【完結】仮面ライダーギーツ外伝 もう1つのデザイアグランプリ   作:ネガ

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大変長らくお待たせしました。現在放映中のギーツの設定がある程度明かされてきたので満を辞して新作です。よろしくお願いします!




0th GAME 嚆矢編
第1話 嚆矢B:今日からオレは仮面ライダー


ゲームの結末にマルチエンディングがある様に、現実における運命も1つではありません。

しかし、全ての人間に共通して持つものがあります。それは理想。私達誰もがこの理想を一度は持ったはずです。

自分の力で理想を叶えたり、はたまた理想を追い求めるだけの人もいます。決して楽して理想を叶える手段はありません。理想を叶える道は、長く険しい道のりなのです。

 

ですが、もし理想を叶える手段があったら、あなたはどうしますか?

 

たとえそれが、世界を守る為の生き残りを賭けた戦いであったとしても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おめでとうございます。厳正なる審査の結果、あなたは選ばれました。今日からあなたは仮面ライダーです」

 

「…えぇ?」

 

突然現れた女性に言われたその一言に、青年は困惑していた。何故こんな事になったのか。それは遡る事数分前…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ〜休みだけど何もやる事無い」

 

ある日、白い袖に黒のラインが入った半袖シャツに赤と白のトラックパンツ姿の青年が独り言を呟きながら誰もいない公園のベンチで退屈そうに腰掛けていた。彼の名は宝生英寿(ほうじょうひでとし)。どこにでもいる21歳の普通の青年だ。普段は物流会社で働いており、今日はシフト休で休みなので公園のベンチで一息ついているのだ。

 

「毎日毎日変わり映えのない生活で退屈だ。まぁそれが良いんだけどもうちょっと何かあってもいいと思う」

 

独り言を言いながら英寿はこの変わらない毎日に退屈を覚えていた。朝起きて朝食を食べて仕事に行き、終われば帰宅して夕飯を食べて寝る。そして休日を挟んで仕事。常にその繰り返し。

 

「あぁ〜何かこう…あっと驚く面白い事ないかなぁ…って俺は何を言ってるんだオイ。漫画やアニメじゃあるまいし」

 

…とよくあるアニメやゲームの主人公がよく言うであろう台詞に自分で言って自分で突っ込み、このまま公園で時間を潰しても時間が過ぎていくと悟った英寿はベンチから立ち上がり、帰宅しようとすると…

 

「おめでとうございます。厳正なる審査の結果、あなたは選ばれました。」

 

「!?」

 

その時、背後から突然女性の声が聞こえた。さっきまで誰もいなかったのに。いや、そんな事はどうでもいい。一体自分は何に選ばれたのか。疑問を抱きながら振り返ると…

 

「今日からあなたは仮面ライダーです。」

 

「…えぇ?」

 

そこに立っていたのは、白と黒を基調とした服装にサイドテールで笑みを浮かべた20代前半と思わしき女性。手には黒に黄色で「!」のマークの付いた箱を持っている。自分自身に言われた言葉、「今日からあなたは仮面ライダー」。何故自分が? そもそも理由もなく言われてどう対応していいのか全く分からないまま、今に至っているのである。

謎の女性から受け取った箱を開けてみると、中には手の平を覆うサイズのベルトのバックルの様な物と、何やら白色に朱色で狐の頭部の様な絵が描かれたペットボトルのキャップより二回り大きい物、そして何やら文章が書かれたカードが入っていた。

 

「…何コレ?」

 

当然英寿はコレらをどこでどうやって何に使うのかは全く分からない。カードを取り出して見ると、気になる文章が書かれていた。

 

デザイアグランプリ

 

「最後まで勝ち残った者は理想の世界を叶えられる」

 

英寿は首を傾げる。ますます何なのか分からない。明らかに荒唐無稽だ。こんな物でどうしろというんだ。勝ち残った者? 理想の世界を叶えられる? そんなことはあり得ない。特撮やアニメじゃあるまいし。新手の詐欺か? 英寿は考える。というか女性が何者か気になる。

 

「あの! あなた一体何も……あれっ!?」

 

英寿が顔を上げると、その女性の姿がいない。カードの文章に気を取られて考えている内に見失ってしまった。仕方がないので暇つぶしに与えられたバックルの様な物とペットボトルのキャップより二回り大きい物を試してみる事にした。どうせやる事もないし、嘘なら嘘で捨てればいいだけだ。カードを読むとバックルの様な物はデザイアドライバー、そしてもう1つはIDコアという物らしい。

 

「何々…? デザイアドライバーを腰に装着、IDコアを中央のソケットに装填…ま、どうせおもちゃだろうし何も起きないだろ…」

 

どうせ何も起きないと思いながらデザイアドライバーを腰に当てたその時だった。

 

「うおぉ!?」

 

【DESIRE DRIVER】

 

無機質な起動音とシステムボイスと共にデザイアドライバーから帯が自動的に伸びて英寿の腰に装着されたではないか。

まさか。いや、こんな事が現実にあるとは。一体コレは何なんだ? 疑問を抱きながら、英寿はIDコアを手に取り、恐る恐るデザイアドライバーのソケットにIDコアを装填した。すると…

 

【ENTRY】

 

「うぉあ!?」

 

無機質な女性のシステムボイスが流れた瞬間、英寿の姿は消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん? え?」

 

気がつくと英寿は公園とは違う場所に転送されていた。そこは果てしなく荒野が広がっており、空中に神殿が浮遊している。周りには古代ローマ時代を思わせる8本の柱が浮いている。今英寿はその浮遊している神殿に転送されたのだ。

 

「えぇぇぇぇぇーーー!?」

 

自分の身に何が起こっているのか分からず英寿は驚きの声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嘘だろぉ…また不採用だぁ…これで4件目だよ…」

 

河川敷の坂で座りながらスマホの画面を見ながら片手にコーヒー牛乳を持ったスーツ姿の青年が残念そうに声をこぼしている。画面にはメールで「今回の採用は見送らせていただきます。」の文字が。彼は会社の採用試験で不採用となったのだ。青年の名は桜井敬介。22歳の就活中の大学生だ。

 

「何がいけなかったんだろう…」

 

敬介は面接での質疑応答を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

面接室にて、椅子に座る敬介と机に座る2人の面接官が面と向き合っている。

 

『桜井敬介さん。志望の動機をお答えください』

 

『はい。私は昔からボランティアを始め奉仕活動を行ってきました。なので「誰かの為に役に立てる」仕事を探す中、常に次のフェーズへ進歩していく日本のIT業界を支える御社の企業理念に共感して志望しました』

 

『…なるほど。「誰かの為に役に立てる」とは具体的にどうお考えですか?』

 

面接官の質問に待ってましたと言わんばかりに敬介は自信満々に口を開いた。

 

『はい。それは、自分を顧みずに行動する善意です!』

 

敬介の自信満々に答えた中、面接室は静寂な空気に包まれ敬介の発言に面接官は目を点にしている。数秒経って1人の面接官が口を開いた。

 

『桜井さん。ただ善意をもってるだけではこの社会で生きていく事は出来ませんよ』

 

『あぁ…』

 

面接官の手厳しい答えに敬介は苦笑いするしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふた昔前の大学生だったら就職先なんていくらでもあったんだろうなぁ……また1からやり直しだ…」

 

悔やんだって仕方がない。失敗を糧に次の就職先をスマホで探す中、あるニュースが目に入った。それは、数年前から何人もの人が行方不明になっており、未だに帰ってきてないという内容だ。警察も捜索に取り組んでいるのだが、その行方不明になった人達は1人も帰ってきてないという…

 

「いなくなった人達の家族や友達、心配してるだろうなぁ…俺がこういう人達の為に力になれないかなぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、浮いてる!どうなってんだ!? ていうかここどこ!?」

 

空中に浮遊する謎の神殿に転送された英寿は何が起こっているのか分からなかった。ここは一体何処なのか。目の前に広がっているのは果てしなく続く荒野。ここは異世界か。それとも現実世界か。英寿は戸惑う。

 

「ど、どうすれば元の世界に戻れんの!? 何これ異世界転生!? それとも新手の詐欺の手口「おい」…?」

 

驚きと頓珍漢な言葉が混ざった英寿の声を若い青年と思わしき一声が打ち消した。声のする方を振り返ると、茶髪にツーブロックで紫と白に鷲の絵柄のスカジャンに色落ちしたジーパンを履いた青年が立っていた。スカジャンのポケットに両手を突っ込み、彼もデザイアドライバーを腰に巻いている。しかし、英寿とは違い、IDコアは紫とオレンジ色で牛の顔が描かれている。

 

「うるさいぞ。静かにしろ」

 

青年は英寿に静かにする様に言うと、すぐに背を向ける。

 

「あ、俺と同じ奴! 俺はこれ変な女の人から貰ったんだけど誰にもらったの? あの変な女の人誰だと思う? 俺は新手の詐欺師だと思うん「ッ!」」

 

「ッ!?」

 

初対面である英寿が馴れ馴れしく近づいて質問してきた事に苛立ったのか青年は振り返り英寿を睨みつけた。いきなり睨みつけられた英寿は当然驚く。

 

「はしゃぐな。馴れ馴れしい」

 

「…あぁ…悪い」

 

青年の睨みに怯む英寿。すると…

 

「何だここは!? 俺はいったいどうなったんだ!?」

 

背後から男性の驚きの声が聞こえた。英寿と青年が振り返ると、短髪に髭を生やし、青いジャケットにベージュのズボンを履いた男性が立っていた。彼もまた、デザイアドライバーを装着しており、IDコアは白に水色でシロクマの顔が描かれている。

 

「あの〜もしかして、変な女の人からこれもらった人ですか?」

 

自分と同じデザイアドライバーとIDコアを貰ったであろう男性に英寿は質問する。

 

「もしかして、君達も貰ったのか?」

 

「…あぁ」

 

「何か「今日からあなたは仮面ライダーです!」って言われて、胡散臭いから新手と詐欺と思ったら、まさかゲームの世界に来たみたいになって…あ、俺宝生英寿です。」

 

「そうか。俺も最初は悪戯か何かと思ったんだ。俺は有働武。君は?」

 

「…吾妻大我だ」

 

有働に名前を聞かれ、面倒くさそうにしながらも大我は自己紹介をする。その後、お互いに謎の女性の事や仮面ライダーとは何かを話し合ってる英寿と有働を大我は疎む様な目で見ながらため息を付いていた。

 

「皆さん!こんにちは!」 

 

すると、3人の背後から聞いた事のある女性の声が聞こえた。まさかと思い、声のする方へ振り返ると、ついさっきデザイアドライバーとIDコアを渡したサイドテールに白と黒の衣装の女性がいつの間にか立っているではないか。

 

「ッ! 公園で会った変な女の人!」

 

「私はゲームナビゲーターのヒカリです!」

 

(いきなり自己紹介されてもねぇ…説明してくれよ早く…)

 

謎の女性は英寿達に笑顔で名乗る。しかし、英寿は自己紹介はいいからこれは一体何なのかを説明して欲しかった。そんな英寿の心の中の疑問にヒカリは口を開く。

 

「ようこそ!デザイアグランプリへ!」

 

「……デザイアグランプリ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はいいいよ〜!はいポーズ! いいねいいね!いい画だね!その笑顔最高!」

 

とあるスタジオにて。カメラのシャッター音が鳴り響く中、カジュアルなシャツに黒のミニスカートを履いた1人の少女が可愛らしい表情とポーズを決めてカメラマンにシャッターを切られている。

 

「はいOK!明理ちゃんお疲れ様!」

 

「お疲れ様です!ありがとうございました!」

 

撮影が終わり、カメラマンに向かって元気よく礼をするのは鞍馬明理。中高生から絶大な支持を受ける18歳の超売れっ子ファッションモデルにして、動画投稿サイトByTubeでも活動しているByTuberだ。主な動画内容は日常やメイク、ファッションといった物で、登録者は何と450万人。今をときめく中高生はもちろん大人達からも一目置かれている。

 

「この後の予定は…13時から雑誌のインタビュー、15時からバラエティの収録だから…早めにご飯済ませないと。それでは失礼します!」

 

自分のスマホでスケジュールを確認した明里は片付けをするスタッフに挨拶をしながらスタジオを後にしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今、私達の世界はジャマトの脅威に晒されています」

 

「ジャマト?」

 

「何だそれ? 新しいトマトの品種?」

 

「お前は黙ってろ」

 

英寿の場違いな茶々を大我は何言ってんだこいつという白けた目で返し、有働は苦笑いをする。そんな英寿の発言も気にせずヒカリは説明を続ける。

 

「どこから来るのか、何が目的なのかも分からない謎の敵です。そのジャマトから街の平和を守る為、誕生したのがこのデザイアグランプリなのです!」

 

「何がなんだかさっぱりだ」

 

「どういう意味だよ…」

 

「………」

 

ヒカリの言葉に英寿と有働は困惑するが、大我は特に反応する様子は無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「腹減ったな〜もうこんな時間か」

 

その頃、敬介は昼食を食べる為に街を歩いていた。 そして、行きつけのラーメン屋へ辿り着き、暖簾をくぐって扉を開けて店内へと入っていった。

店内ではテレビの音と他の客がラーメンを啜る音が聞こえる。

 

「はいいらっしゃい! おぉ敬介!」

 

「大将、ラーメンと餃子ね!」

 

「あいよ!」

 

店主は敬介の注文を聞くと、早速調理に取り掛かった。このラーメン屋の店主と敬介は高校の時からの付き合いなのだ。敬介はカウンター席に座ると、ラーメンが出来るまで新聞を手に取って読む。記事を見ると…

 

行方不明事件 未だ解決せず

 

スマホで見た行方不明事件の記事と酷似している記事が載っている。この記事にも数年前から行方不明になっている人達が未だ帰って来てないという内容だった。警察も手がかりも掴めず、捜査も難航しているという。新聞をめくり、読み進めると片隅に記載されているもう1つの記事が敬介の目に入った。それは…

 

新聞記者 殺害される

 

名も知らない新聞記者が何者かによって殺害された事件だった。既出の行方不明事件と言いこの殺人事件といいどうしてこんな悲しい事件ばかりが起こるのかと敬介は胸を痛めるのであった。同時に、何か自分に出来る事は無いのかという思いが敬介の心に芽生えていた。

 

「何でこうも物騒な事件が起こるんだろうなぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファッション雑誌の撮影を終えた明理は帽子を被り、丸眼鏡とマスクをつけて街を歩いていた。そう。彼女は有名人ゆえ人混みに溶け込む必要がある。変装も無しに歩いては行き交う通行人にバレてしまっては大騒ぎになってしまう。有名人も楽では無い。しかし…

 

「あ、あの!」

 

明理が振り返ると、フラペチーノを持った2人の女子高生と思わしき少女が驚きと感激の表情で震えているではないか。変装していたのにバレてしまった。

 

「もしかして、明理ちゃんですよね!?」

 

「あははは!バレちゃった?」

 

変装しているのにバレてしまった明理は、天真爛漫は笑顔を見せながら眼鏡とマスクを取り外した。明理は変装がバレた時はファンの方への丁寧な対応は常に心がけており、その対応の仕方も彼女の魅力の1つなのである。

 

「いつもアカリチャンネル見てます!」

 

「この前の雑誌買いました! このコーデも明理ちゃんの動画と雑誌見てコーデしたんです!」

 

「可愛い〜!ありがとう〜! これからも応援よろしくね!」

 

ファンである少女達に明理は笑顔で返したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はいラーメンと餃子お待ち!」

 

「来た来た!いただきます!」

 

敬介の目の前に醤油ラーメンと餃子5個が置かれ、早速敬介は割り箸を割ると、手を合わせてラーメンを啜る。このあっさりとしながらもコクのあるスープに絡みつく麺、具もゆで卵にメンマ、ネギ、チャーシューとシンプル。だが、それがいいのだ。麺を啜りつつスープを味わい、特製餃子を口に運び、舌鼓を打つ。

 

「そういえば敬介、就活はどうだ?」

 

「また不採用。卒業までに早いとこ探さないと大変だよ」

 

「そうか…大変だな。そういや敬介、あのニュース見たか? 人が行方不明になったってニュースだよ」

 

大将はラーメンを啜る敬介の就職不採用の話に耳を傾けながら話題を変えようと、敬介が先程知ったニュースの話題を持ち出した。

 

「見た見た。いなくなった人の家族や友達とか心配してると思う。俺がその人達の何か力になれないかなって思ってるんだよね」

 

「またお前のお人好しか。お前っていつも自分より誰かの事心配してるよな」

 

「別にいいでしょ!確かに俺も就職先も探さないといけないけどそれよりもこういう悲しい事件が起きるのは嫌なんだよ。みんなが笑って暮らせたらなって思ってる」

 

「お前らしいな」

 

この何気ない会話や流れていく和やかな時間こそが敬介の望みである。悲しい事もあるが、楽しい事も精いっぱい過ごしたい。今、ここでラーメンを食べながら大将とたわいもない世間話もするのもまた、平和な時間なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

だが、その時間は招かれざる客によって終わりを告げる事になる。

 

「ジャ〜!」

 

突然、白い骸骨の様な形でチェスの駒・ポーンを連想される頭部と白い紋章がある黒い体を持ち、槍で武装した怪人がドアをぶち破ってラーメン屋に入って来たのだ。

 

「!?」

 

「え!? 何!?」

 

「うわぁぁぁっ! 化け物だぁ!」

 

その場に大将や敬介は勿論、他の客も驚愕と恐怖の表情が顔に出ていた。一体何が起きているのか状況が飲み込めない。そもそも怪物なんているはずがない。きっと何かの間違いだ。そうに決まってる。今自分の目の前で起きている出来事を受け入れられない敬介はどうしていいのかも分からなかった

 

「テテツームキョトビ」

 

「喋った!?」

 

「ピアーブ!」

 

「うぁぁぁッ!」

 

その怪人は意味不明な言語を話し、近くにいた恐怖で動けない客に近づくと、槍で刺した。そして、動かなくなった事を確認すると、標的を敬介と大将に決め、槍の切先を逃げてゆっくりと近づく。

 

「スケケイズクロカカトエチャ」

 

「…ッ!」

 

間違いない。目の前の怪人の狙いは自分たちだ。でも、太刀打ち出来る気がしない。じゃあどうすれば良いのか。考える敬介の頬に暑くもないのにさっと汗が流れた。すると…

 

「敬介! 逃げろ!あいつは俺が食い止める!うぉぉぉぉっ!」

 

大将は敬介に逃げる様叫ぶと、怪人に殴りかかった。すると、怪人も大将が自身を倒そうとしたのか理解すると、掴み返し、お互いに取っ組み合いになった。

 

「大将を置いて逃げるなんて出来ないって!」

 

「何言ってんだ! 早く! 」

 

「ポスビリ!」

 

怪人は殴りかかって来た大将に膝蹴りをくらわせると、そのまま投げ飛ばし、痛みに悶える大将を手にした槍で腹を突き刺した。

 

「がぁぁぁッ!」

 

「大将!」

 

そして、怪人は再び敬介に槍を向ける。何も出来なかった。ただ見ているだけで助ける事が出来なかった。そんな無力感が敬介に重くのしかかる。目の前にいる怪人は間違いなく俺を殺そうとする。やっぱり逃げるしかないのか。

 

「ジャー!」

 

「うわぁッ!」

 

突然怪人は槍で切り掛かってくると、敬介は避けて怪人から遠ざかろうとするが、直後に怪人が再び切り掛かり、槍が敬介の頬を掠る。すると、頬には傷が出来、血が滴り落ちて来た。触るとしかも痛みも感じる。やっぱり本当なのか。それでもまだ信じる事は出来ない。これ以上いたら身が危ない。敬介は急いでラーメン屋から飛び出し、逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャマーエリアが発生しました」

 

その頃、デザイア神殿ではヒカリが空中に画面を投影し、ジャマーエリアの表記に地図に赤い丸と無数の×印が表示され、街で人々が怪人に襲われている様子が映し出されている。この人々達を襲う怪人が、ヒカリが言っていた世界を危機に晒しているという敵、ジャマトの一種、ポーンジャマトだ。

その様子は有働は驚きの表情を浮かべ、英寿もさっきまでの能天気な態度はどこへ行ったのか映像を見入ってる。ただ1人、大我は何も表情を出さずに冷静に映像を見ている。

 

「あれがジャマト…?」

 

「嘘だろ…!?」

 

「……」

 

「人々を救うにはどうすれば良い!?」

 

真っ先に口を開いたのは有働だった。そして、その言葉を待ってましたと言わんばかりにヒカリは口を開いた。

 

「それは、仮面ライダーに変身するのです!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁッ!」

 

「逃げろぉぉぉぉッ!」

 

その頃、街は人々の悲鳴や断末魔が響き渡り、破壊活動を行うポーンジャマト達に蹂躙されていた。街の外へ逃げようにもどういう訳か赤いバリアの様な物に阻まれ、その先に逃げる事が出来ない。行く手を阻まれた次々にポーンジャマト達の毒牙にかけられ倒れていく。

 

「何なの一体…!? 」

 

勿論この有様は外にいた明理も目の当たりにしており、次々に人々が襲われる様を恐怖に震えながらただただ見ているだけだった。すると、1体のポーンジャマトが明理の気配に気付いたのか、男性を切りつけた後に槍を明理に向けてゆっくりと近づいてくる。

 

「嫌! 来ないで!」

 

「ピアーブ!」

 

逃げようとしても足がすくんで動けない。このまま私はここで死ぬのか。そう思ってた矢先、遠くに先程ラーメン屋でポーンジャマトの襲撃を受けて逃げて来た敬介が毒牙にかけられる寸前の明理を発見。ポーンジャマトの槍が明理に振り下ろされる瞬間、敬介が明理の手を掴み、思い切り引っ張った。

 

「ジャ!?」

 

寸出の所で槍は外れ、明理は敬介に引っ張られる形で逃げた。助かった。誰だか知らないけど助かった。とにかく今は走らなきゃ。安全な所まで。共に走る敬介も誰かを助けられた事に安心しながらもただひたすら走り、人気のない高架下まで辿り着いた。

 

「ありがとう…助かった…」

 

「いやいや、どういたしま…あれ? 明理ちゃん!? 生で初めて見た…!」

 

何と自分が助けたのは超売れっ子ファッションモデル兼ByTuberの鞍馬明理ではないか。まさかこんな所で会えるとは驚きだ。いや、今はそんな事どうだって良い。まるで世界の終末の様な状況…これは一体何なのか。

 

「これって特撮か何かのゲリラ撮影だよね…!?」

 

「それにしちゃ本格すぎるでしょ! ヤバいよ…どうすればいいの…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、デザイア神殿ではヒカリから英寿達に向けてミッションが伝えられていた。

 

「これから皆様には、ジャマーエリア内のジャマトを全て殲滅して貰います」

 

「殲滅って、仮面ライダーになるって事か?」

 

「はい。今、世界の命運はあなた達に委ねられています。ジャマト達を倒して世界を救って下さい」

 

すると、英寿が1つある事を思い出した。カードに書かれていた一文「理想の世界を叶えられる」という事だ。英寿の疑問に有働も気になっていた様子で

 

「そういえば聞きたい事があるんだけど「理想の世界を叶えられる」ってどういう事? 詐欺じゃないよな?」

 

「詐欺から離れろよ」

 

「言葉の通りです。ただ、今回は練習試合という形式なので理想の世界は叶えられませんのでご注意ください」

 

ヒカリの口から出た言葉に不満を感じ、前の英寿の頓珍漢な言葉への苛つきも加わって大我は不貞腐れた表情で溜息を付いた。だが有働は1人、英寿や大我よりも真剣な表情を浮かべていた。

 

「それではミッションを開始します!」

 

ヒカリの宣言と同時に突然、英寿達はデザイア神殿から街へ転送された。英寿が転送されたのは街のビルの近くの車道だった。側に有働や大我はいない。すると、ヒカリからアナウンスが入った。

 

《各プレイヤーの皆様に、宝箱を1つプレゼントします!》

 

「宝箱? 痛ッ!」

 

頭上から電子音と共に英寿の頭に何かがぶつかった。

 

「痛てて…お、これか」

 

落ちて来た物を確認すると、ピンクと黒色に蓋に「?」の文字が描かれており、デザイアドライバーとIDコアが入っていた物と酷似している。蓋を開けてみると、何やら黒をベースに白いシリンダーと引き金、金が差し色が入ったマグナムを正面から見た様なアイテムが入っていた。裏側には

レールの様な物が取り付けられている。

 

「ここ回るしここ押せるね」

 

【NEW BUCKLE UPDATE】

 

「ん?」

 

取り出してあちこち触っているとポケットから何やら電子音声が流れた。ズボンのポケットに何か入っている。取り出してみると、IDコアと同じ絵が描かれている小さなスマホだった。いつの間にこれを持っていたのか不明だが突然画面が変わり、「RAISE BUCKLE LIBRARY」というアプリが開かれ、図鑑の様なページに手にしたアイテムがRB-01 MAGNUMという名称で表示された。

 

レイズ…バックル? これの事か」

 

つまり、今英寿が持っているバックルはマグナムバックルだ。

 

「ジャ〜」

 

「ッ!? うわ!」

 

英寿が気づかない間に背後からポーンジャマトが槍で切りかかって来た。慌てて避ける英寿だが、更にまた別のポーンジャマトが槍を振り回して襲いかかる。英寿は槍を腕で受け止めるが、別のポーンジャマトに槍の柄で殴られ、蹴り飛ばされて地面に転がってしまう。

 

「うぁぁぁ…!痛ぇ…!」

 

じんわりとした痛みが英寿は顔を歪めた。気がつけば顔に傷がついている。いざ戦えと言われてもそんな簡単に戦えるわけがない。ここはひとまず逃げた方が良さそうだ。英寿は身体を起こし、マグナムバックルを手に逃げた。

 

「ロジ!」

 

「ツームビビアビ!」

 

「クカカ!」

 

英寿が逃走すると、5体のポーンジャマト達も槍を手に追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし…今なら行けそう…」

 

「うん…!」

 

その頃、高架下に隠れていた敬介と明理は誰もおらず、ポーンジャマト達もいない事も確認すると、動き出した。とにかくここから動かないといつ見つかってもおかしくない。だが…

 

「レレスダトヅ!」

 

「ッ!?」

 

突然、上から意味不明な言葉が聞こえて来た。見上げると端に10体のポーンジャマトが待ち構えているではないか。すぐ5体が敬介と明理の元に飛び降りると槍を向けて一歩、また一歩と近づく。後ろに逃げようにももう5体のポーンジャマトが行く手を遮る。もはやこれまでか。万事休すとはまさにこの事。

 

「ピアーブ!」

 

一体のポーンジャマトが槍を敬介と明理に振り下ろそうとしたその時…

 

「「ジャ〜!」」

 

突然、どこからか緑色の矢が発射されてポーンジャマト達を見事に撃ち抜いたではないか。矢が発射された方向を見ると、シロクマを模したマスクに丸と星型の黄色い複眼、右肩には銀のアーマーと身体には黄緑色に弓矢の絵が描かれたシンプルな鎧を装着し、黄緑色のクロスボウを持った仮面ライダー、仮面ライダーシローが立っていた。デザイアドライバーには黄緑の小型の弓矢を模したバックルが装填されている。

 

「「シロクマ!?」」

 

「大丈夫か!? こっちだ!」

 

シローに敬介と明理は連れられて高架下から離れて走っていく。すると…

 

「うおらぁぁッ!」

 

突如、若い青年の掛け声とチェーンソーの音が聞こえたと思ったら、デザイアドライバーには紫に差し色のオレンジが入ったレイズバックルを装填し、銀色の角に紫の牛型のマスクにオレンジの鋭利な×型の複眼と重厚で肋骨状の模様に棘が生えた肩部アーマー 、左腕にはオレンジ色の長い爪が伸びたアーマーに腰には1枚の紫のコートをぶら下げた仮面ライダー、仮面ライダーバッファが別のポーンジャマト達をバッタバッタと薙ぎ倒していた。

 

「「牛!?」」

 

「何が何だか分かんないよ…!」

 

怪物といいシロクマや牛の戦士といい敬介も明理も頭の中がパンクしそうだった。

その頃、バッファがポーンジャマト達と戦い、シローが敬介と明理を避難させている中、デザイア神殿でヒカリは投影した画面を見て見守っていた。ただ1人、ひたすら逃げている英寿を除いて。

 

「牛さんもシロクマさんも頑張ってるのに…あとの1人は逃げてばかり…大丈夫でしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、ここなら安全だ」

 

「あの、助けてくれてありがとうございます!」

 

「えーっと、お名前は…」

 

一方、シローに連れられて敬介と明理は2階建ての建物の屋上までやって来た。そして、ポーンジャマトがいない事を確認すると、デザイアドライバーからバックルを取り外して素顔を表した。そう。有働武がシローに変身していたのだ。

 

「別に名乗る程のもんじゃない。ただのレスキュー隊員さ。」

 

「レスキュー隊員?」

 

「俺はレスキュー隊の隊長をやっていてね。人命救助を最優先に動く」

 

気さくに話す有働に敬介と明理の緊張感もほぐれる。

 

「それともうあと1人いるはずなんだが見当たらなくてね…もしかしたら襲われているかも知れない。早く助けないと…!」

 

「あと1人…?」

 

有働の言うあと1人…そう、逃げている英寿だ。英寿を助けようと有働が動こうとすると…

 

「ほっとけばいいだろ」

 

そっけない声と共にチェーンソー型の武器を肩に担ぎながらバッファが近づき、デザイアドライバーからバックルを引き抜いて変身を解除して大我の姿に戻った。

 

「助けて何の意味がある? 見返りでも求めてんのか?」

 

「そういう訳にはいかない。俺は目の前で苦しんでいる人は絶対に助ける。それに見返りなんて必要ない」

 

「ならさっさと行け」

 

大我の言葉を流し、有働はその場を離れていった。すると…

 

「ちょっといい? 」

 

大我も立ち去ろうとするが、明理が呼び止めた。

 

「さっきの怪物と戦っていたよね? 何か知ってるの? 教えてくれない?」

 

「そうだよ! あの姿は一体何!?」

 

敬介も明理と同じく大我に問いかける。彼もさっきのレスキュー隊員と名乗っていた男性と同じなのか。あの姿は一体何なのか。

 

「その必要は無い。すぐに終わる」

 

それだけ言うと、大我は立ち去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァッ…!ハァ…!」

 

その頃、英寿は街をひたすら逃げていた。戦えと言われても、どうにもその気になれない。今は自分の事だけで精一杯だ。そんな事を考えている内にポーンジャマト達との鬼ごっこも終わりを告げる。

 

「嘘だろ!? 」

 

「ジャ〜!」

 

英寿の目の前を10体のポーンジャマト達が突撃して来たではないか。全速力で走っていた英寿は後ろへ逃げようとするが急に止まれずポーンジャマト達に捕まり、拳で殴られた上に蹴り飛ばされて頭を地面に打ち付けてしまった。

 

「うぁぁッ!……あぁぁ……!」

 

英寿の頭と身体に痛みが走る。ポーンジャマト達は意味不明な言語で自分を嘲笑っている。ふと、疑問が浮かんだ。

 

(俺、何で逃げてるんだろう…?)

 

自分は何故逃げているのか。自分が助かる為か? 戦いたくないからか? 死にたくないからか?

 

(誰だって逃げたくなる時だってある…!時には逃げる事も大切なのかもしれない…!でも…!逃げ続けたらその先は…崖っぷち…後ろを振り返っても誰もいなくなる…今ここでまた逃げ出したら…! )

 

このまま逃げ続けても何も解決しない。やがて捕まればどうなるかは考えるまでもない。英寿は痛みの余韻に耐えながら立ち上がる。覚悟を決めたその表情はいつもの能天気で頓珍漢な事を言う英寿の表情ではなかった。

 

「やってやるよ…!ここを越えれば、山場はすぐそこだ!」

 

意を決して英寿は頬の血を拭いながらデザイアドライバーにマグナムバックルをセットする。

 

【SET】

 

無機質な音声と待機音と共に英寿の横にマグナムバックルの文字とシリンダーのイラストのホログラムが投影された。

 

「えぇっと…マグナムだから…こうか!」

 

英寿はマグナムバックルのシリンダーを回転させ、トリガーを押した。すると、マグナムバックルから6発の弾丸が飛び出して帰ってくると、投影されたホログラムを撃ち抜き、砕け散ると白と差し色の朱色が入ったアーマーが形成された。英寿の後ろではロボットの腕の様なアームが生成され、アーマーを掴む。英寿の身体は腹から頭、足にかけて艶消しの黒いボディにガンメタルの差し色をした姿に変わり、そして頭上から白と朱色の狐のマスクが装着され、身体にアーマーがアームによって引き寄せられ英寿と合体。口元の縁も白と朱色が入り首から狐の尾を模したマフラーが装着された。

 

【MAGNUM】

 

【READY FIGHT】

 

白と朱色で吊り目の狐のマスクとアーマー 、手にはハンドガン型の武器を持っている。戦闘開始の合図が発せられ、英寿は仮面ライダーギーツ マグナムフォームへと変身したのだった。

 

「ッ! 変わった…!これは…!」

 

【MAGNUM SHOOTER 40X】

 

マグナムシューター40Xから無機質な起動音とシステムボイスが発せられた。ギーツは変わった自分の腕や身体を触りながら仮面の下で驚きの表情を浮かべる。本当に変身出来た。今なら奴等に勝てるかも知れない。

 

「ジャ〜!」

 

「ッ! よし、これで!」

 

1体のポーンジャマトがギーツに切りかかる。それに気付いたギーツはマグナムシューター40Xで撃つと、弾丸はポーンジャマトに命中し、倒れた。明らかに効いている。これなら倒せる。倒された事に怒りを感じたのか残りのポーンジャマト達も一斉に向かって来た。ギーツはポーンジャマト達の攻撃を交わし、槍を受け止めて蹴り飛ばし、頭を銃撃する。

 

「ん? 何だこれ?」

 

ギーツはマグナムシューター40Xの後部に狐の尾を模した物に気づく。試しに引っ張ると…

 

【BULLET CHARGE】

 

「チャージ? うおっ!」

 

「危ねぇな! くらえ!」

 

システムボイスと共にシリンダー部分にエネルギーがチャージされた。だが、同時に不意打ちを喰らいそうになるが、間一髪かわす。交わしたところで振り返り、引き金を引く。するとマグナムシューター40Xから弾丸が連射され、4体同時にポーンジャマト達を一掃出来たではないか。

 

「連射出来んの!? これはすごうおぉっ!?」

 

「エファツピツームルクガラサ!」

 

「離せよ…!」

 

背後から1体のポーンジャマトが槍でギーツの身体を拘束。すると、動けない状態のギーツに4体のポーンジャマト達は槍を手に迫る。ギーツは迫り来るポーンジャマト達を足で蹴り飛ばし、身体の重心を後ろに倒してそのまま壁に向かってポーンジャマトと一緒に走り出す。拘束された状態だが、関節が動くので4体のポーンジャマトを銃撃しながら撃破、自身を拘束している最後の一体は壁に叩きつける。

 

「ジャ〜!」

 

「このっ! このっ! このっ!」

 

ギーツはそのままポーンジャマトに肘鉄を喰らわせる。何度も、何度も、何度も。そして拘束が緩んだところで脱出。そして槍を奪い取り…

 

「お返しだ!」

 

「ジャー! ジャー!」

 

ポーンジャマトの腹に何度も突き刺し、最後にマグナムシューター40Xで頭を撃ち抜き、自分に襲いかかって来た敵は全て撃破した。最後はヒーローらしからぬ戦法だったが。

 

「よかった…倒せた…! 」

 

ギーツもまさか自分が本当に敵を倒せた事に驚きを隠せなかった。そして危機を脱した安心感もあった。

 

「とにかくここから移動しよう…」

 

ひとまずここから移動する事に。だが、安心するのはまだ早かった。辺りを探索していると…

 

「ジャー!」

 

突然、横から銃撃を受けて辺りに火花が飛び散る。敵は倒したはずなのに。まさかまだいたのかと疑問に思うが、その予想は的中した。

 

「ちょっ! 何だよ!? まだいたのか!?」

 

目の前には今度はライフルで武装したポーンジャマトが10体、槍を持ったポーンジャマトが10体待ち構えているではないか。

 

「ジャー!」

 

ライフルを持ったポーンジャマト達の援護されて残り10体がギーツに襲いかかる。ギーツは槍をかわし、さらに援護射撃をかわしながらの戦闘に入るハメになってしまった。

 

「お前らは芋砂か!」

 

ギーツの文句もスルーしながらポーンジャマト達は援護射撃を仕掛けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、屋上に避難していた敬介と明理の耳に遠くから銃声や意味不明な言語や掛け声が入る。

 

「あれ見て!」

 

明理が指差す方向を見ると、ギーツがポーンジャマト達と戦っているではないか。

 

「「狐!?」」

 

恐らくあのレスキュー隊員が言っていたあと1人だろう。シロクマに牛、そして狐。彼らは一体何者なのか。ますます気になる敬介と明理であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラッ! タァ!」

 

「ん? これって…」

 

ポーンジャマト達の銃撃を交わしながら戦う中、ギーツはある事に気づく。マグナムシューター40Xの銃身にヒンジが見えるのだ。まさかと思い銃身を半回転させてみると…

 

【RIFLE】

 

「おお…!ライフルになった!ッ! 危ねっ!」

 

銃身が長くなり、ライフルモードへ変形した。ギーツはポーンジャマト達の攻撃をかわすと、援護射撃をしているポーンジャマト達の側の建物に巨大な看板を発見。

 

「閃いた!」

 

何かを閃いたギーツはポーンジャマトをマグナムシューター40Xの銃身で殴り付けて怯ませ、看板の柱を狙撃。すると、弾丸が命中した柱はそのまま折れて看板が落下した。

 

「ジャ!? ロヴキョ!」

 

援護射撃をしていたポーンジャマト達が上を見ると、上から看板が自分達目掛けて落下してくるではないか。突然の出来事にパニックを起こしたポーンジャマト達は避けられるはずもなく看板の下敷きになった。

 

「よし! 大成功!」

 

自分の閃きで一気に10体倒したギーツは小さくガッツポーズをした。だか、これで終わりではない。ギーツの目の前にはまだ10体のポーンジャマト達がいる。

 

「行くぜ…!」

 

「ジャー!」

 

ギーツは迫り来るポーンジャマト達の攻撃を交わし、マグナムシューター40Xで頭部を殴って怯ませ、銃撃を喰らわせる。更にジャンプで背後を取ると、一気に3体をヘッドショットで撃ち抜く。残るは6体。

 

「面倒だな。一気に決めたい所だけど…どうすりゃいいんだ? もしや…」

 

まさかと思い、ギーツはマグナムバックルのシリンダーを再度回し、トリガーを押す。すると、マグナムフォームの装甲を介してマグナムシューター40Xにエネルギーが充填される。ギーツは目標を6体のポーンジャマトに狙いを定め、掛け声と共にトリガーを押した。

 

「ハァ!」

 

【MAGNUM STRIKE】

 

「「「「「「ジャァァァ〜!」」」」」」

 

マグナムシューター40Xから放たれた1発の弾丸は6発に分裂、それぞれ6体のポーンジャマトに命中し、大爆発を起こした。

 

「凄い…」

 

「みんな倒しちゃった…」

 

その様子はもちろん敬介と明理は見届けていた。

 

【MISSON CLEAR】

 

「ミッションクリア!? て事は終わり!? やっと帰れる〜!今日は帰って寝よ!」

 

無機質な女性のシステムアナウンスが終了を宣言した事でやっと帰れると安堵したギーツはデザイアドライバーからマグナムバックルを取り外して変身を解除し、英寿の姿に戻った。

 

「君! 無事だったのか!」

 

声のする方を向くと、英寿を探していた有働がやって来た。

 

「あぁはい。ジャマトも何とか倒せました。」

 

「一部始終を見たよ。凄いじゃないか!」

 

「いえいえそんな…」

 

英寿と有働が雑談をしている中1人、大我は英寿を何やら嫌悪した視線で見ていた。そこへ3人の元へヒカリがやって来た。

 

「皆様、お疲れ様でございました。これにて練習試合を終了します」

 

「あの!」

 

そこへ、敬介と明理がビルの屋上がら降りて来た。

 

「これは一体何ですか…?」

 

「あの化け物やあのシロクマや牛やキツネのアレは…?」

 

とにかく聞きたい事が山ほどある。そんな敬介と明理の疑問にヒカリは口を開いた。

 

「これは、世界を作り変えるゲームです」

 

「世界を…?」

 

「作り変える…?」

 

「ゲーム…?」

 

敬介と明理、そして英寿の疑問に満ちた声と同時に、突然ジャマトによって破壊された街がみるみる元に戻っていくではないか。それだけじゃ無い。英寿達のデザイアドライバーからIDコアが消え、デザイアドライバーも消失した。

 

「 どうなってるんだ!?」

 

「何だ何だ!? まさか神の仕業か!?」

 

「……」

 

「それでは皆様、またお会いしましょう」

 

ヒカリの声と共に、5人の目の前を閃光が包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ん……え? 夢?」

 

気がつくと、敬介は自宅の布団で眠っていた。目を覚ますとそこは自宅だ。ひとまず空腹を満たす為にいつものラーメン屋へ向かう。

 

 

 

 

「はい! ラーメンと餃子お待ち!」

 

「いただきます!」

 

そして、いつものラーメンと餃子を注文して、早速麺を啜る。やっぱりここのラーメンはいつ食べても最高だ。餃子も美味しいし、いつ来てもいつもの味。ふと敬介は何気なく質問する。

 

「そういえば大将、何か最近自分におかしな事ありました?」

 

「ん? 別に何も?」

 

特に何もないと返されたので、別にいいかと思い、そのまま箸を進めていると…

 

「おめでとうございます。厳正なる審査の結果、あなたは選ばれました」

 

突然、横から女性の声が聞こえた。箸を止めて横を見ると…

 

「今日からあなたは仮面ライダーです」

 

何と、いつの間にヒカリが側に立っているでは無いか。そして机にデザイアドライバーとIDコアの入った黒と黄色の箱を置いた

 

「えぇ!?」

 

まさかの出来事に敬介は驚きの声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おめでとうございます。今日からあなたは仮面ライダーです」

 

「おめでとうございます。今日からあなたは仮面ライダーです」

 

「おめでとうございます。今日からあなたは仮面ライダーです」

 

「おめでとうございます。今日からあなたは仮面ライダーです」

 

やがて、大勢の人々の前にデザイアドライバーとIDコアをヒカリが届けに現れた。サラリーマン、学生、フリーター、主婦など、男女問わず。

そして…

 

 

 

「おめでとうございます。今日からあなたは仮面ライダーです」

 

「私が、仮面ライダー…?」

 

ファッション雑誌の撮影でスタジオの控え室で休んでいた明理の元にもヒカリが。IDコアは黒に金色で猫の顔が描かれている。

 

 

 

 

都内某所の駐車場でトラックから降りて来た大我の元にも、ヒカリが。IDコアはバッファと同じだ。

 

「おめでとうございます。今日からあなたは仮面ライダーです」

 

「誰だ…?お前…」

 

しかし、大我はヒカリの事を知らない様子。

 

 

 

 

「これは…っ!?」

 

敬介は、自分の元に届けられたデザイアドライバーとIDコアを見つめていた。IDコアは緑色で黒の狸の顔が描かれている。恐る恐る手に取ってみると、突然稲妻が走った。そして脳内に次々と送り込まれる情報。ジャマトの襲来、大将がジャマトに襲われた事、仮面ライダー達の戦い。全てが鮮明に蘇った。

 

「やっぱり…夢なんかじゃない…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「前哨戦は予定通りに進めたか?」

 

デザイア神殿にて、ガンメタリックのローブにフードを被り、顔をバイクのヘルメットの様なフルフェイスのマスクを付けた人物とヒカリが画面越しに会話していた。その人物の声はピッチが高く加工されている。ヒカリの隣には、白いスーツを着用した男性が立っている。

 

「はい。ゲームマスターの指示通り、 今回は練習試合という形でランダムで選ばれた3人でゲームを進行させ、クリア後は本戦終了後と同じ措置を施しました」

 

「次回からは本格的にデザイアグランプリを開催するに至って、参加者も予定通りに集まって来ている。トジル、君はコンサルジュとして参加者のサポートにあたってくれ」

 

「承知いたしました」

 

ゲームマスターにトジルと呼ばれた見た目が30代位の男性は一礼をした。

 

「さぁ、世界と理想の世界を賭けた新たなる戦いの始まりだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、英寿は何やら真剣な表情でスマートフォンと睨めっこをしている。そして、画面をタップした。そこに映し出されているのは…

 

購入されました

 

「しゃぁぁぁぁァァァ! ポチったぞぉぉぉぉぉ! 先着5000名限定のマルチ変身銃タクティカルライザーをぉぉぉぉっ!フォオオオオオオオッ!」

 

英寿の趣味は特撮玩具の収集。数量限定品を購入出来た喜びのあまり英寿は部屋を飛び上がり、変人としか思えない声を発していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日を境に、俺の平穏な日常は変わり始めた。このデザイアグランプリの開幕で、俺を始めとした大勢の人々が仮面ライダーに選ばれ、世界を守る為、理想の世界を叶える為の生き残りを賭けた戦いに身を投じる事になった。しかし、まだ誰も知らなかった。それは、仮面ライダーになった以上、もう後戻りは出来なければ途中で戦いを投げ出す事も許されないという事を突きつけられている事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

DGPルール

 

ドライバーとIDコアが届いたら、

それは仮面ライダーへの片道切符。

 

もう後戻りはできない。

 

 


GAME RESULT EPISODE 01

 

MISSON街に現れたジャマトを殲滅せよ。

 

ENEMYポーンジャマト

 

 

ENTRY PLAYER&USED BUCKLE             

 

GEATS 宝生英寿 MAGNUM

 

BUFFA 吾妻大我 ZOMBIE

 

SHIROWE 有働 武 ARROW




いかがだったでしょうか? お待たせしました。久しぶりの新作です。気がついたら1万7000字を超えてました。ただ今回は本当に投稿するべきか悩んだ末に執筆しました。

今回のお話はジャマトの数が小規模なのでミッションもとても易しく、当然クリアしてもデザ神にはならず理想の世界は叶えられません。いわゆるミニゲームやゲームの体験版みたいな物で、服装などもあのジャケットを着る事もありません。本編は初めから最終戦の後に新たに始まったのでチュートリアルみたいなお話は必要かなと思いました。
最近何だかモチベーションが上がらなくて、思う様に執筆が出来ません。もしかしたら筆を折ってしまうかも…でも始めたからには頑張って完結させます。オリジナル要素も入れていこうと思いますのでよろしくお願いします。

今回ギーツに変身する主人公は本編の英寿と違って一般人です。戦闘も素人なので不敗ではありません。
次回から本格的にストーリーを始めますが、その前に登場人物等を纏めてからスタートします。
サブタイトルの嚆矢物事の始まりや最初を意味する言葉で、つまり物語の始まりという意味です。BはBeginningでデザイアグランプリとこの小説の始まりという意味になっています。好評で続きます。今回はここまでです。感想お待ちしています。

次回 第2話 開闢Ⅰ:ハイキングで宝探し

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