手く回らない。碌に寝てないからだ。けど、とにかく今は逃げ続けるしかない。

 

 

 


 

 

 

 そして、転機はやってきた。

 

 

 都会からは程遠い地方のどこか。山が連なる自然豊かな田舎。麓から雑木林をすれ違った少年が、私とは違う活気に満ちた目で駆けていく。追われる先で辿り着いたそこは、典型的な過疎地帯だった。

 そう思っていたからだろう。最初に気づいたときは驚いた。

 雑木林のさらに奥、小高い丘の先に魔の気配が多く漂っていたのだ。人狼や亜人種族の集落ではない。()()()()()

 

 

 だからだろうか……それまでひたすら逃げ続けていた私にギヴィング・デス(あくま)が囁いた。

 

『彼らを囮にすれば鍵を封印する時間が取れるわ』

 

 そうよ。これまでの逃亡中でも『くろがね』は出くわした魔物も狩っていた。あれだけの数の魔物を無視することはないはず。

 

 それに『並行世界の鍵』を守る方が大事なのだから。

 

 

 きっと言い訳だった。追われ続けて苦しい自分を助けたい我が儘。

 

 

 


 

 

 

 そして、計画は上手くいった。

 

 

 孤児院の内部に潜入した私は、くろがねの襲撃直後に転移。少し離れた場所で『鍵』の封印、すなわち力が漏れているこの状態に修理(リペア)を施した。

 

 囮の魔力も置いてきた。他の魔物の気配と混ざれば、連中は捜索のため二、三日はあの場に留まるだろう。それだけあれば時間は充分だった。

 

 

 『鍵』から滲み出ていた波動は収まり、結果としてくろがねの追跡は途絶えた。

 

 

 でも、その修復の過程で『鍵』の隠されていた性質が分かった。

 

 『鍵』が使える回数は有限だったのだ。

 

 考えてみれば当然である。いくら巨大なダムがあったからといって、水を出し続けているのに雨が降らなければいずれ水は無くなる。

 『羽根(フェザー)』のように莫大なパワーリソースだったから勝手に無限だと思いこんでしまっていた。

 

 まだそう尽きるほどではない。だけど、これは『鍵』を宿す重責から解放されるチャンスだ。なにせ『鍵』が力を失えば狙われる可能性がなくなるのだから。

 

 そうと決まれば次の行動は刹那兄さんたちとコンタクトを取ることだ。最寄りの拠点である東京の池袋まではかなり距離がある。でも追手は今いないのだ。焦らず行こう……

 

 

 


 

 

 

 吉報は続かないのだと思い知った。

 

 ひと月ほど後、池袋にある半魔が(たむろ)する酒場で刹那兄さんと再会できた。

 

「恵那、無事で何よりだ……。一体何があったんだい?」

 

 どうやら、『鍵』の影響は想像以上に酷いようだ。私から見える兄さんの姿は不安定な電波のようにノイズが走りボヤけている上、声も念話もまともに届かない。

 それは向こうも同じようで、再会してまず最初に行ったことは意思疎通するための方法の模索。魔法、機械、手紙……それらを使っても本人が介在したコミュニケーション手段だとボヤけたような言葉に変化してしまう。

 『鍵』が存在そのものに作用する力だとはいえ、魔物の中でもかなりの力を持つ兄さんが、ここまで手を焼かされるのは相当だった。

 

「少しずつでもいい。報を出し合おう」

 

 途切れ途切れのような言葉だ。それでもなんとか情報を共有しないといけない。

 

 心配でやってきた愛那姉さんや隷那兄さんはもっと酷く、二人からも、私からも、互いに存在を認識できないほどだった。判ったのは二人の悲しげな動作の跡だけ。

 

 いや、それだけならまだよかった。

 

「恵那、君は『鍵』を使った影響でその結びつきがさらに強くなってしまった。『鍵』を失えば君は消滅することになる」

 

 かろうじて読み取った兄さんの発言。互いに存在を感知しづらくなったことが理由かは分からないが、振る舞いは変わらないのに目線がいつもより落ちていた気がする。

 

 言われて気づいた自身の身体の変異。一瞬、手の輪郭にノイズが走るのが見えた。

 

 

 どうやら『鍵』と私は一連托生のようだ。どこまでも絡みついてくる呪い。

 

 『鍵』を使い続ければ私は消える。

 

 『鍵』を宿していれば色々な勢力に狙われる可能性が残る。

 

 

 

 ……なんで。

 

 やっと解放されると思ったのに!!

 

 なんで次から次へと!!

 

 私に普通の人生を歩ませてくれないの!?

 

 

 ……いや、そもそも私はまともな人生を歩ませてもらえるほどできた人間じゃなかった。

 世間での『ギヴィング・デス』という悪魔の評判ぐらいは把握している。名前の通り「何かを与える代わりに死をもたらす」と。概ね悪評だ。

 別に死をもたらそうとしたつもりはなかった。それに、「このクライアントにこんな力を与えたらどうなるか」を予想しなかったわけじゃない。ビジネス品としか見てなかったのはまごうことなく私自身の意思だ。

 

 それに、自分が生き残るために他者を犠牲にしたじゃない。

 

 思い出される丘の上の孤児院。いたのは子供──おそらく人に魔物の力を持たせたような──ばかりだった。

 

 そんなことを思ったからか、転移直前に聞こえてきた銃声・悲鳴が脳裏を掠めた。もし、あの場に残っていたら惨劇の光景がずっと夢にこびりついていたのだろうか。

 

 「仕方ない」と割り切ったはずなのに。

 

 私は青マントの道化師なのよ。

 

 こんな、人の死は散々見てきたじゃない。

 

 

 なのに。なのに。

 

 

 ……こんなどっちかつかずの人間性だから、『鍵』の呪いはどこまでも私の運命につきまとっているのかもしれない。

 

 

 

 ……そういえば。

 

 麓で見かけた私と同年代の少年。彼はどうなったのだろう。

 

 

 

 ……どうせもう、私は地獄の道化師なのだ。

 

 哀れな戯れ(ジョーク)として、巻き込んだ者たちに気をかけても問題はあるまい。

 

 

 

 『鍵』の暴走を引き起こしたとはいえ、行動は制限されなかった。もしかしたら兄さんなりの気遣いだったかもしれない。魔物であっても、いや魔物であるからこそ思う心(きずな)を持てという、そういった気遣い。

 

 

 


 

 

 

 孤児院は銃撃と爆破により瓦礫だらけとなっていた。

 とても人が住んでいたとは思えない酷い有様。中に入れば血痕と人の欠片が随所に見えてしまう。

 

 やはり生きている人は誰もいない。逆に言えば、襲撃犯はもうここにはいないということだ。

 

 

 地下への階段を見つけ、降りた先には研究室……だった場所があった。やはり誰もここにいない。遺体すら。

 だが、手がかりはあるかもしれない。手探りで私はパソコン、書類……それらを漁った。

 

 

 


 

 

 

 そうか。ここはメルキセデク傘下、レイヴン製薬の研究施設……人間の子供に魔物の力を与える場所だったのか。

 一瞬、「こんな施設、囮にして正解だった」と思う自分がいた。けれど、残されていた日記を読んでその考えは取り消された。

 おそらくはもう亡くなっているだろう責任者。彼は子供たちに自己防衛の力を持って欲しかったのだ。確かに彼のエゴではあるが、ここにいた子供たちは連れてこられる前がもっと酷い環境だと記されていた。そしてここで手厚く「普通の人間のように」育てられていたことも。

 

 ────あぁ。そういえば、この教育方針はどことなく兄さんたちと似ている。

 必要な知識は身につけさせつつ、触れ合いの中で人の心を育む。

 一人で仕事してからは忘れていた。そうだ。あの人たちは「私が『鍵』を宿しているから」というだけじゃなく、一人の子供として育ててくれたのか────

 

 手記の続きを読む。

 引き取る予定でなかった子がいたようだ。魔物としての適性が高くないところを、責任者がかつての自身の境遇と重ねて意地で引き取ったと。私と同年代……

 

 ……もしかして、あのときすれ違った子は。

 

 

 探索を続ける。さらに地下へ続く通路を見つけた。破壊されていたボックスから降りていき、下でさらなる通路……外へ繋がっていた。

 足元に見えるたくさんの足跡。そして、外の崖に向かわないくろがねの足跡と、外に向かって飛び出したであろう爪の足跡。

 

 

 まさか。

 

 逃げ延びた子がいる……?

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。