俺は前回、依頼を受けていた見ず知らずのパーティに加入した。
そして今回からその依頼をこなしていく。
ギルドへ向かい、パーティの装備を見る。
俺を含めて四人編成で、現在広まっている3種類をそれぞれ装備している。
ただし、俺は戦鎚を装備している。これは現在唯一の「打撃」武器だ。
俺達は問題の塔へ向かった。その道中で自己紹介があったのでその様子も知らせる。
「そういえば、君の名前はなんて言うんだい?僕はリーダーのサリアル。
このショートソードを持ってるほうがレイアミで、グレートはダライオス。よろしくね」
「俺は人不だ。よろしく頼む」
「人不は何を使っているんだい?よければ教えて欲しいな」
一瞬話していいものか迷った。
「俺は鎚を使っている」
「鎚ってのはどんな?」
「ま、こんなのだ。」
俺は武器を取り出してみせた。
「おお、刃がない武器ってのは初めて見た。それって攻撃通るのかよ」
「通るぜ。切ることはできないが、叩き潰すことはできる」
「何やらやべーやつがきた見てーだな」
「ここにきて新武器か…もうここに来て1年経つが…これまでで一回も新武器追加無かったもんな」
マジかよ。あの三種類だけでよく満足してたな。
「少なすぎるとは思わなかったか?」
「「「思った」」」
息の揃った答えだった。
「じゃあ、増えたら嬉しいのか?」
「「「もちろん!」」」
やはり即答だ。
「その願い、俺なら叶えてやれるかもしれねぇ。というかそれをやるために呼ばれたんだが」
「呼ばれた?一体誰に?」
「なんか武器の物流を司る神だか言うお調子者が呼んだんだよ」
「そんなことする神だったかあの神って?」
「神話全部読んだけどそんな人間に助け求めるような神では無かったはず…」
「ま、実際そいつに呼ばれたんだ。武器を増やすためにな」
「とにかく、塔に行って早く終わらせて帰ろうぜ」
そしてまた移動中にこんな話があった。
「物流の神ってどんな人だった?」
「喋りが妙に間伸びした若そうな声してる神だよ」
「いやそういうんじゃなくて、見た目だよ見た目」
「黒い煙のような見た目だった。人間には姿を見せることができないのかもしれないが、もしそうだとしたら無理に見ないほうがいいだろう」
「どうして?」
「どうしてって、何が起こるかわからないだろう?怒り狂って襲ってくるかもしれないし、ショック受けてサポート受けられなくなるかもしれないし」
「あぁ…神ありきなんだな…その任務…」
さらに移動を続けると、塔があった。
その塔は草原に一つぽつんと置いてある形だ。
扉はないように見える。
「扉が見えないが…」
「魔術師の塔なんだ、あそこは。たまに上から飛んでいく時がある。
上から行くのが正攻法だな」
「しかし、あんなところ届くわけないだろう」
「風呪文だ。セライオライメイオゥラ!」
俺には正確に聞き取れなかったが、概ねこんな発音だった。
他の三人の足元から上昇気流が発生し、塔の上まで飛んだ。
無事着陸したところで俺を呼んでいた。
「おーい人不もこっちこいよ〜」
「しょうがない、俺も上に行くか。セライオライメイオゥラ!」
不思議とすぐに覚えることができた。
他の三人と同じように飛び、無事着陸。
「上昇気流に乗るってのは清々しいもんだな」
「しょうがないとか言ってたが、まさか下から行こうとしてたのか!?」
「え?あ、あぁ、そうだが、何か問題あるのか?」
「塔には魔法防御がかけられていて、これまでにたくさんの魔術師が塔の壁の破壊を試したけどダメだったんだ。
相当強い魔法防御だ。伝説級の魔術師でも破壊できない」
「そうか。そういうもんなのか」
「そういうものだ」
完全にこの世界の初心者であることを察せられた目をされた。
「塔は上から下に行ってェ、最下層にボスがいるよォ」
「うわびっくりした。会話中にくるなよ」
「もしかしてこれか?物流の神って」
「見えるのか?」
「いやまあ、普通に見えるが…黒いもやもやしたもので包まれていてよく見えんな」
「他の人には見えないもんだとばっかり思ってた」
「まァ、塔の構造教えに来ただけだからァ、また後でねェ」
「いきなり来ていきなり帰っていった…」
「アレのことは俺もよく分からん。探索早く進めようぜ」
屋上から降る階段が普通に設置されていたので全員で降りた。
「待て」
「どうした」
「気配が多い」
「一匹づつ釣って倒すか?」
「いいやそんなみみっちいことはせんでいい!」
俺は敵の群れに突っ込んだ。
相手は人型のモンスター十体ほどか。人型なら戦鎚が有利に働きそうだ。
「俺のハンマーを喰らえ!」
剣で回転切りをするように振り回すと、十体のうち三体に当たった。
一体目は鳩尾に当たったようだ。二、三体目のモンスターは衝撃が吸収されたらしく、まだピンピンしている。一体目を担ぎ、すぐに屋上に戻った。
モンスターは追ってこない。フロア間はモンスターの移動ができないようだ。
「おい、もう一体仕留めたのか?早すぎるのでは?」
「なんだこの状態異常は。『ハートブレイク』…」
「心臓破壊しちゃった感じ?」
「いや、これ確か一定時間気絶の効果だったな。」
球技をしているときにボールが鳩尾に当たると一時的に心臓が微細動を繰り返すという。そのときに気を失ったりするらしいが、これも同じことなのだろうか。
「結構強いんじゃないか、その武器。今度俺たちにも試させてくれよ」
「ああ、いいぜ。そのうち工房にも頼んで生産してもらう。この戦場はテスト会場だ」
「テストのためにわざわざ前線に来たのか」
「そうだ」
「やっぱりやばいやつだよ君は…」
「まだまだ中にいる。あと九体だったな」
「多いな、全員で突撃した方が早いか」
「その方がいいと思うわい」
「じゃあ、突撃だ」
幸い階段は広かった。四人で横に並び、
「三、二、一、突撃ー!」
その合図で乱戦が始まる。