お引越しの準備やらなんやらしてまして、書く意欲がわくほどの余裕がありませんでした。
落ち着いたのでぼちぼち書いていこうと思います。
みなさん、本当に本当にお待たせしました。
「オールマイト、オールマイト、オールマイト!」
「ふがっ」
オールマイトが目を覚ます。すごく笑顔で寝ていたからよほど良い夢だったんだな。
「どうした緑谷少女」
「見えてきましたよ」
窓の外を指差す。海の上に円形の島が浮かんでいる。あれがI・アイランドだ。
ガイド・マップによると、巨大学術人工移動都市I・アイランドは1万人以上の科学者達やその家族が住んでいて、そのセキュリティシステムは脱獄不可能と言われるタルタロスにも匹敵するほど。そしてこの島で個性やヒーローアイテムの研究成果を展示した個性技術展覧会I・エキスポが開催される。
「当機は間もなくI・アイランドへの着陸態勢に入ります」
アナウンスが流れると、オールマイトは席を立ちマッスルフォールへ変身する。そういえばマッスルフォールの持続時間は8時間ほどに延びたらしい。いつの間にかオールマイトはコスチュームに着替えていた。服の下にコスチュームを着ていたみたい。私もコスチュームに着替えて着陸に備える。
飛行機から降り空港内に入ると、入国審査がある。普通は人間が行うけど、I・アイランドは全てAIで自動化されている。流石世界の英知が結集した島。
「緑谷少女にクエスチョン。この人工島が造られた理由は?」
入国審査中に暇なのかオールマイトが質問してきた。
「個性の研究やヒーローアイテムの発明を行うためですよね。この島が移動式なのは科学者とその家族を敵から護るためです」
「正解だ!」
「入国審査が完了しました」
アナウンスが流れゲートが開く。空港の外にはテーマパークのような世界が広がっていた。これはテンション上がるよ!
「一般公開前のプレオープンでこれ程の来場者がいるとは・・・!」
オールマイトの言う通り遠目からでも多くの人が行き交っているのがわかる。日本と違い、I・アイランドでは個性の使用が自由なので色々と派手なことが出来る。
「パビリオンには個性を使ったアトラクションが多いらしい。あとで行ってみるといい」
「一人でアトラクションに行けるほど肝は据わってませんよ」
「そう言わずに、楽しもうじゃないか!」
シールド博士に会えるからかオールマイトのテンションがいつもに増して高い。
「I・エキスポへようこそ!・・・ってオールマイト!?」
ガイドの女性が目を見開く。いや気づかなかったんかい。2m越えのマッチョなんてオールマイトくらいなんだから気づくでしょ。
女性の声がまあまあ大きかったため周りの人達も一斉にこっちを見る。逃げとこ。ものの数秒でオールマイトは100人以上に囲まれた。うわ、顔中にキスマークつけられてる。
15分ほど様子を見ていると、急にオールマイトが人混みから飛び出して猛スピードで逃げた。もちろん私を抱えて。よ、酔うかと思った・・・。
「緑谷少女、今からこの前話した古くからの親友と会うんだ。少し付き合ってもらえるかな?」
「はい、大丈夫です」
「彼にはワン・フォー・オールの事は話してないからそのつもりで」
「了解です」
ボヨ〜ン、ボヨ〜ン
遠くからバネが跳ねるような音が聞こえてきた。
「おじさまー!」
段々と音が近づいてくる。
「おじさまーー!!」
ホッピングに乗った金髪の女性が起用に階段を降りてくる。あれがメリッサ・シールドさん。スタイル良・・・!
ホッピングから飛び降り、勢いよくオールマイトに抱きつく。
「マイトおじさま!」
「Ohメリッサ!」
「お久しぶりです!来てくださって嬉しい!」
「こちらこそ招待ありがとう!」
まるで叔父と姪っ子だな。・・・・・・待って、ホッピング自立してるんだけど。え、すご。どうなってるんだ?二人の会話よりこっちが気になるんですけど。しかも普通のホッピングみたいにバネが付いてない。これ売ってないかな。買って帰ったら子ども達すごく喜ぶと思うんだけど。
「緑谷少女?」
「は、はい」
二人が不思議そうにこっちを見ていた。
「紹介しよう、彼女は私の親友の娘で・・・」
「メリッサ・シールドです!はじめまして!」
「はじめまして。雄英高校ヒーロー科1年の緑谷出久です」
メリッサさんと握手をする。
「雄英高校・・・、じゃあマイトおじさまの?」
「はい、生徒です」
「未来のヒーロー候補さ!」
「すごい!マイトおじさまの教え子だなんて。将来有望なのね!」
メリッサさんが目をキラキラさせる。
「いえ、まだ修行中の身ですから」
やんわりと訂正していると、メリッサさんが近づいてコスチュームを観察し始めた。科学者の卵から見て気になったことでもあるのかな?
「どんな個性を持っているの?」
「洗脳系です」
「なるほど・・・」
オールマイトがそれだけじゃないだろ的なことを言いそうだったので視線で静かにさせる。魔術師って説明するの面倒くさいんですよ!
「スカートで動きにくいそうに見えるけど、意外と機能性は良さそうね。生地も耐久性に優れてるし・・・」
「ぅおっほん!メリッサ、そろそろ」
「・・・あっ!ごめんなさい、つい夢中になって!早くパパを喜ばせてあげなくちゃ!」
メリッサさんがホッピングを持ち上げボタンを押すとホッピングが紐のように柔らかくなってコンパクトにまとまる。・・・・・・科学ってすごいなぁ。驚きすぎて逆に冷静になってしまったよ。
ーーーーーーーーーー
シールド博士の研究所に到着した。オールマイトと私は合図があるまで隠れてる。でもオールマイトがソワソワして部屋の中を覗こうとしてる。折角メリッサさんがセッティングしてくれてるのに、バレますよ。
「私ね、パパの研究がひと段落したお祝いにある人に招待状を送ったの」
「ある人?」
「パパの大好きな人よ!」
オールマイト出番でーす。
「私が〜、再会の感動に震えながら来た!」
オールマイトの登場にシールド博士や助手の人が呆然としてる。そりゃ驚くよね。まさか親友とはいえNo.1ヒーローがいるとは思わないよ。というか助手の人、サムさんだったっけ?みんな気づいてないけどサムさん顔面蒼白になってる。敵を呼んだその日にオールマイトが現れたらそんな顔にもなるわ。ドンマイ!
「緑谷少女紹介しよう。私の親友、デヴィッド・シールド博士だ」
「はじめまして、雄英高校ヒーロー科1年の緑谷出久と言います」
シールド博士と握手をする。勿論サムさんとも。握手の際サムさんの袖に小型の盗聴器兼発信機(コスチューム申請の時作ってもらっていた物)を取り付けた。
「雄英生ということは、緑谷さんはオールマイトの生徒なんだね」
「はい。今回はオールマイトのご厚意で同伴させて頂いています」
生徒とはいえ態々I・アイランドにまで同伴させるなんて・・・的な感じに思ってるかな。まあ何か勘ぐられても対処はオールマイトに任せればいいか。
「緑谷少女、I・エキスポにでも行ってきたらどうかな!」
突然何を言いだすんですか。・・・・・・あぁ、なるほど。博士と二人で話がしたいんですね。了解です。
「そうですね。行ってみたいです」
「なら私が案内するわ!」
メリッサさんの案内でI・アイランドを散策する。歩いているとここがテーマパークの中だって勘違いしちゃいそうになるな。至る所で招待されたヒーローのサイン会や写真撮影があってる。申し訳ないが知らないヒーローばかりだった。そっち系は疎いんです。
「デクちゃん!あそこのパビリオンもおすすめよ、行ってみましょ!」
「はい」
建物の中に入るとたくさんのヒーローアイテムが並んでいた。
「デクちゃん見て見て!」
メリッサさんがエイのような形をしたヒーローアイテムを指さす。
「この多目的ビーグル、飛行能力はもとより水中行動も可能なの」
おおーすごい。
次はめちゃくちゃ大きな水槽があるコーナーに来た。
「この潜水スーツは深海7000メートルまで耐えられるの」
おおー深い。
次は何かを被せられた。
「このゴーグルは36種類のセンサーが内臓されてるわ」
おおーめっちゃ見える。
「実は殆どの物はパパが発明した特許を元に作られてるの。ここにあるアイテム1つ1つが世界中のヒーロー達の活躍を手助けするの」
メリッサさんが自慢げに話す。
「博士のこと尊敬しているんですね」
「パパのような科学者になるのが夢だから」
今度は照れくさそうに笑った。その後もメリッサさんの解説付きでヒーローアイテムを見ていると、誰かに肩を叩かれた。
「?」
「ヤッホーデクちゃん!」
ニコニコの麗日さんが真後ろに立っていた。かわいい。そのまた後ろから耳郎さんと八百万さんも来ていた。
「よっす」
「緑谷さんもいらしてたんですね」
「デクちゃんお友達?」
メリッサさんに3人のことを、3人にメリッサさんのことを紹介する。メリッサさんには私がオールマイトの同伴者だってことは内緒にしてもらった。立ち話も何だし5人でカフェに移動することにした。
ーーーーーーーーーー
「へぇ!お茶子さん達プロヒーローとヒーロー活動したことあるんだ!」
注文した飲み物が運ばれてくるのを待つ間、私達はお互いの学校について話していた。やっぱりメリッサさんはヒーロー科に興味があるみたいで、目を輝かせながら話を聞いてた。メリッサさんはI・アイランドのアカデミーの3年生で3人が言うには、ものすごく頭が良くないと入れない学校らしい。ヒーロー科より?と聞くと思いきり首を縦に振ってた。そ、そんなにすごい学校なんだ・・・。
「お待たせしました」
やっと飲み物が運ばれてきたらしい。
「その声は・・・」
耳郎さんがうげっ的な顔をして店員さんの方を見ていた。位置的に私の後ろに店員さんはいるので振り向くと、上鳴くんと峰田くんがお店の制服を着て立っていた。そういえば上鳴くんと峰田くんはここで短期バイトしてたんだった。
「この子達も雄英生?」
「そうです!上鳴電気っていいます!」
「峰田実です!」
二人はキメ顔でメリッサさんに近づく。こんな所で油売ってないで仕事したらいいのに。
「何をやっているんだ!!バイトに来た以上、労働に励みたまえ!!」
飯田くんが猛スピードで上鳴くんと峰田くんの前に現れた。I・アイランドにまで来てやるやり取りではないと思うなぁ。
「飯田君も来てたん!?」
「うちはヒーロー一家だからね、I・エキスポから招待状を頂いたんだ。家族は予定があって来たのは俺だけだがな」
ヒーロー科のメンバーが着々と集まってる・・・。話が進むとこうなるのも仕方ないか。てことはもう敵もこの島に侵入してるんだ。捕まえに行きたい・・・。無理だよなぁ・・・。
ボンッ!!!!
カフェから少し離れた所から爆発音が聞こえた。岩山のようになった場所から煙が上がってる。そうだった!かっちゃんも来てるんだよ!!こうしちゃいられない、かっちゃんの勇姿をカメラに収めなくてはーー!!勢いよく立ち上がる。
「うおっどしたの緑谷」
「緑谷さん何かありましたの?」
「みんな行くわよ!!」
『!?』
メリッサさんの手を引いて爆発音があった場所まで走る。急がないと!!!
ーーーーーーーーーー
4,5分走ってパビリオンの中に入る。客席の最前列に行きスクリーンを見ると、先ほどまでゲームをしていたのは切島くんだった。てことはもう終わっちゃったのかな。
「さあ、次なるチャレンジャーは・・・」
キャストさんのアナウンスが流れると、見覚えのある銀髪が目に入った。よかった間に合った!スマホを構えて、準備万端!
「それでは敵アタック、スタート!」
開始の合図とともにかっちゃんが勢いよく跳躍し、瞬く間に仮想敵を破壊していく。ズームにしてなくて正解だった。このスピードは追えないよ。そしてかっちゃんは勢いを落とすことなく最後の敵も破壊した。
「クリアタイム15秒・・・!現在トップです!」
着地と同時にドヤ顔をするかっちゃん。御尊顔を拝見できて光栄でしゅ・・・!腰が砕けそうになりながらも最後までカメラに収めた。あう・・・、サムネだけでも尊い・・・。
「何やっとんだ」
ん?愛しの愛しのかっちゃんの声が耳元で聞こえる。顔を上げるとなぜか目の前にかっちゃんがいた。爆破で登ってきたんだね。
「3日ぶりね、かっちゃん。さっきまでかっちゃんの勇姿を撮ってたのよ」
「またか」
呆れた目でこっちを見てくる。仕方ないでしょ!貴方がカッコイイから悪いのよ!!
「きゃあああああ!すごいすごい!!」
かっちゃんと話しているとキャストさんや客席から歓声が上がる。かっちゃんから視線を外すと氷が辺り一面を覆っていた。
「14秒!現在トップに躍り出ました!!」
轟くんの顔がスクリーンに映し出される。あ、やめてください。御尊顔を見せないでください。私にはかっちゃんというハイスペダーリンがいるんです。た、確かに推しと恋人は違うって人もいるかもしれませんが、私は一緒なんです。ちらっ。あ、やば、これはダメだ。白い息を吐く姿がまたカッコイiゲフンゲフン
「何をブツブツ言っとんだお前は」
ポカッ
「いて」
いけないいけない。やっぱり轟くんは危険だ・・・!あのびゅーちーふぇいすと天然イケメンムーブは世の女性は骨抜きになってしまう。べ、別に私が骨抜きになることは、あ、ありませんけどぉ!?
「デクちゃん乙女しとるなぁ」
「はっ!これが三角関係というものですね!」
「違う違う」
「ふふっ雄英の人達って面白いのね!」
ーーーーーーーーーー
夕方になるまでみんなで遊んだり、展示品を見たりしていた。メリッサさんのご好意で上鳴くんと峰田くんの分のレセプションパーティーの招待状を用意してもらった。今日くらい良い思いをさせようってことですね。いいと思います。これで二人は馬車馬のように働くでしょう。
「パーティーにはプロヒーロー達も多数来席すると聞いている。雄英の名に恥じないためにも正装に着替え、団体行動でパーティーに出席しよう!18:30にセントラルタワーの7番ロビーに集合。時間厳守だ。では解散!」
さすが委員長、心強い。飯田くんは颯爽とホテルに戻っていった。さて私も着替えにいきますか。
「デクちゃん、ちょっと私に付き合ってもらえないかな?」
「?」
メリッサさんについていくと、アカデミーの研究室に着いた。まあまあの広さの研究室でメリッサさん専用の研究室らしい。何か大会で優勝したのかトロフィーがいくつも飾ってある。本棚には難しそうな本もあるけど、メリッサさんの幼少期の写真も飾ってあった。若い頃のシールド博士も写っている。
「やっぱりメリッサさんって優秀な方なんですね」
「全然そんな事ないわ。アカデミーに入った頃なんて落ちこぼれだったもの。でもすごく勉強したわ。私どうしてもヒーローになりたかったから」
メリッサさんが何かを探しながら答える。
「プロヒーローにですか?」
「ううん、それはすぐに諦めた。だって私無個性だから」
そうだ、メリッサさんは無個性。私のように別の力があるわけでもない。
「・・・・・・」
「すごくショックだった。でも私にはすぐ近くに目標があったから」
「シールド博士、ですよね」
「えぇ」
本棚の写真にはシールド博士がノーベル個性賞を受賞した時の写真も飾られている。
いいな。
純粋にそう思った。近くに目標にできる人なんていなかった。かっちゃんがそうだろって言われるかもしれないけど、目標というより愛の方が大きすぎて気づいた時にはもうシフトチェンジ出来なかった。兄さんを目標にしたら人生ヤバくなりそうな気がするから、はなから兄さんはそういう目で見てない。治崎さん達も目標にしたら人生詰むからダメだし、引子さんかなとも思ったけど他人の子供を育てられるほど私の心は綺麗で広くはないから無理だ。そんなわけで目標、憧れ、そういった系の人間を得たことはなかった。・・・あの人が変わる前のままだったら違ったかもしれないけど。
閑話休題
メリッサさんが探していた物を見つけたらしく何かのケースを持ってこっちに来た。
「それは?」
「今日デクちゃんホウキに乗ってたでしょ。その時ボロボロだなって思ったから、こういうのはどうだろうなって」
ケースを開けると小さな金属の棒が入っていた。メリッサさんが棒を取り出し指を2回鳴らすと小さな棒だった物が今のホウキを金属製にして近未来的にしたような物が現れた。
「おお」
「飛行できるヒーローアイテムを作りたくてまずは形から!って思ったんだけど、人を浮かせるためにはエンジンとかを埋め込むからもっと大きくしなくちゃいけなくてお払い箱になってたの。でもデクちゃんの個性なら無機物にも洗脳できるみたいだから、浮遊させるのも飛行させるのも問題ないと思ったんだけど、どうかな?」
ホウキ(これをホウキと呼んでいいのか?)を持ってみると案外軽い。これ今持ってるやつより軽いんじゃないの?すごい金属製なのにこんなに軽量化できるなんて。でも制作工程に魔力を込めてないからなぁ。・・・・・・いや待てよ、これを貰って分解して一から組み立てれば投影魔術でイケるのでは?メリッサさんには申し訳ないけど、私としてはすごくそうしたい。
「ありがとうございます。メリッサさんがいいのなら頂きたいです」
「勿論よ!こちらこそ貰ってくれてありがとう!」
もう一度2回指を鳴らすと小さな棒に戻った。科学ってすごいなぁ・・・。
さて結構時間がヤバそうなので、ホテルに急いで帰って着替えます。
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