魔術師緑谷出久   作:ヤヤヤンヤ

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2日に1話投稿のペースを崩さないようにしなければ・・・!


かっちゃんは千里眼持ち・・・?

 

体育祭の振り替え休日が終わり、今日からまた学校が始まる。

 

「よし」

 

今日は気分を変えて眼鏡をかけてみました!・・・・・・なんてね。これも魔道具です。かけると認識阻害の結界を常時発動できるという代物です。兄さんに作っとけって言われたから作りました。なんで必要なのかわからないけど。

 

「ん?・・・あぁ出久か。すげぇな誰かわかんねぇわ」

「ねぇ、なんでこれいるの?」

「いいから掛けとけ」

 

兄さんに言われるがままメガネを掛けて登校している。見られてるような・・・、気のせいかな。

 

「あの!」

 

兄さんが女子高生に話しかけられた。ナンパか!兄さんは渡さないぞ!

 

「体育祭の時緑谷さんと一緒にいたよね?」

「いましたけど」

「今日は一緒にいないの?」

「アイツ熱出て休みなんすよ」

「そっかー、じゃあ体育祭おつかれって伝えて!」

「わかりました」

 

ん?ナンパじゃない?なんだったんだ?その後も学校に着くまで緑谷さんはいないの?今日休みなんすよ、の繰り返しだった。もしかして、メガネ掛けてなかったら大変なことになってた・・・?

 

「・・・ありがとう兄さん」

「ん」

 

学校に着いたのでメガネを外す。

 

「二人ともおはよう!」

 

飯田くんがカッパに長靴で登校してきた。

 

「おはよう飯田くん」

「はよ〜」

 

飯田くんのお兄さん、インゲニウムがヒーロー殺しステインに襲われたとニュースで報道されていた。ステインを捕まえて飯田くんを改心させるには職場体験まで待つしかない。見る限りいつもと変わらないのは、飯田くんの演技が上手いからだな。

 

今日のヒーロー情報学ではコードネーム、ヒーロー名の考案を行うらしい。

 

『胸膨らむやつ来たぁ!!!』

 

みんな元気だなぁ。相澤先生の眼力ですぐに静かになった。

 

「先日話したプロヒーローからのドラフト指名に関係してくる。指名が本格化するのは経験を積み、即戦力として判断される2,3年から。つまり今回1年のお前らに来た指名は将来性に対する興味に近い。卒業までのその興味が削がれたら一方的にキャンセルなんてことはよくある」

「頂いた指名がそのまま自身のハードルになるんですね」

「そう。・・・でその集計結果がこうだ」

 

黒板に指名件数が映し出される。

 

緑谷 7832

爆豪 4123

轟  3556

常闇 360

飯田 245

上鳴 272

八百万108

切島 68

麗日 20

瀬呂 14

 

「だあっ・・・白黒ついた」

「緑谷7000て・・・」

「群抜いてんじゃん・・・」

 

ファンサしてたからかな?よかったねかっちゃん、表彰台で拘束されなかったから注目度2位だよ。

 

「この結果を踏まえ、指名の有無に関係なくいわゆる職場体験ってのに行ってもらう。お前らはUSJん時、一足先に敵との戦闘を経験してしまったが、プロの活動を実際に体験してより実りある訓練をしようってこった」

「だからヒーロー名か!」

「がぜん楽しみになってきた!」

「まあそのヒーロー名はまだ仮ではあるが適当なもんは・・・」

 

「付けたら地獄を見ちゃうよ!」

 

ミッドナイトがグラビアみたいなポーズで現れた。

 

「学生時代に付けたヒーロー名が世に認知され、そのままプロ名になってる人多いからね」

「ま、そういうことだ。その辺のセンスをミッドナイトさんに査定してもらう。俺はそういうのできん」

 

先生の場合、プレゼントマイクに付けてもらってたもんね。

 

「将来自分がどうなるのか、名を付けることでイメージが固まりそこに近づいていく。それが“名は体を表す”ってことだ。オールマイト、とかな」

 

パネルを貰ったので即座に「デク」と書く。兄さんはどんなヒーロー名にするのかな〜。かっちゃんはまだ大・爆・殺・神・ダイナマイトって思いついて無いだろうし、バクゴーだよね。

 

「じゃあそろそろできた人から発表してね」

 

青山くんや芦戸さんのヒーロー名で大喜利的な雰囲気になっていたけど、梅雨ちゃんの梅雨入りヒーローFROPPYで空気が変わった。よし、次は私だ!

 

「次いきます」

「はい、緑谷さん!」

 

デクと書かれたパネルを出す。

 

「名前を文字ったのね」

「はい、大好きな人に貰った名前なんです。それと頑張れって感じだと言ってくれた人もいるのでこの名前にしました」

 

な、なんか言葉にすると照れるな・・・。

 

「うっ!」

「麗日!?」

 

麗日さん!?・・・・・・なんか悶えてる?

 

「甘酸っぱいわ〜!!」

 

ミッドナイトがくねくねしてる。

 

「よかったな爆豪!」

「ヒューヒュー!」

「煩ぇ!!」

 

みんながかっちゃん見てニヤニヤしてる。かっちゃん何かした?

 

それからみんなも続々と発表していった。兄さんは「テンコ」にしてた。考えるのが面倒くさかったんだね。かっちゃんは爆殺王で却下されてた。物騒だよ。大・爆・殺・神・ダイナマイトも物騒なんだけどね。ダイナマイトだけなら幾分かマシだからいいのか?

 

飯田くんは「天哉」だった。インゲニウムにするにはまだ心残りがあるんだろうな。

 

「さて全員のヒーロー名が決まったところで話を職場体験に戻す。期間は1週間、肝心の職場だが指名のあった者は個別にリストを渡すから、その中から自分で選択しろ。指名のなかった者はあらかじめこちらからオファーした、全国の受け入れ可の事務所40件、この中から選んでもらう。それぞれ活動地域や得意なジャンルが異なる」

「例えば13号なら、対敵より事故・災害などの人命救助中心、とかね」

「よく考えて選べよ」

『はい!』

 

この中から選ぶのか、どうしようかな。サーナイトアイから来てたりしないかな。さ、さ、さ・・・・・・、あった・・・。え、うそ、本当にあった。多分サーナイトアイは私がオールマイトの秘密を知ってること知らないから指名してきたんだ。行った方がいいのかな、いやでも保須に行かなきゃだし・・・。

 

どうしようか考えて過ごしていたらいつの間にか放課後になってた。あと2日で決めなきゃなのにー!

 

「デクちゃんどこ行くか決めた?」

「まだ悩み中・・・」

「緑谷少女!」

 

教室のドアを開けると変な姿勢のオールマイトが現れた。

 

「オールマイト、どうしたんですか」

「ちょっといいかな!志村少年も来てくれ!」

 

人気の無いトイレ前に連れていかれた。グラントリノのことだな。

 

「単刀直入に言うと君達にヒーローから指名が来ている。その方の名はグラントリノ、かつて雄英で1年間だけ教師をしていた。私の担任だった方だ。ワン・フォー・オールの件もご存じだ」

「なんで通形って人じゃなくて俺らなの?」

 

確かに。通形先輩に断られたのかな。

 

「そ、それはだね・・・、えっと・・・」

「・・・まさか、話してないとか言いませんよね?」

 

オールマイトが目を逸らす。

 

「敵連合襲撃事件で忙しかったにしても、3週間近く経ってますよ」

「て、手紙を出したのが襲撃事件前だったんだ!だからグラントリノも君達を指名したんじゃないかな!」

『手紙?』

「君達が助けてくれたことをお伝えしたんだ。勿論緑谷少女の力のことは書いてないからね!」

 

それだけで私のことを指名するかな?兄さんはオールマイトのお師匠さんの孫だからわかるけど。ていうかオールマイトはなんで兄さんのこと気づかないんだろう。結構似てると思うんだけどな。

 

「し、しかし昔の名を出して指名してくるなんて・・・!怖い!怖ぇよ!ふ、震えるな、この足め!」

 

オールマイトがスマホのバイブレーションレベルで震えてる。そんなに怖かったんですね。

 

サーナイトアイも気になるけど、やっぱり飯田くんの件もあるし、グラントリノの所に行こう。オールマイトと別れ麗日さんの待つ下駄箱に向かう。

 

「指名来てたんや!よかったね志村君」

「おう」

 

兄さんが飯田くんの靴箱を開ける。

 

「無ぇな。アイツ先帰ってやがる」

「飯田君心配だな・・・」

 

その日から職場体験が始まるまで飯田くんと一緒に帰ることはなかった。

 

ーーーーーーーーーー

 

職場体験初日

 

駅からそれぞれの職場体験先に向かう。

 

「全員コスチューム持ったな?本来なら公共の場じゃ着用禁止の身だ。落としたりするなよ。くれぐれも体験先のヒーローに失礼のないように。じゃあ行け」

『はい!』

 

飯田くんが何も言わず立ち去ろうとする。

 

「飯田くん!」

 

飯田くんは振り向かない。

 

「何かあったら絶対に連絡して。友達でしょ」

「・・・・・・あぁ」

 

そう言って飯田くんは離れていった。

 

甲府行き新幹線の時間が迫っていたため急いで乗り込む。グラントリノの事務所は都市部から離れた所にあるので駅に着いてもバスを乗り継ぐ必要がある。

 

3時間ほど公共交通機関に揺られグラントリノの事務所に着いた。

 

「ここね」

「汚な」

 

確かに清潔とは言い難い建物だ。インターンが無いため扉をノックするが応答がない。

 

「鍵開いてんじゃん。雄英高校から来ましたー」

 

扉を開けると血溜まりに倒れるグラントリノがいた。その傍らには繋がったソーセージが落ちている。

 

「ヤバ、これ殺人現場だよな」

「あれケチャップよ」

 

ものすごいケチャップ臭がしてるもん。どうやったらこんなにケチャップが飛び散るんだろう・・・。

 

杖を拾い倒れているグラントリノに近づく。意外と小さいな。

 

「グラントリノ、グラントリノ起きてください」

「生きとるぞ!」

 

グラントリノが勢いよく顔を上げる。

 

「ん?誰だ君は」

「緑谷出久と言います。雄英から参りました」

 

起き上がろうとしたため手を貸し、杖を差し出す。

 

「ありがとねお嬢ちゃん。・・・誰だ君は!」

「緑谷出久です」

「志村転弧でーす」

 

グラントリノが兄さんの名前にピクッと反応し目を見開く。

 

「志村・・・」

「ん?」

「誰だ君は!」

 

ありゃ、元に戻った。

 

次にグラントリノはメシが食べたいと言い出したので冷蔵庫を見てみると何もなく、冷凍庫を見てみると冷凍たい焼きがあったので解凍して食べさせた。

 

「食った食った。んじゃ見てみるか」

 

そう言ってグラントリノは兄さんのコスチュームが入ったアタッシュケースを漁り始める。兄さんはというと先ほどから家の探索を家主の許可なしに行っている。

 

「ほー、今時のコスはこんなんなってんのか」

「アメコミの家みてー」

 

兄さん人の家のお風呂見て何言ってるの。お風呂にアメコミ要素なんてあるの?

 

「お嬢ちゃん、ヒーロー名は」

「デクです」

「デク、お前のそれ個性じゃないね」

 

いつの間にかグラントリノが目の前に来ていた。

 

「どうしてそう思うんです?」

「ルーン文字ってたか?昔あれを見たことがあるんだよ。もう50年も前だがな」

 

グラントリノはそう言って懐から一冊の本を取り出した。ものすごくボロボロで掠れてるけどSORCERYと書いてある。

 

「これをどこで?」

「貰ったのさ。助けた礼にってな。アイツは自分のことを魔術師と言っていた。お前さんの個性もおんなじだ」

「その魔術師さんは今からどこに・・・」

「死んだよ。力尽きる寸前にそいつを渡してきたのさ」

 

本の中身を見る。・・・・・・確かに私が持っている本と同じだ。

 

「グラントリノが仰ったように、私の力は個性ではありません」

 

私は自分が無個性なこと、魔術を扱えること、オールマイトとの出会いを話した。オールマイトのことを話している時グラントリノは呆れてものも言えないとでも言いたいような顔をしていた。

 

「俺も訊きたいことあんだけど」

「なんだ」

「なんで俺に指名入れたわけ?俺、体育祭初っ端でリタイアしたはずなんだけど」

 

やっと兄さんがお風呂場から帰ってきた。

 

「志村転弧、お前さん自分の父親の名前は知ってんのか?」

「志村弧太郎」

「そうか・・・。お前の祖母が俊典、オールマイトの師匠っつう話は聞いたか?」

「はあ?知らねぇよんな話」

 

今度はグラントリノが彼の盟友で先代のワン・フォー・オール継承者、志村菜奈さんのことや6年前のオールマイトとオール・フォー・ワンとの戦いについて話してくれた。

 

「お前さんをテレビで見た時目を疑った。志村によく似とるからな。あの馬鹿が気づかんのが不思議なくらいだ」

「・・・・・・」

「すまんな、お前さんには辛い道を歩ませてしまった」

「・・・・・・別にその志村菜奈・・・ばあちゃんが俺を殴ってたわけじゃねぇし」

 

兄さんは父親からの度重なる虐待(躾だと言われていたらしい)から逃げている所を引子さんに発見され、保護された。兄さん的には志村家には未練は無いらしい。個性が判明したのは父親の大事なものを崩壊させたからと言ってた。大事なものが何なのかは教えてくれなかった。

 

「転弧、高校出たら俺のとこに来ないか?」

「・・・なんだよ急に」

「指名したのはこの話がしたかったからだ。ここを継いでほしいんだよ。生憎とこの街にはヒーロー事務所が俺のと少し先の2つしかねぇ。俺が死ぬ前にお前を立派なヒーローにしてぇんだ。それにジジイ一人じゃあできねぇこともあるんだよ」

「・・・・・・」

 

確かにグラントリノは隠居してる身、でも脳無蹴散らしてたけどなぁ。身のこなしがご老人じゃないんだよなぁ。

 

「いいんじゃない?兄さん自分でも言ってたでしょ、俺は都市部でバリバリ敵を倒して活躍するようなヒーローじゃなくていいって」

「・・・・・・じいちゃんは俺でいいん?」

「お前さんに継いでほしいんだよ」

 

結局兄さんは保留にさせてくれと言った。まあ卒業するまであと2年はあるし、グラントリノも気長に待つさと言っていた。

 

1日目は話をするだけで終わってしまったけど、2日目からグラントリノの特訓が始まった。家の中を飛び回るグラントリノを捕まえれば勝ちなんだけど・・・ビュンビュン飛び回って捕まえられない!目で追えるのと捕まえられるのでは訳が違う。あ、ちょ、グラントリノ!電子レンジ壊れてます!ペシャンコです!

 

「体育祭で見てたが結構動けるみてぇだな」

「ありがとう、ございます・・・!」

「腹へったー!」

 

2日目はグラントリノにボコボコにされて終わった。あ!グラントリノたい焼きでご飯を済まそうとするのはやめてください!栄養が偏ります!

 

ーーーーーーーーーー

 

「フェーズ2に移る。今から渋谷に行くぞ」

 

3日目の夕方、グラントリノが突然渋谷にパトロールに行くと言い出した。

 

「なんで渋谷なんだよ」

「人が集まりゃそれだけ揉め事も起こる。俺とばかりと戦ってると全く違うタイプへの対応でつまづく。次は様々なタイプと状況の経験を積むフェーズだ」

 

特訓のため着ていた体操服からコスチュームに着替えタクシーに乗り込む。

 

「ホントにこれで行くのかよ」

「ヒーロー同伴でなきゃ着られん服だろ?最高の舞台で披露できるのを喜びんさい」

 

20分ほどタクシーに揺られ新宿行きの新幹線に乗り返える。辺りはもう日が暮れ始めていた。

 

「新宿つったら保須横切るな、飯田の職場体験先だったろ?」

「えぇ。・・・兄さん」

 

兄さんを呼び寄せ小声で話す。

 

「飯田くん多分ヒーロー殺しを追っているわ」

「マジか。この頃のアイツなんかおかしかったのそういうことか」

 

兄さんがスマホを取り出し、飯田くんに「保須横切るぜ。そっちどんな感じだ?」とメッセージを送る。

 

「既読つかねぇわ」

 

もうステインと交戦してるのかな・・・。

 

「おい、あのビル爆発したぞ!」

 

窓の外を見ると火災が起こっていた。

 

「お客様、座席にお掴まりください」

 

車内アナウンスの後新幹線が急停車する。それと同時に目の前の新幹線の壁が破壊されヒーローが飛ばされてきた。ヒーローは立ち上がろうとしたが現れた長身の脳無に押さえ込まれる。乗客の悲鳴が耳をつんざく。

 

「お前らはここにいろ!」

 

グラントリノが猛スピードで脳無に蹴りを打ち込む。脳無が怯んだ隙を見てグラントリノは脳無を捕まえ車外へ去っていく。

 

「大丈夫ですか」

 

頭から血を流すヒーローに持っていたハンカチで気休め程度の止血をする。

 

「あ、あぁ・・・」

 

車掌さんにヒーローを任せ、ポケットからホウキを取り出す。

 

「兄さんは乗客の避難をお願い。私は飯田くんを探すわ」

「了解。気をつけてな」

「えぇ」

 

車掌さんの静止を無視し、空を飛ぶ。

 

ᛒᛖᚱᚲᚨᚾᚨ(ベルカナ)

 

線路からくすねてきた石に探索のルーンを記すと、石から細い糸のようなものが出てくる。これを追っていけば飯田くんの位置がわかる。

 

2,3分かかったけど、目的の場所に着いた。みんなに一斉送信で位置情報を送り、急いでホウキから降りて飯田くんの元へ向かう。ステインが飯田くんの背に足を置き、剣を振り下ろそうとしていた。

 

『止まれ』

 

ステインの動きが止まる。

 

「ガンド」

 

ステインが吹き飛び、奥の壁にぶち当たる。敵なので手加減はしません。思い切りガンド撃ち込みました。

 

「なぜ君が・・・」

 

飯田くんが倒れたまま目を見開き私を見ている。血を舐められて動けないんだ。ステインの個性は血を舐めて相手を動けなくさせる、血液型によって動けない時間は長くなったり短くなったりする、だった気がする。

 

「助けに来たわ、飯田くん」

 

飯田くんとネイティブの傷を治癒魔術で治す。流石に個性までは解除できないから動けるまで待つしかないけど。

 

「どうして・・・」

「言いたいことは山ほどあるけど、飯田くんが無事でよかった」

「・・・!」

 

傍らにあったゴミ置き場からロープを拝借して倒れているステインに近づく。・・・・・・よし、気絶してる。ロープでグルグル巻きにして通りに寝かせとこう。

 

「飯田!」

 

ん?

 

「轟君・・・!」

 

轟君!やっぱりエンデヴァーこっちに来てたんだ。

 

ステインを引きずって轟くんの方に向かう・・・が全然進まない。この人めっちゃ重いんですけど!うおりゃーー!!!

 

「緑谷、俺が持つ」

「あ、ありがとう轟くん」

 

轟くんにロープを渡すと難なく引っ張っていく。なんてスマートな動きっ・・・!べ、別にカッコイイなんて思ってないんだから!嘘です。カッコイイです。でも私にはかっちゃんというクソハイスペイケメン男がいるので、君はお蕎麦と仲良くしててください!!

 

「どうした緑谷」

「な、なんでもないわ」

 

いけないいけない。落ち着け緑谷出久。そうだ、兄さんに連絡しなきゃ。「間一髪飯田くん救出」と。あとグラントリノに電話、電話・・・。

 

『もしもし』

 

数コール待つとグラントリノが出た。

 

『グラントリノ、デクです。ヒーロー殺しを見つけました』

『何!?お前今どこだ!』

『江向通り4の2の10という所です』

『馬鹿野郎!!新幹線に乗ってろつったろ!!』

 

ぎゃ!!耳がキンキンする・・・。ブチッと通話を切られた。

 

「緑谷君、轟君・・・」

 

個性が解除されたらしい飯田くんが立ち上がっていた。

 

バチンッ

 

「!」

 

飯田くんの頬にビンタをかました。轟くんが突然のことで目を見開いている。ごめんね驚かせて。

 

「飯田くん、自分がどれだけ危険なことしようとしていたかわかる?・・・お兄さんの仇を取りたい気持ちはわかるわ。でも私達はまだヒーローじゃないの、敵を発見したのなら応援を呼ぶべきだったのよ」

「・・・・・・すまない」

「・・・飯田」

 

轟くんが話しだす。

 

「兄貴がヤられてからのお前が気になってた。恨みつらみで動く人間の顔はよく知ってたから・・・。お前、インゲニウムみたいなヒーローになりてぇんだろ。・・・・・・なりてぇもんちゃんと見ろよ」

 

轟くんの言葉を聞いて飯田くんの目から涙が溢れる。轟くんが来てくれてよかった。私だけじゃ飯田くんの心のモヤモヤは晴れないと思ったから。

 

ーーーーーーーーーー

 

数分後猛スピードでグラントリノが駆けつけた。

 

「こんの馬鹿!!」

 

ゴチン

 

「痛ぁっ!!!」

 

頭に拳骨されたーー!!

 

「待機しろと!言ったろうが!お前は!何を!しとるんだ!バカタレがっ!」

「痛い!痛いです!グラントリノ!」

 

同じ所を何度も何度も拳骨してくる!ちゃんと屈んでる私偉くない!?偉いよね!?

 

「まったく・・・。テンコはどうした」

「うぅぅ・・・、乗客の避難誘導をしていると思いますぅ・・・」

「ヒーロー殺しはどこだ」

「・・・そこです。気絶してます」

 

ロープでグルグル巻きのステインを指さす。

 

「お前がヤったっんだな」

「はい」

「はぁぁ・・・」

 

そんなに呆れないでください。気絶してたけど念のため眠らせて、治癒魔術施したから傷一つないはずですよ。

 

その後他のヒーローもやって来て捕縛されたステインを見て驚いてる。翼付きの脳無が飛んで来たけどステインの刀(ステインから取り外し済み)で捕まる前に頭ぶっ刺して殺した。グラントリノのスピードで目が慣れたからよかった。無茶するなってまた拳骨された・・・。無茶じゃないです!

 

その後は何事もなくステインは警察に引き渡されていきました。

 

ーーーーーーーーーー

 

翌日

今日は昨夜のヒーロー殺しステインの件で保須警察署へ来たのです。絶対怒られます。飯田くんや轟くん、マニュアルさんも来てます。轟くんは個性使用してないのに何で呼ばれたんだろう?兄さんは事務所で待機してる。

 

婦警さんに案内されたのは署長室。署長さんめっちゃ犬だ。この人語尾にワンってつけてた人だ。

 

「来たワンね」

 

ほら。

 

「私は保須警察署署長の面構犬嗣だワン。君達、というか君がヒーロー殺しを仕留めた雄英生徒だワンね」

 

面構さんが私を見る。つぶらな瞳だ・・・!

 

「はい」

「逮捕されたヒーロー殺しだが、全くの無傷。しかし現場の状況から見るとおかしいんだワン」

「自分が個性を使用して治癒させました。飯田くんやネイティブさんの傷も同様です」

「人命を助けたからといって、個性の無断使用は認められないワン」

「はい。どんな処分でも甘んじて受けるつもりです」

 

痛い!!グラントリノがスネ蹴ってきた!なんで!?

 

「・・・君を処罰するにはヒーロー殺しは君が捕獲したと公表しなければならない。だが、此方としても前途ある若者を罰するのは忍びない。ましてやヒーロー殺しを捕まえてくれたんだからね。そこでだ、君の功績をプロヒーローがしたことにできるんだワン。あの時いたヒーローの中で最もそれが可能なのは・・・」

「エンデヴァー」

 

轟くんが(うやうや)しく呟く。

 

「そう。エンデヴァーを功労者として擁立する。幸いにも目撃者は限られている。この違反はここで握り潰せるんだワン。どうかな?」

「それで構いません。ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」

 

そんなわけで私と飯田くんはお咎めなしとなった。轟くんが呼ばれた理由は口裏合わせのためだったらしい。

 

A組のみんなには「保須市でヒーロー殺しに遭遇したけどエンデヴァーによって助けられました。五体満足、誰も怪我してません。突然のメッセージごめんなさい」と地図を送った理由と詫びを送信した。かっちゃんは「お前がやったんだろ?」というメッセージが来ていたので、また後日詳しいことを話すと返信した。でもなんでわかったんだろう?かっちゃんってば千里眼持ち?あり得るな・・・。

 




ステイン戦、ものすごく短くなってしまいました。
仕方ないよねチートなんだから。
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