「うっ、ひっぐ……うぉぉん……おぉん」
時は放課後、ここは
「おい涙拭けよ……ってか顔全体的にすごいことなってんぞ」
宗也が出したハンカチを受け取りディルは涙を拭う。
「だってよぉ……ゴジョオさんがぁ……でもあれがあの人のヒーローとしての矜持だし……ひっくうぉん」
ディルが涙しながら語るヒーロー……
この日は劔鑑賞会七日目。一年に渡って放送されていたものなのでその話数は多く、どうしても日を分ける必要があったのだ。そして今、その最終回を見届けたのだ。
作中終盤、世界崩壊を食い止めるために凄まじき戦士となった彼は、最後の勇姿を友に見せた後、姿を消してしまう。
この衝撃的な終わり方は、放送当時様々な感想サイトで議論が起こるなどして大いに盛り上がり、後日談が描かれるほどのヒットとなった。
ヒーローがいなくなってしまう悲しみはあれど、それに至る行動はしかして彼の生き様を強く表しており、食い入るように視聴していたディルにもクリーンヒットした。
「しかしここまで沼にハマるとはな……勧めた甲斐があったもんだ」
「オレこういう映像? のお話見たことなかったからなー」
嗚咽が落ち着いたらしいディル。それまでの人生で、テレビなどの情報媒体に全く触れてこず、最近使い始めた携帯電話も使いこなせているとは言い難い。
物語も絵本などでしか触れていなかった彼にとって、近年の特撮ドラマは最高峰の刺激だった。
「最初は敵なのこいつ? って思ってた三河*1が闘ったり協力したりで絆が深まってったり…… それで最後に、ベンチに五条さんがいるように見えるシーンが……」
熱く感想を語るディル。宗也もここまでのめり込むとは思ってなかったらしく、楽しそうに話すディルに「うんうん」と深く頷きっぱなしであった。
宗也にとって、劔鑑賞会はディルの半魔バレを防ぐ言い訳……その補強のためでしかなかった。しかし、ここまで楽しめる素質があるならと、宗也は妙案を思いついていた。
「そういや俺の他の友達に劔好きなやつがいるんだけどさ。今度そいつも入れてアフターストーリー*2見る?」
「マジで!? ……でもオレなんかがいていいのか?」
「前までに比べたらお前のクラス内立ち位置マシになったろ。それにその友達も
「じゃ、じゃあ頼む」
宗也に新たな人物を仲介してもらうことになったディル。しかし彼はまだ知らなかった。
宗也は特撮ドラマ以外に、アニメ分野にも明るいことを……!
そしてその友達とやらが重度のアニメ好きであることを……!
「じゃあ次はこのまぎ☆すたを見ようか……!」
数日後、アニメの少女の話ばかりをするディルを、恵那が般若を後ろに降臨させた笑顔で見ていたのは秘密である。
BBTのルールブックにも載っているNPC、劔その人である五条さん。作品内容などは全く説明されてないため、こちらで解釈しました。