【完結】仮面ライダーギーツ外伝 もう1つのデザイアグランプリ 作:ネガ
デザイアグランプリ。それは、正体不明の怪物”ジャマト”から世界を守るゲーム。そして、見事に勝ち残った1人のライダー… ”デザ神”は理想の世界を叶えられる。
「早くもジャマトにやられ、退場した人が現れてしまった。残るは6人…」
夜。自宅の部屋でスマホで自撮りをしながら戦況を記録しているのは敬介だ。すると…
「デザイアグランプリの事を第三者へ話す事は違反行為ですよ」
「うぉっ!?」
突然聞き覚えのある声がすると思って振り返ると、どういう訳かヒカリが立っているではないか。一体どうやってここに入ってきたのか全く分からなかった。ヒカリは詰め寄りながら机に置かれていたカードを一文を見せる。そこには確かに「デザイアグランプリの情報を第三者に口外してはならない」と載っている。
「違反した場合、即脱落となりますのでご注意ください」
「ししししませんよ! 知識をつける為ですって!」
敬介は何とか「知識をつける為」と誤魔化す。敬介の言葉にヒカリは…
「個人で利用するなら大丈夫です。それではまた」
するとヒカリは窓から飛び降りると、そのまま走り去っていった。その様子を敬介はただ呆然と見つめるだけであった。
「どうやって入ったんだよ…ていうかあの人何者なんだ…」
1週間後…
「おはようございます!」
朝、英寿は自身が勤める物流会社「常磐物流」に出社。白い作業着に着替え、作業現場の倉庫に向かう。そして、英寿をはじめ他の作業員達がせっせと作業に取り掛かる。英寿の仕事は主に倉庫で膨大な数の商品を巨大な棚から取ってきて指定の場所へ補充したり、指定された数を運んで、出荷したりするのだ。
「あ、これ不足してるな。持ってこなきゃ」
英寿は台車を押して在庫のある場所まで行くと、段ボール箱を台車に乗せて運び、補充する。
「宝生君! ちょっといいかな?」
「はい」
「トラック来るからそろそろ荷物積むよ」
「分かりました」
上司に連れられて英寿はトラックの待つ倉庫まで行き、製品が入った段ボール箱をパレットに積み、ハンドリフトで運ぶ。そこでは作業員達がせわしなく動き、トラックの荷台に荷物を積んでいく。
「持ってきました!」
英寿も作業に加わる。その表情はいつもの頓珍漢な言動や素振りは見せていない。社会人としての表情だ。そして全ての荷物を荷台に載せて作業完了。
だがこの時、英寿は気付いていなかった。荷物を載せたトラックの運転手が、大我だったという事を。
「ん? 今のはまさか…ギーツ? ……いや、他人の空似だろ」
どうやらこちらも気付いていなかった様だ。
昼休み。休憩所で休む英寿はスマホを見ながらコンビニで買ったパスタを啜る。すると、そこへ英寿の先輩、新井真也が隣にやって来た。
「英寿、隣いいか?」
「あぁ、どうぞ」
新井は英寿の隣に座ると、コンビニで買った弁当を食べながらスマホでByTubeを開くと、動画を見始めた。その内容は…
『こんにちは! 鞍馬明理です! 今日は質問で来てた私の使っているコスメ等を紹介します!まずは…』
明理の動画だった。英寿の努める会社の社員にも明理のファンがいる。新井もその1人だ。画面の中では明理が自身の使用するコスメ等やメイク道具を紹介している。英寿も画面を覗くと、口を開いた。
「俺この前明理ちゃんに会った事ありますよ」
「マジで!? お前運いいな! 絶対いい事あるぞ」
「何言ってるんですかもう」
英寿と新井は食事をしながら雑談を交わす。その風景は会社のありふれたものだ。英寿はスマホに目を戻すと、あるニュースの記事が目に入った。それは…
行方不明者再び 連絡取れず原因は不明
その記事はまた人が行方不明になったという記事だ。英寿も度々ネットで目にしていた記事だが、その行方不明になった人の名前を見る。
「都内にて会社員 福田賢さん(29)が外出したきり行方不明となっている事が判明」
(福田賢…あの時いた…!)
そう。仮面ライダーグラモこと福田賢だ。 英寿の中では自分と同じデザイアグランプリに参加し、敬介の口から脱落したと聞いた事が記憶に新しい。だが、退場した人間がどうなるかは聞いていない。ゲームのはずなのに何故新聞記事に行方不明扱いと書かれているのか気になる英寿。そこへ新井が口を開いた。
「そのニュース知ってるぞ。この前も誰か行方不明になった人が帰って来てないってニュースになってたな。警察も手がかりがつかめないんだとさ」
英寿にそう言うと、新井はスマホで明理の動画を視聴する。ついこの間までデザイアグランプリに参加していた福田が何故帰って来てないのか疑問に感じた。帰って来てないとしたら、まさか。いや、考えすぎか。次のミッションで直接聞けば何か分かるかもしれないと英寿は考えるのだった。
「欠勤扱い?」
「はい。1週間経っても福田さんとは連絡が取れなくて…」
ある会社の応接室にて、社員と話しているのは敬介だ。ここは福田が勤めている会社であり、敬介はニュースを見た後に会社の名前を福田を知る人から聞く事が出来、今こうして会社へ出向いているのだ。
「福田さんの奥さんも、ショックで立ち直れなくなってしまって…」
「そうですか…」
『せめて……妻と子供には……私の分まで……幸せに……なって…欲しい…!』
敬介の脳裏に浮かぶのは、デザイアグランプリにて自分の目の前で消滅・退場した事だ。「デザイアグランプリというゲームで退場した」という事を伝えても信じてくれるはずないだろう。そもそもヒカリから「デザイアグランプリの事を第三者に口外する事は禁止」と釘を刺されている。
「警察に捜索願も出しましたが、進展もなくて…どこへ行ってしまったんだ…」
途方に暮れる社員を敬介はただ見つめる事しか出来なかった。
とある街にて。1人の少年がコンビニから出ると、5人程の若者達の集まりに急ぎ足でやって来た。そして少年は焼きそばパンや酒などをある人物に渡す。
「柴崎さん、上手くいきました!」
「言ったろ? あそこは楽勝だって」
「やりぃ〜」
少年から焼きそばパンや酒を受け取ったのは、仮面ライダーライノこと柴崎翔平だ。柴崎は焼きそばパンを頬張りながらタバコを吸う。少年達の中には未成年にも関わらずタバコを吸ったりしている者や、手にチューハイを持っている者もいる。
「そういえば柴崎さんバイトはどうしたんですか?」
「辞めたよ? んなもんクソ。真面目こいて働くよりもこっちの方がいいに決まってる。だってゲームみたいで楽しいじゃん。こんなにハラハラするスリルを味わえるんだからさ」
アルバイトを辞めた事を仲間に告げながらヘラヘラした態度を取る柴崎。そう。柴崎は日常的に同年代や未成年の仲間と共に万引きやカツアゲ、窃盗を繰り返している。いわば、悪ガキだ。万引きや窃盗などもゲーム感覚で考えているのだ。
「さぁ〜て編集編集っと」
午後14時。明理は自宅の自室にて撮影した動画をパソコンでの編集作業に入っていた。明理の部屋には可愛らしいキャラクターやグッズで飾られている中、最新のカメラやパソコン等のデジタル機器も揃っている。彼女の家は一言でいえば、「豪邸」だ。例えるなら、芸能人や海外のセレブが住んでいる様な家。最も明理も芸能人の1人なのだが。
効果音やBGMを編集ソフトで入れ、カット等も自分で行う。10分の動画を5時間編集して初めて完成する。すると、明理のスマホに着信が入る。メッセージだ。送り主は明理の母。内容は…
という内容だった。
「ママ…」
メッセージを見た明理は複雑な表情を浮かべるのだった。
「お疲れ様でした!」
仕事を終えた英寿はそのまま家へ帰宅しようとした。
「あー疲れた! 疲れてもうここで全裸になって叫んで走りたい気分!よーし、家帰ったら録画した「電脳戦士 サバイバー」見よ!」
訳のわからない頓珍漢な事を言いながら英寿は特撮番組鑑賞も趣味に入れている。仕事から帰ってきたら家で録画した特撮番組を鑑賞しているのだ。そして今夜の晩酌の為に買い物に行こうとすると…
【GATHER ROUND】
着信音と共にスパイダーフォンからアナウンス音が流れた。デザイアグランプリからだ。日常の中にいる6人の人間は、これから命をかけた戦いに身を投じることとなる。
そして、デザイア神殿に1回戦を勝ち残った英寿、敬介、赤理、大我、柴崎、そして広瀬の6人が集結。
「新たなジャマーエリアが出現しました」
表示された地図は、上空から撮影された住宅街。それぞれ赤色のA、青色のB、黄色のCに分けられている。
「ここって…住宅街!?」
「はい。これよりデザイアグランプリ第2回戦、ジャマトタウン制圧ゲームを開始します」
「ジャマトタウン?」
「現在、3つのエリアに区分された住宅街をジャマト達が占拠しています。彼らを殲滅して、住宅街を解放して下さい」
「要するに、それぞれ3つに分けられた住宅街で奴等を全員ぶち殺して、1つずつ攻略しろってことだろ?」
柴崎が過激な言葉を織り交ぜながら今回のミッションの内容をまとめた。柴崎の言う通り、各エリアに潜むジャマトを殲滅して住宅街を1つずつ攻略していくというものだ。
「はい。今回のゲームはスコア戦です」
表示された画面で得点表は以下の通りとなっている。
撃破 +1000Pt
救助 +3000Pt
ヘッドショット +200Pt
バックショット +200pt
2コンボ撃破 +500Pt
3コンボ撃破+700Pt
アシスト撃破 +100Pt
コンビネーション攻撃+1000Pt
ファースト撃破 +200Pt
ワンショット撃破 +500Pt
ロングショット撃破 +300Pt
ポイントブランク撃破 +400Pt
ノーダメージ撃破 +400Pt
リボルブチェンジ +100Pt
ノーウェポン撃破 +200Pt
過剰撃破 -800Pt
エリア外へ出る -1500Pt
他プレイヤーへの攻撃 -2000Pt
妨害 -1000Pt
「よーし。ノーコンテニューでクリアしてやろう」
「誰であろうとこの勝負は俺がもらう」
「それでは、ミッションを開始します!」
いよいよ新たなミッションが開始。ヒカリの声と共に英寿達はエリアへ転送。最初に転送された場所は、東に位置する赤色のエリアAだ。
「ジャー!」
「ラサロチャクロカカトエイズ!?」
住宅街で英寿達を待ち構えていたジャマトは住人ジャマト。皆、シャツやズボン、トレーナーにエプロンといった主婦や住人が着る様な服装になっている。手には物干し竿やゴルフクラブ、野球のバットといったものを得物としている。明らかに英寿達を狙っている。
英寿はスコップバックルを取り出してデザイアドライバーにセットした。
【SET】
敬介はアローバックルをセット。
【SET】
英寿と敬介とは別に、同じ場所に転送された大我はゾンビバックル、広瀬はシールドバックルをセット。
【【SET】】
そして明理と柴崎もそれぞれハンマーバックル、マグナムバックルをセットした。
【【SET】】
6人はそれぞれ思い思いの変身ポーズを披露すると、場所は違えど自身を変える言葉を発する。
「「「「「「変身!」」」」」」
6人の声が重なり、英寿はスコップバックルのスコップをスライドさせる。
【ARMED SCHOP】
英寿の姿は土のエフェクトと共にギーツ アームドスコップに変わり、右手にレイズスコップを装備し、奮って柄を伸ばす。
【ARMED ARROW】
敬介はアローバックルの矢の部分をスライドさせる。敬介の姿は無数の緑の矢のエフェクトと共にタイクーン アームドアローに変わり、レイズアローが装備された。
広瀬はシールドバックルを押し、大我はゾンビバックルのキーを捻って展開させる。
【ZOMBIE】
【ARMED SHIERD】
盾のエフェクトと共に広瀬はゴート アームドシールドに変身し、レイズシールドを装備。禍々しい毒液がアーマーを形成して大我はバッファ ゾンビフォームに変身してゾンビブレイカーを肩に担ぐ。
明理はハンマーバックルの頭部分を押し、柴崎はマグナムバックルのシリンダーを回してトリガーを押す。
【ARMED HAMMER】
【MAGNUM】
ハンマーのエフェクトと共に明理はナーゴ アームドハンマー、6発の銃弾がアーマーを形成して柴崎はライノ マグナムフォームに変身した。
【【【【【【READY FIGHT】】】】】】
ライダー達のデザイアドライバーのシステムボイスが同時に戦闘開始を告げる。これより、ジャマトタウンの殲滅戦の火蓋が切っておとされたのだった。
「いくぜいくぜいくぜー!」
ギーツは気合いを入れながらレイズスコップを手に住人ジャマト達へ突っ込み、臆する事なくレイズスコップを振り回す。住人ジャマト達もゴルフクラブや物干し竿を手に襲いかかるが、ギーツはレイズスコップで殴り、走る勢いで突き刺したり、時には薙ぎ払ったりしながら撃破し、スコアを稼いでいく。
一方、タイクーンも遠距離武器であるレイズアローを手に物陰から狙撃して撃破。
「こっちです!」
勿論ジャマーエリア内にいる人を見つけては積極的に救助している。これも敬介が持つ優しさの表れなのだろう。
「それ! えい!」
ナーゴもレイズハンマーを手に果敢に戦いを挑む。住人ジャマトの身体や頭にレイズハンマーを叩きつけ、スイングで吹っ飛ばす。そしてライノもマグナムシューター40Xで住人ジャマトを撃ち抜き、時に殴り飛ばしては執拗に踏みつけたりしている。住人ジャマトは路地や家から突然飛び出して奇襲攻撃を仕掛けるも、ライノは逃げる事なく返り討ちにする。
「ツルン!」
「ゴミが。死んどけ」
ジャマト達に暴言を吐いたり、なりふり構わず戦っている。まるでゲームを楽しんでいるかの様に。
そんな中、ギーツは道路にいる4人の住人ジャマト達を見つけると、スコップバックルを操作する。
【SCHOP STRIKE】
ギーツはレイズスコップを構え、刃先にエネルギーを溜める。
「ハァァァァ…ハァ!」
ギーツが振るうレイズスコップから銀色のエネルギー波が住人ジャマト達目掛けて放たれる。命中した住人ジャマト達は断末魔を上げて爆発したのだった。そして各ライダー達には次々にスコアが加算されていく。皆それぞれ戦法は異なるが、順調にミッションをこなしていく。そしてエリアAの住人ジャマト達も数を減らしていった。
「よし! もう一息!」
あと少しでミッションクリア。そんな中、ギーツのいる場所へナーゴがやって来た。ナーゴもある程度撃破した所で移動してきたのだ。
「あ、こっちはもう終わった感じ?」
「終わった終わった。早く終わらせて帰りたいからね。だって電脳戦士サバイバー見たいし」
ギーツの口から明らかに特撮番組を早く見たい為に帰りたいという言葉が飛び出すが、ナーゴの耳には特撮番組の名前がはっきりと入った。彼女自身も仕事で名前だけ聞いた事はあるが、それが子供向け番組である事は知っていた。
「英寿ってそういうの見てるの? でも…
あれ小さい子が見るものでしょ? その年になって見てて恥ずかしくないの?」
『お前そんなもん見てんの? きっしょ!』
『いい年して恥ずかし〜!』
『幼稚園からやり直ちまちょうね〜!』
しかし、この時ナーゴには決して悪気は無い。悪気は無いのだ。少しからかう程度で言ったのだが、その何気ない一言がギーツを傷付ける事となる。脳裏に蘇る自分を嘲笑う者達の声。レイズスコップを握る力が強くなり、そして…
「どうだ! この!」
一方、レイズシールドを打撃武器として住人ジャマトと戦うゴート。彼もまた順調にスコアを稼いでおり、丁度ギーツとナーゴが合流した道路に出た所だ。その時…
「キャァァァァァァ!」
【参加者への攻撃は違反行為です。スコアを減点します】
「明理ちゃん!」
打撃音と共にブザーとアラームと共にアナウンスがエリア内に響き渡る。ゴートが目撃したのは、何者かに攻撃を受けて吹き飛ばされている光景だ。攻撃したのはギーツ。レイズスコップでナーゴに攻撃を仕掛けたのだ。
「ん?」
「何だ?」
この時、住人ジャマト達を撃破していたタイクーンとライノは明理の叫び声が耳に入り、何事かとその場所へ向かっていく。
「ちょっと…!何するの!」
「うぁぁぁぁぁぁッ!」
いきなり攻撃されたナーゴ理解できず、ギーツに何故攻撃したかを問う。しかし、彼女の言葉に耳を貸さずにギーツは叫びながらレイズスコップを手に走りながら接近する。そこへ止めに入ったのはゴートだ。明理のファンであるゴートにとって目の前で自分が応援している人物が暴力に晒されてる状況は見過ごす事なんて出来なかった。すぐさまレイズシールドでギーツを静止しようと試みる。
「やめろ! 明理ちゃんに何すんだ!」
「どけぇぇぇッ!」
ゴートの静止を振り払いながらギーツは再びナーゴ目かけてレイズスコップを振り下ろす。
「あいつ、最高かよ」
そこへやって来たライノはギーツがナーゴに攻撃している様を仲裁もせずにスパイダーフォンで呑気に動画撮影している。
その様子はデザイア神殿に待機しているヒカリの目にも入っており、すぐさまゲームマスターに伝えていた。
「ッ! ゲームマスター! エリアAにて違反行為を確認しました!」
「こちらでも確認済みだ。直ちに対処する」
ゲームマスターはヒカリとの通信を終えると、タッチパネルを操作してある場所へ通信を開始した。
「エリアAにてプレイヤーによる違反行為を確認。対象はギーツ。直ちに鎮圧せよ」
「いい加減落ち着け!」
「離せぇぇぇッ!」
「明理ちゃん大丈夫…?」
一方、エリアAではゴートが未だナーゴに対して攻撃しようとするギーツを静止しようとし、タイクーンはナーゴの身を案じている。その一方でライノは仲裁もしなければナーゴの身を案じる事なくスパイダーフォンで暴れるギーツを撮影している。すると…
「うぁぁぁぁぁぁぁッ!」
突如後方からギーツ目掛けて銃弾が連続で発射されたのだ。銃弾を受けたギーツはそのまま倒れる。全員が目を向けると、そこには2人の仮面ライダーが立っていた。1人はオレンジ色の隼のマスクにデザイアドライバーにガンメタルの小型バックル、マシンガンバックルをセットし、短機関銃型のレイズマシンガンを装備。もう1人はネイビーのシャチのマスクにデザイアドライバーにマリンブルーの小型バックルのロッドバックルをセットし、身の丈ほどの長さのレイズロッドを装備している。
「仮面ライダー!? 俺達以外参加者はいないんじゃ!?」
タイクーンが言う通り、自分達以外に仮面ライダーはいないはず。だったら彼らは何者なのか。
「何するんだよ!「ッ!?」」
怒りが収まらないギーツはレイズスコップを払おうとするが、隼のマスクのライダーはレイズマシンガンによる正確な射撃でギーツの手からレイズスコップを弾き、隙を見てシャチのマスクのライダーが接近して足でギーツの右脚を折り、更に上からレイズロッドで押さえ込んだ。顔を上げようとしたギーツだが、目の前にレイズマシンガンの銃口を突きつけられ、ようやく冷静になったのだった。
「す、凄い…!」
「へぇ〜強えなぁ」
一瞬の内にギーツの暴走を抑え込んだ2人のライダーにタイクーンは驚き、ライノも撮影しながら感心していた。
【POISON CHARGE】
バッファはゾンビブレイカーのレバーをスライドさせ、刀身にエネルギーを蓄積させてトリガーを押す。
【TACTICAL BREAK】
「ウォラァァァァッ!」
渾身の力でゾンビブレイカーを振るい、住人ジャマト達を薙ぎ倒したのだった。
【MISSON CLEAR】
最後の5体をバッファが倒した事でエリアAの住人ジャマト達は全滅。第1ウェーブは終了し、ミッションはクリアした。そしてバッファは変身を解除し、大我の姿に戻りながら道路に向かうと、英寿と広瀬が揉めている場面に出会した。その場面を柴崎はほくそ笑みながら見物し、大我がやって来た事に気づくと、英寿を顎で指す。
「見てよ。こいつがキレてる理由超ウケるから」
「何やってんだこいつら」
「 何で明理ちゃんに攻撃した!」
「教えてやるよ!こいつは何も知らない癖に特撮を子供向けだって決めつけたんだ!」
「明理ちゃん、そうなの?」
「ちょっとからかっただけだよ…! そしたらガンギレしてきて!」
「ね? 超ウケるだろ?」
揉め事の原因が特撮を子供向けと決めつけられたというあまりのしょうもなさに大我は素っ気な差そうに溜息をつくのだった。
そして、サロンにてヒカリからスコアの結果発表が行われた。
「皆様、第1ウェーブお疲れ様でした。ゲームの結果はご覧の通りです」
表示されたスコアで1位は43800Ptの大我。それから2位は42900Ptの柴崎、3位は41800Ptの広瀬、4位は35000Ptの敬介、5位は30800Ptの明理、そして最下位は18100Ptの英寿だった。
「何で俺だけこんなに低いんだよ…!」
先程の怒りがまだ完全に抜け切っておらず、あまりにも低いスコアに憤りを覚える英寿だが、その答えを知る事となる。
「宝生英寿様。あなたは違反行為の1つである「参加者への攻撃」を行いました。よってペナルティとして、スコアを半減させて頂きます」
「ペナルティ? そんなのあるの!?」
「デザイアグランプリはゲーム中に違反行為を行ったプレイヤーにペナルティが課せられる。1回目は1つ。2回目は2つ。そして3回目はミッション終了と同時に強制脱落だ。たとえ勝ち残る条件を満たしていてもな」
「よく知ってるね…」
「宝生英寿様。あと2回違反行為を行った場合、強制脱落となりますのでご注意下さい」
明理の声に冷静に答えたのは大我だ。ヒカリに強制脱落を警告されて英寿は顔を歪めた。すると、敬介がもう1つに疑問に思っていた事を聞く。
「あの、さっき英寿を止めたあの2人のライダーは誰なんですか? 俺たち以外に参加者はいないはずじゃ…」
「彼らはデザイアグランプリの運営スタッフが変身するライダーです。ゲームマスターの指揮下で違反行為の取り締まりと、治安維持を任務としています」
そう言うとヒカリはサロンを後にする。そして、サロン内には何やらまた触発しそうな空気が漂う。
「明理ちゃんに言う事があるだろ?」
広瀬の問いに英寿は不貞腐れた表情のまま黙り込んだままだ。
「女の子に暴力振るって恥ずかしくないのか! もう大人なら早く謝罪するんだ! 子供じゃないんだから!」
広瀬は大人の男性として英寿に対して明理に謝罪を要求する。しかし、英寿は黙ったまま何も言わない。痺れを切らした広瀬は英寿に迫る。
「いい加減口をひ「お止め下さい!」」
そこに仲裁に入ったのはカウンターにて静観していたトジルだ。
「これ以上は規約違反となります。広瀬様も脱落となりますので」
トジルの言葉に広瀬も一旦冷静になり、軽く頭を下げる。トジルは未だ黙り込んだままの英寿に顔を向ける。
「宝生様。何があったのかは知りませんがここは穏便に済ませる為に和解をお願い致します。ゲームはまだ終わった訳ではありません。気持ちを切り替えましょう」
「そうだよ英寿。仲直りしよ?」
明理との和解を求めるトジルと敬介の言葉を聞くが、英寿はその場を後にしてしまった。
「中二病にオタクもいるとか、ホントウケるわ」
柴崎に対して大我は密かに睨みをきかせていた。
デザイア神殿内の通路で英寿は壁にもたれかかり、壁を拳で殴りどうしようもない感情をぶつけていた。そこへ…
「こんなとこにいたのー? ゴミオタ野郎」
そう。やって来たのは柴崎だ。
「迷惑なんだよ。お前みたいなゴミオタがヒーロー気取りで居座ってんの。とっとと死ねよ」
「何だと?」
柴崎の挑発に英寿は再び怒りを蒸し返され、拳をギリギリと握る。
「あれー? 良いの?ペナルティかかっちゃうよ? ま、やんなくてもゴミオタのお前の持つゴミバックルじゃ勝てないから。じゃあまた。死ね。ゴミオタ野郎」
自分を苛立たせる為だけに挑発しにきた柴崎は英寿に中指を立てながら上へ小刻みにあげてそのまま立ち去って行った。今手を出してしまえばペナルティか課せられてしまう。英寿はただ怒りを抑える事しか出来なかった。そこへ…
「安い挑発に乗るほど心がガキなんだな。ゲームのルールどころか社会のルールも守れないのか?」
柴崎の次にやって来たのは大我だ。
「何しに来たんだよ」
「お前の持つバックルを全て俺に渡せ。もうこのゲームから手を引け」
大我は右手を差し出しながら英寿が持つスコップバックルとウォーターバックルを要求した。渡す事は自身の脱落を意味する。だが、勿論英寿もそれで引き下がる訳が無い。
「やだね。冗談は顔だけにしろよ」
「俺が冗談を言っている様に見えるか?」
「見えるね」
英寿はまた訳の分からない事を口にしながらその場を後にした。去り行く英寿の背中を大我はただ見つめていた。
その頃、サロンでは明理と敬介、そして広瀬がソファに座っていた。敬介は明理に先程の揉め事を
「呆れたもんだ!全く最近の若い子は謝罪も出来ないのか」
「明理ちゃん、大丈夫?」
「うん…」
「早いとこ連れて来て謝罪させないと! 先に手を出した彼が悪いからな」
「確かに手を出した英寿が悪いかもしれないけど、明理ちゃんの言い方も悪かったと思うよ?」
「私、バカにしたつもりなんて無かったのに…」
明理は英寿が好きな特撮番組を「子供が見るもの」とは言ったが、それは決して馬鹿にしている訳ではなく、少しからかっただけだったのだ。
「明理ちゃんがバカにしたつもりは無くても、人によっては言い方とかで「バカにされてる」と捉えてしまうから、相手に対してそういう気持ちはなくても、無意識に傷つけてしまったりするからね」
「そっか…」
敬介の言葉に明理は無意識に英寿を傷つけしまった事を悔やんだ。さっきまで英寿を謝罪させる為に怒りを見せていた広瀬もいつの間にか落ち着きを取り戻していた。すると、カウンターの電話のベルが鳴り響き、トジルは受話器を受け取る。
「こちらサロン。はい。承知致しました」
「エリアBにて第2ウェーブのジャマトが出現しました」
「ウラァ! この!」
第2ウェーブが開始され、エリアAよりも広いエリアBにて住人ジャマト達の殲滅が始まった。ギーツはタイクーン達とは距離を取り、エリアBの北で撃破に専念する。柴崎に挑発された時の怒りが未だ抜けず、その怒りをジャマト達にぶつける。レイズスコップを手に住人ジャマト達を薙ぎ倒す。
「死ね!死ね!死ねぇぇッ!」
過激な暴言が飛び出し、ある時は時に頭に突き刺し、腹に何度も刃を叩きつけたり、滅多刺しにしたりとラフファイトが目立っていた。そこへ…
「ゴミオタ野郎が何でこんなとこにいるのかな〜?」
「っ!」
そこへやって来たのはライフルモードのマグナムシューター40Xを持ったライノ。実はこれまでの挑発はライノの作戦。目をつけた相手に対して執拗に粘着しながら挑発や嫌がらせをして相手を怒らせて攻撃させ、ペナルティを課せて脱落させようという魂胆だ。そして第1ウェーブで英寿に目をつけて脱落させる為に嫌がらせや挑発をしているのだ。他人を見下し、馬鹿にする事で愉悦に浸るライノの性格が表れた作戦だ。
「しつこいんだよ…!」
「ゴミオタにお似合いのゴミバックルで脱落するのに無駄な努力してるんだねー。ヒーロー気取っててきしょすぎ。お前の存在そのものがクソ。社会の生ゴミ。早く死んで? 葬式に参加して棺桶にゴキブリ100匹と生ゴミ入れてあげるからさぁ。どうせ願いもゴミみてえな願いだろ。まぁ頑張って? そして死ね。ゴミオタ君」
そのままライノは通り過ぎていく。しかし、これまで以上に無い陰湿な挑発を受けたギーツは、もう怒りを自分で抑えられなかった。通りすぎていくライノ目掛けてレイズスコップを振り下ろしたのだ。
「この野郎ーーッ!」
「がぁぁッ!」
【参加者への攻撃は違反行為です。スコアを減点します】
当然、違反の為ただでさえ低いスコアは減点されて更に低くなる。そしてペナルティも課せられる。ギーツは自分で自分の首を絞めていた。
「つぁぁ…!やりやがったなテメェッ!」
「うぁぁぁッ!」
しかし、ライノもここでミスを犯す。そのまま殴りかかってきたギーツに対してマグナムシューター40Xで銃撃してしまったのだ。銃撃を受けたギーツはそのまま住宅の壁に吹き飛んで叩きつけられる。
普段カツアゲや万引きを繰り返すライノは日常で喧嘩の時の条件反射が出てしまった。だが、正当防衛なら大丈夫だとたかを括っていたライノだが…
【参加者への攻撃は違反行為です。スコアを減点します】
「あぁん!? ざけんじゃねぇぞ! 正当防衛だろうがゴミ運営!」
【SET】
【DUAL ON】
【ARMED SCHOP ARMED WATER】
正当防衛でも違反行為とされている事で運営に対しても暴言を吐いて声を荒げるライノ。その隙にギーツが立ち上がり、デザイアドライバーにウォーターバックルを装備してアームドスコップウォーターに変わると、レイズウォーターとレイズスコップを手にライノに突っ込む。
「うぁぁぁああああ!」
向かって来たギーツの怒号で気づき、投げつけて来たレイズウォーターをマグナムシューター40Xで弾くが、振り下ろされたレイズスコップまでははじけず、そのまま身体に攻撃を浴びて倒れる。そこへギーツは倒れたライノに対して何度もレイズスコップで殴りつける。何度も何度も。これは丁度良いと感じたライノは、ギーツを脱落させる為に攻撃を受け続けながらも執拗に暴言を吐き続ける。
「ハハハハハハッ!特撮とかいうガキが観るゴミ番組観て、クソの役にも立たないゴミを買ってヒーロー気取ってるゴミオタ君! テメェは所詮存在価値の無いクソゴミ人間なんだよぉぉぉッ! ハハハハハハハハッ!」
「黙れぇぇぇぇぇーーーッ!」
怒りを抑えられないギーツはなおも自身を馬鹿にするライノにレイズスコップを何度も何度も振り下ろす。
「ハハハハハハ……! ハハハハハハ……!」
ギーツに攻撃されてもなおライノはヘラヘラと笑っている。
【参加者への攻撃は違反行為です。スコアを減点します】【参加者への攻撃は違反行為です。スコアを減点します】【参加者への攻撃は違反行為です。スコアを減点します】【参加者への攻撃は違反行為です。スコアを減点します】【参加者への攻撃は違反行為です。スコアを減点します】【参加者への攻撃は違反行為です。スコアを減点します】【参加者への攻撃は違反行為です。スコアを減点します】【参加者への攻撃は違反行為です。スコアを減点します】
「うぁあああああああーーーッ!」
ギーツの怒号、ライノの笑い声、無機質なアナウンスとアラーム、レイズスコップと装甲がぶつかる金属音。決して調和する事のない五重奏がジャマトタウンに響き渡るのだった。
GAME RESULT EPISODE 03
MISSON:3ヶ所のエリアに区分された住宅街を占拠した住人ジャマトを殲滅せよ。スコア最下位は強制リタイア。
ENEMY:住人ジャマト
ENTRY PLAYER&USED BUCKLE
GEATS 宝生英寿 SCHOP WATER
TYCOON 桜井敬介 ARROW
NA-GO 鞍馬明理 HAMMER
BUFFA 吾妻大我 ZOMBIE
GRAMO 福田 賢 LOSE
RHINO 柴崎翔平 MAGNUM
GOAT 広瀬紀之 SHIELD
いかがだったでしょうか?英寿が輪廻転生を繰り返してたりとか、祢音の正体は創世の女神によって作られた存在…同時に本当の娘の名前が「あかり」と分かってこの小説と被ったので驚いてます。最近思う様に執筆が出来ない状態です。これじゃギーツ本編が終わる頃にはまだ完結出来ない…不定期更新になりますがどうかよろしくお願いします。ライノの変身者の柴崎翔平のモデルは芝浦淳ですが、柴崎はそれ以下の人間の悪ガキです。柴崎の嫌がらせや挑発に乗った英寿も精神的に幼い所がありますけどね。この小説のデザイアグランプリは違反行為事にペナルティが課せられる設定にしてます。そして3回目は強制脱落という形です。
ちなみに運営スタッフが変身するライダーの名前は隼がファルコ、シャチがオルカです。レイズマシンガンはバトルレイダーのトリデンタ、レイズロッドはクウガ ドラゴンフォームのドラゴンロッドのリデコです。
今回はここまでです。感想お待ちしています。
次回 第4話 開闢Ⅲ:0からのブースト