「打てますか?」
夢子は、綺羅莉に問う。
「ああ、ごめんね夢子。今、三打ちも四打ちもできないの」
「え――?」
「だって、あなたのラストバトルの相手は、妄ですからね」
――――
「二人麻雀よ」
「え?何?」
ミダリは会長に聞き返す。
「いいから。嬉しいでしょう?あなたは夢子と戦えるのよ。そう、夢子を送り出す、その最後の時、オールラストに向かって、その重大な役目をやらせてあげるの。喜びなさい?」
夢子VSミダリ 二人麻雀
その特殊ルールが、会長より説明される。
「まあ、まずサイコロを振りましょう。起家、というか、先手。先手を決めてしまいましょ」
賽振りの結果、先手はミダリになった。
「これでスムーズに説明できるわ。いい?よく聞いてね。先手はミダリ。ミダリはまず、一人で麻雀を打ってもらうわ。ミダリが打っている間は夢子のツモ番は来ない。同じくして、夢子が打っている間はミダリのツモ番は来ない」
なんとも不思議なルールだ。二人麻雀とは言っても、一人ずつが交互に局を行うターン制のゲームなのか。
「場は常に東場。打つ者は常に西家よ。そして、簡単な話、18回ツモったら流局。そしてその流局までにアガれるかというゲーム。よろしいかしら?」
「ああ。ここまでは」
「いい子ね。続けるわよ。赤牌の枚数を伝えるわね。五萬に一枚{五五五赤五}。五索に二枚{55赤5赤5}。五筒には三枚{⑤赤⑤赤⑤赤⑤}。合計六枚を投入するわ」
インフレ麻雀だ。
「そして、アガった時の点数。これは、まずアガった翻数をマイナス2するわ。三翻だったら実質一翻。簡単ね。そして、それを計算した上で、子のツモアガリの点数を相手から直取りで受け取る。300.500は1100ね。アガリのルールはこれだけ。あとは流局。ノーテン罰符は」
「ノーテン罰符は8000点よ」
以上。ルール説明は以上だ。とにかくテンパイしないと大変な事になるのだ。補足として、リーチ棒は必要無いとの事。また、暗槓をした場合に引く嶺上牌はツモ回数にカウントしない。
「これを、ミダリ、夢子、ミダリ、夢子と、交互に5局ずつ打ってもらうわ。配給原点は50000点。トビ終了は一応あり。さて、始めましょうか」
第一局、ミダリ。ドラは{②}。
配牌。
{二三四五4赤567北西東中中} {1}
ここは、打{東}、もしくは打{西}だ。
何故なら単純に、孤立している字牌だからだ。この麻雀はオリというものが一切必要無い。切った牌が鳴かれる事も無い。だからただただまっすぐ打てば良いのだ。ただ、普通に、普通の手作りをすればいい。
打、{東}。
二巡目。
{二三四五14赤567北西中中} {9}
ここは打{西}だ。
何故、オタ風の{北}から切らないのか。
(簡単な話だ)
まず第一、役牌の{中}が対子になっている。これが仮に暗刻になったとする。役牌は三枚揃って初めて意味を成す。つまり、{中}が暗刻になった上で更に、{東}などが暗刻になる可能性はどれくらいか?極めて低いだろう。とにかく字牌は価値が低い。
それに、役牌とオタ風で、オタ風の方を残すのは、一応理由がある。ピンフ手の雀頭として使う為だ。役牌が雀頭ではピンフは付かない。
三巡目。
{二三四五14赤5679北中中} {⑨}
ここは打{北}だろう。
最終形の役を想像してみる。ピンフを付ける為に、いっその事{中}の対子も落としてしまいたくなる。が、それはあまりにも遅くなる。二巡使うタイムロスだ。だから今局、ピンフが付かないのはもうしょうがない。そして、このルールでは、アガった手役がマイナス2翻される。得点の為には最低三役必要。
四巡目。
{二三四五14赤5679⑨中中} {赤⑤}
打、{⑨}。
まあ一番高そうな想定はこんな形だ。
{三四五4赤56789赤⑤赤⑤中中} {赤⑤}
あるいは、こんな形。
{三四五1234赤5679中中} {8}
山は全て自分のツモなのだから、待ちの位置は関係無い。ペンチャン待ちだろうが、引ける時は引けるだろう。
五巡目。
{二三四五14赤5679赤⑤中中} {中}
少し、難しい。{中}が暗刻になってしまった。
(まあ……)
打、{1}とした。ミダリ、一通を捨てる。
その次巡、六巡目。
{二三四五4赤5679赤⑤中中中} {8}
(……!)
「リーチ!」
{東西北⑨1横二}
{⑤}単騎。ここは打点の為に、迷わず{⑤}単騎だ。
そして、十七巡目。
「ツモッ!」
{三四五4赤56789赤⑤中中中} {⑤}
裏ドラ、乗らず。引いた{⑤}も安目の黒五筒。
「1300.2600は5200だ」
高い。十分高い。このアガリ、{中}が暗刻で、尚且つツモと単騎待ちの2符が付いて、40符になって1300.2600だった。そうでなければ1000.2000の都合4000点だった。
(符ハネ、重要だな……)
第一局終了。次は、夢子の番だ。