翌日から授業が始まり、ヒーロー科は午前は必修科目英語や数学など普通の授業。午後はヒーロー基礎学というヒーローになるための授業がある。
午前の必修科目が終わり今は昼休み。カバンから緑色の弁当箱とオレンジ色の弁当箱を取り出しかっちゃんにオレンジ色の方を手渡す。
「かっちゃんはいこれ」
「ん」
『待て待て待て待てぇ!!!!』
突然上鳴くんと峰田くんがかっちゃんに詰め寄ってきた。びっっくりした・・・。
「んだよクソ髪」
「いやクソ髪て」
「爆豪今のどういうことだよ!!」
峰田くんが鬼気迫る勢いでかっちゃんを問いただす。
「あ”ぁ?」
「あ“ぁ?じゃねぇよ!なに緑谷から弁当貰ってんだよ!」
ど、どうしよう。何か問題でもあったかな。
「えぇっと・・・」
「出久、麗日達待ってんぞ」
兄さん!助け舟だよ!!峰田くん達の横をすり抜け兄さんの元へ走る。
「ありがとう兄さん」
「ん」
「そうだ、かっちゃん!あとで感想聞かせてね!」
「わかっとるわ!」
今日は初日だからヤンニョムチキンだよ!気合入れて混ぜ込みご飯にしてみたから感想聞くの楽しみだな〜!
大食堂でお弁当を食べるというランチラッシュに失礼な行動を取っている。仕方ないじゃん!?かっちゃんと兄さんのお弁当作るの楽しみにしてたんだよ!!私が作ったものが二人の血と骨になる・・・。誰だ今キモいって言ったやつ。自覚してますぅ!ごめんなさいねキモくて!!
「どしたんデクちゃん?」
「何でもないわ。気にしないで」
「緑谷君訊きたいことがあるのだが、君と爆豪君はどういう関係なんだい?お弁当を渡していたが・・・」
「そうやん!デクちゃんあの爆豪君と知り合いなん!?」
麗日さんがすごい勢いで訊いてくる。飯田君が麗日君落ち着きたまえ!と言ってるけど、全く効いてないです。何かが麗日さんの恋愛センサーに引っかかったらしい。
「かっちゃんは婚約者なの」
「こんやくしゃ?」
「婚約者・・・、結婚の約束をした相手、ということか・・・?」
「えぇ」
『っっっ!!!』
二人が叫び声を上げそうになったので兄さんと一緒に口を塞ぐ。あ、麗日さんもち肌だ〜。
「お前らこれくらいで驚くなよ。こいつら気づいたらイチャついてんぞ」
『っっっ!!!!!』
また口を塞ぐ。多分二人の頭には敵顔のかっちゃんが私とイチャついてる光景が浮かんでるんだろうな・・・。それから二人が落ち着いたのは昼休みが終わるギリギリだった。
ーーーーーーーーーー
「わ〜た〜し〜が〜・・・」
「普通にドアから来た!」
赤いコスチュームを身に纏ったオールマイト(マッスルフォーム)の登場にみんなは喜びの声をあげる。あのコスチュームは銀時代のものらしい。
「私の担当はヒーロー基礎学。ヒーローの素地を作るため、様々な訓練を行う科目だ。単位数も最も多いぞ。早速だが今日はこれ!戦闘訓練!」
オールマイトがBATTLEと書かれたカードを掲げる。
「そしてそいつに伴って〜・・・こいつだ!」
壁から数字が書かれたアタッシュケースが現れる。すごい流石国立、色々な所にお金かけてる。
「入学前に送ってもらった個性届けと、要望に添ってあつらえたコスチューム。着替えたら順次グラウンド・βに集まるんだ」
我先にとアタッシュケースを受け取り更衣室に向かう。
10分後、各々コスチュームに着替えグラウンド・βに集合した。
私のコスチュームは白を基調とした股下丈のワンピースで黒のロングブーツ。兄さんのコスチュームは白を基調としているがジャケットにパンツスタイルで黒のブーツ、あと発射式スタンガン。被服控除を提出する際、要望書を書くのだけど兄さんは私に任せると言ったので、兄さんが遊んでいたゲームのキャラの衣装を丸パクリしたが、権利的に駄目だったらしく所々修正が入っている。
閑話休題
「デクちゃんカッコいいね!」
「ありがとう麗日さんも似合っているわよ」
「あはは・・・要望ちゃんと書けばよかったよ、パツパツスーツんなった」
麗日さんが恥ずかしそうにする。かわいい。
「さあ、戦闘訓練のお時間だ」
「先生!」
白のフルアーマースーツを着た飯田くんが手を挙げる。
「ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか?」
「いいや、もう2歩先に踏み込む。敵退治は主に屋外で見られるが、統計で言えば屋内の方が凶悪敵出現率は高いんだ。監禁、軟禁、裏商売。このヒーロー飽和社会ぅおっほん・・・・・・真の賢しい敵は屋内に潜む。キミらにはこれから敵組とヒーロー組に分かれて、2対2または3対2の屋内戦を行ってもらう」
「勝敗のシステムはどうなります?」
「ぶっ飛ばしてもいいんすか?」
「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか?」
「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか?」
「このマントヤバくない?」
みんなが口々に質問する。
「んんん〜聖徳太子!」
オールマイトは小さな紙を取り出す。あれカンペだな。
「状況設定は敵がアジトのどこかに核兵器を隠していて、ヒーローはそれを処理しようとしている。ヒーローは時間内に敵を捕まえるか、核兵器を回収すること。敵は制限時間まで核兵器を守るか、ヒーローを捕まえること。コンビおよび対戦相手はくじだ」
くじを引きチームに分かれる。私はチームAで兄さんと麗日さんと一緒だ。
「最初の対戦相手は〜・・・こいつらだ!」
ヒーロー組はチームA、敵組はチームD。原作通りかっちゃんと対戦するのか。
「敵チームは先に入ってセッティングを。5分後にヒーローチームが潜入でスタートする」
『はい』
ヒーローチームには建物の見取り図、小型無線、確保テープが配られた。見取り図を見ると曲がり角が多くて死界がたくさんありそうだな。対人訓練なら八斎衆の人達と何度もやってきたから大丈夫。たとえかっちゃんでも授業は真剣にしなきゃね。えっと小石小石っと。
「
小石に探索のルーンを刻む。
「兄さんこれ持って行って」
「サンキュ」
「私は裏から回るわね」
「了解!」
「りょーかい」
『それではAコンビ対Dコンビによる屋内対人戦闘訓練スタート』
裏口から建物に潜入する。やっぱり死角多いな。気をつけて進もう。恐らく原作通りならかっちゃんがヒーローを探す役で飯田くんが核兵器を守る役のはず。曲がり角を進もうとしたが、勢いよく後退する。
「逃げんじゃねぇ!!」
「逃げなきゃ死ぬわよ」
かっちゃんから右の大振りが繰り出される、前にかっちゃんの懐に入り込み威力高めのガンドをゼロ距離で腹に撃ち込む。吹っ飛んだかっちゃんが突き当たりの壁に激突した。ホコリが舞い上がって鼻がムズムズする。かっちゃんが動かないけど、これくらいでかっちゃんは失神しないはずなので構えを解かない。
「こちら緑谷、敵を一名発見」
『了解!こっちも核兵器見つけたよ』
『時間稼ぎ頼んだ』
「了解」
私が自分の方へ来ないとわかったかっちゃんは即座に立ち上がり距離を詰める。
「オラァ!!」
かっちゃんは殴って蹴って殴って蹴って。私はそれを避けたり受け流したりする。だって当たったら絶対痛いよ。
「避けてるだけかァ!?」
私がここで時間稼ぎをしていることはかっちゃんだってわかってる。このまま戦っててもいいけどそろそろ頃合いかな。
『試合終了!ヒーローチームWIN!』
オールマイトのアナウンスがあり、構えを解く。かっちゃんも敵ムーブをやめている。
「お疲れ様かっちゃん」
「ん。てかテメェ舐めプしてんじゃねぇぞ」
「してないわよ。結構強めに撃ったから貴方今お腹痛いはずよ」
「・・・チッ」
「保健室行ってくださーい」
モニタールームに移動しオールマイトの公表を聞く。敵チームの二人は保健室にいる。飯田くんは気絶したらしい。兄さんに何があったか聞くと、飯田くんに最大出力でスタンガン発射しちゃったらしい。兄さん・・・。
「さて、先程の試合のMVPは誰かな?」
「はい、志村さんです」
八百万さんが答える。
「その理由は?」
「周囲の状況を即座に確認し、その場にあるもので敵の注意を逸らしていた所や飯田さんにスタンガンを発射する際も核兵器に当たらないよう位置を調節していた所がMVPたる理由だと思います」
「せ、正解だよ・・・」
「ありがとうございます」
兄さんすごい事したんだね・・・。映像見れないのが残念だよ。
第2試合はヒーロー組はチームE(尾白くんと葉隠さん)、敵組はチームI(障子くんと轟くん)。無音だから何話してるかわかんないな。轟くんが壁に触れるとどんどん建物を凍らせていく。敵チームは足を氷で固められて動けない。難なくヒーローチームは勝利した。
モニタールームは寒くないはずだが条件反射でみんな震えている。オールマイトとか鼻水出てるし。
「すごいなぁ」
「お前もあんくらい出来んだろ」
かっちゃんが疲れた顔をして帰ってきた。確かにできるけど、それとこれとは話が別だよ。
「木星を撃てるやつに言われたくないよな〜」
「兄さんしっ!」
誰も聞いてないよね?よね?みんなモニターに注目していることを確認して壁側にかっちゃんと兄さんを連れて行く。
「何言ってるのよ!」
「だってホントのことだろ?」
「出来るかわからないわよ!」
「本に書いてあったんだろうが」
「そうだけど、試せないでしょ!太陽系の惑星一つ無くなるのよ!」
「チッ」
「3人とも公表始めるぜ!」
オールマイトの声に何事も無かったかのように振り向きみんなの所に並ぶ。
その後飯田くんも無事目覚めてモニタールームに戻ってきた。そして全ての試合が終わった。
「お疲れさん!みんな大きな怪我もなし!しかし真剣に取り組んだ!初めての訓練にしちゃみんな上出来だったぜ!それじゃあみんな着替えて教室にお戻りー!!」
オールマイトは颯爽と走り去る。活動限界が近いのかな?でも治したから違うか。あぁ、トイレか。
ーーーーーーーーーー
うわ、何あれ。登校したらカメラを持ったマスコミが詰めかけてた。多分オールマイトの教師就任を聞きつけたんだな。認識阻害の結界で横を通り過ぎる。
「昨日の戦闘訓練おつかれ。VTRと成績見させてもらった。言いたいことは山ほどあるが・・・時間がないので本題に移る。急で悪いが今日は君らに学級委員長を決めてもらう」
切島くんを皮切りにみんな自分を推薦し始める。私は別にいいかな。原作知ってる身としては飯田くん=学級委員長って感じだよね。その飯田くんも投票で決めようと言ってるけど手あげてるし。
投票の結果、なんと私が学級委員長になりました。なぜ?かっちゃんがニヤリと笑って私を見ている。君か、君が入れたんだな。私そんなタイプじゃないこと君が一番知ってると思うんだけど!?
「んじゃ副委員長は飯田と八百万、じゃんけんしろ」
八百万さんがじゃんけんに勝ち副委員長になった。悔しがる飯田くん。安心して飯田くん。次のホームルームで君に譲るからね。
午前の授業が終わり昼休み。早いとか言うなよ?今日も今日とてかっちゃんにお弁当を渡したらまた上鳴くんと峰田くんが詰め寄ってきた。しかしかっちゃんが追い払ってくれたのでお礼に抱き着いてきた。もうかっちゃんたら、顔が赤いのバレてるぞ♡
「なあ、あの投票誰にいれた?」
お弁当を食べ終えデザートのいちごパフェを食べている兄さんが突然尋ねてきた。いつも思うけどよく入るね。兄さんの別腹大きすぎるよ。
「私デクちゃん!」
「ありがとう麗日さん」
「えへへ〜」
照れる姿もかわいいな。
「俺は飯田」
「私も飯田くんにいれたわ」
「何!そうだったのか!二人ともありがとう!」
飯田くんが勢いよく頭を下げる。勢いよすぎて隣の人驚いてるよ。
「飯田いんちょやりたそうだったからな」
「じゃんけん惜しかったねー」
「あぁ。だが負けて良かったのかもしれない。僕にはまだ早いと感じたからな」
『僕?』
「ん?・・・あ、いや、これは・・・」
途端に飯田くんが焦り出す。
「ちょっと思ってたけど、飯田くんって坊ちゃん?」
ストレートな物言いの麗日さんもかわいいよ。
「・・・そう言われるのが嫌で一人称を変えていたんだが」
『・・・・・・』
兄さんと麗日さんがじっと飯田くんを見つめる。そんなに見つめると穴開いちゃうから。
「あぁ、俺の家は代々ヒーロー一家なんだ。俺はその次男だよ」
「えぇ!?すごー!」
「ターボヒーローインゲニウムは知っているかい?」
「知ってるよ!超有名ヒーローじゃん!」
「聞いたことあるわ」
「それが俺の兄さ!」
飯田くんが誇らしげに胸を張る。
「あからさまだな」
「しっ!」
すぐ余計なこと言うんだから。
「規律を重んじ、人を導く愛すべきヒーロー。俺はそんな兄に憧れ、ヒーローを志した。しかし人を導く立場はまだ俺には早いのだと思う。俺と違って、実技入試の構造に気づいていた上手の緑谷君が就任するのが相応しい」
大丈夫だよ飯田くん、ホームルームまで待っててね!
ジリリリリリリリッ!!!!
突然警報が鳴った。
『セキュリティー3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋外に避難してください』
アナウンスを聞き生徒達が慌てて席を立ち、出入口に駆け出す。しかし混雑が起こりパニックになってしまっている。
「いかん!なんとかしなければ!」
「待って飯田くん」
パニックを収めようと駆け出しそうな飯田くんの腕を掴む。
「何を言っているんだい緑谷君!このままでは・・・」
「あれを見て」
窓を指さす。そっちを見るとマスコミが昇降口に詰めかけ相澤先生とプレゼントマイクが対応に追われていた。
「あれは・・・!」
「飯田君ただのマスコミなら慌てる必要はないわ。みんなを落ち着かせましょう」
「でもどうやって落ち着かせるん?」
飯田君は周囲を見回し、あるものを見つけた。
「麗日君、俺をあそこまで浮かしてくれないか!」
「わ、わかった!」
麗日さんの個性で飯田くんを浮かし、飯田くんが足のエンジンを起動させ勢いよくEXITと書かれた看板の上に非常口のような体勢でぶつかる。体勢を立て直して声を張り上げる。
「皆さん大丈夫!」
「ただのマスコミです!何もパニックになることはありません!大丈夫!ここは雄英、最高峰の人間に相応しい対応を取りましょう!」
飯田くんの言葉に安心したのかみんな歩みを止めた。そしてパトカーのサイレンが聴こえてくる。
「いっへんはふひゃふはは」
「何言ってるかわからないわよ。あとクリーム口につけすぎ」
「ほうは?」
ーーーーーーーーーー
「それでは他の委員を決める前に、私は委員長の権利を飯田くんに譲りたいと思います」
「な!?何を言っているんだ緑谷君!?」
「昼休みの一件で私は飯田くんが委員長に相応しいと思いました」
切島くんや上鳴くんも昼休みの飯田くんを見ていたようで賛同してくれる。
「時間が勿体無い。早くしろ」
「・・・委員長の指名ならば仕方あるまい。以後はこの飯田天哉が委員長の責務を果たすことを約束します!」
「私の立場は・・・」
ごめんね八百万さん。
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放課後、私と兄さんはオールマイトに呼ばれ仮眠室にいた。
「嫌です」
「ストレートに拒否られたっ!!」
何を話していたかというと、オールマイトからワン・フォー・オールを継承してほしいと言われた。即座に断りましたよ。
「魔力になんらかの影響が出るかもしれないので嫌です。個性と魔力が共存できるとは限らないんです。死ぬなんて私絶対嫌ですからね」
「先に言うと俺もパスな。パワー系は無理」
「Oh・・・」
オールマイトが打ちひしがれている。レアだ。
「というか他にあてあるんですよね?」
「あ、あぁ。雄英に来たのは校長に後継者を生徒から見つけたらどうかと勧められたからなんだ」
「じゃあなんで俺達に訊いたんだよ」
「もしかしたらOKしてくれるかなぁって・・・」
「アンタバカだろ」
「うぐっ!」
胸に手を当てて痛そうにする。後継者候補は通形先輩かな。
「それで誰なんだよあてって」
「3年の通形ミリオという男子生徒を勧められたんだ」
やっぱり。
「でもね、ちょっと、彼とは話辛いんだよ」
「なんで」
「ヒーロー科はプロヒーローの事務所にインターンに行くんだ。それで彼のインターン先の事務所のヤツと昔ね・・・」
「私情ですか」
「うぐっ!!」
また胸を押さえた。サーナイトアイと道を違えてるんだよね。
「明日中にその通形先輩と話してください」
「え」
「候補者がいるなら世間話でも良いので会話してみるべきです。まだまだ現役でいられるようになりましたけど、いつかはその個性を次の人に継承しなければいけないんでしょ?」
「あぁ・・・」
「なら通形先輩が後継者に相応しいか、話さないと」
「・・・わかった。明日はなしてみるよ」
良かったわかってくれた。兄さんオールマイト女子高生に諭されてるー!って顔しないで。
けれどオールマイトは通形先輩と話す機会は現れなかった。
オリ主と転弧のコスチュームはFGOの決戦カルデア戦闘服です。それをイメージしてください。ルーン文字はTYPE-MOONWiki調べです。
2/17 19:40 加筆しました。