初めて評価バーに色がついてウキウキしております。
「《Ⅶ組》の皆は今週末に《特別実習》かぁ」
「はい、僕はケルディックの方に行く予定です。行ったことないので楽しみなんですよね」
「そんじゃ、何かお土産を期待しておくぜ~」
「私からはレディたちの写真を所望する」
「お二人はいつも学院を抜け出して帝都に繰り出してるからお土産ありませんが???」
《実技テスト》が終わったらしいシオン君は、生徒会室に手伝いに来てくれて、それを終わらせるといつもの皆で技術部に集まって話に花を咲かせていた。前年度に《Ⅶ組》の前身のようなチームを組んでいた私たち2年生としては、どのように《Ⅶ組》が成長していくのかをとても楽しみにしている。
シオン君は入学初日に技術部で会ってから仲良くしてるけど、良い子だなーって思う。本人はできるからやってるだけですって言ってたけど、暇があれば生徒会の手伝いや技術部でも手伝ったりしてくれている。リィン君も手伝ってくれて、最近では時間に余裕ができてこうして楽しくおしゃべりができる。
「シオン君、これなんだけど、こんな感じでいいのかい?」
「あ、はい。……流石ノーム部長です、完璧です」
そういってジョルジュ君がシオン君に渡したのは2本の直剣だった。もしかしてシオン君の武器なのかな?
「シオン君、それは?」
「お、ついに完成したのか。いっちょ試してみようぜ」
「良いですけど絶対に貸しませんからね」
そういいながら部室の広いところで剣を銃に変形させたり戻したり、同時に変えたりと動作確認をしている。
「すごい、シオン君器用なんだね」
「ええまぁ、はい。ありがとうございます」
「お、なんだ?私の愛しのトワの賛辞に照れているのかい?意外と初心だね」
「素直に褒められたら誰でもこうなります」
言いながら武器をしまう。ジョルジュ君にもう一度お礼を言って、持ってきていた鞄から箱を取り出す。
「はい、お礼のケーキです。ノーム部長好みの甘さにしてます。他の皆さんにも用意してますからちょっと待ってくださいね」
「お、気が利くじゃねーか」
「ありがとうシオン君、有難くいただくよ」
「ふむ、相変わらずの腕の良さだ……ところで将来ログナー家の専属料理人として働く気はないかな?」
「もう、アンちゃん、シオン君を困らせたらだめだよ?シオン君、ありがとう、美味しく頂くね」
みんなで事前に幾つかに切り分けられたケーキを囲む。その間に紅茶とコーヒーも入れてくれたみたいで、瞬く間にお茶会になった。もうその動きはほんとに執事さんと変わらない動きでびっくりしちゃった。
それからしばらく談笑して、今日はテストもあってシオン君もお疲れだろうし、解散という運びに。
技術部から出ていくシオン君を見送った時、忘れ物をしているの見つけた。懐中時計みたいだ。でも一度も使ってるのを見たことがない。でも明らかに古そうだし、大切なものだったら大変。よし、まだ近くだろうし、届けてあげなくちゃ!皆に忘れ物を届けてくると言って駆け出す。幸いゆっくり歩いていたようで、目的の背中はすぐに追いついた。
「シオン君!」
「あれ?ハーシェル会長?どうかしましたか?」
「これ、忘れてたよ」
懐中時計を差しながら、日ごろの感謝も伝えなきゃ。いつもお世話になってるけど仕事が終わったらいつの間にか帰ってることが多いんだもん。
「あ、あのね、いつも生徒会のお手伝いとかしてくれてありがとう!なにか困ったら頼ってほしいな。それに《特別実習》、学院の外で何もサポートできないけど気を付けてね」
少しびっくりした顔が見えた。その後困ったような顔になったように見えたけど、それも一瞬のことで、いつもの笑顔で
(俺、貴女にそう言ってもらえる資格ないんだけどなぁ)
「いえ、あれくらいお安い御用です。会長には色々お世話になってますから。気を付けていってきます」
そう言って再び第三学生寮に歩いて行った。なんだかわからないけど……大丈夫だよね?
「全く、貴族と一緒に夕食など……」
「フン、こんなやつと共に食事など……」
「言いつつも二人とも手が止まってないね」
「ま、まぁシオンのご飯どれも美味しいしね……」
「うむ。レグラムの家の料理人ともいい勝負かも知れない」
「ああ、オレの故郷の料理も再現出来ているし、シオンはやはり器用だな」
「(セリーヌ、どうですか?)」
「(うーん……特に変な感じはしないけど。本当にヴィータの手がかりがあるの?)」
「むむ……なんだかこの料理の味、すっごく食べたことがある気がするんですけど……」
「皆が楽しんでくれてるなら僕は大満足だよ」
「はは……すごい量だな……これ、一人で作ったのか……」
「うーんおつまみが美味しいー!シオーン、お酒お代わりー!」
《特別実習》当日。朝アリサと仲直りすることが出来た。目下の悩みが消えた所で談笑していると、上からエリオットとラウラが降りてきた。後はシオンだけだったが、テーブルの上に置き手紙。
『少し技術部に寄ってから行くから先に駅で待っていてほしい
シオン・ルクレシア』
そういうわけで先に駅に行くと、B班の面々が既に揃っていた。……少し気まずい雰囲気が流れているが。どうやらすぐの鉄道で向かうらしい。パルムは帝国で一番南の方だし、ついても夕方だとか。時刻表でもう少しで列車が到着する頃。
「いやー、危ない危ない、もう少しで置いてかれるところだったわ」
「ある意味自業自得でしょう……ごめん、少し時間かかっちゃった」
サラ教官とシオンが走ってきた。サラ教官は大きな包みを、シオンはバスケットを持っている。
「二人とも、それは?」
「ああこれ?列車の中で皆で食べようと思って。朝ごはん」
「B班は昼食分まで入ってるわよー」
「ん、シオンのお弁当は美味しいから楽しみ」
「委員長達の好きなもの多めに入れてあるから、その……頑張ってね?」
そう話して間もなく、帝都行きの列車が到着した。パルムへは一度帝都を経由するので、これを利用するらしい。
「それじゃシオン、A班は任せたわよ~」
「はぁ……はい、了解です」
B班を見送った後、俺達も列車が来るまでホームでしゃべりながら待つことに。
「そういえばさっきサラ教官がシオンにA班は任せた~とか言ってたけど、シオンが班長とかなの?」
「いや……むしろ逆というか……」
「逆?そなただと思っていたのだが……」
苦笑しながら説明してくれる。
「僕が出張ると今回の実習に支障が出るから後方腕組保護者面してなさいって言われてね……そんなわけで、基本僕はサラ教官の代わりになるかな」
「なるほどね……つまり今回の実習のあなたは」
「案山子同然です……」
「そ、そこまでは言ってないじゃない!」
しくしくと泣き真似までしている。……なんだかんだで愉快な性格をしていると思う、あいつ。そうやって時間をつぶしていると俺たちが乗るクロスベル行きの列車が到着、ケルディックへと出発した。
列車の中でシオンが用意してくれたサンドウィッチを食べ、今回の実習で訪れることになるケルディックについておさらいする。宿で実習に関する封筒を受け取ることになっているのだが……
「随分と準備が良いわよね……」
「まぁそれだけこの《Ⅶ組》が期待されてるってことだね。生徒会の忙しさもその半分くらいは《Ⅶ組》関連だしね」
「そうなのか……やっぱりトワ会長には頭が上がらないな」
「うむ。折を見て私も挨拶しておきたいな」
「まぁその内関わると思うよ?と・こ・ろ・で……」
真面目な雰囲気から一転、とても楽しそうな笑顔を向けてくるシオン。
「君たちやーっと仲直りしたの?こっちがいつ仲直りするかずーっとひやひやしながら見ていたというのに、よりにもよって僕がみていないときに仲直りするとは酷いじゃない。ラインフォルトがシュバルツァーにノート見せていたのが見えたときには余りの健気さに導力カメラで激写しようか悩んだほどだよ。それで仲直りの経緯を微に入り細を穿つ説明でお願いしてもいいかい???」
「早いわよ!というか見てたの!?」
「ああうん、シオンの暴走が始まったな……」
「ええ、これどうするの……?」
「うむ……私も気になるな。アリサも随分気にしていたことだ、私にも聞かせてくれないか?」
「も、もう、ラウラまで……!」
こうして、時に骨董屋で手に入れたブレードを嗜んだり、時に話に花を咲かせながらにぎやかに俺たちはケルディックへと向うのだった。
『翌日』
サラ「うーん頭痛い……流石にちょっと飲みすぎたわね……」
シオン「せめて翌日が休みの時に飲んでくださいよ……」
リィン「ははは……ともかく、これで全員そろったな」
ガイウス「こんな大人数で食卓を囲むというのは故郷を思い出すな」
エリオット「そういえばガイウスはノルドの出身なんだよね。僕はまだ行ったことないんだけど、どんな感じ?」
ガイウス「とてもいいところだ。あの風はオレにとっての誇りだ。是非機会があれば尋ねてみてくれ。その時はオレが案内しよう」
アリサ「……」
ラウラ「アリサ……まだ仲直り出来ていないのか?」
アリサ「はぁ……そうなのよ。週末には《特別実習》もあるし、どうにかしたいいんだけど……」
エマ「あはは……そちらも難航していますね。私とフィーちゃんも……」
マキアス・ユーシス「…………」
フィー「前途多難」
アリサ「……エマも頑張ってね」
特別実習まで行きたかったなって話。ちょっと……色々書きたくて……!