【完結】仮面ライダーギーツ外伝 もう1つのデザイアグランプリ   作:ネガ

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お待たせしました。ギーツもいよいよ最強フォームが出る時期になりましたね。


第4話 開闢Ⅲ:0からのブースト

デザイアグランプリ第2回戦。ジャマトタウンに潜伏するジャマトを殲滅するミッション中、ギーツこと宝生英寿はナーゴこと鞍馬明理に攻撃を仕掛けてペナルティが課せられた。次の第2ウェーブにおいてもライノの度重なる挑発に腹を立てたギーツはライノに対して攻撃し、2度目の違反行為を行ってしまった。残るライダーは、あと6人。   

  

「ふう…」

 

デザイア神殿の廊下にてスマホで近況報告を行う敬介は録画をストップした。ギーツの特撮を否定された事で怒る事に目を付け、度重なる嫌がらせと挑発を行うライノに対してギーツは再び攻撃し、2度目の違反行為を犯してしまった。その後ギーツの暴走は運営のライダーに鎮圧されるまで続いた。

そして敬介は第2ウェーブ終了時を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『宝生英寿様! あなたは警告したにも関わらず、2度目の違反行為を働きましたね? ペナルティとして、スコアのリセット及び所持するバックルは全て没収させて頂きます!』

 

第2ウェーブ終了時、デザイア神殿で普段のにこやかな表情とは変わり、険しい表情かつ声色で英寿にペナルティを通告するのはヒカリ。すぐさま黒い帽子にデザイアグランプリのロゴがプリントされたジャケットを着て、1人の運営スタッフによりスコップバックルとウォーターバックルは没収された。第2ウェーブの結果、1位は第1ウェーブと同じ98600Ptの大我、2位は英寿に攻撃したがそれ以前に着々とスコアを増やしていた64100Ptの柴崎、3位は61100Ptの広瀬、4位は59800Ptの敬介、5位は55000Ptの明理、そして最下位はペナルティでスコアをリセットされて0Ptとなった英寿だった。結果的に英寿は柴崎の謀略に嵌り、スコアとウォーターバックルとスコップバックルを失う事に。

 

『自分で自分の首絞めてやんの。やっぱゴミのやる事はゴミだな』

 

『この野郎!』

 

英寿がなおも挑発を止めない柴崎に殴りかかろうとすると、敬介が止める。

 

『やめろよ! こいつの思う壺だぞ! 脱落したいのかよ!?』

 

『こいつを道連れに出来るなら脱落してもいい!』

 

今にも殴りかかろうとする英寿を柴崎はヘラヘラしながら笑っていた。すると、ヒカリが柴崎に近寄る。

 

『そして柴崎翔平様。あなたも先程違反行為である「他プレイヤーへの攻撃」を行いましたので、ペナルティとしてスコアをリセットさせて頂きます』

 

そう。柴崎もまた英寿に攻撃した事でペナルティが課せられたのだ。これにより柴崎は2位から転落し、順位は大我、広瀬、敬介、明理、そしてスコアが0の英寿と柴崎の順となった。

 

『あぁ? ふざけんなよ。俺は攻撃されたからやったんだよ。正当防衛だろうが !』

 

『言い忘れてたが正当防衛でもペナルティが課せられるからな』

 

ヒカリに口答えする柴崎を疎む様に見ながら口を開いたのは大我だ。

 

『先に言えよゴミ牛野郎が!』

 

『聞かなかったお前が悪い。次で仲良く2人脱落してくれれば助かる』

 

かなり棘のある言葉を英寿と柴崎に言い放つ大我を睨む英寿と柴崎。

 

『それでは皆様、最終ウェーブまでの間は時間がありますので、帰宅してください。ジャマトが現れ次第招集をかけます。それではまた』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「英寿…このままじゃ脱落だよ…それで良いのかよ…」

 

そして各プレイヤーは自宅に戻り、敬介は英寿を心配する声を漏らすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「がはぁっ!」

 

「黙って渡せばいいんだよ。このクズが!」

 

その夜、高架下のトンネルでは柴崎が仲間と共に帰宅途中のサラリーマンに暴行を加え、カツアゲを行っていた。デザイアグランプリにてスコアをリセットされた怒りもかねて、倒れたジャケットを弄って財布を抜き取って中身を確かめる。すると、柴崎は不機嫌そうに顔を歪めた。中身が予想を下回り少なかったのだ。サラリーマンからしてみれば何も関係ないのに迷惑だろう。柴崎の仲間は更に暴行を加えている。

 

「チッ。何だよこれだけかよ。まぁいい。ほら」

 

「あざまーっす」

 

「オラァ!」

 

「うぁぁぁ…っ!ゲホッ…ゲホッ…」

 

柴崎は仲間の1人に中身の札を2割ほど渡して財布をポケットに突っ込むと、サラリーマンの腹を蹴飛ばして胸を踏みつけた。

 

「オッサン。今時の若者は怖いんだよ。顔覚えたからサツにチクったら殺すからな。分かったか?」

 

「うぅ……」

 

柴崎の暴言にサラリーマンは返事をする様子はない。むしろ怒りを浮かべる様な目で柴崎を睨む。

 

「何だよその目は」

 

サラリーマンの目つきに苛立ちを覚えたのか柴崎は顔を蹴り飛ばした。

 

「お前らもやってやれ」

 

「だ…誰か…助け…」

 

柴崎の声で仲間達は一斉にサラリーマンに対してリンチを始めた。彼の助けを求める声はトンネルの上を通る電車の走行音に掻き消され、誰にも届く事は無く、高架下では柴崎と仲間達の嘲笑う声やサラリーマンの届く事のないサラリーマンの声が響くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ続いては! 今話題のジャンルを紹介するコーナー、「今ドキチェック!」」

 

翌朝、朝の情報番組にて今話題になっている物を紹介するコーナーに明理が出演している。ゲストの皆が拍手する中、パーソナリティのアナウンサーが進行させる。

 

「今ドキチェック! 今日のジャンルは、「特撮」です!」

 

「!」

 

アナウンサーが挙げた話題は特撮。その言葉に明理は反応した。明理の中ではデザイアグランプリで特撮は英寿が好きなもので「子供が見る物」と失言を漏らして英寿が暴れた事が記憶に新しい。まさか朝のテレビで特撮がコーナーで取り上げられるとは思わなかった。そして映像では今話題の特撮番組のシーンやファンのインタビューが映し出され、幅広い世代に人気である事が紹介された。

 

「特撮は日本だけでなく海外でも人気なんですね〜」

 

「明理ちゃんは特撮に関しては何か知ってる?」

 

ここで明理に質問が来る。

 

「えっと…私は、特撮番組とかは小さい子が見る物って感じがありましたね…」

 

「でも、今は大人でも見る人が多いらしいよ。大人になってから見返すと面白いって声も出てるんだって」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、収録が終わり明理は控室に向かう途中、明理の元にある人物がやってきた。

 

「明理さん。今日はどうしたんですか?」

 

「いや、そんな事ないですよ城山さん?」

 

明理の元へやってきたのはスーツ姿の20代後半の男性。彼の名は城山達也。明理のマネージャーだ。今日の収録で明理は特撮の話には割と消極的になっていたので気になっていたのだ。

 

「今日は割と消極的でしたし、何かあったんですか?」

 

「はい…ちょっと…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはようございます」

 

場所は変わり、幾つものトラックが並ぶ駐車場で挨拶を交わすのは大我。トラックの運転手の彼の仕事は目的地までに荷物を届ける事。荷台付近には作業員達が忙しなく動き、荷台に段ボール箱を詰め込んでいる。そして、全て積み終わった事を確認すると、ドアを閉めた。

 

「OKです!」

 

「よろしくお願いします!」

 

大我はトラックのエンジンをかけて出発。道路を走り、朝の通勤や通学に向かう人達や車道を走る車、変わりゆく景色を眺めながら大我は目的地までトラックを走らせる。そして、目的地の1つである工場に辿り着き、駐車。作業員達はトラックから荷物を下ろして運んでいく。

 

「吾妻君! いつもありがとね!」

 

「いえいえ。こちらこそ」

 

大我は休憩しながら工場のベンチに所長と缶コーヒーを飲んでいた。いつもの様な周囲に当たりが強いイメージとは異なり、社会人としての顔付きをしていた。すると、所長の口からからある話題が飛び出す。

 

「吾妻君知ってるか? 最近巷で話題になってる行方不明事件」

 

所長の口から出た話題に僅かに大我は僅かに表情を変えた。大我もまたその事件を知っている。現に、グラモこと福田賢が行方不明になっている事もニュースで知っている。

 

「あぁ…知ってます」

 

「うちの会社でも2年前に行方不明になった人がおってね。連絡も全然取れないんだ。失踪する事が無い人だったのになぁ…」

 

(……あいつか。常に真面目だったあの新入り…でもあいつは…)

 

大我はその行方不明になった社員の顔を知っていた。常に真面目で無欠勤だった新人社員。しかし大我は彼が何故行方不明になっているのか分かっていた。しかし、所長の前でそれは言えなかった。知らない方がいい真実だからである。

 

(知らない方がいい事実だってある。ん? あれは…)

 

それから大我は工場を後にして、トラックを走らせているとある人物が歩いているのが目に入った。それは敬介だった。敬介もデザグラが無ければ就活中の大学生だ。

 

(タイクーン…)

 

しかし、敬介はトラックを運転する大我に気付かずに通り過ぎていく。そして、緑地公園に差し掛かると敬介の目にある人物が目に入った。

 

「あれ? 英寿?」

 

ブランコに1人座ってゆらゆらと揺られているのは英寿だった。何をしているのかと敬介は英寿が乗るブランコに向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし。次のゲームだ。あそこのコンビニな」

 

その頃、昨晩サラリーマンをリンチした柴崎は相変わらず仲間を引き連れて万引きをするべく、コンビニへと入って行く。そして、商品の陳列棚に並んで仲間を覆い隠す様に立ち、持っていたトートバッグにパンや酒、雑誌に菓子等を詰め込むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

その頃英寿はブランコに揺られながら自身の過去を思い出しながら黄昏れていた。

 

『お前そんなもん見てんの? きっしょ!』

 

『いい年して恥ずかし〜!』

 

『幼稚園からやり直ちまちょうね〜!』

 

『黙れぇ! 殺すぞ!この野郎!』

 

特撮を見ている事がバレ、自分を嘲笑う者達と喧嘩沙汰になった事を思い出していた。特撮を見て何が悪いのか。小さい子供が見るものなのは知っている。それを見て何が悪いのか。そしてデザイアグランプリでも特撮を否定され、結果的に自分の首を絞めてしまった。このままでは脱落してしまう。どうすればいいのか。そこへ…

 

「英寿」

 

声のする方を向くと、敬介が立っていた。

 

「敬介…」

 

「どうしたの? 1人で。まさかまだ引きずってるの? ヒーロー番組の事バカにされた事」

 

「……学生の時にも、同じ事があったんだ。何も知らないのに勝手に決めつけられて、バカにされて。許せなかったんだ。笑えるよな」

 

「…そうだったんだ」

 

過去に同じ事があった事を敬介に明かした。結果に自分の首を絞めてしまい、このままではデザイアグランプリで脱落してしまう状況だった。

 

「そのせいであいつの思惑にハマって、崖っぷちだよ。結局あいつみたいなずるい奴が生き残って、真面目に生きてる人が損する。もう、脱落してもいいのかなって…」

 

今の自分ではもう勝ち残る事も出来ない。後ろ向きになってこのまま諦める事も考えていた。すると….

 

「……本当にそれでいいの?」

 

「…え?」

 

「英寿の好きな特撮に出てくるヒーロー達はこんな時こそ、諦めずに立ち向かうんじゃないの? 今諦めたらデザイアグランプリでも負けて、理想の世界も叶えられなくなる」

 

「……」

 

「好きな物は好きだって気持ちは分かるよ。英寿なら、ここから逆転出来る。ヒーローはここからが活躍する所だろ?」

 

「……へぇ。いい事言うじゃん」

 

敬介の激励に英寿は表情を緩めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、柴崎と仲間達は万引きをして何食わぬ顔でコンビニから出ようとしていた。すると…

 

「君達、待ちなさい」

 

柴崎達をコンビニの店長が呼び止めた。

 

「何?」

 

「今、レジを通さずにカバンの中に商品を入れただろ?」

 

「証拠あんの? 何時何分何秒にやった証拠あんのか?」

 

「証拠ならある!」

 

柴崎が店長に口答えすると、1人の男性がやって来て、スマホの画面を店長に見せた。

 

「お前…!」

 

「彼ら、昨晩僕を襲った連中ですよ」

 

一部始終を見ていた男性が写真を見せた。その男性は何と、昨日柴崎達がカツアゲしてリンチしたサラリーマンだったのだ。顔にはガーゼや絆創膏が貼り付けられている。

 

「…ッ!

 

「すぐに警察に通報して下さい!」

 

「分かりました!」

 

サラリーマンはレジの店員に警察に通報する様に指示した。警察に通報と聞いて、柴崎と仲間達は一斉にコンビニから飛び出した。しかし、店長は仲間の1人を取り押さえる。

 

「万引きだぁぁッ! 誰か捕まえて下さい!」

 

サラリーマンの叫びに通行人達が反応し、スマホで逃げる柴崎達の顔を撮影したり、後を追う者も現れる。柴崎達は散り散りになって逃走する。

 

(チッ…! こんな所で捕まってたまるか…! あのゴミオタ野郎を消せば…! 俺の願いが叶う…!)

 

柴崎がデザイアカードに書いた願いは、「俺が万引きやカツアゲに盗みをゲームとして楽しめる世界」だった。普段から万引きやカツアゲに窃盗をゲーム感覚で行う柴崎らしい理想だった。すると…

 

【GATHER ROUND】

 

スパイダーフォンから着信が鳴り響く。デザイアグランプリから招集だ。柴崎からしてみれば助け舟だ。同じ頃、英寿達にも招集がかかり、6人はデザイア神殿に集結した。

 

「皆さん。残るエリアCにジャマトが現れました。これより最終ウェーブを開催します」

 

ディスプレイに表示されたエリアCは開放された2つのエリアに比べて広く、ジャマトの数も多い。

 

「さぁーて。ゴミオタ野郎はここで脱落だな」

 

柴崎が英寿に挑発するも、英寿は応じる素振りはない。

 

「ガキみたいな挑発だな。耳障りだ」

 

「ほざけ。ぶち殺すぞ」

 

「それでは、最終ウェーブスタートです!」

 

大我と柴崎がお互いに睨むが、ミッションは始まる。場所は変わりエリアCのジャマトタウンに転送される。柴崎の目の前には住人ジャマト達が待ち構えており、柴崎も一気に叩き潰してやろうとマグナムバックルを取り出した次の瞬間…

 

「ジャー!」

 

横から住人ジャマトが野球のボールを柴崎に、と思いきやマグナムバックル目掛けて投げつけたではないか。

 

「は?」

 

「ジャー!」

 

マグナムバックルはボールに直撃して柴崎の手から離れ、そのまま用水路に落下してしまった。予想もしてなかった出来事に柴崎は固まり、住人ジャマト達はハイタッチをしながら喜んでいるではないか。喜ぶ住人ジャマト達を柴崎は睨みつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えい! やぁ!」

 

その頃、ナーゴがジャマトタウンの南でレイズハンマーを振るいながら住人ジャマト達を撃破しながら順調にスコアを稼いでいると、背後からある人物がやってきた。そして…

 

「おい」

 

「ん? 何?」

 

「きゃあ!」

 

【参加者への攻撃は違反行為です。スコアを減点します】

 

違反行為のアナウンスとブザーがなる。いきなりナーゴを殴り飛ばし、ハンマーバックルを奪い取ったのだ。ナーゴを殴って奪ったのは、ライノだった。マグナムバックルを失った為、他のライダーからバックルを奪ったのだ。

 

「何するの! 返して!」

 

「るせぇんだよこの野郎! テメェもここで死ねよ!」

 

エントリーフォームに戻ってしまったナーゴはライノにハンマーバックルを返してもらおうと掴みかかるも、蹴り飛ばされてしまう。ライノはそのままハンマーバックルをデザイアドライバーにセットして起動した。

 

【SET】

 

【ARMED HAMMER】

 

【READY FIGHT】

 

「死ね!ゴミ共が! 死にてえのかよ!」

 

アームドハンマーに変化したライノは住民ジャマト達に暴言を吐きながらレイズハンマーを振り回す。そこへ、一部始終を見ていたゴートがレイズシールドを手に向かってきた。

 

「明理ちゃんのバックルを返せ!」

 

「邪魔だよ!」

 

ライノとゴートはそのまま小競り合いになった。

 

「うらぁ!」

 

同じ頃、バッファがゾンビブレイカーで住人ジャマト達を薙ぎ倒していると、小競り合いしているライノとゴートに出くわす。ゴートはライノからナーゴのハンマーバックルを取り返そうとし、ライノはミッションそっちのけでゴートのシールドバックルを奪おうとする。そんな光景をバッファは仮面の下で疎む表情を浮かべていた。

 

(どいつもこいつも…! 見苦しい姿晒しやがって…!)

 

「消え失せろこのカス野郎!」

 

【HAMMER STRIKE】

 

「オラァァァッ!」

 

「うわぁぁッ!」

 

【参加者への攻撃は違反行為です。スコアを減点します】

 

ライノはレイズハンマーのスイッチをもう一度押して、レイズハンマーにエネルギーを貯めると、そのままゴートを殴り飛ばした。殴り飛ばされたゴートはそのまま吹き飛ばされ、変身解除はしなかったものの深いダメージを負ってしまった。

 

「大丈夫ですか!?」

 

そこへ、近くにいたタイクーンがゴートに駆け寄る。ライノはそのままその一部始終を見ていたバッファを見つけた。

 

「そいつよりテメェのバックルの方が良さそうだ。よこせよ」

 

ライノはバッファの持つゾンビバックルを渡す様レイズハンマーを突きつけて歩み寄る。すると…

 

「なりふり構わなくなってんな」

 

バッファとライノが声のする方向を向くと、英寿が立っていた。

 

「ギーツ…」

 

「まだ生きてたのかゴミオタ野郎。早く死ねよ。バックルも持ってないテメェが生き残る可能性は−500パーだから」

 

この状況でも挑発を止まないライノに対して僅かに口角を上げる英寿。その理由は…

 

「あるんだな〜コレが」

 

自信満々に言う英寿は、ポケットからあるバックルを取り出す。

 

「ッ!」

 

「ブーストバックル…! 何故お前が…!?」

 

ライノは勿論、バッファも驚きを隠せなかった。ブーストバックルは滅多に手に入らないレアバックルだ。バックルを没収されたはずの英寿が何故持っているのか。それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最終ウェーブが始まる前…

 

『使いなよ』

 

敬介は英寿にブーストバックルを差し出す。そう。第1回戦の宝探しで敬介が見つけた物だった。

 

『おいおい…いいの? 俺が使って…』

 

『もちろん。今、英寿が使うべきだと思うから』

 

『……ありがとな。俺みたいな奴のために』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

英寿はタイクーンへ顔を向けると、タイクーンも頷く。そして、英寿を見つけた数十体の住人ジャマト達が背後に立ち塞がり、それに気付いた英寿も住人ジャマト達の方へ身体を向けた。

 

「スコア0で最下位。この状況、この山場を乗り越えれば後は進むだけ。0からの逆転、見せてやるよ!」

 

今はもうライノの挑発に乗る暇は無い。後ろ向きに考えている必要もない。目の前の敵を倒して前に進むだけだ。意を決して英寿はデザイアドライバーにブーストバックルをセットした。すると、BOOSTの文字と炎を吹くバイクのマフラーのホログラムが投影され、英寿は変身ポーズを取るそして…

 

【SET】

 

「変身!」

 

ブーストバックルのハンドルを2回捻り、バックルのパーツが展開して金色のパーツとスピードメーターを模したパーツが出現した。英寿の姿はギーツへと変わり、ホログラムが装甲を形成し、アームが伸びてギーツに装着される。

 

【BOOST】

 

黄色の複眼に口元は赤とガンメタル。黒と赤を基調としたアーマー。腕にはバイクのマフラーを模したブーストパンチャー。差し色にはガンメタルの装甲を装着して、ギーツはブーストフォームへ変化した。

 

【READY FIGHT】

 

「おお…」

 

「何アレ!?」

 

ギーツはブーストフォームに変化した時にこれまでにない力を感じていた。マグナムやウォーターとは違う。力が漲る。今なら逆転出来る気がする。そこへ1体の住人ジャマトは臆する事なく野球のバットやゴルフクラブなどを手にギーツに突撃してきた。

 

「ジャー!」

 

「ハァ!」

 

ギーツは向かってきた1体の住人ジャマトに向かってパンチを繰り出した。すると、ブーストパンチャーのマフラーから炎が吹き出し、住人ジャマトを遠く吹き飛ばしたではないか。

 

「凄え…! 何だこの力…!これがブーストバックルの力なのか…!」

 

パンチを繰り出したギーツ自身も驚きだ。こんな力初めてだ。これなら逆転出来る。このブーストフォームは他のフォームを遥かに凌駕する力を持っているのだ。逆転を確信したギーツは住人ジャマト達に突撃していく。それからはギーツの無双の開始だ。迫り来る住人ジャマト達に怯まずパンチを連続で繰り出す。そしてそのままキックで蹴り飛ばし、別の住人ジャマトにぶつけて撃破。更に肘鉄をくらわせてブーストパンチャーから炎を吹き出して火炎放射で攻撃からの振り向いてパンチを繰り出す。

 

「ゴミオタ如きが調子に乗んじゃねぇッ!」

 

もはや焦りで周りが見えなくなっているライノはレイズハンマーを片手にギーツを攻撃しようと駆け出すが、住人ジャマト達が行く手を遮る。故に彼らの相手をするしかない。しかし、そんなライノの事など気にせず、住人ジャマト達をパンチを駆使して撃破していくギーツはライノの死角を突き、デザイアドライバーからハンマーバックルを抜き取る。そして、そのままナーゴの元へ向かい、ハンマーバックルを返した。

 

「ほら。取り戻したぞ」

 

「あ…ありがとう…!」

 

ナーゴの礼を聞きつつギーツはそのまま戦線に向かい、ブーストバックルのハンドルを捻る。

 

【BOOST STRIKE】

 

ブーストパンチャーから炎が吹き出し、走り出してジャンプ。住人ジャマト目掛けて渾身のパンチをお見舞いし、3体纏めて撃破。すると、ある事に気づく。

 

「ん? これは…」

 

デザイアドライバー上部に取り付けられている黒いスイッチ。前から気になっていたがどう使えば良いのか分からなかったが、試しに押すと、デザイアドライバーが僅かに傾く。まさかと思い半回転させてみる。すると…

 

【REVOLVE ON】

 

その時、摩訶不思議な事が起きた。突然輪状のリボルブリングが現れ、ギーツが空中に浮いてマスクが外れた上に頭が引っ込んだと思ったら身体が180度回転、再び頭部が出てきてマスクが装着されたではないか。

 

「えぇーー!?」

 

「何なのアレ!? それどうシステムなの!?」

 

リボルブオンを初めて見たことタイクーンとナーゴは驚きの声を隠せなかった。ギーツ自身は身体をよく見ると、上半身の装甲が下半身に移動しているではないか。肩の装甲は膝、胸の装甲は両大腿、ブーストパンチャーは両足首に移動している。このリボルブオンは一瞬の内に上半身と下半身の装甲を入れ替える事が出来るのだ。

 

「足に移動してる!てか俺の身体どうなってんだ!?」

 

率直な感想を述べたギーツは驚きながらも、今度はキックをメインで住人ジャマト達を吹っ飛ばしていく。ジャンプからの頭へ直撃させたり、攻撃をかわして足を払う。そこへ、突如1台のバイクが自動運転でやって来たではないか。

 

「これは…!」

 

【BOOSTRIKER】

 

ギーツのライダーズクレストが描かれた赤いバイク、ブーストライカーがやってきた。このブーストライカーはブーストバックルで変身した時に召喚可能なバイクだ。

 

「よし、試し乗りだ!」

 

ギーツはブーストライカーにまたがると、エンジンを吹かして走り出す。そのままジャマトタウンの道路を駆け巡り、迫り来る住人ジャマト達の攻撃も何のその。全てかわして逆に8体纏めて体当たりで撃破した。最もバイクを用いての攻撃はこれしか思いつかなかったのだが。すると…

 

【SECRETMISSON CLEAR】

 

スパイダーフォンからシークレットミッションをクリアしたと通知が入った。それは、「ブーストライカーを用いてジャマトを倒す」という物だ。すると、ブーストライカーの後ろにハテナミッションボックスが出現。開けてみると、中はライノが失ったマグナムバックルが入っていた。

 

「いつぞやのマグナム! それじゃ早速!」

 

マグナムバックルを再び手に出来て嬉しくなったギーツは空いていたスロットにセットした。

 

【SET】

 

そのままマグナムバックルのシリンダーを回転させてトリガーを押し、再びブーストバックルのハンドルを2回捻る。

 

【DUAL ON】

 

【GET READY FOR BOOST & MAGNUM】

 

上半身にマグナムフォームの装甲が装着され、ギーツは大型バックルのデュアルオンでマグナムブーストフォームに変化した。

 

【READY FIGHT】

 

「さぁ、山場を越えるか!」

 

いかにもヒーローっぽい台詞を言いながら、ギーツは残存している住人ジャマト達をマグナムシューター40Xのハンドガンモードで撃ち抜くと同時に住人ジャマトが振り回すゴルフクラブや物干し竿を破壊する。丸腰になった所にキックを繰り出して吹っ飛ばす。更に腕からアーマー ガンを展開してマグナムシューター40Xと共に発砲して住人ジャマト達を倒していく。すると、ギーツの目にあるものが入る。ジャマトタウンの住居の路地と落ちていた2本の縄跳びだ。

 

「閃いた!」

 

何かを閃いたギーツ。その頃、5体の住人ジャマト達がギーツを見つけると、一斉に追いかける。

 

「ロジーー!」

 

「こっちだ!」

 

ギーツはそのまま路地へ逃げ込む。住人ジャマト達も路地に入り込むと、そこは行き止まり。目の前に何やら縄跳びが垂れ下がっているではないか。

 

「ラサラチャ?」

 

「セキョジレレン」

 

住人ジャマトの1体が縄跳びを引っ張ると、生えていた木に固定されていたマグナムシューター40Xの引き金が押されて脳天に銃弾が直撃。驚いた住人ジャマト達が路地裏から出ようと走り出したら今度はいきなり躓いて転倒した所にキツネ型に変形したギーツモードのブーストライカーが住人ジャマト達を体当たりで撃破ではないか。実は、路地裏に入ったのは罠を仕掛けて住人ジャマト達が入った所に更に出る時に縄跳びを仕掛けて躓かせた後にブーストライカーに攻撃させたのだ。

 

「大成功! お前のおかげだよ。ていうかキツネになれんの凄えな…」

 

ギーツに褒められたブーストライカー・ギーツモードは嬉しそうな咆哮を上げた。そこへ、残り10体となった住人ジャマト達が立ち塞がる。

 

「このまま行くぞ。フィナーレだ!」

 

ギーツはマグナムバックルのシリンダーを回転させてトリガーを押し、ブーストバックルのハンドルを2回捻った。

 

【BOOST TIME】

 

壮大な待機音と共にブーストタイムへ移行。ブーストタイムは、通常の必殺技より1段階上の超必殺技を放つ事が出来るのだ。ブーストライカー・ギーツモードは住人ジャマト達を翻弄し、攻撃を加えながら一箇所に固める。そしてギーツがブーストライカー・ギーツモードに飛び乗り空高くジャンプ。

 

「ハァァァァ…!」

 

そして飛び上がり、重力を利用してライダーキックを放った。

 

【MAGNUM BOOST GRAND VICTORY】

 

「ハァァァァッ!」

 

頸部のブーストキッカーから炎を吹き出し、重力を利用したライダーキックの威力は凄まじく、10体の住人ジャマト達を纏めて全滅させ、大爆発と共にブーストライカー・ギーツモードは咆哮をあげたのだった。

 

【MISSON CLEAR】

 

ギーツが倒した住人ジャマト達が最後だったらしく、ミッションクリアのアナウンスが流れた。その時…

 

「ん? 何だ? うぉあっ!」

 

突然、ブーストバックルがカタカタと小刻みに揺れ、カウルから炎と煙を吹き出しながらデザイアドライバーから離れて何処かへ飛んでってしまった。

敬介に返そうと思っていた英寿はどう言い訳するか考えるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしていよいよスコア発表。最下位は脱落となる。

 

「皆様、お疲れ様でした。それではスコアを発表します。最下位の方はここで脱落となります」

 

「そうだったな…」

 

最終ウェーブの結果発表。1位は大我の458000Pt。2位は448000Ptの広瀬。3位は365800Ptの敬介。4位は288000Ptの明理。いよいよ5位と最下位の発表だ。

 

「そして最下位は…」

 

ディスプレイに表示されたのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ライノ」

 

5位が217000Ptの英寿。そして最下位は49000Ptの柴崎だった。

 

しかし、ここで柴崎が異議を唱えた。

 

「待てよ。このゴミオタさっき俺のバックル奪ったんだぞ。これって不正行為だよな? はいゴミオタ脱落〜! ペナルティで脱落決定! とっとと消えろよゴミオタ野郎」

 

英寿が明理のバックルを取り戻した事を不正行為と決めつけ、自分の物と言い張る柴崎に誰もが嫌悪感を出し、柴崎は英寿が脱落して自分が生き残るとたかを括っていたが、その甘い考えは打ち砕かれる事になる。

 

「いいえ。ペナルティで脱落するのは、柴崎翔平様。あなたです」

 

「…は?」

 

「あなたは先程、鞍馬明理様と広瀬紀之様に違反行為である攻撃を行い、参加者の妨害も行いました。よって、ペナルティとしてここで強制脱落となります」

 

愕然とする柴崎。既にペナルティが1回課せられ、明理のバックルを奪って攻撃や広瀬に攻撃を行い、既に最下位と同時にペナルティとして脱落する事が決まっていたのだ。

 

「因果応報。天誅。これが今までお前がやって来た事の報いだ。同じ0でもお前は0に逆戻りだな」

 

「他人を蹴落とし、自分さえ良ければいいと考える奴ほど、しっぺ返しが返ってくる。お前はここで終わりだ」

 

英寿と大我から厳しい言葉をぶつけられる柴崎。すると、IDコアが青いノイズと共に消滅。

 

「ふざけんじゃねえぞ…! この野郎! 死ねぇぇぇ!」

 

柴崎の身体も青いノイズが走り、悪あがきと言わんばかりにそのまま英寿に殴りかかろうとする。

 

【RETIRE】

 

しかし、その拳が届く事なく柴崎の身体は消滅し、IDコアが抜けたデザイアドライバーだけが残されたのだった。それを拾うヒカリ。

 

「彼は、仮面ライダー失格となりました。」

 

こうして犯罪をゲーム感覚で行い、度重なる嫌がらせ等を行って来た悪ガキは最後に因果応報と言える末路を迎え、仮面ライダー失格の烙印を押されて脱落したのだった。

 

「あの! 退場した人はどうなるんですか?」

 

敬介の問いにヒカリは答える。

 

「それは、ジャマトが知っています」

 

「ジャマトが?」

 

「それでは皆様、次のミッションが始まり次第招集をかけますので」

 

そういうとヒカリはその場を去っていったのだった。すると…

 

「英寿!」

 

明理が英寿を呼び止めた。一体どうしたのか。

 

「どうしたの?」

 

「実はね…見たの。電脳戦士サバイバー」

 

「!?」

 

実は、バラエティ番組の収録の後、今発売されている電脳戦士サバイバーのBlu-rayを購入した明理は、今放映されている分を見終わったのだ。気がつけば次の展開が気になってしょうがなくなっていたのだ。それ故に軽い気持ちで言った言を後悔していたのだ。

 

「すっごく面白いね。特撮って子供も大人も楽しめるんだね。何も知らないのに否定してごめんね」

 

明理の口から謝罪の言葉が出た事に驚いた英寿だが、彼も否定された事で周りが見えなくなって攻撃してしまった事を謝罪しなければならないと思っていたのだ。

 

「俺も悪かった。いきなり攻撃して見苦しい姿見せちゃって。ごめんな。特撮ファン失格だよ」

 

英寿も明理に謝罪し、仲直りして心の中のモヤモヤが晴れた瞬間だった。

 

「2人共仲直り出来て良かったね。そういえば俺のブーストバックルは?」

 

「あぁ。どっか飛んでっちゃった」

 

「飛んでった!? 何それ!」

 

「ブーストバックルには回数制限がある。大技を出せば使えなくなるからな。恨むならギーツに貸した自分を恨め」

 

「何それ! そんな〜!」

 

大我からブーストバックルには回数制限がある事を知り膝を落として落ち込む敬介。貸してよかったのか貸さなきゃよかったのか複雑な気持ちになった。

 

「よっしゃーっ! 帰ろ! 帰ろ! フォォォォォオオオオオウ!」

 

落ち込む敬介とは反対に英寿はいつものようにテンションを上げながら走っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仮面ライダーライノ、脱落。

残るライダーは───あと5人。

 

 

DGPルール

 

ゲームから脱落した者は、

仮面ライダー失格となる。

 

 

 


GAME RESULT EPISODE 04

 

MISSON:3ヶ所のエリアに区分された住宅街を占拠した住人ジャマトを殲滅せよ。スコア最下位は強制リタイア。

 

ENEMY住人ジャマト

 

 

ENTRY PLAYER&USED BUCKLE             

 

GEATS 宝生英寿 MAGNUM BOOST

 

TYCOON 桜井敬介 ARROW

 

NA-GO 鞍馬明理 HAMMER

 

BUFFA 吾妻大我 ZOMBIE

 

GRAMO 福田 賢 LOSE

 

RHINO 柴崎翔平 HAMMER LOSE

 

GOAT 広瀬紀之 SHIELD

 




いかがだったでしょうか? 今回ライノが脱落しました。自分でも書いてて分かりやすい小物キャラにしようとしていました。ブーストとマグナムブーストはここで登場させてみました。ギーツが終わる頃までどれくらい進めるのか…今回はここまでです。感想お待ちしています。

次回 第5話 開闢Ⅳ:真夜中のモグラ叩き
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