【完結】仮面ライダーギーツ外伝 もう1つのデザイアグランプリ 作:ネガ
1から物語やミッションを考えるのは本当に大変ですね…やっぱり最初は宝探しになってしまいました…
究極大聖剣 闇黒剣月闇が予約開始されましたね。もちろん予約しました。
第2話 開闢Ⅰ:ハイキングで宝探し
突然、俺達の世界は終わりを告げようとしていた。得体の知れない怪物が俺達に襲いかかり、もうダメだと思った。そんな時、世界を救う謎の戦士達が現れ、怪物達をやっつけたんだ。あれは一体何だったんだろう…?
そんな中、俺の運命も動き出そうとしていた。
「おめでとうございます。厳正なる審査の結果、あなたは選ばれました。今日からあなたは仮面ライダーです」
仮面ライダー? もしかしてあの戦士の名前…? それに俺が…?
前回、デザイアグランプリに巻き込まれてジャマトに襲われた敬介だが、ヒカリからデザイアドライバーとIDコアを貰い、自宅の部屋でそれらを見つめている。
「デザイアグランプリ…最後まで勝ち残った物は、理想の世界を叶えられる…」
一緒に入っていたカードに書かれている文章を見る。あの時自分の目で見た仮面ライダー達の戦い。その資格に選ばれたという事だ。試してみようとデザイアドライバーを手に取ろうとすると、突然机に置いてあるスマートフォンから着信音が鳴る。敬介は手に取り、電話に出た。
「もしもし?」
「あ、もしもし敬介義兄?」
「愛理。どうしたの?」
「大将さんから聞いたよ? また就職試験落ちたんだって?」
敬介を敬介義兄と呼ぶ電話の相手はポニーテールにセーラー服を着た女子高生。彼女の名は桜井愛理。18歳の女子高生で敬介の義妹だ。
「そうだけど…愛理こそ大学受験控えてるだろ?」
「私、推薦貰ったんだ!」
「え!? そうなの!? 良かったね!」
愛理が推薦を貰ったと聞くと敬介は嬉しそうに言う。
「これも、この前明理ちゃんに会ったからかな? 友達と出かけてたら明理ちゃんに会ったんだよ!」
「明理ちゃんに会ったの?」
「しかも服のコーデ褒めてもらったの! という事で、敬介義兄も就職頑張ってね!」
嬉しそうにする愛理は明理の大ファンであり、ByTubeでもアカリチャンネルの登録者であり服のコーディネートも真似するほどのファンだ。彼女の人気ぶりは「会えば幸運が上がる」や「幸せになる」等の変な噂が流れたりする程だ。
「俺の事はいいから。それじゃ頑張ってね」
そう言うと敬介は電話を切り、デザイアドライバーを手に取る。
「よぉぉぉし! タクティカルライザーの支払い完了ッ! 後は届くのを待つのみぃぃ! 」
「ママ、あのお兄ちゃん変!」
「こら! そんな事言っちゃいけません!」
住宅街でテンションを上げながら腕を振るわせジャンプしながら歩いているのは英寿。子供からの視線も気にせずに歩いている。先日予約した商品の支払いを終え、後は3ヶ月程で届くのを待つのみ。心を踊らせながら歩いていると、目の前にある人物が現れる。
「おめでとうございます。今日からあなたは仮面ライダーです」
「…はい?」
そう。ヒカリだ。手にはデザイアドライバーとIDコアが入ったボックスを持っている。疑問に満ちた声を英寿は溢した。彼もヒカリの事を覚えていない様子だ。英寿はボックスからデザイアドライバーを取り出し、IDコアに触れた。すると…
「!?」
突如、英寿の脳内に次々と情報が送り込まれる。街を襲うジャマト。初めて仮面ライダーに変身し、ジャマトと戦った事。デザイアグランプリに関する記憶が全て鮮明に蘇った。
「え…!? 何で俺…忘れてたんだ…?」
英寿が自分が何故仮面ライダーになってジャマトと戦い、デザイアグランプリに参加していた事を忘れていた事が分からなかった。まさかと思いデザイアドライバーを腰に装着し、IDコアを装填した。
【ENTRY】
無機質な音声と共に英寿の姿は消えた。
「これを腰に装着…」
【DESIRE DRIVER】
「おぉ…! IDコアをセット…こうか」
無機質な起動音と共に敬介の腰にデザイアドライバーが装着され、IDコアを手にして中央のソケットにセットした。
【ENTRY】
「うぉ!?」
起動音と共に敬介の姿は部屋から消えた。
「…ん? うわぁぁぁぁぁっ! 何だここ!?」
気がつくと、敬介はデザイア神殿に転送されていた。その反応は英寿と同じだ。それだけじゃない。後ろには自分以外の人がIDコアをセットしたデザイアドライバーを腰に装着している。自分を入れて20人だ。
「どこだここ…?」
「え? どうなってるの!?」
誰もが皆、デザイア神殿に転送された事に驚きと戸惑いを隠せない様子だ。中には…
「え!? 明理ちゃん!?」
「マジかよ! 生で見たの初めて!」
「あ、こんにちは!鞍馬明理です!」
そして転送された人の中には、明理とそのファンの人も含まれていた。さらに…
「やっぱり…それに前よりも多い…!」
「……」
英寿と大我もデザイア神殿に転送されている。そして…
「皆さん、こんにちは! 私はゲームナビゲーターのヒカリです!」
突如、中央の台にヒカリが皆の前に現れた。
「ヒカリ…?」
「ようこそ! デザイアグランプリへ!」
「…またやるの?」
前に聞いたヒカリの台詞に英寿は声を溢した。
「今、私達の世界はジャマトの脅威に晒されてます。どこから来るのか、何が目的なのかも分からない謎の敵です」
(ジャマト…あの怪物か)
IDコアに触れた途端全てを思い出した敬介の中では、ラーメンを食べていた時に突然襲いかかり、仮面ライダー達が倒していた事が記憶に新しい。
「そんなジャマトから街を守る為に誕生したのが、このデザイアグランプリなのです!」
腕を上げて明るく皆に説明するヒカリだが、誰もが何が何やら分からず疑問に満ちた表情でヒカリを見つめている。
「皆さん、「何だそれ?」って感じですよね? 分からないのも無理はありません。ジャマトの悲劇を忘れ、人々が平和に暮らせる様にデザイアグランプリが終わる様に人々の記憶がリセットされる様、設計されているのです。記憶が戻るのは、IDコアを手にした人だけ」
(そうか…どうりでこれを見てもピンと来なかった訳だ…じゃああの時記憶はすでに消されてたって訳か)
英寿は、IDコアを手にした時に記憶が戻り、何故一度会った事のあるヒカリの事を覚えていないのも理解した。
「皆さんは、仮面ライダーとなってジャマトと戦うのです。そして、見事に勝ち抜いた通常デザ神は…自分の理想の世界を叶える事が出来ます」
「理想の世界?」
ヒカリの説明を聞いた人々は半信半疑ではあるが相槌を打ったり首を傾げたりしているが、大我だけはつまらなさそうにしていた。
「要するに、どんな願いも叶うという事です。それでは皆様、お手持ちのデザイアカードに名前と願いをご記入ください」
「うおっ!?」
すると、敬介の手元に小さなノート位の大きさのデザイアカードと羽ペンが現れた。敬介だけではない。英寿や明理、大我や他の人々の手元にもデザイアカードと羽ペンが現れた。
「理想の世界ねぇ…」
そう言いながらも敬介は考えながらデザイアカードに願いを記入した。
とある緑豊かな山に突然ジャマーエリアが展開された。すると、いつの間にか人々は山の近くに転送されていた。しかも、服装も黒と青を基調としたジャケットにズボン、女性はスカートでベスト、ニーパッドにブーツとなっている。転送された場所はバラバラであり、人々は辺りをキョロキョロと見回している。
「それでは、デザイアグランプリを開催します!運命の第1回戦、1stミッションは、ハイキング&宝探しゲーム!」
「転送された場所から指定の場所まで移動しながら隠された宝箱を見つけて下さい。道中ではジャマトが妨害してきますのでご注意を。制限時間は90分」
突然、毛皮やヨレヨレの布で出来た服に斧や剣、棍棒で武装した山賊ジャマトが山から降りて襲いかかってきた。デザイアグランプリが遂に開幕したのだ。
「!?」
「テテイズクテウトエルクラサバポスエインチャ!」
「ビデテテピン!」
「うわぁぁぁ!」
「助けて!」
勿論突然の襲撃に参加者達は戸惑い、逃げ出した。そんな中、明理もその状況では冷静に判断出来る訳なく物陰に隠れるので精一杯。すると、1人平気そうな表情をしている青年・柴崎翔平がいる。明理は物陰から出てきて柴崎に話しかけた。
「ねえ! 一緒に協力してくれない!?」
「あ? お前なんか助けて何になんの? 人気だからって調子乗んなよ」
柴崎は明理を押しのけて去ってしまった。途方に暮れていると、突然男性に声をかけられた。見た目は30代位だろう。
「ねえねえ! 明理ちゃんだよね!? 俺ファンなんだ!協力するよ! 」
「本当!? ありがとうございます!」
「俺広瀬紀之。よし行くぞ!」
「はい!」
広瀬紀之と名乗る男性と明理は行動を共にし、ミッションに挑むのだった。
「ハァ…ハァ…とにかくゴールを目指すのが最善かな…ていうか登山で宝探しって何だよ…しかもこの山の道ちょっと足元が悪いな…とにかく進まないと…」
一方英寿はひとまずゴールを目指すべく山の中を。今の所ジャマトは現れていない。出来れば楽に宝箱も回収しておきたい。とにかくそう思いながらゴールへ目指す。登山用の装備も無しに山を登るのは危険だ。
「お? これもしかしてゴールへ続くやつか?」
英寿の目の前に矢印の形をした看板が立っている。矢印の指す方向は上。間違いない。ゴールへ続く道だ。ラッキーと思い足を動かすと…
「ジャー!」
「ジャー!」
「うぉっ!?」
突然、2体の山賊ジャマトが剣と棍棒を手に立ちはだかった。
「マジかよ…!」
「ピアーブ!」
襲いかかってきた山賊ジャマトの攻撃を交わしながら、英寿は矢印が指す山中の道を走り、山賊ジャマトも後を追う。すると1体が先回りして英寿の行く手を阻む。
「!?」
一瞬怯んだ英寿の後ろからもう1体が迫り来る。そして目の前の1体が剣を手に英寿を殺そうと剣を振り上げる。咄嗟に英寿は棍棒を手に後ろから迫っていた山賊ジャマトの手首を掴む。
「ジャ!?」
「うらぁぁあ!」
力の限り引っ張り、剣を振り下ろした目の前の山賊ジャマトに大して盾にした。当然、いきなりの出来事故に急に手を止める事は出来ず山賊ジャマトは味方を斬ってしまった。
「ジャアアア!」
「ラサツーム!?」
「今だ!」
動揺した隙をついて英寿は山賊ジャマトを押し倒すが、勿論山賊ジャマトも負けじと英寿と取っ組み合いに持ち込む。地面を転がり組み合っている内に英寿が体勢を上にし、腕を伸ばして落ちていた石を手に取る。そして…
「オラァ!」
そのまま山賊ジャマトを殴りつける。何度も。何度も。力の限り殴りつける。山賊ジャマトはなす術なく英寿に殴られ続ける。そしてある程度殴った後に英寿はその場を後にする。しばらく歩くと、何やら小さな小屋のような物と、意味不明な文字が木に彫られているのを見つけた。小屋に入ると、黒とピンク色の物体が隅に隠されている。
「もしかして…」
まさかと思い、手に取ると予想通り宝箱であるハテナミッションボックス。中を開けてみると水色と黒に蛇口が付いた小型のレイズバックルが出てきた。
「蛇口? 何かマグナムに比べてしょぼいな…」
【NEW BUCKLE UPDATE】
獲得したバックルが小さい事に愚痴を溢しているといつの間に持っているスパイダーフォンから通知が来た。レイズバックルライブラリが開き、RB-12 WATER と記録された。
「ウォーターか…まぁいいや」
「ジャー!」
ひとまずアイテムは手に入った事でよしとしようとゴールを目指そうとしたその時、先程の山賊ジャマト2体が行く手を遮る。報復に来たのだろうか。
「マジか…よし…せっかくだ」
英寿は手に入れたウォーターバックルを試しに使ってみる事にし、デザイアドライバーにセットした。
【SET】
「変身!」
空中にウォーターバックルの文字が蛇口のイラストと共にホログラムで投影され、英寿はシンプルな変身ポーズを取る。そしてウォーターバックルの蛇口を捻った。
【ARMED WATER】
水流と共に英寿はギーツに変身し黄色い複眼に右肩には銀色の装甲とシアンに蛇口のイラストが描かれた胸当てとバンドが巻かれ、手には蛇口が付いたシアンの放水銃レイズウォーターが装備。英寿はギーツ アームドウォーターに変身した。
【READY FIGHT】
「ジャー!」
山賊ジャマト達はギーツに襲いかかる。水と聞いてギーツの頭の中では強力な水圧を放ってジャマト達を攻撃と考えている。確かに水は高速で射出すれば鉄も切れるほどの力を持つ。だが、ギーツの予想は悪い意味で大きく裏切られる事になる。
「それ!」
威勢よくレイズウォーターから水を放つが、ギーツの予想を裏切り銃口からはチョロチョロと弱く水が出るだけ。山賊ジャマトの身体を濡らすだけで効果が全くない。
「えぇ!? よっわ!」
思いもよらない結果にギーツは慌て、その隙を付いて山賊ジャマト達は剣と棍棒を手に襲いかかる。
「ちょっと待って! タンマタンマ!」
しかし、戦場に待ったは通用する程甘くない。ギーツの待ったも聞かずに山賊ジャマト達は襲ってくる。逃げたってどうしようもない為撃てない放水銃でやる事はただ1つ。
「うらぁ!」
「ジャァァ!」
「チャキョピピファツワスビ?」
「心もとないなぁ…ま、しょうがない」
殴る事だ。レイズウォーターを逆手に持って山賊ジャマトの頭を殴りつけて蹴り飛ばした。殴られた山賊ジャマトを別の山賊ジャマトが心配そうに起こしている風景を見つつギーツは山賊ジャマト達と戦闘に入る。森には剣と棍棒とレイズウォーターを打ち合う音が響き渡る。
「マーキュリィィィィ!」
「ジャー!」
ギーツが頓珍漢な言葉を発しながらレイズウォーターで山賊ジャマト達と戦う様子を通りかかった大我が冷ややかな目で見る。
「……何なんだあいつは」
だが、そんな大我の目の前にも山賊ジャマトが現れる。しかし、大我は怯まず自ら立ち向かい、喧嘩殺法で山賊ジャマトを蹴散らす。
「オラッ!」
「ジャアア!」
大我は山賊ジャマトを殴りつけ、もう1体を蹴り飛ばす。
「よし…今の所順調だ…」
その頃、敬介も指定された場所を目指して足を進めていた。すると…
「うわぁぁぁぁぁ!」
「!?」
突如、目の前の男性が山賊ジャマトに追われている。敬介は動いた。
「うぉおおお!」
落ちていた木の棒を手に取り、山賊ジャマトの頭部を殴りつけ、怯んだ隙に体当たりで山賊ジャマトを突き落とした。
「大丈夫ですか!?」
「あ、ありがとう…助かったよ…」
「良かった…」
男性を助けられた事に安堵した敬介。
「俺、桜井敬介って言います」
「私は福田賢。よろしく」
「もしよかったら、一緒にゴールを目指しませんか?」
敬介の誘いで福田は行動を共にする事に。しばらく歩くと、英寿が見つけた山賊ジャマトの隠れ家を発見。
「あ! もしかしてこれじゃないですか?」
隠れ家の中にはハテナミッションボックスが隠されていた。2人は入手し、中身を確認する。
「これは…弓矢か?」
「何か強そうなの出た!」
福田は小型で黄緑色の弓矢を模したバックル。敬介は大型でメタリックレッドにバイクのマフラーとハンドルを模したバックルだ。
【NEW BUCKLE UPDATE】
スパイダーフォンを確認すると、敬介が手に入れたバックルはRB-02 BOOST、福田のバックルはRB-13 ARROWと表示された。他にもRB-04 ZOMBIE、RB-11 HAMMERにRB-15 SHIELDが表示されている。
「よし、アイテムも手に入ったし、ゴールを目指そう」
「はい」
「いろんな理想がいっぱい…」
その頃、デザイア神殿ではヒカリが参加者達が思い思いの理想の世界や願いを書いたデザイアカードを見ている。その内容は…
「大金持ちになりたい」
「俺が大会社の社長になっている世界」
「全ての病気が治せる世界」
「超売れっ子アイドルと付き合いたい」
など、様々な願いが書かれていた。ヒカリが手にしているのデザイアカードには、「争いの無い世界」と敬介の名前が書かれていた。
そして2人は山中を進み、話しながら目的地を目指していた。
「福田さんは、どうしてデザイアグランプリに?」
「あぁ。実は最近結婚してね、妻が妊娠したんだ」
「そうなんですか!」
「私ももうすぐ父親になる。だから妻と子供と幸せになりたいと願っている。その為にも、勝たないと」
妻が妊娠し、父親になる福田がデザイアカードに書いた願いは、「妻と子供と幸せになりたい」だった。敬介は福田の話に笑みを浮かべる。
「君は何を願うんだ?」
「俺ですか? 最近物騒な事件や悲しい事が起きたりしてるので、「争いの無い世界」です!」
「そうか」
そんな会話をしているうちに、2人はどんどん山を進んでいく。すると目の前にデザイアグランプリのマークが描かれた看板が描かれた場所にやってきた。
「もしかして、ここじゃないですか?」
「お疲れ様です。ここが目的地です」
ゴールにたどり着いた2人の目の前に、白いスーツを着たトジルが出迎えた。
「どちら様ですか?」
「私はデザイアグランプリのコンサルジュを勤めさせて頂いている、トジルと申します。以後お見知り置きを」
「あぁ…どうも」
「私について来てください」
トジルに案内されるままに、敬介と福田は付いて行った。そしてやって来たのは赤いソファーが幾つも置かれ、中にはカウンターの様な場所がある広々とした部屋だった。中には大我や明理に、広瀬、柴崎が既に寛いでいた。
「ここは…」
「ここはデザイア神殿内にあるサロンです。参加者は休憩所として無料で使用できますので、ごゆっくり」
「分かりました」
「凄いな…」
福田はサロンの階段部分に腰掛け、敬介は明理を見つける。
「明理ちゃん! 参加してたんだ!」
「あ!また会ったね!」
「ウチの妹がファンなんだ! この前友達と明理ちゃんに会ったって聞いたんだ」
「そうなんだ! もしかしてあの時の私のコーデを参考にしてくれた子?」
「そうそう!」
「お前らもいたとはな」
敬介て明理が盛り上がる中、ソファでコーヒーを飲む大我が口を挟んできた。
「あ、この前の!」
「仮面ライダーバッファだ。お前らは…タイクーン、そしてナーゴ…」
大我は自分のライダー名を名乗り、スパイダーフォンで敬介と明理のライダー名を確認する。
「もしかして、ライダーの名前? えぇっと…吾妻大我さん」
「よろしくね!一緒に頑張ろ!」
明理は大我に笑顔で挨拶をし、敬介もスパイダーフォンで大我の名前を確認した。
「……すぐに脱落するお前らモブに言われる筋合いはない」
「モブ!?」
「何その言い方!」
敬介と明理をモブ呼ばわりする大我に明理は感じが悪い印象を持った。すると…
「人をモブ呼ばわりとか、二次小説の転生者かよ」
ニヤニヤしながら横槍を入れて来たのはマグナムバックルを手にした明理の協力を拒否した柴崎だ。柴崎の声に3人は顔を向ける。
「さっきの…」
「ええっと…仮面ライダーライノ…柴崎翔平さん…」
「いるんだよなぁ〜こういう主人公ぶって俺TUEEEとか孤独な俺カッコいいと思ってる痛い奴が」
「何だと?」
明らかに口振から喧嘩を売っている柴崎を道長は立ち上がり、鋭い目つきで睨みつける。睨みつけられても柴崎は大我を挑発する。
「おぉ〜図星かよ。きっしょ。真っ先に噛ませになって死ぬかもな」
「だったら、今ここでやるか俺と?」
「いいよ? 中二病君」
ゾンビバックルを見せて戦意を見せる大我に対して同じくマグナムバックルを見せる柴崎はなお挑発を続ける。その一触即発な空気に明理は勿論、広瀬や福田も目を見開く。
「おぉーっと!? まさかの宝箱もう1個めーっけ! 2個手に入るとかツイてるー! ま、当たり外れなんて贅沢な事は…」
その頃英寿は、山中にて別の山賊ジャマトの隠れ家でもう1つ宝箱を見つけていた事でテンションが上がっていた。とりあえず中身を確認するべく蓋を開けようとすると…
「ミッション終了残り時間5分です!」
ヒカリから制限時間残り5分をアナウンスされた。
「あと5分!? ヤバイヤバイ! とりあえずこれ持って…!」
時間を浪費してしまった。英寿は急いで宝箱の箱を開けて中のバックルを取り出す。中身は銀色でスコップを模した小型のバックルが入っていた。
【NEW BUCKLE UP DATE】
「今知らせなくて良いよ! 行くぜ行くぜ行くぜ!」
スパイダーフォンから通知が入り、レイズバックルライブラリにはRB-19 SCHOPと記録された。しかし、今の英寿にはどうでも良い事だ。手に入れたスコップバックルを手に山道を走り目的地を目指すのだった。
英寿がゴールを目指している一方、サロンでは大我と柴崎がお互いに睨み合う中、敬介が動き出す。
「ちょっと!やめま…「お待ち下さい!」」
仲裁に入ろうとした敬介の声を遮ったのは険しい顔をしたトジルだ。
「ここではいかなる暴力、妨害行為は禁じられています。違反した場合、すぐに脱落となりますので」
「……」
トジルに忠告され、大我はゾンビバックルを持つ手を降ろした。このサロンにおいては一切の戦闘行為は禁止されているのだ。
「だって。命拾いしたね」
しかし、柴崎はなおもヘラヘラした態度を変えずに、元いた場所へ向かう。険悪な空気の中、ギリギリ間に合った英寿がサロンに入ってきた
「ふぅ〜何とかゴールに付けた……ん? 何この空気? お通夜?」
頓珍漢な英寿の言葉に反応した敬介と明理が何を言ってるんだという顔をしながらも、思い出したかの様に英寿を指差す。
「「あの時の狐の仮面ライダー!」」
「ん?……あの時の…」
英寿もまた敬介と明理を見て思い出す。練習試合の時に共にいた2人だ。
「君も参加してたんだ」
「まさかこんなとこで会うなんて、奇遇だね!」
「俺達なんか縁があるのかな? あ、俺は宝生英寿。英寿でいいよ」
「俺は桜井敬介」
「私は鞍馬明理!よろしくね!」
英寿、敬介、そして明理が話す中、大我はやはり疎む様な顔で彼らを見ていた。そんな中サロン内のカウンターのテーブルに置いてある電話のベルが鳴り響き、トジルは受話器を取った。
「はい。こちらサロン。はい。承知致しました」
電話にて指示を聞いたトジルは受話器を置いた。
「皆様、続いてのミッションです」
「先程、ジャマーエリア内にて山賊ジャマトの首領を確認。制限時間となりましたのでアイテムを手に入れられなかった方、目的地まで辿り着けなかった方はリタイアとなります」
ディスプレイには参加者の顔と名前、ライダーズクレストの上に次々と赤色のLOSEの文字が重ねられ、残ったのは敬介、明理、大我、柴崎、広瀬、そして最後にギリギリ滑り込んだ英寿の7人となった。
「残るは7人か」
「手に入れたアイテムを駆使して、全てのジャマトを撃破してください。生き残った方は、第1回戦勝ち抜けとなります」
「生き残った方? どういう意味?」
ヒカリの言葉に広瀬が疑問を投げかける。
「文字通りです。これは、命を賭けたゲームですので」
「命!? 何だよそれ! 初耳だぞ!」
「だ、大丈夫ですよ! 前にジャマトが来た時に俺の知ってるラーメン屋の大将、無事だったんで!」
前に経験したジャマトの襲来で大将が襲われたはずが無事に生きている事で広瀬に安心するように呼びかける敬介。だが、それを見て大我は口を開く。
「やられたら退場だ」
「退場!?」
大我の言葉に英寿は何かを感じていた。口振りや素ぶりで何かを知っているのではないかと。
「それではミッションを開始します!」
すると、いきなりヒカリは何やら変身するかの様に腕を動かし、得意げに決めポーズを取った。
「変身!」
【ENTRY】
無機質な電子音声と共に7人はデザイア神殿から山中の森の中に転送された。
「ゴート、ナーゴ、タイクーン」
広瀬は黒に銀色の角の黒ヤギモチーフのマスクの仮面ライダーゴート、明理は黒に金色の耳や模様にヘッドホンの様な飾りの猫モチーフのマスクと両手首にリングの仮面ライダーナーゴ、敬介は緑にガンメタルで狸モチーフのマスクに右の太腿には緑の布が巻かれた仮面ライダータイクーン。
「バッファ、ライノ」
大我は紫に銀の角の牛のマスク、右腰には紫の布をぶら下げた仮面ライダーバッファ、柴崎は灰色に額には角が生えたサイのマスクの仮面ライダーライノ。
「ギーツ、グラモ」
英寿は白に朱色の狐モチーフのマスクに狐の尻尾を模したマフラーの仮面ライダーギーツ、そして福田は茶色にモグラモチーフのマスクの仮面ライダーグラモに変身。皆、共通の姿のエントリーフォームだ。
「広瀬さんは黒ヤギ?」
「明理ちゃんは猫か!可愛い!」
「俺…タヌキ?」
「なるほどねぇ…サイか」
「私は…モグラ!?」
参加者達が思い思いの感想を呟く中、ミッションがスタート。各ライダーはバラバラに森の中を進んでいく。ギーツ、バッファ、ライノは単独で行動。ナーゴとゴートはペアで進む中、タイクーンはグラモと共に行動しようとしたが、いつの間にか見失ってしまった。
「あれ? 福田さん!? ちょっとー! 1人にしないでー!」
というか、タイクーンは1人になってしまった。
ライダー達はしばらく歩くと、何やら森の奥から意味不明な言語で話す声が聞こえてきた。そこに数十体の山賊ジャマト達と、ウツボカズラの様な姿に毛皮で出来た衣類に靴、棍棒を武器にしたルークジャマトが変化した首領ジャマトが現れた。
「トビオズグオエインビカカル!」
「ジャー!」
「レレラサテテンピチャ!」
アイテムを奪い返そうとする首領ジャマトの声に部下の山賊ジャマト達も声を上げ臨戦体制だ。いよいよ戦いの火蓋が切られた。
「何か強そうなのいるな…あれがボスか…よし…」
「ジャー!」
「ロジ!」
「クテウトエビビコキョジチャ!」
山賊ジャマト達を見つけたギーツは奇襲攻撃をかけるべくこっそり回り込もうとしたが、5体の山賊ジャマトが剣や斧、棍棒を手に立ち塞がった。
「そう簡単にはボスに触れさせないって事か…仕方がない…」
(ウォーターを使うのはやめておこう…そうだ!)
ギーツも武器を構え戦意を示す山賊ジャマト達を見て、自身も手に入れたバックルを取り出す。が、ウォーターではまともに使う事は出来ず倒すのに時間がかかってしまう。ならば、もう1つの手だ。
「さっき手に入れた、これを試してみるか…!」
ギーツはウォーターバックルではなく先程手に入れたスコップバックルを試してみる事に。早速デザイアドライバーにスコップバックルをセットした。
【SET】
デザイアドライバーにスコップバックルをセットすると、待機音と共にスコップの絵と文字が空中に投影される。そしてバックルのスコップ部分をスライドさせた。
【ARMED SCHOP】
スコップのエフェクトが絵柄を砕き、ギーツの身体に装着される。右肩に銀のアーマー に胸元にはイラストが描かれたプレートと銀色のバンド。右手にはホームセンターに売っている多機能スコップに似た尖った刃先から持ち手まで約65cmのレイズスコップ。ギーツはアームドスコップに変化した。
【READY FIGHT】
「スコップ? これ武器なのか?」
首を傾げるギーツ。何故スコップなのか疑問だが、そもそもこれで戦えるのか不安だ。しかし、ギーツが考えている間に1体の山賊ジャマトが襲い来る。ギーツ目掛けて剣を振り下ろす。
「!」
ギーツは咄嗟にレイズスコップの面で剣を防ぐと、そのまま力任せに90度回して押さえ、刀身に滑らせて頭を殴り付けた。
「ジャアアア! キョトキョ…!」
「オラァァァ!」
殴られた山賊ジャマトは怯んで後退りし、顔を押さえている。その隙を見逃さずにギーツは山賊ジャマト目掛けてレイズスコップで殴り飛ばす。
「意外に使える!」
明らかにウォーターよりも使い勝手が良い。実はスコップは近接戦闘において優れた殺傷能力を持っており、打撃、刺突、防御、刃を研げば包丁よりも切れ味が良いと言われているのだ。まさかスコップがこんなにも使えるとは思わなかった。これは当たりだ。
「チャキョピピファツワスビ!?」
「ケポロ!」
「よし…行くぜ…!」
ギーツは気合いを入れて右手を振るうと、レイズスコップの柄が伸びた。これで全長は約65cmから約110cm程に。リーチがある分こちらが有利だ。
「伸ばせるのか!」
「ビビテウ!」
残りの山賊ジャマト達が一斉にギーツに突っ込んでくる。ギーツはそのままレイズスコップで応戦する。レイズスコップと剣や斧、棍棒が打ち合う音が森に響き渡り、ギーツは斧を持つ山賊ジャマトの頭を殴りつけ、棍棒で殴りかかって来た山賊ジャマトの棍棒を受け止めると、腹を蹴り付けて頭を殴った後に腹に刃先を突き立ててそのまま木に串刺しにするといったバイオレンスな戦法で山賊ジャマト達と戦闘を繰り広げるのだった。
「よーし明理ちゃん、行くぞ!」
「はい!」
【【SET】】
一方、共に行動していたナーゴとゴートも山賊ジャマト達と対峙し、デザイアドライバーにバックルをセット。ナーゴはピンク色のハンマーバックル、ゴートは青色のシールドバックルだ。2人はハンマーの頭と盾の部分を押す。
【ARMED HAMMER】
【ARMED SHIELD】
ナーゴの身体に銀のアーマーとピンク色のハンマー、レイズハンマーが装備され、ゴートには青色の盾、レイズシールドが装備。2人とも複眼の色は黄色に変化し、ナーゴはアームドハンマー、ゴートはアームドシールドに変化した。
【【READY FIGHT】】
「それじゃ行きますよ!」
「ああ!」
「それ!」
「どうだ!」
ナーゴはレイズハンマーを使って山賊ジャマトを攻撃し、ゴートはレイズシールドで攻撃を防ぎつつシールドバッシュを繰り出す。2人とも素人とはいえなかなか適応力はある。
「私は、絶対に勝つ!」
【SET】
妻が妊娠し、もうすぐ父になるグラモも手にしたアローバックルをデザイアドライバーにセットして、矢の部分をスライドさせた。
【ARMED ARROW】
投影された絵と文字から矢が放たれ、ホログラムを撃ち抜いて装甲がグラモに装着。ギーツやナーゴ達と同じ装甲に胸プレートには緑に弓矢のイラスト。手にはクロスボウ型の武器、レイズアローを装備。グラモはアームドアローへ変化した。
【READY FIGHT】
「うぉぉぉぉぉぉっ!」
グラモはレイズアローで山賊ジャマト達に矢を発射しながら突撃していった。
単独で行動する森を歩くライノも山賊ジャマト達を見つける。
【SET】
デザイアドライバーにマグナムバックルをセット。シリンダーを回転させてトリガーを押した。
【MAGNUM】
6発の弾丸がホログラムを撃ち抜いて装甲を形成、アームに掴まれてライノの身体に装着。複眼の色は朱色。手にはマグナムシューター40Xを持ちライノはマグナムフォームに変化。
【READY FIGHT】
「死ねよゴミ共が」
ライノは山賊ジャマト達を罵倒しながらハンドガンモードのマグナムシューター40Xで撃つ。撃たれた山賊ジャマト達は更にライノに蹴り飛ばされたり、踏みつけられたりと蹂躙されている。
「くたばれ」
「オラァ! フン!」
そのすぐそこではバッファがエントリーフォームのまま山賊ジャマトと戦っている。喧嘩殺法で怯ませたのち、肋骨扉と鍵パーツが付いた紫色で差し色でメタリックピンクと銀色のゾンビバックルを取り出し、デザイアドライバーにセットした。
【SET】
すると、ゾンビの文字に不気味な手の絵のホログラムが投影され、バッファがゾンビバックルの鍵を回すと肋骨扉が開き、中からゾンビアームが飛び出した。ホログラムがドロドロとした毒液に変化して装甲が形成され、生成されたアームが装甲を掴んでバッファの身体に装着させた。
【ZOMBIE】
オレンジの複眼に紫色と差し色のオレンジの大柄な鎧、肩には大きな棘。左手にはオレンジ色の大型の鋭い爪バーサークロー、と右手にチェーンソー型の武器ゾンビブレイカー。バッファはゾンビフォームへと変化した。
【READY FIGHT】
向かい来る山賊ジャマト達をゾンビブレイカーでバッタバッタと薙ぎ倒していく。山賊ジャマトが剣を振り下ろすが、バッファは避けずに装甲で受け止めてゾンビブレイカーで切り裂く。このゾンビフォームは攻撃主体のフォームであり、その分走行力は落ちてしまうが変身者へのダメージを軽減し長期戦向きのフォームとなっているのだ。
「フン」
【POISON CHARGE】
バッファはゾンビブレイカーのカバーを上部までスライドし、刀身に紫色のエネルギーを滾らせトリガーを押す。
【TACTICAL BREAK】
ゾンビブレイカーの刃が高速回転し、バッファは山賊ジャマト達を5体同時に撃破した。
「福田さん何処行ったんだ…」
各ライダー達が戦闘に入る中、タイクーンだけは1人森を彷徨っていた。どういう訳か先程のミッション以来山賊ジャマト達と遭遇していない。何故自分だけ敵が来ないのか疑問だった。すると…
「!?」
突如、何やら意味不明な言語や銃撃音が遠くから聞こえてきた。それにグラモの叫ぶ声も聞こえる。間違いない。あそこにグラモがいる。タイクーンは耳を傾け、音のする方向へ急ぐのだった。
「福田さん…!」
「うぉぉぉぉぉぉ!」
タイクーンが向かっている頃、グラモはレイズアローで山賊ジャマトを撃ち抜き、時には剣の様に斬りつけて接近戦を挑んでいた。途中攻撃を受けたりし、スーツが泥だらけになってもなお立ち向かっている。
「あのオッサン、遠距離武器のボウガン持って突っ込むとかアホすぎて草生えるわ」
グラモがレイズアローを剣の様に振り回して突撃する様をライノは嘲笑いながらマグナムシューター40Xで山賊ジャマトを撃ち抜く。
そんなグラモの背後に忍び寄る影。そして…
「ジャァ!」
「ぐぁぁぁぁッ!」
何者かがグラモを背後から斬りつけ、装甲から火花が飛び散る。グラモは地面を転げ、痛みに悶えながらも身体を起こすと、目の前には棍棒を持った首領ジャマトが立っていた。
「ここで負ける訳には…いかないんだ!」
立ち上がったグラモはレイズアローから矢を放つも、棍棒で防がれてしまう。首領ジャマトはじわじわとグラモに迫る。グラモは矢を放ち続けるも、棍棒で弾きながら距離を縮め、斧で蹴り付けて吹き飛ばした。
「うわぁぁぁぁぁッ!」
そのままグラモは倒れるが、首領ジャマトはそれを許しはしない。グラモのマスクのモグラの鼻の部分を掴み上げて無理矢理起こす。そしてそこへ、タイクーンがようやく到着した。今、まさにトドメを刺そうとしている時だ。
「福田さん!」
「オヴォリチャ…!」
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
タイクーンは叫びながら走り出す。しかし、彼の叫びも虚しく、首領ジャマトはグラモ目掛けてありったけの力を込めて棍棒で殴り、グラモを吹き飛ばす。更に斧を取り出して投げつけ、グラモに命中すると爆発した。
「福田さぁぁぁぁんッ!!」
吹き飛ばされたグラモはそのまま近くの川へ落下し、変身が解除されて福田の姿に戻った。ジャケットはボロボロになり、顔や手に傷がある。急いでタイクーンは変身を解除して満身創痍の福田を川から引き上げた。
「大丈夫ですか!? 福田さん!」
「ハァ…ハァ…父親に…なるはずなのに…妻と子供を残して……先に逝くなんて…!」
「しっかりしてください…! すぐに安全なる所まで連れて行きますから…!」
敬介は安全な場所まで運ぶ為に福田に肩を貸そうとする。突如、デザイアドライバーにセットされているIDコアにヒビが入り、福田の身体が徐々にノイズが入り始める。
「え…!? 何だよこれ…!」
「どうやら…ここまでみたいだ…!」
敬介は福田に一体何が起きているのか分からず、狼狽えるばかり。その時、福田は自分の運命を悟ったかの様に溜息をついた。
「せめて……妻と子供には……私の分まで……幸せに……なって…欲しい…!」
「福田さん!」
【MISSON FAILURE】
無機質なシステムボイスと共に敬介に看取られながら理想の世界を叶えられずに福田の身体にノイズが走りアローバックルを残して消滅した。
デザイア神殿で福田が消滅した事をタブレットで確認したヒカリは悲しげな表情だった。
「残念です…」
その頃、スパイダーフォンでライダー達はグラモが消滅した事を知る。
「よし。1人脱落」
「やっぱあのカス消えたか。ボウガンもろくに使えねえ奴が参加すんなっての。どうせ願いもゴミみてえな願いだろうな」
グラモが脱落した事にバッファはヒカリと違い悲しむ事なくなく喜び、ライノに至っては蔑みの言葉を吐き捨てるのだった。
「福田さん…」
川のせせらぎが聞こえる中、敬介は福田が目の前で消滅した事にただ膝をついて茫然としていた。ヒカリが言っていた命を賭けるという事はこういう事か。助ける事が出来なかった。あの時自分がもっと早く着いていたら福田を助けられていたのではないかと考え、罪悪感が込み上げていた。
「おーい! どうした?」
そこへやって来たのは、ギーツだ。敬介に駆け寄ると変身を解除して英寿の姿に戻った。
「何やってんだ?」
「福田さんが…消滅した…」
「消滅? どういう事だよ?」
「俺の目の前で…助けられなかった…」
気の抜けた様に話す敬介に英寿も困惑していた。消滅する所を見ていなかった英寿からしてみればどう反応して良いのか分からない。だが、そんな2人に危機が迫る。
「レレスダトヅ!」
福田を消滅に追いやった首領ジャマトが棍棒を手に英寿と敬介の前にやってきたのだ。
「おいヤバイぞ! 明らかに俺たちの事狙ってる!」
「あぁ…!」
間違いなく目の前の首領ジャマトは自分達を殺そうとしている。このままじゃ脱落してしまう。
「敬介! 俺には何があったかは分からない。俺みたいな若造が言う様な事じゃないけど、理不尽な事はこれからの人生山ほどある。今この状況、まさにその山場だ。でもここを越えれば、次に進める!」
「英寿…」
英寿は福田の脱落で呆然とする敬介を自分なりに奮い立たせる。今、この状況で切り抜ける方法はただ1つだ。
「やってみようぜ。俺達なら、絶対越えられる!」
「……うん。分かった! やろう!」
英寿の言葉で敬介も決心がついた様だ。このまま引きずってたって何も解決しない。福田が残したアローバックルを拾い、英寿の隣に立つ。そして…
【【SET】】
英寿はデザイアドライバーにスコップバックルを、敬介はアローバックルをセットする。そして、2人はそれぞれポーズを取り自身を変える言葉を放つ。
「「変身!」」
2人はセットしたバックルを操作した。
【ARMED SCHOP】
【ARMED ARROW】
英寿はアームドスコップ、敬介はアームドアローへと変身した。手にはレイズスコップとレイズアローを装備。
【【READY FIGHT】】
ギーツは腕を振るいレイズスコップの柄を伸ばす。
「超協力プレイで、クリアしてやるぜ!」
ギーツはレイズスコップを手に首領ジャマトに接近する。そしてタイクーンは後方からレイズアローで矢を放ちギーツを援護する。首領ジャマトは矢を弾きながら接近。そこからギーツと首領ジャマトの接近戦が始まる。お互いにレイズスコップと棍棒を打ち合い、鍔迫り合いになると、首領ジャマトはギーツの腹を蹴り、装甲に棍棒を振り下ろす。
「うぁぁぁっ!」
更に追い討ちをかけて棍棒で殴り、蹴り飛ばした。飛ばされたギーツは地面を転がり、タイクーンの元まで飛ばされる。
「英寿!」
「こいつ…強い!」
明らかに先程の山賊ジャマトよりも強い。一筋縄ではいかない様だ。首領ジャマトは棍棒を手に迫る。今度はタイクーンがレイズアローで再び矢を放ち続けるが、再び弾かれる。その隙を付いてギーツがレイズスコップの刃で身体を斬りつけた。
「ッ!?」
「オラァ!」
がら空きになった所でタイクーンが矢を命中させて怯ませる。
「ククルテウ…!」
「ハァァァァ!」
再びギーツがレイズスコップで突っ込むが、受け止められて斧で斬りつけられて川へ吹き飛ばされて落下してしまった。
「英寿!」うわっ!」
吹き飛ばされたギーツに気を取られるタイクーンに首領ジャマトが斬りかかるが、間一髪かわした。
「このままじゃ…勝てない…!….ん?」
相手は強い。このままでは負けてしまう。何か打つ手は無いかと考えてるとデザイアドライバーの空いているスロットに目を向ける。
「これ、もう1つ使えるって事だよな…でも…これじゃあなぁ…」
そう。デザイアドライバーは最大で2つのバックルを使う事が出来る。しかし、ギーツがもう1つ持っているバックルはウォーター。ろくに水流も放てない放水銃では絶対勝てないだろう。しかし、川の水を見てふと考えた。「水源があるなら使えるのでは?」と。
「期待してないけど、物は試しだ!」
【SET】
一か八か、ギーツはウォーターバックルをセットし、スコップバックルと一緒に操作した。
【DUAL ON】
【ARMED SCHOP ARMED WATER】
ギーツの下半身に水流と共に左肘と大腿部に追加装甲と蛇口の絵が描かれたプレートが装着され、ギーツはアームドスコップウォーターに変化した。
【READY FIGHT】
「うぁぁぁッ!」
首領ジャマトの攻撃を受けたタイクーンは地面を転がる。
「これを回せばいいのか?」
ギーツはレイズウォーター後部に付いた蛇口を回すと、後部から細い管が川に伸びて入った。
タイクーンに斧を振り下ろそうとした瞬間、ギーツがレイズウォーターのトリガーを引くと、先程とは打って変わって強力な水圧で水が発射されたではないか。放水攻撃を受けた首領ジャマトは吹っ飛び、そのまま吹き飛ばされた。
「水、強っ!」
「やっぱり! 水がある場所じゃないと力を発揮しないんだ!」
タイクーンも驚きの威力。これは大発見。このレイズウォーターは無管接続の外部供給を受ければ無尽蔵の放水が可能となるのだ。すかさずギーツは川から走りながら接近、レイズスコップの柄を縮めて飛びかかり、身体を起こした首領ジャマト目掛けて振り下ろした。
「ジャァァァァ!」
火花を散らす首領ジャマトは痛みに悶え、更に追い討ちにレイズウォーターの銃身で殴られ、隙を付いてタイクーンの放つ矢が命中する。一気に形勢が逆転した。すると、ギーツの目にある物が入る。川の岸に浮き輪が流れ付いている。そしてタイクーンのレイズアロー。
「閃いた!」
「え!?」
「勝利の法則は決まった!」
ギーツはヒーローみたいな決め台詞を言うと、レイズスコップの柄を伸ばし、首領ジャマトに突撃する。すでにダメージが蓄積されている為、動きが鈍る首領ジャマトをレイズウォーターで頭を殴りつけ、レイズスコップで棍棒をはたき落とす。そしてあろうことか…
「くらえぇッ!」
「グガァァァァァ!」
レイズウォーターを首領ジャマトの脇腹に突き刺したのだ。今まで聞いたことのない音と首領ジャマトの悶絶する声が響く。
「うわぁぁぁ…!」
これにはタイクーンも引いている。それだけでは終わらない。レイズウォーター後部の蛇口を回して水の供給を確保してトリガーを引く。すると、首領ジャマトの体内に水が送り込まれみるみるうちに膨れ上がって来た。今にも爆発しそうな光景の中、ギーツが叫ぶ。
「今だ! 決めるぞ!」
「え!? 分かった!」
ギーツは距離を取り、レイズスコップの柄を伸ばして、ウォーターバックルとスコップバックルを操作。タイクーンもアローバックルを操作した。
【SCHOP WATER VICTORY 】
【ARROW STRIKE 】
「ハァァァ!」
「それ!」
「ジャァァァァァァァ!」
タイクーンのレイズアローから強力な矢が放たれ、ギーツのレイズスコップにエネルギーから蓄えられ、ギーツは首領ジャマト目掛けて放つ。2人の同時攻撃を受けた首領ジャマトは水風船が破裂するかの様に断末魔を上げて爆発した。
【MISSON CLEAR】
「首領と山賊ジャマト達が殲滅されました。ミッションコンプリートです!」
ミッションクリアのアナウンスが聞こえ、ヒカリからも山賊ジャマト達が殲滅された事が知らされた。
「やったな…!」
「うん…! 何とか…倒せたね…」
「敬介と一緒に戦ってなかったら、ちょっと危なかったかな」
「何言ってんだよ。英寿がいなかったらやられてたよ」
「とにかくありがとな」
「こちらこそ」
共闘した後の英寿と敬介の顔には笑みが浮かんでいた。
「さてと、汗かいたからさっぱりするか…」
何とあろうことか英寿はジャケットとズボンを脱ぎ、パンツも脱ぎ始めたではないか。
「ちょっと何やってんの!?」
「見りゃ分かるでしょ。泳ぐんだよ」
「見えてる見えてる! 見せないで!」
敬介の目には見たくない物がはっきりと見えている。
「うぃぃぃぃぃぃ!」
そのまま英寿は奇声を上げながら川へ全裸で飛び込んだ。
「フォォォォォォォォ! 気ーー持てぃぃぃーーーッ!」
今、敬介の目の前にいるのは突然全裸で川へ飛び込んで奇声を上げながら水浴びをしているいい年した青年だ。先程自分を奮い立たせたあの面影は全くない。そんな英寿を見て敬介は苦笑いするしかなかった。
「もう何やってんの…小学生じゃないんだから…」
その後、川で泳いで汗を流した英寿をはじめ生き残った6人はデザイア神殿に帰還した。
「第1回戦終了。勝ち残ったのは6名。皆様お疲れ様でした。再びジャマトが現れ次第デザイアグランプリを再開します。それまでお休み下さい。では」
「あの!」
ヒカリが立ち去ろうとすると、敬介が呼び止めた。
「理想の世界…どんな願いでも叶うなら、退場した人も復活出来るんですよね?」
福田が消滅した光景を見た敬介の問いかけにヒカリの答えは…
「もちろん。それがあなたの願いなら」
そう言い残し、立ち去った。
「どんな願いも…か」
「つまり、お金はもちろん、現実ではあり得ない事も叶えられるって事だ!」
自分がデザ神になって理想の世界を叶えた所を想像して心を躍らせる広瀬。
「くだらん。デザ神になるのは俺だ」
そんな広瀬を疎む目で見ながら大我は立ち去り、柴崎も続いてその場を後にした。
「理想の世界か…想像するのは簡単だけど、叶えるのは大変だ。まるで人生だな。ただ理想だけを追い求めて、そのまま叶えられずに挫折していく」
「英寿…」
先程の奇行とは裏腹に何やらシビアな言葉を言う英寿に敬介や明理は「こんなキャラだったか?」と目を丸くする。
「でも俺は、今を楽しく生きたいと思う気持ちは忘れないでおきたいね」
その頃、ゲームマスターは投影されたモニターで第1回戦のリザルトを見ていた。
「始まったか…新たな戦いが。果たして…最後に勝つのは…誰かな…?」
同じ頃、住宅街を歩く英寿。すると、スマホから着信が入り英寿は画面を確認する。
「何!? 今日の16時から変身ベルト ターミネイトドライバーが予約開始だと!? こうしちゃいられん! すぐに帰らなければ! 多々買わなければ生き残れない!」
GAME RESULT EPISODE 02
MISSON:制限時間までに目的地を目指し、宝探しで入手したアイテムで戦いに生き残れ!
ENEMY:山賊ジャマト 首領ジャマト
ENTRY PLAYER&USED BUCKLE
GEATS 宝生英寿 WATER SCHOP
TYCOON 桜井敬介 ARROW
NA-GO 鞍馬明理 HAMMER
BUFFA 吾妻大我 ZOMBIE
GRAMO 福田 賢 ARROW LOSE
RHINO 柴崎翔平 MAGNUM
GOAT 広瀬紀之 SHIELD
いかがだったでしょうか? お待たせしました。1st GAME 開闢編スタートです。ギーツが中盤に差し掛かっている中、まだ2話しか進んでない…夢中で書いてたら1万8000文字を越えていました…
レーザーレイズライザーがかっこよすぎます。デザイアグランプリって未来人のエンタメと聞いてそう来たかと思いましたね。
早速ですがオリジナルバックルの1つ、スコップバックルを出してみました。少し早いかなと思いましたが、スコップは武器としても最強の部類に入るので出してみようと思いました。敬介が手に入れたブーストはまだ使いません。どの辺りで使うか悩んでいます。
今回はここまでです。感想お待ちしています。
次回 第3話 開闢Ⅱ:ジャマトタウン殲滅戦