チート持たされて無理やり異世界に飛ばされた話   作:白ノ宮

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この作品の存在(ストックも)忘れてた...。
という事なので投下します。


2話

金目の物をどうするか考えていたんですが、賊から奪い取ることにしました。どうも、大崎 渚です。

 

あわよくば貸しを押し付けられればいいなって感じで参戦を決意した。

とにかくお芝居の時間だ!

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

木々が生い茂る森の中、子爵家の令嬢を乗せた馬車が賊に取り囲まれていた。

 

賊と護衛の騎士の腕が拮抗していて戦況の変化が起きず、戦意が高いものの揺らぎが起きてもおかしくないものとなっていた。

しかし賊の戦意は揺らぎなく高く、騎士が気圧されるのも時間の問題。

 

そんな苦戦寄りの互角な現状にある光が差し込んだ。

 

戦場に迷い込んだのは黒いコートに身を包んだ金髪碧眼の美丈夫だった。

髪色や目の色、顔つきだけ見ればどこかの貴族を彷彿とさせる見た目をしているものの、着ている無地の黒いコートでその高貴な雰囲気は台無しになっていた。

 

そんな本人は顔を驚きの表情に染まっており、音のする方に歩いてきた結果運が悪いことに戦いの場所に来てしまったという状態だろう。

賊は笑みを深くした。

美丈夫の着ているコートは無地で装飾がないものだが一眼見ただけで上質なものだとわかる。あれを売れば数ヶ月は遊んで暮らせるような気がしているのだ。

 

その獲物は俺のものだと言わんばかりに美丈夫の近くにいた賊が鉈を片手に躍り掛かった。護衛の騎士達はあれはもうダメだなと賊の方に集中しようとした瞬間。事が動いた。

 

美丈夫が小さくなにかを呟いて手を翳すと踊りかかった賊の首と肩と腹部から鮮血が吹き出して、後ろに吹っ飛んだ。

 

地面を転がった賊は動く気配がなく、赤い水たまりが地面に広がる。まさしく瀕死の状態だ。

 

そして美丈夫が顔を嫌悪に歪めて一言吐き出した。

 

「下船なる賊が、身の程を弁えよ」

 

賊達はその状況から見て自分たちの優勢が覆されたと察して蜘蛛の子を散らすように逃げていった。

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

ふっ、決まった!

自分を貴族だと思い込んでる一般男性の演技をこなせた自分に対して僕の心の中では数百人のオーディエンスが拍手喝采を僕に送っている。

 

さて、賊の手当でもしますかね。

吹っ飛ばしてしまった。賊に寄り、手をかざして光属性の治癒魔法をかける。

 

「天よ、傷つけられし哀れなる子羊に癒しを。小光」

 

手のひらから光の霧が賊を包み込み、首と腹の傷だけを治して肩の傷は残した。

 

「地よ、愚者に楔を。小地」

 

段々めんどくさくなり適当な詠唱で、適当な蔦を生成して賊の手足をぐるぐる巻きにして縛り上げた。その際に武器と腰につけていた財布と思わしき小袋をアイテムボックスに突っ込んでおいた。これじゃどっちが賊なんだかわからないなと思いつつ、治癒代としていただく事で罪悪感を消しとばす。

 

ため息をついて立ち上がるとフリーズしていた護衛達が剣を仕舞い、隊長格と思わしき少し豪華な鎧の護衛が無防備に近づいてきた。

 

...自分で言うのも変だけどこんな怪しい男に抜剣せずに近づくって良くないと思うなぁ。

 

「救援、感謝いたします。私はアローフ子爵家護衛騎士長のベッスと申します」

 

ベッスと名乗る男は騎士だったようだ。

傷のない新品同様の鎧に剣の柄には宝石があしらわれていて、先程の抜剣していた時の刀身の色艶の良さを思い出すとこの騎士はどこかの貴族か手練れの騎士かなのだが、おそらく前者だろうな。

流石にこの世界の手練れの騎士=素人丸出しのチャンバラごっこなんて等式は立てたくない。僕の夢を壊さないでほしい。

 

というかあれだな。これは僕も名乗らなきゃだな。

ついでにこいつの処遇をどうするか聞いておくか。

 

「いえいえ、旅するもの助け合いの精神ですよ騎士長殿。私は旅人のナギサと申します」

 

「旅人...ですか?」

 

ベッスは苦笑いを浮かべながら聞き返す。先程のRPは自分を貴族だと思い込んでる一般人だから旅人と言っても嘘ではない。そして鏡面のように艶のいいベッスの鎧に反射する僕の顔はホントに整っており、まるで乙女ゲーのメインヒーローの王族にいそうな風貌だ。

そりゃ苦笑いされるわな。

 

でも嘘は言っていないよ(強調)

 

「そうです、旅人です。それで、この賊の処遇はどうしましょうか?」

 

「こちらにお任せいただきたいのですが、どうでしょうか?」

 

「えぇ、お任せします。お恥ずかしながら私ではどうすればいいか分からないもので...」

 

ホントに分からない。先人達はサクッと殺してそうだが、殺さずに済むのならそれに越したことはないはずだ。なんにせよ魔法にコストはかからないからこそできる配慮というものだ。これこそ日本独自の優しさってやつだな。

 

え?その後どうなるかは分からないだろって?

HAHAHA!

 

「それでナギサ殿はここから先の城塞都市に向かっているのですかな?」

 

縛り上げた賊を馬車の後ろに括りつけるように配下の騎士に指示を出した後、ベッスは再び口を開いた。

 

「そうですね。なるべく野宿は避けたいもので、この先の都市で宿を探そうかと思っていますよ」

 

「ふむ...不躾ながらお願いを聞いていただいてもよろしいですか?」

 

「...?お話の内容によりますが、それでもよければ」

 

「今の戦闘でお気付きになられたかもしれませぬが、我々は子爵家の護衛騎士のなかでは最弱の部隊でして、謝礼として相場の5倍の報酬金を出しますのでここから城塞都市まで護衛をお願いしたいのです。都市に入る際の通行料もこちらでお支払い致します。」

 

お金が貰えて街にも入れる!

そんな好条件逃すわけにはいかん。

フッフッフ...、この初級魔法使いの渚様に任せい!

 

「ほう...5倍ですか。それは良い条件ですね。丁度路銀もそこが見えてきたので、その護衛の任お引き受けいたします」

 

「おぉ!それはありがたい!ではよろしくお願いしますぞ、ナギサ殿!」

 

「えぇ、誠心誠意お守りいたしますよ」

 

ベッスと握手をして契約完了。

 




創作活動において長続きした記憶が無い...。
まぁ、娯楽でやってるからという理由もあるかもしれないが。
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