追放されたビーストテイマー、慈愛の勇者と出会う。 作:不死身の機動歩兵隊
‐とある異世界の街宿‐
私はレイン。職業はビーストテイマー。様々な動物と心を通わせて契約する事で使い魔にし、その力を使役する。戦闘では不向きでも、勇者パーティーの一員として過酷な冒険のサポート役を私なりに頑張って仲間と信頼を築いてきた。つもりだった・・・
冒険の道中で立ち寄ったホライズンの街にある宿の1つ。一室に呼ばれた私が部屋に入ると、勇者のアリオスと他の3人の仲間。戦士のアッガス、魔法使いのリーン、神官のミナがいた。全員が厳しい視線をこちらに向ける中で、アリオスの言葉は私とって寝耳に水だった。
レイン
「えっと・・・ちょっと待って、いきなりそんな事を言われて状況が理解できないよ・・・もしかして、ドッキリとか・・・」
アリオス
「そんな訳がないだろうッ!」
苛立ちを表現するように、アリオスがテーブルを叩く。それに続いて、アッガスもこれ見よがしに舌打ちする。そしてリーンは溜息を吐き、ミナは無言でゴミを見る様な目を向けてくる。
レイン
「皆・・・本気なの・・・り、理由を教えてよッ!!」
リーン
「理由?そんなの1つしかないじゃない~。あんたがお荷物だからよ。あんたはまるで役に立ってない。皆の足を引っ張って存在そのものがマイナスになってんのッ!!分かるッ!?」
レイン
「マイナス・・・」
アリオス
「心当たりはあるだろう?敵にダメージを与える事ができず、逆に敵に狙われて仲間の手を煩わせる始末。出来る事と言えば、動物を使役して周囲の探索と荷物を運びくらい・・・これを役立たずと言わず、何て言えばいいんだい?」
ミナ
「元々無理な話だったのです。」
アッガス
「子供に付いてこられても迷惑だ。」
リーンが近付いて理由を言い、お荷物だと口を出す。私はその言葉にただ唖然とする。そしてアリオスの言葉に続いてミナとアッガスはそう言って話が続く。何なの、これ・・・私は今まで仲間に、こんな風に思われていたの・・・!?
レイン
「そんな・・・私は「レイン。これ以上僕達を失望させないでくれ。あぁ、装備は置いてってくれよ。それは僕達が集めた物だ。」・・・分かった。」
私は言われた通りに所持している装備を渡した後、背を向けて部屋を出る。その後ろではアリオス達の瀬々笑う声が聞こえてくる。その時、仲間との縁が完全に切れた気が・・・違うか、元々仲間でも何でもなかったのかもしれない。
‐広場‐
私は宿を出た後、広場の木陰にあるベンチに座って空を仰ぐ。
レイン
(これからどうしよう。幸い所持金*1は取られなかったから別の宿に泊まれるけど、長くは持たない。)
何とかして収入手段を確保せねばと考えていた時、ふと声が聞こえてそちらを見る。
冒険者A
「今日はどうする?」
冒険者B
「今日はホーンボアでも狩るか!沼地の方だけ避けて後は・・・」
冒険者の2人組がそう話しながら通っていった。冒険者か・・・渡り鳥のように自由に生きて、自由に死ぬ。報酬目当てで依頼を受け、己の腕1つで生きていく職業。今まで魔王を倒すという使命感を持って戦ってきたけれど・・・
レイン
「(それも失われた今の私には丁度いいかもしれない。)やってみようかな、冒険者に!」
そして私は冒険者ギルドへ向かう。
‐数時間後 ホライズンの街外れの森‐
ギルドに行った私は受付嬢から簡単な説明を聞いた後、試験を受ける事になった。内容は街外れの森に生息するゴブリン10体の討伐。一定以上の実力を証明する事でギルドに登録され、始めて冒険者になれる。
レイン
「これで10体目っとッ!」
私でも倒せるFランクの魔物、ゴブリンをサクッと倒す。魔物は倒すと魔石に変化する。これをギルドに提出すれば魔物を討伐した証拠なる。
レイン
「さてと。全部取り終えたし、早速ギルドに戻ろう!」
魔石を回収してギルドへ向かおうとした時、ふと何かを感じた。私は空を見上げると、まだ太陽が明るい時なのに青い星が輝いていた。それを不思議に思っていると突然青い星が落ちてたッ!
レイン
「うわぁッ!?」
青い星は私のいる場所から離れた所へ落ちると同時に地響きが起きて土埃が舞う。私は青い星が落ちた方を見ると、そこには2つの巨影があった。
???
「ピィィィヤァァァッ!」
???
「シュワッ!」
1つは不気味な甲虫の様な姿をした今まで見た事がない巨大な怪物と、青と銀の巨人の姿があった。2体は距離を保ちつつ相手の出方を見ていた。すると両者は同時に動いて組み付く。甲虫の怪物の力が強いのか、青い巨人は押されていく。
青い巨人
「セアッ!」
甲虫の怪物
「ピィィィヤァァァッ!?」
けど青い巨人は後ろに転がる様に倒れこみ、足を相手の腹に当て、蹴り上げて頭越しに投げる。投げ飛ばされた甲虫の怪物は背から地面にぶつかり、悶える。
青い巨人
「フンッ!」
甲虫の怪物
「ピィィィヤァァァッ!」
その間に立ち上がった青い巨人は構えを取る。悶えていた甲虫の怪物は起き上がると口から赤黒い光線を放つ。それを青い巨人は避ける。外れた光線が森に直撃した時、とんでもない光景を目にする。
レイン
「森が・・・砂漠にッ!?」
甲虫の怪物が放った攻撃が森を一瞬で塵にして砂漠へと変えた。あんなのを放置したら計り知れない被害と犠牲者が多く出るッ!
甲虫の怪物
「ピィィィヤァァァッ!」
青い巨人
「フッ!ハァッ!」
私が驚愕している間、甲虫の怪物が放つ光を両肘を使って次々と弾き飛ばしながら近付く青い巨人。懐に入った青い巨人は掌底打ちで攻撃するが、甲虫の怪物は羽を広げて飛んで避けられる。
青い巨人
「フンッ!」
甲虫の怪物
「ピィィィヤァァァッ!?」
レイン
「凄い・・・ッ!」
甲虫の怪物が空を飛んで青い巨人を攻撃しようとするが、右手を前に突き出して放たれた光線が甲虫の怪物を撃ち落とす。冷静に対処する青い巨人の姿に私はその強さを感じる。
甲虫の怪物
「ピィィィヤァァァ・・・?」
レイン
「ッ!」
甲虫の怪物
「ピィィィヤァァァッ!」
私が青い巨人の強さに呆気に取られていた時、再び起き上がった甲虫の怪物に見付かると同時に私の方へあの光線を放つ。避けられないッ!両腕を前に出して顔を庇う。
激しい音と熱を感じるだけで何も起きなかった。何故と思った私は両腕を下げて見ると、青い巨人が両腕を広げて私を守ってくれていた。
青い巨人
「グッ!」
甲虫の怪物
「ピィィィヤァァァッ!」
甲虫の怪物は私を庇って動けない青い巨人に攻撃する。その攻撃は青い巨人の背に次々と放たれる。
ピロンピロンピロンピロン
青い巨人
「ウ・・・ッ!」
レイン
「ッ!私の事はいいから避けてッ!!」
青い巨人の胸にある宝石が青から赤く点滅する。直感的に青い巨人の身が危険だと分かった。私は逃げる様に言うが、青い巨人は動かなかった。そして遂に青い巨人が倒れてしまう。
青い巨人
「ウ・・・ッ!」
甲虫の怪物
「ピィィィヤァァァッ!」
青い巨人が倒れたのを見た甲虫の怪物は森を離れて街の方へと向かう。不味い!いくら勇者パーティーが相手でもあの甲虫の怪物には勝てない。最悪な事態を思い浮かべた時、子供の頃の記憶が蘇る。
レイン
「あんな思いは、もうしたくないッ!!」
私は唯一使える攻撃魔法のファイアボールを甲虫の怪物に放ち続ける。効かないのは分かってる。でも注意を私へ向けられればそれでいい!
甲虫の怪物
「ピィィィヤァァァッ!!」
レイン
「よしッ!このまま街から遠ざけて―――ッ!?」
私の狙い通り、私の攻撃でイラ立った甲虫の怪物の注意は私に向いた。甲虫の怪物を街から遠ざけ様とした矢先、私は足を躓いて転ぶ。急いで立ち上がろうとした時には追い付かれていた。そして赤黒い光線が放たれた。身体が崩れてゆく中、私は自身の無力差に悔しく思いながら眼を閉じる。
‐???‐
レイン
「・・・ここは?「目覚めたか。」ッ!?」
私が眼を開けると、そこは青空が広がる場所だった。辺りを見回していた時、後ろから声を掛けられて振り向く。すると目の前にはあの青い巨人がいた。ただ背丈は私と同じ位になっていた。
コスモス
「突然声を掛けてすまない。私はウルトラマンコスモス。私はスコーピスを追ってこの星へとやって来た。」
レイン
「スコーピス・・・それがあの甲虫の怪物の名前なの?」
コスモス
「そうだ。奴の性格は至って凶暴で残酷で、君が見た有毒ガスを含む腐食光線ポイゾニクトなどで死の星に変えてしまう力を持っている。」
レイン
「死の星って、世界が滅ぶって事?」
コスモス
「そうだ。このままでは滅んでしまう。私も負傷して満足に戦う事が出来ない。そこで自身の命を顧みずに行動した君に頼みがある。」
レイン
「頼み?」
青い巨人、コスモスの頼みが何なのか私は首を傾げる。するとコスモスは赤く点滅する宝石に右手を翳し、そこから光の球を前に出す。光の球はコスモスの手から離れて私の方へ向かってくる。その光の球を手にした時、1つのアイテムとなった。
ウルトラマンコスモス
「コスモプラック。それは君と私が一体化し、私へ変身する為のアイテムだ。私と共にスコーピスを倒す為に戦ってほしいッ!」
コスモスの眼は、私が初めて出会ったアリオスの深く濁った眼と違って透き通っていた。それが本気であると分かった私も覚悟を決める。
レイン
「分かったわッ!私も、あんな危険な存在を見過ごせないッ!!」
コスモス
「共にスコーピスを止めるぞッ!」
コスモスが光となって私が持っているコスモプラックへと宿る。それを見た私は叫ぶ。
レイン
「コスモーーースッ!」
コスモプラックを掲げると同時に先端が三方向へと展開し、内部の輝石が収められた棒状が伸びる。そこから放たれた青と金の光に私は包まれる。
‐ホライズンの街‐
住民達
「ウワァァァァッ!!」
スコーピス
「ピィィィヤァァァッ!!」
ホライズンに住む人々が街へ近付くスコーピスの姿に慌てふためいていた。勇者パーティーは迷いの森へ行ってしまった為、最大の危機に瀕していた。その時、青い光がスコーピスとホライズンの街の間に降り立つ。光が収まると、レインが変身した慈愛の勇者〔ウルトラマンコスモス〕が姿を現す。
ウルトラマンコスモス
「シュワッ!」
スコーピス
「ピィィィヤァァァッ!?」
コスモスは構えを取り、戦闘態勢へ入る。倒したはずのコスモスが現れた事に驚くスコーピス。その間にコスモスは接近し、ルナ・パンチを数発当てる。
スコーピス
「ピィィィヤァァァッ!?」
レイン
『す、凄い・・・これがコスモスの力ッ!』
コスモス
『力の確認は後だ!まだスコーピスは動いているッ!』
レイン
『う、うんッ!』
ウルトラマンコスモス
「フッ!」
コスモスの言葉に意識を切り替え、私は構える。怯んだスコーピスは頭部から光弾〈フラジレッドボム〉を放つ。それをさっき見た両肘を使った防御〈マストアーム・プロテクター〉で防ぐ。
ウルトラマンコスモス
「ハッ!」
スコーピス
「ピィィィヤァァァッ!」
スコーピスに接近して右手を前に突き出して放つ〈ルナストラック〉を至近距離で当てる。スコーピスは不利だと分かったのか、羽を広げて逃げようとする。
逃がさない!私は右手を前に突き出して放つ超高熱の必殺光線〈ムーンライトスマッシュ〉が上空のスコーピスへ直撃する。
スコーピス
「ピィィィヤァァァッ!?」
ウルトラマンコスモス
「シュワッ!」
スコーピスは断末魔と同時に爆発した。それを見た私はその場から飛び去る。勇者パーティーを追放され、仲間も目的を失ったビーストテイマーの私は、
第1話END
次回「新たな仲間」