趣味に没頭していたらいつの間にか囲まれてたって話   作:AZAZEL

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すいちゃん編

星街すいせい
敗因:
心情:

みんなも予想してみよう!
ではほんへどうぞ


星の原石
始まり


「……君、何してるの?」

 

「何ってそりゃあ……攻略の為の下準備的な」

 

「こうりゃく?もしかしてダンジョン!」

 

「ああ、最近調子ついてきたからこのまま一気に推し進めたいところだが…フロムは焦ると負けるのが鉄板、何事もクールに熟さなきゃな」

 

「ダンジョンとか行ったことないから、わかんないや」

 

中学時代

いつも一人でいて、一人でノートを書き込み…放課後はいの一番にいなくなる癖にどのグループでも見かけない、そんな変わった子

 

それが『志賀 航輔』という人だった

なんで話しかけたかなんて、自分でも分からない……いや、多分無意識の内に彼の『目』に惹かれていたのかもしれない

 

「名前なんて言うの?」

 

「志賀航輔」

 

「すいちゃんは星街すいせい、よろしくね!」

 

「ああ、よろしく……ん?星街、なんか聞いた事が……まあいいか」

 

彼との関係はここから始まった

 

「ねえねえ志賀君、さっきの問題分かった?」

 

「え、ああ…まあ分かったけど」

 

「すいちゃんどうしてもここが分からなくてさぁ〜」

 

「なに、どれ……ああ、それは前回の公式を当てはめれば解けるよ」

 

「おっ、ホントだ…ありがとう!」

 

「どういたしまして」

 

彼は絶対にノートから目を離さない

どれだけ話しかけようと、今みたいなことが無い限りは決してコチラを見ない

 

ただひたすらにノートへペンを走らせ、それを見ている

 

「志賀君っていつもノート書いてるけど、勉強もしてるの?」

 

「あんなの勉強しなくても分かる」

 

「ええ!?すごいね!もしかして天才…?」

 

「天才、ねぇ……別にそういう訳じゃないと思うけどね」

 

「ふーん?そうなんだ」

 

中学時代はこれといったことは無かった

ただ喋りかけて、それに応えてくれる……そんな至って普通の友人関係

 

変化は高校に入ってから

 

「ねえねえこうちゃん、すいちゃんアイドルになろうかなって思うんだ」

 

「へぇ……え?なんて?」

 

「だから、アイドル」

 

「何でまた急に……いや、歌が好きだって言ってたもんな」

 

それなりに付き合いも長くなり、お互いに名前で呼び合う時期も過ぎ……すいちゃん、こうちゃんと呼び合うようになった

 

相変わらずノートを見てることに変わりは無いけど

 

今では家に呼ぶくらいに仲良くなった……仲良くなっている筈だ

何だったらお泊まりもしてるから…うん、これは仲が良いってことだね

 

「学校とかはどうするんだ?」

 

「通い続けながらするつもりだよ」

 

「ほう……まあすいちゃんの決めた道だから、俺がどうこういう事でもないけど…頑張ってね」

 

「うん、頑張るね!」

 

結構重大発表みたいな感じで言ったんだけどなぁ……まあ反応が薄いのはいつもの事だし、でもちょっと驚いてたところはかわいかった

 

でも『歌が好き』とか『野菜が嫌い』とか……割とそういう細かいところを覚えているのがこうちゃんだ

そういう所があるからこそ、憎めない

 

「こうちゃんどうしたの…?なんか疲れてるみたいだけど」

 

「いやぁ、昨日ボス攻略に明け暮れてたら時間忘れちゃって…寝みぃのなんの」

 

「も〜、趣味に明け暮れるのもいいけど自分の体調くらい管理してよね…すいちゃんも心配になっちゃうじゃん」

 

「ごめんごめん、次は気を付けるからさ」

 

「それ何回目」

 

「うす……」

 

たまにこれだから目が離せない……昔からダンジョンの攻略にばっかり力を入れて、自分の体調すら顧みない

酷い時は熱を出してるのに行こうとする

姉街と一緒に引き止めて、無理やり寝かしつけたことを鮮明に覚えている

 

中学の頃からなんにも変わってない、ダンジョンバカ

 

………ただ、ダンジョンの話をするこうちゃんの目はすごく輝いてた

生き生きとして、キラキラと光って…星のように輝いている、そんな『目』にどうしようもなく惹きつけられる

 

「こうちゃん聞いて聞いて!」

 

「どうした、いつになくハイテンションだな」

 

「すいちゃんアイドル目指してたじゃん?ホロプロって所がね、新人募集してたから応募したらなんと…合格できましたぁ〜!」

 

「はぇ^〜……あ?それマジィ?お〜、おめでとうすいちゃん…今日は姉街に言ってご馳走だな」

 

こういう時はちゃんと顔を上げて話してくれる

いつもそうしてれば学校でも浮かないのに

 

「もちろんもう報告してきたよ!そしたらすいちゃんの好物いっぱい作ってくれるって!」

 

「そりゃ良かったな」

 

「こうちゃんも食べてくでしょ?」

 

「えっ……俺も食べてくの?」

 

「むっ、もしかしてダンジョン潜ろうとしてた?」

 

「あっは〜…いやぁ〜……ゆ、夕飯までに帰ってくるとかじゃ…ダメ?」

 

「ダメ」

 

「うす……」

 

割と押しに弱い

て言うか、夕飯までって言って帰ってきた試しがない

 

関係ないけど出かけた先では絶対にお金を出させてくれない、気が付くと二人分払われてるなんて事はしょっちゅう

返すと言っても「ワi…俺がしたいからやってるんだ、別にいらない」とか言う

 

そういうところは何故か頑固……よくわかんない

 

「アイドルって結構大変だよ〜、ダンスレッスンしたりボイトレしたり…忙しぃ〜」

 

「まあしょうがないだろ、それに学校通いながらって言ったのはすいちゃんだろう?なら頑張らないとな」

 

「うっ…そっ、それは分かってるもん…でもつーかーれーたー!」

 

「はいはい……」

 

甘えに行けば甘やかしてくれる

後ろから抱きついてもなんとも言わない、呆れた声は出すけど別に邪魔とも言ってこない

 

まあずっとノートを書いてるから、正直抱き着いている事に気が付いてるかすら分かってるか怪しい

なんかそれはそれでムカつく、もっとベタベタしてやる

 

アイドルを始めてから2年くらい経った

丁度スランプに入りかけていた時だった

 

最初こそ勢いは良かったのだが少しづつ、少しづつだがファンの増えも減ってきていた

 

「……ねぇ、こうちゃん」

 

「なに、どうした」

 

「すいちゃんって、アイドル向いてないのかな…」

 

「どうしたんだよ急に…何かあったの」

 

「ううん、先輩たちも優しいし…ライブとかは上手くいってるんだけど……思ったよりファンが増えなくて…」

 

「あー…典型的なスランプですねぇクォレハ……」

 

「くお…?なんて?」

 

「いや、なんでもない」

 

こうちゃんの後ろから抱きつき、肩に顎を乗せる

これが一番こうちゃんの体温を感じられるし、匂いも感じられる……それにこうちゃんもこれだけ密着したって何も言ってこない

 

つまり同意、なんの問題もない

 

「んー……詰まるところ最初の頃に比べるとファンの増えが著しく減った、と」

 

「まあ…そんな感じかなぁ……自分のやってる事がマンネリ気味になってきて、みんな飽きちゃったのかなって思うと……メンタルが……」

 

「気にするな、とは言えないし多分そんな事無理だろうから言わないけど……それは誰しもが通る道だと思うぞ、先輩とかに相談したのか?」

 

「ん〜…なんかしづらくて、言ってない」

 

「そう言うのはその道の人間に聞くのが一番だと思うから、思い立った時に聞いてみな」

 

「んぅ、分かった……ん"〜でも気持ちが浮かないぃ……」

 

分かってる

こうちゃんの言ってる事は全部分かってる上で聞いてる、典型的なスランプだってことも…先輩に聞けばいい答えが貰えるかもしれないのも

 

本当、こういうのを分かってない……そういう時は慰めろよ!!

 

「……いいかすいちゃん、挑戦には何時だって失敗が付き物だ…一発で成功出来ることなんてまず無い、いつかの成功の為に何回も何回も『挑戦』を積み重ねるものなんだよ」

 

「……こうちゃんのやってるぼす攻略?みたいな感じ?」

 

「まぁ、そんな感じ……一番大事なのは『諦めない』『屈しない』必ず『成し遂げる』気持ちだ、すいちゃんだって好きでアイドルやってるんだろう?」

 

「……んぅ」

 

「だったらその気持ちを忘れないこと……挑戦や努力、何度でも壁にぶつかって『自分自身』を乗り越える…そうやって『成長』していく姿っていうのは何を置いても美しい……俺はすいちゃんの頑張る姿、好きだぞ」

 

ズルい、本当にこういうところがズルい

何の気なしに唐突に好きとか、綺麗とか浮ついたセリフを言う

 

しかも本人はそんなつもりで言ってない、本当の本心から言ってるのが更にタチが悪い……ああもう、本当に…

 

「……じゃあ、もう少し頑張る」

 

「そうだな、もうちょっと頑張ってみよう…そしたら何か見えるかもしれない」

 

そう言いながら頭を撫でてくれる……こういうのも無意識でやってるからズルい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつからか、最初は変わった友人として接していたのに……うわぁ!!自分で思うのも何か恥ずかしい!

なんで、いつからこうちゃんの事好きに……!

 

いや、そもそもいつからも何も無い……最初から、あの『目』に惹かれたときから…こうちゃんに夢中だったのかもしれない

 

こうちゃんが言っていた何かに挑戦したり、努力したりする人…そして課題を乗り越え成長した人は美しいという話

あながち間違いでは無いかもしれない

 

現にこうちゃんがダンジョン攻略を直向きに努力してる姿…そして何よりあの無邪気に、夢中に輝いている『目』

 

あの『目』もそうだし、もちろんこうちゃんの事も…もう、どうしようもないくらいに大好きだ

 

苦しくて辛い事の多かったアイドルを頑張れたのだって、こうちゃんの見せてくれた輝きがあったからこそ…今のわたし(すいちゃん)が居るのは、あなた(こうちゃん)に出逢えたから

 

今日もすいちゃんはステージに立つ、幼馴染がくれた煌めきと輝きを胸に……精一杯アイドルをする

 

「おっはよ〜」

 

「ああ、おはよう」

 

……えっ!?うそ!こ、こうちゃんが……挨拶を返した…!?

いつもなら「ああ」とか「うん」とかしか返さないのに…しかもすいちゃんの目見て!?

 

「……どうした、なんか付いてるか?俺の顔」

 

「えっ?あ、いや!ちゃんと挨拶返してくれるなんて珍しいな〜って……なんかいい事あった?」

 

「いや特には……あ、まあ…ちょっとした目標が達成出来たって感じかな」

 

「へぇ〜そうなんだ…何かわかんないけど良かったね?」

 

「まあ…ありがとう星街(・・)

 

「あっ…うん」

 

ほ、星街…?あれ、なんか…いつもより距離を感じる

なんか寂しい、ヤダな……いや、と言うか急過ぎない?昨日まですいちゃんって呼んでくれてたやん

 

なんか今日のこうちゃん、変だなぁ…

 

「あ、あの…いつもみたいにすいちゃんって、呼んでくれないの?」

 

「え"ッ……い、いつも?」

 

「うん、昔からそう呼んでたよ…ホントに今日どうしちゃったの?なんかいつもと違うって言うか、何か変だよ」

 

ちゃんと目を見て話してくれてる、いつものノートも無い……達成した目標ってやっぱりダンジョン関連なのかな?

 

でもこれはいい変化かも、ようやくすいちゃんの事をちゃんと見てくれるようになったかも

 

「あー…いやっ、ちょっとボーッとしてただけだよ…気にせんといてすいちゃん」

 

「そう?体調悪かったら言ってよね」

 

「……なぁ、アイドルの方は順調なのか?」

 

うぇ!?こ、こうちゃんの口からそんなこと聞けるなんて…!

い、いやいや!本当にどうしたのこうちゃん!

 

なんか…なんか今まで以上に感情が止めどなく出てきそう…!!

 

こ、これはもしかしたら……もしかしたらワンチャンいけるんじゃ…?

なんか今のこうちゃん、今までと全然違う…ここは思い切って言おう!

 

「ええ?珍しいねそんな事聞いてくるの、本当にどうしたの?」

 

「昔にオーディション受かったって聞いてからそんな話してないな…ってふと思ったから、ちょっと」

 

「ふぅん…うん、順調だよ…ファンも増えてきてるし」

 

「そりゃ良かった」

 

「……すいちゃんのライブ、興味あったりするの?」

 

「まぁ…そうだな、今までずっと別の事に打ち込みっぱなしで…昔馴染みを放っぽってたから」

 

うわ!マジ!?ホント!!

これはもういけたんじゃない!?これはもう確定演出なんじゃない!?

 

「ッ…!!へ、へぇ…そーなんだ、ふぅん…そっか……こ、今度ライブあるんだけど…来る?」

 

「ああ、日程が合えば行きたいな」

 

やっっった!!!やったやったやった!!!

こうちゃんがすいちゃんのライブに来てくれるっ…!!

 

ヤバ、なんか嬉し過ぎて顔にやけそう……まずい、今の顔をこうちゃんに見られるのは半端なく恥ずかしい

 

なんとか講義中は耐えきった……もちろんだが、その後みこちとそらちゃんには惚気に惚気まくった

 

にしてもこうちゃん、急にどうしたんだろう本当……

でもいい変化だよね、うん…ようやくすいちゃんの事をちゃんと見てくれた、今からでも遅くは無い

 

ただでさえ顔もカッコイイんだから、ライバルが増えない内にどうにかしないと

隣は誰であろうと渡すつもりは無い…昔から、そして今から先もずっと隣はわたし(すいちゃん)のモノだもん




星街すいせい
敗因:甘やかされ負け
心情:誰にも譲らない

ワイ氏:無意識でもスパチャを忘れないオタクの鑑

過去編っていうか、ホロ視点編みたいなったちゃった…すまそん
時間が経つにつれて徐々にすいちゃんが陥落していく、的な感じで書きたかった(届かぬ思い)

ではでは、またお会いしましょう
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