今回含め、「紹介回」とサブタイトルにある回には武器を宣伝する文しか書いていません。興味なかったら飛ばして構いません。
見知らぬ男がマーケティングをしている。
「そこのあなた、どうでしょう、知っていますか?刃がない武器があったことを。そうなんです、あったんです。それがこのウォーハンマー。」
そう言って一本取り出して見せる。
「刃がなかったら攻撃力なんてあるわけないだろとお考えの皆さん、そんなことありませんよ。それどころか、あの刃を弾いてくる忌々しい鎧を着た敵にさえ攻撃が簡単に通ります。」
人が集まってきた。
「さて、そろそろかな。実際に試してみせてみましょう。」
彼の机の下からはいくつかの練習用ダミーが出てきた。しかもそれぞれには鎧が着せてある。
「この鎧を着たダミーに、このロングソードとこのウォーハンマーで同じように攻撃してみますよ。まずはロングソードから。」
彼がロングソードでダミーに切り掛かると、まあ普通に窪んだ。
「じゃあウォーハンマーです。さあ感動する準備をお願いします。行きますよ、いいですか?行きますよ。」
彼はそう言った後、横向きにダミーへウォーハンマーを当てた。
木が折れる音。あの鉄の鎧を攻撃が貫通したというのか。
「どうでしょう、分かりますか?この違い。ほらー、鎧を脱がせてみると一目瞭然!ロングソードで攻撃した方は中身までは全く攻撃が通っていません!しかし、ウォーハンマーで攻撃した方は、ほら、これ!すごいでしょ!砕けかけていますよ!あの結構頑丈なことで有名なダミーが!」
どうなんだろう、ヤラセな気もする。
「そうだ、みなさんもしかしたら『どうせお前は慣れてるんだろ』とお思いかもしれないのでこの中の誰かから協力してもらいましょう。」
周りは静まってしまった。私が出るか。
「えー、いつも使っている武器はなんですか?」
「グレートソードです。」
「おー、それは豪快だ、まぁ今回は簡単なものですよ。まずお持ちの武器であのダミーを1回だけ斬ってください」
「そう…」
私は普段使っているグレートソードを抜き、目の前の鎧つきダミーを斬った。
普段通り弾かれる感触があった。ロングソードよりは凹んだか、まあこんな物だろう。
「じゃあ、こっちのウォーハンマーを使ってみてください。」
渡された物を握る。重い。グレートソード並に重い。
とにかく、一回振ってみた。
当てることは簡単だった。
その先端につけられた石の塊のような物体がダミーに当たった瞬間、あまり聞いたことのない破壊音が聞こえた。
「さてみてみますか。グレートソードは、あー、少し傷がついていますね。」
まあ普通の武器ならこんなもんだ。
「えーっとこの方が振ったウォーハンマーの方は…あー、ちょっと待ってください、鎧が変に曲がりすぎてて…なかなか…よし、開きました。」
「うわすっげぇ」
「メシャメシャですね。これはすごい、なかなかできませんよこんなに壊すことは。えー、突然でしたが協力ありがとうございました。」
私は観客の群れに戻る。
「一撃だけでもこんなに威力があるウォーハンマー、一本いかがでしょうか。お買い求めはすぐそこの武具店までお願いします。」
かなり欲しくなった。
帰りに、協力への感謝として菓子の小袋をもらった。